【離婚専門弁護士が解説】モラハラ夫の特徴と離婚したい場合の対処法
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目次
私ってモラハラの被害を受けているかも!?
(1)「俺の機嫌が悪いのは、お前が俺にそうさせているからだ。」
「俺が怒るのはお前がちゃんとしていないからだ。俺は、お前のためを思って言っているんだ。」
「お前は稼げない。役に立たない。」
これらのような言葉を夫から放たれたことはありませんか?
このような発言は、モラルハラスメント、略してモラハラに当たります。
(2)私はモラハラを理由に離婚をしたいけれど、これってモラハラなの?
モラハラを理由に離婚することはできるの?
モラハラを理由に離婚をしたいけれど、離婚をしたら経済的に不安がのこる……。
そのような方に向けて、モラハラのチェックポイント、離婚を考えたときに何をしておくべきかについて、
離婚事件を多数取り扱う弁護士が解説します。
目次
3.モラハラを理由に離婚したいと考えた場合にしておくべきこと
1.そもそもモラハラとは何だろう?

(1)モラハラとは
モラハラとは、モラルハラスメントの略称です。
モラルハラスメントとは、言葉や態度などによる精神的嫌がらせ、虐待を指します(広辞苑第7版、岩波書店、2018)。
辞書によれば、上記のような定義ですが、具体的にどういうことを指すのだろう?と疑問がわくと思います。
そこで、以下に、一例ではありますが、チェックポイントを解説していきます。
(2)モラハラチェックポイント
ア言葉
・専業主婦は楽でいいよな。 ・お前は俺が養ってやっている。 ・俺の(俺が稼いだ)金だ。 ・俺が怒るのはお前のせいだ。 ・俺はお前のためを思って注意をしている。俺が正しい。 ・口答えするな。 ・お前は稼いでいない。 ・外で働いて俺と同じくらい稼げるのか?無理に決まっている。 ・子どもが俺に口答えをするのもお前の教育が悪いせいだ。 |
等、自身の家事育児への不協力を棚にあげ、一方的に妻を罵るような言葉が例として挙げられます。
イ態度
・用意してもらった食事にため息をつく。 ・用意してもらった食事が気に入らないとそれを食べずに、理由を告げることなくインスタント食品やコンビニ弁当を食べる。 ・用意しても食事を食べない日が続いたので食事を作らなくなると「俺のご飯はないのか。」と怒り出す。 ・妻が体調不良で寝込んでいても、「食事は?」、「風呂は?」等と、自身の身の回りの世話をするよう求める。 ・自身の気に入らないことがあると物に当たる、急に不機嫌になり黙り込み不機嫌な態度をまき散らす。 ・妻の給与も自身ですべて管理する。 ・妻の買ったものについてはすべてレシートを出せと言う。 ・子のおやつを食べてしまうなど子の嫌がることをする。 ・外出の際に、「どこに行く?」、「誰と一緒に出掛ける?」、「何時に帰る?」等と、行動を管理しようとする。 |
等、自己中心的な態度や、自身がすべてを管理したいという態度が例として挙げられます。
上記のア、イのような言動を繰り返されているようであれば、「もしかして私ってモラハラを受けている。」と考えてよいでしょう。
2.モラハラを理由に離婚はできるの?

そもそも、モラハラを理由に離婚をすることはできるのだろうか? と思ったことがある人は少なくないと思います。
結論から申し上げますと、離婚はできます。もっとも、裁判に至って離婚をする場合には、離婚をしたいと主張する者
(裁判では原告になる者)が「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)を主張、立証をして、
裁判所に対し、離婚の訴えを認めるように求めていくこととなりますので、モラハラの証拠が必要となってくることは言うまでもありません。
モラハラによる慰謝料を請求したい場合も証拠が必要ですので、証拠集めはしておくことに越したことはないでしょう。
3.モラハラを理由に離婚したいと考えた場合にしておくべきこと

