離婚「知っトク」ブログ

【養育費】失業中の人の養育費算定方法(潜在的稼働能力)について

2017.01.25
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養育費を定めて離婚した元夫婦の夫が,自らの年収が減少したことと,相手方(妻)の年収が増加したことを理由に養育費の減額調停を申し立て,審判に移行した事案です。

さらに,夫は,調停係属中に失職し,就職活動をしつつ雇用保険を受給していましたが,審判時に未だ就職ができていなかったという事情がありました。養育費算定の基礎として,このような夫の収入をどう判断するかか問題になりました。

この点につき,本決定は,
「養育費は,当事者が現に得ている実収入に基づき算定するのが原則であり,
義務者が無職であったり,低額の収入しか得ていないときは,就労が制限される客観的,合理的事情がないのに単に労働意欲を欠いているなどの主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず,そのことが養育費の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される場合に初めて,
義務者が本来の稼働能力(潜在的稼働能力)を発揮したとしたら得られるであろう収入を諸般の事情から推認し,これらを養育費算定の基礎とすることが許される。」とし,
本件につき「抗告人(夫)の退職理由,退職直前の収入,就職活動の具体的内容とその結果,求人状況,抗告人の職歴などの諸事情を審理したうえでなければ判断できないというべきであるが,原審はこうした点について十分に審理しているとはいえない。」として,原審を取り消し,差し戻しました。
・・・・・わかりにくいですね。
正確性に欠けるきらいはありますが,わかりやすく,かいつまんで説明すると,
「働けるのに働かない(働く意欲がない)人なら,働いた場合の収入で評価する,働きたいけど職が見つからない(働く意欲があり,具体的に求職活動をしている)人は,実際の収入で評価する」ということですね。働けるのに働かない人が働いたらどの程度の収入になるかという考え方を「潜在的稼働能力」といいます。
このような理屈は,養育費のみならず,婚姻費用でも妥当するでしょう。