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性格の不一致で離婚した場合の慰謝料相場|請求できるケースと注意点

2026.01.16
  • 離婚の原因

性格の不一致を理由に離婚した場合、原則として慰謝料は発生しないのが実情です。

ただし、不貞行為やモラハラなど、性格の不一致とともに別の事情がある場合には、例外的に慰謝料が認められるケースもあります。

本記事では、性格の不一致による離婚における慰謝料の相場を中心に、例外的に請求が認められるケースや金額の目安、判断を誤りやすい点について解説します。

性格の不一致による離婚で慰謝料の相場はいくら?

性格の不一致を理由に離婚を考えたとき、慰謝料を請求できるのか気になる方は少なくありません。

ここでは、性格の不一致による離婚で慰謝料が問題になる場面と、相場の基本的な考え方を解説します。

原則として慰謝料の相場は0円

性格の不一致を理由に離婚した場合、原則として慰謝料は発生しません。

これは、性格や価値観の違いそのものが、法律上の不法行為(民法709条)とは評価されないためです。

不法行為とは、相手方の故意や過失によって権利や法律上保護される利益が侵害された場合を指します。

夫婦関係がうまくいかなくなった背景に、不満や精神的な負担があったとしても、それだけでは不法行為に当たらず、慰謝料請求の対象にはなりません。

このように、性格の不一致のみを理由とする離婚では、慰謝料の相場は0円と考えられるのが、実務上の基本的な考え方です。

【関連記事】離婚の慰謝料の相場|請求できるケースや証拠・年収で増額される?

性格の不一致は裁判でも慰謝料請求が認められにくい

裁判においても、性格の不一致そのものを理由とした慰謝料請求は、認められにくい傾向にあります。

裁判では、不貞行為や暴力、継続的なモラハラなど、相手方に違法性のある行為があったかどうかが重視されるためです。

単に、考え方が合わないや、価値観が違うといった理由だけでは、精神的損害との因果関係が認められにくく、慰謝料請求は退けられるケースが多く見られます民法770条1項)。

この点からも、性格の不一致による離婚では、慰謝料が発生しないのが原則であることが確認できます。

一方的な性格の不一致と慰謝料相場の考え方

性格の不一致を理由とする離婚では、一方的に離婚を切り出された場合、慰謝料の相場は変わるのかという点が問題になります。

ここでは、一方的な離婚という事情が、慰謝料の判断にどのように影響するのかを解説します。

一方的に離婚を切り出されても相場は変わらない

相手から一方的に離婚を切り出された場合であっても、慰謝料の相場そのものが上がるわけではありません。

慰謝料の金額は、一方的に離婚を切り出したかどうかではなく、不法行為の有無や内容を基準に判断されるためです。

そのため、突然離婚を求められた場合や、話し合いの余地がないまま別居に至った場合であっても、性格の不一致のみが理由であれば、慰謝料の相場は原則として0円のままと考えられます。

一方的=慰謝料が発生するわけではない

離婚が一方的に切り出した場合、「相手に責任があるのだから慰謝料が発生するはずだ」と考えてしまう方も少なくありません。

しかし、離婚を申し出た側であることと、慰謝料の支払義務が生じることは、法律上は別の問題として扱われます。

離婚の主導権や話し合いの姿勢は、感情面では重要な要素ですが、それだけで慰謝料が認められるわけではありません。

なお、法的には慰謝料が発生しないケースであっても、離婚を円滑に進めるため、話し合いの中で解決金のような形で金銭が支払われることがあります。

問題になるのは理由ではなく行為

慰謝料請求において重視されるのは、性格の不一致という離婚理由そのものではなく、離婚に至る過程で相手が取った具体的な行為です。

離婚の理由よりも、その過程で権利侵害と評価できる行為があったかどうかが問われます。

たとえば、正当な理由なく生活費を支払わなかった、長期間にわたって連絡を断った、精神的に追い詰める言動を繰り返したといった事情があれば、慰謝料請求が問題になることがあります。

