モラハラ離婚の弁護士費用の相場は?法テラスの費用や相談窓口も解説
- 離婚の原因
離婚は、両者の話し合いで合意ができれば可能ですが、相手がモラハラ気質である場合は、弁護士に依頼した方がスムーズです。
しかし、弁護士への依頼を検討した際に、気がかりとなるのが弁護士費用でしょう。
この記事では、モラハラで離婚する際の弁護士費用について、次の点を解説します。
- モラハラで離婚する際の弁護士費用の相場
- モラハラ離婚の弁護士費用を抑える方法
- 法テラスの弁護士費用
モラハラ離婚の弁護士費用の相場
ここでは、モラハラで離婚した場合の弁護士費用の相場について紹介します。
ただし、弁護士費用は各法律事務所によって料金が異なります。
複数の法律事務所に相談して、見積もりを比較検討しましょう。
弁護士費用の内訳
弁護士費用には、相談料、着手金、報酬金、日当、実費があります。
- 相談料:相談時にかかる費用で、おおよそ30~60分で0~1万円
- 着手金:交渉や調停など、それぞれ依頼する際にかかる費用
- 報酬金:依頼した案件が終了した際にかかる費用。金銭的な利益が発生しない場合は、離婚成立に対して〇万円、金銭的な利益がある場合は、獲得した慰謝料に対して〇%と報酬が発生する
- 日当:弁護士が事務所以外で仕事をする場合に発生する日当
- 実費:裁判などの申し立て手数料や交通費など実際にかかる費用
なお、相談料は初回無料であるケースが多いです。また、依頼後の相談料はかかりません。
協議離婚の弁護士費用の相場
モラハラ相手と交渉して離婚を目指す協議離婚を依頼した場合、弁護士費用の相場は次の通りです。
- 着手金:20~30万円
- 報酬金:離婚成立に対して20~30万円
- 他に財産分与などの金銭的な利益があれば、獲得した金額に対して10%
- 親権の獲得は10~20万円、養育費は獲得した養育の2~5年分の10%
協議離婚は、弁護士があなたの代理で相手と交渉をします。
協議離婚で離婚が成立した場合は、着手金・報酬金併せて40~60万円、金銭的な利益があれば獲得金額に対して10~20%の報酬金が発生します。
離婚調停の弁護士費用の相場
離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用の相場は次の通りです。
- 着手金:30~40万円
- 報酬金:離婚成立に対して30~40万円
- 他に財産分与などの金銭的な利益があれば、獲得した金額に対して10%
- 親権の獲得は10~30万円、養育費は獲得した養育の2~5年分の10%
また、交渉からそのまま調停を依頼する場合は、追加費用として10万円ほどかかることもあります。
離婚裁判の弁護士費用の相場
裁判による離婚を弁護士に依頼した場合の費用の相場は次の通りです。
- 着手金:30~60万円
- 報酬金:離婚成立に対して30~60万円
- 他に財産分与などの金銭的な利益があれば、獲得した金額に対して10%
- 親権の獲得は10~30万円、養育費は獲得した養育の2~5年分の10%
調停からそのまま依頼する場合は、追加費用として10万円ほどかかることがあります。
裁判は法的知識が必要となるため、費用もかかります。
「費用を負担できないかも…」という人は、後述する費用を抑える方法も参考にしてみてください。
その他モラハラ離婚で弁護士費用以外にかかるお金
モラハラで離婚する場合は、場合によっては手続き費用がかかります。
ここでは、離婚で弁護士費用以外でかかる費用について解説します。
協議離婚にかかる費用
交渉で離婚をまとめる協議離婚の場合、離婚届を提出すれば終わるため、基本的に費用はかかりません。
協議離婚では「離婚協議書」の作成が必要です。
そのため、弁護士に離婚協議書の作成だけ依頼した場合は、費用がかかります。
離婚協議書の作成を依頼した場合の費用の相場はおおよそ10~15万円ほどです。
また、離婚協議書を公正証書にする場合も手数料がかかります。
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書のことで、法的な効力があります。
「執行文」を付与することで、差し押さえが可能となります。
離婚協議書を公正証書で作成する場合の手数料は、取り決め内容にある金額によって異なりますが、おおよそ5,000~5万円です。
