離婚後に浮気相手と交際…慰謝料請求はできる?離婚後トラブルの対処法
- 離婚の原因

離婚後に元配偶者が、まだ浮気相手と交際を続けていると聞くと、複雑な気持ちになる人も多いのではないでしょうか。
たとえ離婚後の交際であっても、婚姻中に不貞行為があったと認められれば、慰謝料を請求できる可能性があります。
この記事では、離婚後に浮気相手と交際が発覚した場合の慰謝料請求の条件や相場、感情的なトラブルを防ぐために押さえておきたいポイントを解説します。
目次
離婚後に浮気相手と交際するのは問題になる?
離婚後に誰と交際するかは、原則として個人の自由です。
しかし、婚姻中に不貞行為があった場合には、離婚後でも問題になることがあります。
ここでは、離婚後の交際が法的に問題となる場合と、そうでない場合の違いを解説します。
離婚後の交際は自由だが、婚姻中の不貞が発覚すれば問題になる
離婚が成立した時点で、配偶者としての貞操義務(忠実義務)はなくなります。
そのため、離婚後に誰と交際するかは、原則として個人の自由です。
ただし、婚姻期間中に肉体関係があった場合は別です。
その行為は民法709条に定める不法行為(不貞行為)として扱われ、離婚後に発覚しても慰謝料請求の対象となる可能性があります。
つまり、形式上は離婚後の交際に見えても、実際に関係が始まった時期が法的判断の大きなポイントになります。
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離婚直後の交際は、婚姻中から関係があったとみなされることもある
離婚直後に元配偶者が新しい交際や再婚を始めた場合、婚姻中から親しい関係が続いていた証拠の一部とみなされることがあります。
交際を始めた時期や行動のタイミング、SNSでの投稿内容などから、婚姻期間中にすでに関係があったと判断されるケースがあるためです。
そのため、離婚の直後に元配偶者と浮気相手との関係が明らかになった場合は、婚姻中の不貞が発覚したものとして慰謝料請求につながることがあります。
浮気相手との再婚や同居にはトラブルのリスクがある
婚姻中に不貞行為があったと認められた場合には、元配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
加えて、再婚や同居をきっかけに、親族や子どもとの関係が悪化したり、周囲の誤解を招くなど、法的な問題以外のトラブルに発展することもあります。
こうしたトラブルを避けるためには、感情の整理や状況を冷静に見極めたうえで行動することが大切です。
離婚後に浮気が発覚した場合、慰謝料請求はできる?
婚姻期間中に不貞行為(肉体関係)があった場合には、離婚後でも慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、証拠の有無や時効の問題など、いくつかの条件を満たす必要があります。
ここでは、慰謝料請求が認められるケースや、注意すべきポイントを解説します。
婚姻中の浮気であれば、離婚後でも慰謝料請求できる
慰謝料請求の可否は、離婚の有無ではなく行為が婚姻中にあったかどうかで判断されます。
ここでいう浮気とは、肉体関係を伴う不貞行為のことです。
婚姻中とは、離婚届の受理(または判決確定)までの期間を含むため、別居中であっても、法的には婚姻関係が継続していれば、原則請求の対象になり得ます。
一方で、次のような場合は請求が認められにくいことがあります。
- 夫婦関係がすでに実質的に破綻していた
- 浮気相手側は、不倫をしていると知らなかった(既婚者だと思っていなかった)
- 行為が婚姻解消後に始まっていた
慰謝料の相手になり得るのは、元配偶者に限らず、状況によっては相手方(浮気相手)に対しても責任を問えるケースがあります。
離婚後に浮気が発覚したときから、慰謝料請求の時効が始まる
慰謝料請求には時効があり、不貞行為を知った日から3年が経過すると、原則として請求できなくなります(民法724条)。
この知った日とは、不貞の事実と加害者(元配偶者や浮気相手)の双方を特定できた時点を指します。
離婚後に初めて浮気の事実を知った場合には、その発覚の時点から時効がスタートします。
たとえば、離婚から2年後にSNSや共通の知人から、離婚前から関係があったと明らかになった場合でも、その時点を基準に3年間は請求を検討できます。
ただし、不貞行為が行われてから20年が経過すると、たとえ最近知った場合でも請求権は消滅します。
長期間が経つほど証拠が失われやすく、立証も難しくなるためです。
離婚後に発覚した浮気の慰謝料相場は150〜300万円前後
離婚後に発覚した浮気が婚姻中の不貞行為と認められた場合、慰謝料の相場はおおむね150〜300万円前後とされています。
ただし、金額は一律ではなく、浮気の内容や期間、夫婦関係への影響など、個別の事情によって増減します。
婚姻期間が長いほど、信頼関係の喪失による精神的苦痛が大きいと判断され、慰謝料が高くなる傾向があります。
加えて、子どもがいる場合や、浮気の発覚によって生活が大きく変わった場合も、損害として金額が上乗せされることがあります。
慰謝料は、どの程度の精神的損害を受けたかを基準に決められるため、具体的な事情を整理しておくことが大切です。
【関連記事】不貞による慰謝料請求のポイントとは?
