モラハラ妻に疲れた人がすべきこと|モラハラ妻の特徴と離婚の注意点
- 離婚の原因
モラハラと聞くと、夫から妻に対して行われると思われがちですが、実は妻からのモラハラに悩む男性は少なくありません。
2023年の司法統計によると、調停や裁判を申し立てた理由のうち(複数回答可)、精神的な虐待と回答した男性は約21%で、全体で2番目に多い結果でした。
男性の場合は、モラハラ被害に遭っていることを相談しにくく、一人で抱え込みやすい傾向があります。
この記事では妻からのモラハラに対して、次の点を解説します。
- モラハラ妻の特徴と妻のモラハラの原因
- 妻のモラハラをやめさせる方法
- 妻からのモラハラで離婚や別居をする際の注意点
モラハラ妻の特徴
モラハラ妻の特徴として、次の言動をする点が挙げられます。
- 侮辱や暴言などで人格否定をする
- 無視や物に当たり散らす、不機嫌になるなど威圧的な態度をとる
- 暴力をふるう
- 子どもなどに悪口を吹き込んで孤立させる
- 生活費を渡さずに経済的に困窮させる
- 夫に干渉して行動を制限する
- 常に自分が正しく過ちを認めない
- 外ではいい妻、いい母親のように振舞う
モラハラ妻から男性に向けられる侮辱や暴言は、「稼ぎが少ない」「役立たず」「男のくせに情けない」などが多いです。
無視をしたり、不機嫌になったり、物に当たり散らすなどの態度だけでなく、夫の食事だけ作らないなどの嫌がらせもあります。
妻特有のものとして、母親としての影響力を使い、子どもに悪口を吹き込んで、夫を家庭内で孤立させる悪質なケースもあります。
【関連記事】夫婦のモラハラとは|モラハラ夫(妻)の特徴とモラハラの対処法
妻がモラハラをする原因
妻がモラハラをするようになった原因にはさまざまなものが考えられます。
プライドが高くわがままな性格であるためら
モラハラ妻の典型例が、プライドが高くわがままな性格であるケースです。
プライドが高いと、些細なことでもバカにされたと感じて、自己保身のために相手を攻撃することがあります。
子どもの頃から可愛がられて、親がすべて与える環境であった場合、わがままに育ち、相手が何かをしてくれるのが当たり前だと考えていることもあります。
「自分は常に正しい」という意識があるため、ミスや失敗を責任転嫁し、過ちを認めて謝罪することができないだけでなく、相手に感謝する気持ちが乏しいことがあります。
被害者意識が強いから
被害者意識が強いと、不満を貯めやすく、モラハラをする原因になります。
例えば、夫婦の問題は双方が改善の努力をする必要があります。
しかし、被害者意識が強いと「自分はこんなに頑張ったのに、あなたは何もしない」と、夫を加害者に仕立て上げ、その罪悪感に付け込んで、支配しようとします。
こうした罪悪感に付け込んだ支配は、子どもに対して行われることもあります。
被害者意識が強い人は、我慢や忍耐を強いられる環境が背景にあり、自分で物事を改善するよりも、無意識で我慢や忍耐を選んでしまうと指摘されています。
そのために、不満を貯めやすく、相手を攻撃してしまう傾向があります。
子育てでストレスを感じているから
妻がモラハラをする原因として、子育てで強いストレスを感じていることも考えられます。
特に生まれたばかりの子どもには常に細心の注意を払わなければならず、夜泣きでゆっくり睡眠もとれません。
産後のホルモンバランスの乱れで、夫の些細な言動にイライラすることもあります。
近年は、女性にも収入や労働力が求められる時代となりましたが、加えて男性が家事や育児に参加するのが難しい社会構造も加わって、女性の負担が大きくなっている背景も考えられます。
さらに、労働、育児だけでなく、夫が家事もしないような状況であれば、強いストレスを感じている可能性が高いでしょう。
育児に非協力だったことを根に持っているから
妻がモラハラをする原因の一つとして、過去に育児に非協力であったことを根に持っているケースもあります。
近年は、男性も育休を取得するなど、育児に参加することが増えましたが、一昔前の男性の役割は、仕事で収入を得てくることが主でした。
育児に参加できなかった過去の出来事や、些細な事柄の積み重ねで、徐々にモラハラ行為が増えたことも考えられます。
夫が不倫をしていたから