【関連記事】離婚できる5つの条件|必要な別居期間や書面化までの流れ

性格の不一致でも慰謝料が発生するケースと相場

性格の不一致を理由とする離婚では、原則として慰謝料は発生しません。

しかし、離婚の原因が性格の不一致だけではなく、不貞行為や暴力などの違法性を伴う事情がある場合には、例外的に慰謝料が認められることがあります。

ここでは、性格の不一致と併せて問題となりやすい代表的なケースについて、慰謝料の相場感と考え方を解説します。

不貞行為がある場合の慰謝料相場:100万円〜300万円程度

性格の不一致による離婚であっても、配偶者に不貞行為があった場合には、慰謝料請求が認められます。

この場合、慰謝料の対象となるのは性格の不一致そのものではなく、不貞行為によって受けた精神的苦痛です。

慰謝料の相場は、婚姻期間の長さ、不貞行為の期間や頻度、未成年の子どもの有無などによって変動しますが、100万円〜300万円程度が一つの目安とされます。

もっとも、不貞行為が一度きりである場合や、婚姻期間が短い場合には、これより低額にとどまるケースもあります。

【関連記事】不貞行為とはどこからどこまで?慰謝料や証拠を簡単に解説

モラハラ・暴力がある場合の慰謝料相場:100万円〜300万円程度

配偶者からの継続的なモラハラや暴力が確認できる場合には、性格の不一致による離婚であっても、慰謝料請求が認められる可能性があります。

この場合も、慰謝料の根拠となるのは性格の不一致ではなく、人格権を侵害する違法な行為です。

慰謝料の金額は、行為の内容や期間、被害の程度などによって判断され、100万円〜300万円程度が相場となることが多く見られます。

【関連記事】モラハラで離婚する場合の慰謝料相場|慰謝料請求が難しい理由

診断書や録音、第三者の証言など、客観的な証拠があるかどうかも、金額や認定に大きく影響します。

悪意の遺棄が認められる場合の慰謝料相場:50万円〜200万円程度

正当な理由なく別居を開始したり、生活費の支払いを一方的に止めたりする行為は、悪意の遺棄と評価されることがあります。

悪意の遺棄とは、夫婦として負っている同居義務・協力義務・扶助義務を、正当な理由なく放棄する行為を指します(民法770条1項2号)。

悪意の遺棄を理由とする慰謝料の相場は、50万円〜200万円程度が目安とされることが一般的です。

ただし、別居に至った経緯や生活状況、支払いが止まった期間、相手方の生活への影響の程度などによって、金額には幅が生じます。

【関連記事】悪意の遺棄とは|慰謝料の相場と具体例は?証明方法はある?

性格の不一致で離婚する場合の解決金と慰謝料の違いや相場は?

性格の不一致を理由とする離婚では、慰謝料と解決金が混同されやすく、金銭の位置づけが分かりにくくなることがあります。しかし、慰謝料と解決金は、法的な性質も支払われる理由も異なるものです。

ここでは、性格の不一致による離婚において、慰謝料と解決金がそれぞれどのように扱われるのかを整理し、実務上の金額の目安について解説します。

慰謝料は不法行為に対する法的な賠償

慰謝料とは、不貞行為や暴力など、相手方の不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に支払われる損害賠償です(民法709条)。