一般的な離婚であれば、おおよそ5,000円から1~2万円程度だと考えられます。
離婚調停にかかる費用
離婚調停は、裁判の申し立て手数料などがかかります。
①申し立て手数料
- 離婚調停の申し立て手数料:収入印紙1,200円
- 裁判所から通知を送るための切手代:960円分(※各裁判所による)
②実費
- 住民票などの取得費用:1,000円程度
- 調停調書の交付手数料:1,000円程度
- その他調停に出席する交通費
なお、調停で離婚だけでなく、財産分与、婚姻費用、親権、養育費についての取り決めを行う場合は、それぞれに手数料1,200円が必要です。
【関連記事】離婚調停とは|離婚調停の流れや申立方法や期間をわかりやすく解説
離婚裁判にかかる費用
離婚裁判も、裁判の申し立て手数料などが必要です。
①申し立て手数料
- 離婚を求める場合の手数料:1万3,000円+財産分与や養育費を求める場合は別途それぞれ1,200円(養育費は子ども一人につき1,200円)+慰謝料を請求する場合はおおよそ2万円
- 裁判所から通知を送るための切手代:5,000~6,000円
②実費
- 住民票などの取得費用:1,000円程度
- その他裁判に出席する交通費
モラハラ離婚の弁護士費用を抑えるには
モラハラ相手との離婚でかかる弁護士費用は、基本的に依頼する側の負担となります。
「相手のせいで離婚や弁護士の費用がかかるのに」と思う人もいるかもしれません。
離婚の弁護士費用は決して安価ではないため、費用が負担できないという人もいるでしょう。
ここでは、モラハラ相手との離婚でかかる弁護士費用を抑える方法を紹介します。
複数の弁護士から見積もりをもらう
弁護士費用を抑える方法の一つは、複数の弁護士から見積もりをもらって比較して決めることです。
前述したのはあくまでも相場です。
各法律事務所によって費用は異なるため、複数の弁護士から見積もりをもらえば、自分の予算にあった弁護士を見つけられる可能性があります。
なるべく早い段階で弁護士に依頼する
弁護士費用は、裁判に発展すると交渉の段階よりも高くなります。
そのため、交渉の段階で依頼をして離婚を成立させる方が、費用を抑えることができます。
バックアッププランのある弁護士に依頼する
当事務所のように、離婚のバックアッププラン(サポートプランなど)のある弁護士に依頼することで、費用を抑えることができます。
バックアッププランとは、弁護士のアドバイスをもらって自分で離婚の手続きを進めるプランです。
また、弁護士への相談料は、2回目以降30~60分で、5,000~1万円ほどかかりますが、バックアッププランがない場合は、自分で有料の相談料を支払って進めることも考えられます。
実際に弁護士に相談しながら進める中で、どうしても弁護士の力が必要だと感じたら依頼するのでもよいでしょう。
バックアッププランの詳細はこちらからご覧ください。
法テラスを利用する
「弁護士に依頼したいけど、費用を負担できない…」という人は、法テラスを利用する方法もあります。
法テラスとは、貧困などの理由で、法的サポートを受けられない人を対象に、国が設立した法律相談センターです。
トラブル解決のためのアドバイスから、法テラス経由で弁護士に依頼することもできます。
一定以下の収入などの条件を満たせば、弁護士費用立替制度(民事法律扶助)が利用でき、安い金額で依頼できるほか、弁護士費用の分割払いも可能です。
ただし、法テラス経由から依頼する場合は、弁護士の指名ができません。
離婚が得意な弁護士や、モラハラ相手と対峙した経験のない弁護士が選ばれることもあります。
モラハラ離婚で法テラスを利用した場合の弁護士費用
法テラスを利用した場合の弁護士費用は次の通りです。
①協議離婚
- 着手金:6万6,000~11万円
- 実費:2万円
- 計:8万6,000~13万円
②離婚調停
- 着手金:8万8,000~13万2,000円
- 実費:2万円
- 計:10万8,000~15万2,000円
③離婚裁判
- 着手金:23万1,000円
- 実費:3万5,000円
- 計:26万6,000円
また、報酬金は次の通りです。
- 離婚のみの成立:6万6,000~13万2,000円
- 慰謝料・養育費・婚姻費用:獲得金額に対して10%
いずれも、事案によって異なります。
収入が一定以下など基準を満たし、弁護士費用が負担できないという人は、法テラスで確認してみましょう。