同様に、過去に夫がした不倫を許せずに、モラハラ妻になることもあり得るでしょう。
自分にとっては軽い気持ちだったとしても、不倫は妻を傷つける行為です。
本当は離婚したいと思っても、子どもが小さいなどの理由でこれまで我慢してきた可能性もあります。
妻のモラハラをやめさせるには
妻のモラハラに耐え切れず離婚を考えても、子どもや養育費のことなどから、踏み切れない人もいるでしょう。
ここでは、妻のモラハラをやめさせる方法をいくつかご紹介します。
妻と話し合う
妻のモラハラをやめさせる方法の一つは、妻と話し合うことです。
妻がモラハラをする原因にはさまざまなものがあるため、その原因を取り除くことによって、モラハラをやめる可能性があります。
例えば、子育てに強いストレスを感じているのであれば、週末だけでも自分が家事や育児を担い、妻を労うなどが考えられます。
家事や育児をどのように進めていいかわからない場合は、手順や優先順位、どの程度やるのかなど夫婦で共有しておきましょう。
過去の不倫や、育児の不参加などからモラハラをしている場合は、今後どう改善するのか、今できることがあるか聞き、気持ちに寄り添うように努めることが大切です。
妻が感情的になり話し合いができないのでれば、後述する第三者の力を借りるのも一つの方法です。
夫婦関係調整調停を申し立てる
妻と話し合うのが難しい場合は、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(夫婦円満調停)」を申し立てる方法があります。
調停と聞くと離婚調停を連想するかもしれませんが、家庭裁判所では夫婦関係を調整するための調停を行うことも可能です。
調停では、男女1名ずつの調停委員を介して、夫婦で話し合いを行います。
夫婦はそれぞれ別室で、調停委員に対して自分の気持ちを伝えるため、夫には直接伝えにくかった妻の気持ちを知る機会になるかもしれません。
夫婦カウンセリングや専門病院に通う
モラハラの原因が、妻の性格や家庭環境、あるいは発達障害などの影響から生じているのであれば、夫婦カウンセリングや専門病院に通うのが現実的かもしれません。
性格や考え方の問題であればカウンセリングで、発達障害の特性によるものなのであれば投薬で、改善される可能性があります。
また、どういった対応が適切であるのかなども相談できます。
夫婦で改善が難しい場合は、専門家のサポートを受けましょう。
別居か離婚を検討する
妻との話し合いや調停、カウンセリングや受診などもできず、モラハラ行為が改善しない場合は、別居や離婚を検討するのも一つの方法です。
ただし、女性の場合、家事や育児を担っていることが多く、別居をしても夫の大切さを再確認する可能性は低いかもしれません。
むしろふっきれて離婚を希望することも考えられます。
また、別居すると、婚姻費用が発生し続けたり、親権で不利になったりするため、注意が必要です。
妻からのモラハラで離婚や別居をする際の注意点
モラハラ妻と離婚や別居をする場合、男性は特に注意すべき点が多くあります。
別居をすると婚姻費用がかかる
妻のモラハラに耐え切れずに別居をする場合、婚姻費用が発生することに留意する必要があります。
婚姻費用とは、夫婦や子どもが生活する上で必要な費用のことです。
別居する場合、収入が多い側が、収入の少ない側に、生活費を支払う義務があります(民法第760条)。
収入が少ない側が困窮しないようにするための法律であり、妻が請求を開始した段階から支払いが発生します。
別居期間が長引くほど、夫側の負担も大きくなります。
また、婚姻費用を支払わない、勝手に別居をするなどすると、民法で定められた夫婦の同居・協力・扶助義務に違反する「悪意の遺棄」として、慰謝料発生の原因となり得ます(民法第770条1項2号)。
「悪意の遺棄」は法律上の離婚原因として認められますが、この離婚原因を作った有責配偶者からの離婚は認めてもらえません。
そのため、別居をするにも婚姻費用についてや、有責配偶者とならないよう注意が必要です。
証拠がないと離婚が認められない可能性がある
モラハラ妻と離婚をしようと思っても、妻が離婚に応じない、もしくは離婚条件で揉めると、調停を経て裁判の流れで離婚や条件を決めることになります。