そのため、慰謝料が認められるかどうかは、相手の行為に法的な違法性があるかどうかを基準に判断されます。

性格の不一致そのものは不法行為とは評価されないため、これだけを理由に慰謝料請求が認められることは、原則としてありません。

解決金は紛争を終わらせるための合意金

解決金とは、離婚に関する紛争を早期に終わらせるため、当事者同士の合意によって支払われる金銭です。

慰謝料のように、法律上の支払義務が認められているものではなく、あくまで話し合いの結果として取り決められます。

そのため、解決金は損害の賠償という性質ではなく、離婚条件をまとめるための調整金として支払われるのが一般的です。

法的な違法性の有無にかかわらず、双方が合意すれば成立する点が、慰謝料との大きな違いです。

慰謝料は認められにくいが、解決金として支払われる場合はある

性格の不一致を理由とする離婚では、慰謝料が法的に認められにくいケースが多く見られます。

しかし、離婚そのものを円滑に進める目的で、解決金が支払われることは珍しくありません。

たとえば、早期に離婚を成立させたい場合や、調停や裁判に発展することを避けたい場合などに、解決金が提示されるケースです。

解決金の目安は30万円〜100万円程度が多いが、ケースごとに異なる

解決金には、慰謝料のような明確な相場があるわけではありません。

ただし、性格の不一致を理由とする離婚では、30万円〜100万円程度が一つの目安として提示されるケースが多く見られます。

もっとも、解決金の金額は、婚姻期間や当事者の収入状況、離婚に至る経緯、交渉の進み方などによって大きく左右されます

そのため、あくまで目安として捉え、具体的な金額は個別の事情を踏まえて判断される点に注意が必要です。

性格の不一致で離婚する時の財産分与・養育費の違い

性格の不一致を理由に離婚する場合でも、財産分与や養育費については慰謝料や解決金とは別途で整理が必要です。

ここでは、財産分与と養育費それぞれの基本的な考え方と、その違いを整理します。

財産分与は離婚理由にかかわらず、原則2分の1

財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産を公平に分けるための制度です(民法768条)。

そのため、離婚の原因が性格の不一致であるかどうかにかかわらず、原則として2分の1ずつ分けるという考え方が採られます。

どちらに離婚の責任があるか、一方的に離婚を切り出されたかといった事情は、財産分与の割合に直ちに影響するものではありません。

預貯金や不動産、退職金など、婚姻中に形成された財産が対象となる点を事前に押さえておく必要があります。

【関連記事】財産分与の進め方がわからない

養育費は慰謝料とは別に、子どもの扶養義務として支払う

養育費は、離婚後に子どもを養育するために必要な費用を分担するものであり、子どもに対する扶養義務に基づいて支払われます。

そのため、慰謝料が発生しない場合であっても、養育費の支払い義務がなくなるわけではありません。

養育費の金額は、子どもの人数や年齢、双方の収入などをもとに算定されます。

【関連記事】養育費とは|養育費の相場や支払い義務・取り決め方法や計算例を解説

性格の不一致で慰謝料請求をして後悔しやすいケース

性格の不一致による離婚では、慰謝料請求を検討する方も少なくありません。

しかし、進め方や前提の理解を誤ると、結果として後悔につながってしまうケースも見られます。

ここでは、性格の不一致による離婚で、慰謝料請求を行う際に注意したい典型的なケースを整理します。

相場を誤解したまま請求した場合

性格の不一致を理由とする離婚では、原則として慰謝料は発生しません。

この前提を理解しないまま高額な慰謝料を想定して請求してしまうと、相手との認識に大きなズレが生じ、話し合いがこじれる原因になります。

とくに、納得できないといった事情から、慰謝料が当然に認められると考えてしまうと、交渉が長期化しやすくなります。

性格の不一致による離婚では、どの程度の請求が現実的なのか、相場感を正しく把握することが重要です

証拠がなく感情だけで進めた場合

慰謝料請求が認められるかどうかは、請求額の大小以前に、相手に不法行為があったことを客観的に示せるかどうかにかかっています。

しかし、証拠が十分にないまま請求を進めてしまうと、主張自体が認められないケースも少なくありません。

たとえば、モラハラや悪意の遺棄を理由に慰謝料を求める場合でも、具体的な事実関係を裏付ける資料や記録がなければ、請求は難しくなります。

慰謝料の可否は感情ではなく、証拠に基づいて判断される点を理解しておく必要があります。

弁護士に相談せず、見通しが立たないまま進めた場合

慰謝料請求は、法的な判断が絡むため、事前の見通しを立てることが重要です。

弁護士に相談せずに進めてしまうと、請求が難しいケースであることに後から気づき、時間や精神的負担だけが増えてしまうこともあります。

早い段階で弁護士に相談することで、慰謝料請求が可能かどうか、解決金として整理した方がよいかなど、現実的な選択肢を把握できます。

結果として、不要な対立や後悔を避けることにつながります。

性格の不一致による離婚と慰謝料相場に関連するよくある質問

性格の不一致だけで慰謝料100万円を請求することは可能?

原則、性格の不一致だけを理由に慰謝料100万円を請求することは難しいと考えられます。
性格や価値観の違い自体は、慰謝料請求の根拠にならないからです。

慰謝料が認められない場合でも、解決金を受け取れることはある?

解決金は、慰謝料とは異なり、不法行為の有無を前提とするものではないため、認められるケースもあります。

離婚調停でも慰謝料の相場は変わる?

離婚調停であっても、慰謝料の相場そのものが大きく変わるわけではありません。
ただし、調停では当事者の合意が重視されるため、慰謝料ではなく解決金として金銭が整理されるケースもあります。

弁護士に相談すると慰謝料の相場は変わる?

弁護士に相談したからといって、慰謝料の相場自体が上がるわけではありません。
しかし、弁護士に相談することで、請求が可能かどうかの見極めや、慰謝料ではなく解決金として整理した方がよいかなど、現実的な方針を立てやすくなります。

まとめ

性格の不一致を理由に離婚した場合、原則として慰謝料は発生せず、相場は0円と考えられるのが実務上の基本です。

ただし、不貞行為やモラハラ、悪意の遺棄など、性格の不一致とは別に相手の違法な行為が認められる場合には、例外的に慰謝料が問題になることがあります。

加えて、法的には慰謝料が認められにくいケースであっても、離婚を円滑に進める目的で、解決金として金銭が支払われることがあります。

さらに性格の不一致による離婚では、慰謝料・解決金・財産分与・養育費がそれぞれ異なる基準で判断されるため、どの請求が現実的なのかを整理することが重要です。

ご自身のケースで慰謝料や解決金が問題になるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれることも少なくありません。

判断に迷う場合や、進め方に不安がある場合には、早めに弁護士へ相談することで、無理のない解決方法を検討しやすくなります。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)