(1)モラハラの証拠集め
最近では、LINEで日常のやり取りをすることが多いと思います。いわゆるモラハラ夫(最近ではモラ夫と呼ばれることもあります。)は、
妻がこれまで目を瞑って何も言わなかった出来事を成功体験として蓄積しています。モラハラ夫は、LINEでも妻を罵倒することが多いと思います。
そこで、妻ができる証拠集めは、LINEのスクリーンショットを保存しておくことです。LINEのスクリーンショットを保存するときには、
①文面がきちんと読めるように、
②いつの会話かわかるように残しておくことがポイントです。
暴言の回数や頻度でどの程度の被害を受けていたかを立証していくこととなるので、可能であれば、
気づいたときにスクリーンショットを残しておくとよいでしょう。
また、日ごろから日記をつけておくことも有用です。日記は、自身の気持ちを真摯に吐き出すもので、誰にも見せないことを前提としている媒体です。
簡単に記載で構わないので、夫から何かを言われた、嫌なことをされたときに、該当する日にちのところに、
出来事の流れと夫から吐かれた暴言をメモしておくのがよいでしょう。
(2)夫の収入資料、財産資料の確保
離婚をしたいと考えたとき、別居をすることが頭の片隅を過ると思います。
もっとも、経済的事情や子の学校の関係で即時に別居をすることが困難である人も多いはずです。
やむを得ず同居を継続する間に、夫の源泉徴収票、給与明細、預金通帳、持家の場合は自宅の査定書、残ローンの資料(借入明細書など)、
積み立て型生命保険の資料や株式資料等をできるだけ集めておきましょう。
源泉徴収票、給与明細は、別居後の婚姻費用の請求に際して、請求すべき具体的な婚姻費用の金額を算定するときに使用します。
預金通帳、生命保険資料、株式資料等は、財産分与の請求を行うときに使用します。
離婚に向けた別居に踏み切る場合、経済的負担は避け得ないものです。
別居をした場合、夫から離婚までの生活費である婚姻費用としていくらもらえるのかを把握しておくことは離婚までの生活の見通しを立てやすくなりますし、
離婚をしたら財産分与としてどの程度の支払いを受けられる見込みなのかを把握しておくことは離婚後の生活の見通しを立てやすくなります。
そのために、夫の収入資料や財産資料をできるだけ確保しておく(もちろんコピーで構いません。)のがよいでしょう。
(3)経済的基盤の確保、今後の生活の環境調整
別居を決意した場合、転居費用や転居先の家賃等の負担があります。そこで、これらを工面できるよう準備をする必要があります。
実家から援助を受けることができる場合には、実家を頼ることを考えてみてよいかもしれません。
子が小さくて働きに行けない等の事情がある場合は止むを得ませんが、就労を開始することも視野に入れましょう。
子がいる場合、子の保育園、幼稚園、小学校や習い事をどうするかのという問題もあります。
今までのところに引き続き通わせるのかどうかを検討する必要があります。また、各市区町村で一人親の支援の内容は異なります。
そのため、転居を予定している市区町村の一人親支援がどの程度充実しているか、どこまで対応してくれるのか、事前に相談しておくのもよいでしょう。
4.離婚を決意し、別居の見通しも立てた! というあなたへ

(1)別居の開始
離婚協議を始めるために、別居を開始しましょう。夫に何も告げずに別居を開始しても、違法ではありませんので安心してください。
別居を開始し、住民票を移転したら、市役所に行き、住民票や戸籍の附票の閲覧制限の手続をしましょう。
転居先を夫に知られないようにして、まずは、安定した生活を確保しましょう。
子の保育園や幼稚園を変えない場合、夫が子を迎えに行き、そのまま連れ帰る危険があります。
これを防ぐために、現在離婚協議中であり、保育園や幼稚園に夫が迎えに来ても、子を引き渡さないように話を通しておいてください。
(2)婚姻費用の請求
別居を開始すると、夫から生活費である婚姻費用の支払いが止むことが度々あります。
そのため、家庭裁判所に対し、婚姻費用分担請求調停の申し立てをしておくとよいでしょう。婚姻費用の始期は、裁判実務上申立時とされています。
そのため夫が生活費を支払わない状況が予想されるときは、早々に婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。
婚姻費用分担請求調停の申立てについては、それぞれのお住まいの地域の家庭裁判所のホームページに書式と書式例が載っています。
それを参考にして申立てを行ってください。
(3)離婚協議の開始
上記でも述べましたが、モラハラ夫は、これまで妻が家庭生活を円満に営むために我慢をしてきたことに全く注意を払わず、
妻の我慢を自身の成功体験として積み上げ、自身のみが正しいと思い込んでいる人が多いです。話が通じないと感じたことも多かったのではないでしょうか。
モラハラ夫は、「会って直接話がしたい。」、「夫婦だから話せばわかる。」と口にし、面会の上での話し合いを求める傾向にあります。
これまで、話し合いができなかったがために、今の状況があります。そのため、夫からの面会要求があっても断りましょう。
二人で話し合いを進めざるを得ない場合には、電話でのやりとりは避け、メールやLINE等形に残るものでのやり取りをしましょう。
夫からの連絡が苛烈で生活もままならないというときには、弁護士に相談に行き、弁護士に代理人になってもらうことを検討しましょう。
弁護士を代理人とすれば、夫と自身でやり取りをしなくて済みます。
その点で、ご自身の精神的負担が減ります。精神的負担が減れば、今後の生活について前向きに考える余裕も出てくることとなるでしょう。
離婚に向けては、かなりの精神力を使います。ご自身に余裕を作るために弁護士に依頼をするのは、今後の生活を安定させていくうえで、価値があると考えます。
5.迷ったら弁護士に相談を!

これはモラハラなの?
モラハラを理由に離婚はできるの?
これだけの精神的苦痛を受けてきたのだから慰謝料をもらって離婚をしたい!
とお考えの方は多くいらっしゃると思います。そのようなご不安を解消し、疑問にお答えするために、我々弁護士が存在します。
このようなモラハラには耐えられないから離婚をしたい!との思いを抱えた場合には、お近くの弁護士事務所への相談をしてみてください。
新たな人生へと踏み出すサポートを準備してお待ちしております。