モラハラ離婚で相手に請求できるお金
モラハラで離婚する場合は、費用がかかります。
一方で、モラハラ相手に対して請求できるお金もあります。
- 財産分与:結婚期間中に夫婦が築いた貯金などの財産は原則半分にして分けることができる。専業主婦でも請求が可能。
- 婚姻費用:別居をした場合の生活費は、収入が少ない側から収入が多い側に請求可能。
- 慰謝料:モラハラに対する精神的苦痛として、慰謝料を請求できる。相場は50~300万円程度だが証拠を押さえておく必要がある。
- 養育費:子どもが自立するまでに必要な子どもを育てるためのお金(生活費や教育費など)。養育費算定表というものに基づき、相手と自分の収入、子どもの年齢から算定される。
財産分与、婚姻費用は請求する権利があります。また、養育費には支払い義務があります。
そのため、着手金を用意できれば、報酬金は獲得した金額から支払うことができます。
モラハラ離婚で弁護士に依頼するメリット
離婚は、弁護士がいなくても進められますが、弁護士がいた方が良い結果を得られる可能性が高いです。
ここでは、モラハラ離婚で弁護士に依頼するメリットを解説します。
このメリットと費用の負担を考慮した上で、依頼するかどうか決めるのでも遅くはありません。
弁護士への相談や依頼をするメリットを理解しておきましょう。
弁護士が代理で交渉してくれるので相手に会わずに済む
離婚を弁護士に依頼する大きなメリットは、自分の代わりにモラハラ相手と離婚の交渉をしてくれる点です。
離婚をする際は、財産分与や親権、養育費などについて話し合いが必要です。
しかし、直接交渉をしようとしても、モラハラ相手では話し合いにならないケースがあります。
加えて、モラハラ相手と直接交渉するのは、精神的な負担も計り知れないほど大きなものです。
弁護士に依頼することで、交渉はすべて弁護士に任せられるので、相手と顔を合わさずに済みます。
離婚や慰謝料請求に必要な準備をして離婚できる
弁護士に相談や依頼をしておくことで、今後の見通しを立てて、必要な証拠を集めるなどしてスムーズに離婚することができます。
モラハラ相手と離婚をする場合、すんなり離婚に合意することは少ないため、事前準備が不可欠です。
相手が離婚を拒否したり、親権などの条件で争ったりしてくると、調停→不成立なら裁判の順で離婚を目指すことになります。
しかし、裁判で離婚を求めるとなると、裁判官に「相手がひどいモラハラをしてきて、生活するのは困難」であることを示す証拠が必要です。
証拠を押さえずに別居をしてしまうと、すぐに離婚を認めてもらうのが難しくなる可能性があります。
このように、弁護士がついていることで、先の手続きを踏まえた準備が進められます。
適切な条件で離婚ができる
モラハラ相手と離婚をする際は、相手が「お前は財産分与なんかもらえない」など誤った主張をしてくることがあります。
相手の主張を鵜吞みにしてしまうと、適切な条件で離婚できず、離婚後に生活が困窮するなどの恐れがあります。
しかし、法律の専門家である弁護士がついていれば、相手の主張に根拠がないことがわかり、適切な条件で離婚することができます。
モラハラ相手に別居中の生活費を請求できる
モラハラ相手と離婚をする場合は、まず相手と別居して、心身を安定させてから手続きをスタートさせます。
別居中の生活費は「婚姻費用」として収入が多い側に請求することができます。
弁護士に依頼をすることで、この婚姻費用の請求も一緒に行ってくれます。
相手が支払いに応じれば、生活を安定させながら離婚の手続きを進めることができます。
複雑な手続きや書類作成は任せられる
離婚調停や裁判に発展した場合は、複雑な手続きや書類の作成をしなければなりません。
しかし、弁護士に依頼すれば、こうした複雑な手続きや書類の作成もすべて任せることができます。
心強い味方になってくれる
閉鎖的な家庭内で、モラハラの被害に遭っていると、味方はいない状況です。
しかし、弁護士に依頼すれば、一人でモラハラ相手と戦う必要はありません。
弁護士は依頼者の問題が解決するまで、全力でサポートしてくれるため、心強い味方になってくれます。
モラハラ相手との交渉の窓口になるだけでなく、相手の荒唐無稽な主張に対してしっかり反論をしてくれます。
モラハラ離婚でよくある質問
モラハラ離婚は弁護士なしでできる?