離婚後に浮気が発覚し、証拠がない場合は弁護士に相談を
慰謝料を請求するには、婚姻中に不貞行為があったことを裏づける客観的な証拠が必要です。
そのため、証拠がないと慰謝料請求を進めるのは難しくなります。
加えて、無理に個人で証拠を集めようとすると、プライバシー侵害や違法な手段(盗聴・不正アクセスなど)に該当してしまうおそれがあります。
その場合、得られた情報が証拠として認められないどころか、自分が責任を問われるリスクもあります。
弁護士に相談すれば、どの証拠が有効か、あるいはどんな手段で合法的に立証できるかをアドバイスしてもらえます。
【関連記事】離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント
浮気相手と再婚・交際を続ける場合のリスク
離婚後であっても、その関係の持ち方によっては新たなトラブルが生じることがあります。
ここでは、元配偶者が浮気相手と関係を続けた場合に起こりやすい代表的なトラブルを解説します。
元配偶者から名誉毀損や精神的苦痛の請求を受けるおそれ
元配偶者が浮気相手と再婚・交際を続ける中で、発言やSNSの投稿内容が原因となり、名誉毀損や精神的苦痛の請求を受けるケースがあります。
周囲に誤解を与える内容や、元配偶者を侮辱するような表現は、感情的なものであっても損害賠償の対象となるおそれがあります。
元配偶者の行動によって再び精神的な負担を感じた場合には、記録を残したうえで、弁護士に相談し適切な対応を取ることが重要です。
冷静に事実を整理することで、二次的なトラブルを防ぎ、必要に応じて法的に権利を主張することができます。
子どもや親権問題に影響するケースもある
浮気相手と関係を続けることで、子どもの養育や親権の面で問題が生じることがあります。
元配偶者が浮気相手と同居を始めた結果、子どもが精神的に不安定になったり、面会交流を拒むようになるケースもあります。
家庭裁判所では、子どもの福祉を最優先に判断するため、元配偶者の行動が子どもに悪影響を与えていると認められれば、親権や面会条件が見直される可能性もあります。
子どもを持つ離婚後の家庭では、元配偶者の交際・再婚が単なるプライベートな問題ではなく、家庭全体に波及する問題として扱われる点を理解しておく必要があります。
【関連記事】離婚時の親権の決め方や決まる基準は?母親が負ける場合はある?
周囲からの誤解・偏見による社会的影響
離婚の原因となった相手と再び関係を続けることは、周囲からの誤解や偏見を招きやすい行動でもあります。
職場・学校・親族関係などで、不誠実・信頼できないといった評価を受けると、人間関係が悪化したり、社会的信用を失ったりするおそれもあります。
元配偶者が原因であなた自身の生活に影響が出ている場合は、記録を残しておき、後に法的措置を検討できるようにしておくと安心です。
離婚原因の蒸し返しによる新たなトラブル
離婚の原因が浮気だった場合、再び同じ相手と関係を続けることで、過去の問題が再燃することがあります。
親族や知人の間で、あのときの浮気はやはり事実だったと話題になり、当事者以外を巻き込む新たなトラブルに発展するケースもあります。
こうした問題を避けるためには、元配偶者やその交際相手の動向を必要以上に追わず、感情的に反応しない距離の取り方を意識することが大切です。
気持ちの整理がつかないときは、第三者を通じて必要な連絡だけを行うことで、再び争いが起きるのを防げます。
離婚後の浮気トラブルが発覚したときの対処法
元配偶者の浮気が離婚後に発覚したとき、感情のままに動くことで、かえって証拠を失ったり、新たなトラブルを招くこともあります。
ここでは、浮気トラブルが発覚したときの、具体的な手順と注意点を解説します。
感情的にSNSや周囲へ発信しない
浮気の発覚直後は、怒りや悲しみが強く、SNSや友人との会話で思わず元配偶者や浮気相手のことを話してしまう人もいます。
しかし、そのような発信は、名誉毀損やプライバシー侵害とみなされるおそれがあります。
たとえ事実であっても、相手を特定できる内容を投稿した場合には、自分が損害賠償を請求される立場になることもあります。
感情の整理がつかないうちは、SNSの利用を控え、誰かに話したい場合は、信頼できる第三者など守秘義務を持つ専門家に相談するのが安全です。
証拠を整理し、冷静に時系列を確認する
浮気の発覚後に慰謝料請求や話し合いを進めるうえで、いつ・どこで・どのような経緯で起きたことなのかを明確にすることが欠かせません。
LINEやメールのやり取り、領収書や写真など、一見関係なさそうな資料でも、日付や内容を照らし合わせることで、浮気の時期や行動のパターンが見えてくることがあります。
