水光熱費・ケータイ代・インターネット料金は別居中の生活費から引かれるか(婚姻費用)

1,質問

私は結婚後も働いていて収入がありますが、夫の方が収入が高いため、これまで夫婦の生活費は夫が支払ってくれていました。

夫の浮気が原因で夫婦仲が悪くなり、夫は自宅を出て会社の近くにアパートを借りており、現在は別居状態にあります。

別居してから、夫は生活費を一切くれなくなりました。ただ、私が住んでいる自宅(夫名義)の電気料金、水道料金、ガス料金、電話料金、テレビの受信料、インターネット利用料金、固定資産税、火災保険料は夫の口座から自動引き落としされるかたちになっており、夫が支払ってくれています。また、私が使用している夫名義の自動車の保険料も夫が支払っています。さらに、私が被保険者となっている団体定期保険の掛金も夫は支払っています。

夫に生活費を支払ってくれるよう頼んだところ、「君の住んでいる家の光熱費や電話料金を毎月支払っているし、もう十分だろう。しかも保険まで支払っている。自分も別居してからアパートを借りているから生活に余裕が無い」とのことでした。

裁判所のホームページにある婚姻費用算定表を見ると、夫と私の収入からすると、婚姻費用は3万円が相場のようです。そうすると、私が住んでいるマンションの光熱費等で既に3万円以上を支払ってもらっていた場合,生活費をもらうことはできないのでしょうか?

夫が払ってくれているそれぞれのお金が婚姻費用に含まれるか教えてください。

 

2,回答

(1)水光熱費・通信費→〇(含まれる)

電気料金、水道料金、ガス料金、電話料金、テレビの受信料、インターネット利用料金等は、まさに生活において使用するものであり、婚姻費用の範囲といえます。そのため、これらの料金の支払いは、婚姻費用の支払いの一部ということができます。

よって、双方の収入から算定される婚姻費用額が3万円で、夫が支払っている妻の家の光熱費等の料金が3万円以上である場合、夫は十分な婚姻費用を支払っているということになります。つまり、上記の事例では、原則として、奥様はご主人からさらに婚姻費用を支払ってもらうことはできません。

(2)固定資産税、火災保険料→×(含まれない)

他方、固定資産税や火災保険料の支払いは、奥様の生活に直結しておりません。これは、夫の資産維持費または資産形成費ともいえるものです。

したがって、これらの支払いは、婚姻費用の支払いの一部とは認められにくいといえます。

(3)自動車の保険料は→△(婚姻費用をもらっている人が車を使っている場合は含まれる)

自動車の保険料は自動車を使用するために必須なものです(他方で、自動車の価値を増加させるものとはいえません)。

よって、自動車の保険料は、現に自動車を使用している人が支払うべきといえます。すなわち、奥様が使用している自動車の保険料をご主人が支払っているのであれば、これは婚姻費用の支払いの一部といえるでしょう。

(4)団体定期保険の掛金→×(含まれない)

保険掛金については、標準的な保険掛金額の支払いが算定表上既に考慮されています。

したがって、保険掛金を支払っていることは、原則として、婚姻費用の支払いとはいえません。

 

(5)まとめ

現金の送金ではなく、生活に関連する様々な費用の支払いがある場合、それらが婚姻費用の支払いの一部といえるかどうかは、具体的事案によって異なります。

ご自身の場合はどうなのか、気になる方は、一度弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

nakamahayato