モラハラ相手との離婚は、弁護士なしでもある程度進めることはできます。
直接交渉は難しくても、離婚調停であれば、調停委員が間に入ってくれます。
ただし、調停委員は離婚を決定することができません。調停が不成立となると、結局裁判をしなければなりません。
離婚の裁判にまで発展してしまうと、自分だけで進めるのは難しいことが考えられます。
【関連記事】離婚調停で弁護士は必要か|弁護士なしで調停を行う人の割合
モラハラ離婚で弁護士を選ぶコツは?
モラハラ相手との離婚で、弁護士を選ぶコツは次の通りです。
- 離婚の対応実績や経験があること
- 複数の弁護士に相談して比較すること
- 自分に合った弁護士を選ぶこと
モラハラ相手との離婚は、ただでさえ精神的な負担が大きく、時間がかかる可能性があります。
離婚の実績がある弁護士を選ぶことは前提ですが、その上で複数の弁護士に相談して、自分に合った弁護士を選ぶことが大切です。
モラハラで離婚で弁護士に無料相談する際のポイントは?
弁護士への相談時間は、おおよそ30~60分程度です。
そのため、次の点をまとめたり、準備したりしておくことで、効率よく相談できます。
- モラハラ相手との離婚で自分が希望する条件を決めておく
- モラハラの証拠があるなら持参する
- 質問があるならまとめておく
ある程度希望の条件を決めておくことで、それに向けてどういった準備が必要か、どの程度解決の見込みがあるのかアドバイスをもらうことができます。
また、離婚を認めてもらうには、モラハラの証拠が必要です。今ある証拠が有効かどうか確認してもらいましょう。
もし今ある証拠が弱いのであれば、どのような証拠を押さえればいいのか、助言してもらえます。
相談の際は、細かいモラハラや、どちらが悪いのかといった点を話すと、時間内に相談が終わりません。
「離婚に向けて何が知りたいのか」を意識して相談しましょう。
モラハラ相談を24時間無料でできる所はある?
モラハラの相談を受け付けている公的機関は、無料相談が可能ですが、稼働時間はおおよそ日中であることがほとんどです。
ただし、メールやチャットでお問い合わせが可能な所もあります。
モラハラの相談を無料でできる窓口は次の通りです。
- NPO法人よつば:モラハラも含め幅広い離婚の相談ができる。電話の他メール相談も可能。
- みんなの人権110番:ハラスメントやいじめなどの人権問題について電話相談可能。
- よりそいホットライン:DVから生活の悩みまで相談できる。電話、チャットなどで相談可能。
もし加害者から暴力などがある場合は、すぐに警察に通報して、身を守るようにしてください。
まとめ
モラハラ相手との離婚を、弁護士に依頼した場合の費用の相場は、おおよそ40~120万円ほどで、これは交渉なのか、調停、裁判なのかによっても左右されます。
弁護士費用は、各法律事務所によって異なるため、複数の法律事務所で見積もりを出してもらい、比較検討しましょう。
「弁護士費用は高いから依頼できない」と諦めてしまうのはまだ早いです。
当事務所のように、バックアッププランを活用して、弁護士のアドバイスのもと、離婚を進める方法もあります。
初回の相談料は無料であることも多いので、まずは無料相談を活用して、「離婚の難易度がどのくらいなのか」、それによって「弁護士に依頼する必要があるのか」などを相談してみましょう。