裁判に発展した場合は、法律上の離婚原因(法定離婚事由)に該当しなければ、離婚は認められません。
モラハラの場合、法定離婚事由の「婚姻を継続しがたい重大な事由」の一つに該当する可能性はありますが、そのためにはモラハラを立証する必要があります。
例えば、次のものがモラハラの証拠となります。
- モラハラ被害がわかる動画や録音のデータ
- モラハラ妻からとのLINEのやり取り
- 心療内科や精神科への通院履歴や医師の診断書
- モラハラの内容や具体的なエピソードを記した日記やメモ
- 第三者の証言や、公的機関・警察などへの相談履歴 など
妻が離婚に応じない場合、離婚までには時間がかかりますし、証拠を事前に集めておくことが重要です。
別居してからでは集めるのが難しい証拠があるため、別居の前に弁護士に相談するのがおすすめです。
【関連記事】モラハラで離婚する場合の慰謝料相場|慰謝料請求が難しい理由
親権を獲得するのが難しい可能性がある
男性が親権獲得に不利であることは、一般的に知られています。親権は、次の点を考慮して裁判所が決定します。
- 育児を主に担っているのはどちらなのか、監護実績があるのはどちらなのか
- 子どもの意思(子どもがある程度成長している場合)
- 兄弟と離れ離れにならないか
- 子どもにとってどちらの親が親権者になった方が幸せなのか
厳密に言えば、育児を主に担っているのが妻であるケースが多いため、女性が有利だと考えられます。
そのため、親権を得るために、日頃から子どもの面倒を見ることや、離婚後に子どもが困らない環境を築いておくことなどが重要です。
また、子どもを置いて別居をすると、親権獲得において不利になる恐れがあります。
いずれにせよ、弁護士に相談した上で、時間をかけて計画的に進めるのが望ましいです。
離婚後に養育費を支払う必要がある
離婚時に妻が親権を得た場合は、親権がない夫に養育費の支払い義務が生じます。
そのため、離婚をする際は、月々支払う養育費を確認しておく必要があります。
また、相手が親権を得るのであれば、面会交流についても、方法や頻度などをしっかりと取り決めておきましょう。
【関連記事】養育費とは|養育費の相場や支払い義務・取り決め方法や計算例を解説
男性にとって離婚は失うものが多い
モラハラ妻との離婚では、財産分与や養育費の金額で争ってくることが考えられます。
また、過去に不倫をしていると、相手が証拠を提示してきて、高額な慰謝料を請求してくることもあります。
このように、金銭的な損失や子どもと会える機会が減るなど、男性にとって離婚はデメリットが大きいと言えます。
自分が不利な立場になったり、不当や要求を受けたりしないように、弁護士を味方につけるのがおすすめです。
妻からのモラハラに疲れたときの相談窓口
妻からのモラハラに疲れた場合は、次の窓口で相談が可能です。
- DV相談+:DVの相談窓口だが、毎週日曜日15~21時は男性の無料電話相談を受け付けている。
- NPO法人よつば:モラハラも含め幅広い離婚の相談ができる。電話のほかメール相談も可能。
- みんなの人権110番:ハラスメントやいじめなどの人権問題について電話相談可能。
- よりそいホットライン:DVから生活の悩みまで相談できる。電話、チャットなどで相談可能。
- 配偶者暴力相談支援センターや男女共同参画センター:各自治体の相談窓口。相談機関の紹介からカウンセリング、一時保護などを行っている。
- 専門病院やカウンセリングルーム:モラハラで心身に不調がある場合は、精神科、心療内科、カウンセリングルームなどで相談可能。専門的なアドバイスを受けられる。
なお、自治体によっては、男性のための相談窓口を設けていることもあります。神奈川県の場合は、下記のリンクも参考にしてみてください。
まとめ
冒頭の統計で分かる通り、実は妻からのモラハラに苦しんでいる男性は多くいます。
妻からのモラハラは、どう対処すればいいのかわからず、周囲に相談しにくい問題であるため、一人で抱えがちです。
また、離婚をするにしても、男性は失うものが多いため、ためらっている人もいるでしょう。
妻からのモラハラで「離婚を迷っている」「選択肢の一つとして検討したい」という人は、弁護士に相談してから、判断するという選択肢もあります。お気軽にご相談ください。