加えて、感情的なメッセージや怒りのやり取りも、後から証拠として扱われることがあるため、削除せずに残しておきましょう。
【関連記事】不倫の証拠を集める方法|裁判・慰謝料請求で有効な証拠と注意点
相手と直接交渉せず、第三者を介す
浮気の事実を知ったあと、感情の勢いで元配偶者や浮気相手に直接連絡を取るのは避けたほうがよいでしょう。
冷静に話し合うつもりでも、相手が防衛的になり、言った・言わないのトラブルや、逆に名誉毀損を主張されるリスクがあります。
話を進める際は、第三者を介して行うことが基本です。
家族や共通の知人だけではなく、弁護士などの専門家を通じてやり取りをすれば、やり取りの記録も正確に残り、法的な手続きにも発展しやすくなります。
感情で動く前に、弁護士と一緒に現実を整える
法的な判断や今後の生活に関わる選択を誤ると、後から取り返しのつかない不利益を受けることもあります。
弁護士は、慰謝料請求だけでなく、あなたがこれからどう動くべきかを一緒に整理してくれる存在です。
慰謝料請求の可否を法的根拠に基づいて判断してもらえる
離婚後の浮気トラブルでは、自分で慰謝料請求できるケースかどうかを正確に判断するのが難しいものです。
弁護士に相談すれば、法律上の要件(不貞行為の有無・時効・証拠の内容)に照らして請求の可否を明確に整理してもらえます。
独自に判断すると、請求の根拠が弱いまま交渉してしまい、かえって不利な立場になることもあります。
弁護士の助言を受けて、法的な筋道を立てて進めることが、確実な方法です。
証拠の有効性や時効リスクを整理してもらえる
弁護士は、持っている証拠がどの程度有効か、どの時点で時効が成立するかを明確に確認してくれます。
これにより、動くべきタイミングや、追加の証拠収集の必要性といった判断ができます。
自分では判断がつかない書面やデータも、法的視点から有効性を見極めてもらえるため、無駄のない準備と正確なスケジュール管理が可能になります。
相手方との交渉や請求書面を任せられる
慰謝料請求を進める際、元配偶者や相手と直接やり取りをすると、感情的な衝突が起きやすく、話し合いがこじれることがあります。
弁護士を通じて交渉や請求書面を作成してもらえば、法的に正しい手順を踏みつつ、感情的対立を避けて進めることができます。
加えて、交渉の経過ややり取りの内容はすべて記録として残るため、後の訴訟になった場合にも証拠として活用できます。
子ども・再婚など生活面も含めた総合的助言が得られる
弁護士は法律だけでなく、今後の生活設計や家庭への影響まで考慮したアドバイスを行います。
親権や養育費の見直し、再婚時の法的リスクなど、あなたが安心して次の生活を始めるための現実的なサポートを受けられます。
離婚後の浮気に関するよくある質問(Q&A)
離婚後に浮気が発覚しても、慰謝料を請求できますか?
婚姻期間中に肉体関係を伴う不貞行為があった場合は、離婚後でも慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、証拠の有無や時効の進行状況によっては請求が難しくなることもあります。
元配偶者が浮気相手と再婚した場合、慰謝料請求はできますか?
再婚そのものは法律上の自由ですが、婚姻中から関係が続いていたと立証できれば、離婚後であっても慰謝料請求が認められる可能性があります。
証拠が少ない場合はどうすればいい?
確実な証拠がない段階でも、日付の分かるメッセージやSNS投稿など、小さな情報を組み合わせて全体像を整理することで、不貞を立証できるケースがあります。
感情的に相手へ直接連絡しても大丈夫?
感情的な連絡はトラブルの原因です。
発言内容によっては名誉毀損や脅迫と受け取られるおそれもあるため、直接のやり取りは避け、弁護士などの第三者を通じて行うのが安心です。
まとめ
離婚後に元配偶者が浮気相手と関係を続けていると知ると、怒りや悔しさだけでなく、あの頃の判断は間違っていなかったのかと複雑な気持ちになる人も少なくありません。
しかし、婚姻中に不貞行為があったと認められれば、離婚後でも慰謝料を請求できる可能性があります。
そのためには、行為の時期・証拠の有無・時効の進行などを冷静に整理し、法的な観点から判断することが大切です。
弁護士に相談すれば、請求の可否や証拠の扱いだけでなく、今後の生活をどう整えていくかまで、一緒に考えることができます。
離婚後の浮気問題は、時間が経ってから明らかになることも多く、一人で抱え込むと判断を誤ってしまうこともあります。
冷静に現実を見つめ、必要なサポートを受けながら、次の生活へと安心して進んでいきましょう。

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