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離婚後でも慰謝料請求できる!証拠がない時や弁護士費用の相場を解説

2025.06.13
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慰謝料

離婚後でも「やっぱり慰謝料を請求したい」と考える人は少なくないでしょう。離婚後でも、条件を満たしていれば慰謝料請求は可能です。

ただし、不法行為の証拠や時効、請求する際の交渉や裁判など注意すべき点も多くあります。

この記事では、離婚後に慰謝料請求ができる条件や必要な証拠、交渉方法や弁護士に依頼した場合の費用などについて解説します。

離婚後でも慰謝料を請求できる条件

離婚後であっても、以下の条件を満たせば相手に慰謝料を請求できます。

  • 相手に離婚原因や不法行為があった
  • 離婚時に慰謝料の取り決めを行っていない
  • 慰謝料請求の時効が経過していない

以下では、離婚後でも慰謝料請求できる条件について解説します。

相手に離婚原因や不法行為があった

離婚後に慰謝料を請求するには、相手に離婚原因や不法行為があったことが前提となります。

離婚原因や不法行為とは、以下のような行為が該当します。

不倫 他の異性と性的関係があること
DV・モラハラ 暴力や精神的な虐待
悪意の遺棄 夫婦の協力義務に反する行為(理由もない一方的な別居、生活費を渡さないなど)

相手にこのような行為があり、離婚した場合は、精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。

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離婚時に慰謝料の取り決めを行っていない

離婚時に、慰謝料について取り決めを行い、すでに支払いを受けている場合は、慰謝料を請求できません。

また、離婚時の離婚協議書に、以下のような内容(清算条項)が盛り込まれている場合も、慰謝料請求が難しいです。

  • 離婚に関する債権債務がないことをお互いに確認する
  • すべて解決したものとし、今後は相互に何らの請求をしないと約束する など

清算条項は、離婚に関することで今後お互いに請求を行わないと約束する項目です。そのため、慰謝料の取り決めや離婚協議書に清算条項がなければ、離婚後でも慰謝料が請求できる可能性があります。

慰謝料請求の時効が経過していない

離婚後に慰謝料請求ができる条件の3つ目は、慰謝料の請求権の時効を迎えていないことです。

離婚慰謝料は、配偶者の不法行為により離婚に至った精神的苦痛に対する慰謝料です。民法上の時効期間が適用されます(民法第724条)。

  • 損害及び加害者を知った時から3年
  • 不法行為の時から20年

加害者が配偶者となるため、離婚慰謝料の時効は、離婚が成立したときから3年です。

また、浮気相手に対する慰謝料請求も不貞行為から3年ですが、浮気相手が特定できない場合は、不法行為のときから20年は時効となりません

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離婚後の慰謝料請求は証拠なしでもできる?

離婚後の慰謝料請求でも証拠は必要

離婚後に慰謝料請求をしようと思っても、証拠が残っていないことも少なくありません。しかし、離婚後の慰謝料請求でも、基本的には証拠が必要となります。

元配偶者が不法行為を認めなければ、任意で支払ってもらうことは難しくなります。

その場合は、裁判で慰謝料を請求することになりますが、裁判では証拠をもとに不法行為の有無や慰謝料の金額が判断されます。

たとえば、「夫が不倫していた」「暴力を受けた」などと主張しても、それを裏付ける証拠がなければ、裁判で認められるのは困難です。

そのため、慰謝料請求を検討している場合は、万が一裁判になったときのために、証拠をしっかり集めておくことが重要です。

不貞行為の証拠となるもの

不貞行為(不倫)は、元配偶者が自由意思で他の異性と肉体関係を持ったことがわかる、以下のような証拠が必要です。

  • 性交渉や裸でいる状態がわかる写真・動画・録音データ・ドラレコの記録
  • ラブホテルに出入りしている写真や動画
  • 宿泊や性行為をしたとわかるLINE・メール・SNSのやり取り
  • 不倫を認めた念書や録音記録
  • 探偵の調査報告書 など

過去にこのような証拠を押さえており、かつ今現在も不倫しているのであれば、探偵に依頼して証拠を集めることもできます。

自分で集めた証拠が有効かどうかについても弁護士に相談して判断してもらうとよいでしょう。

【関連記事】
不貞行為とはどこからどこまで?慰謝料や証拠を簡単に解説

DV・モラハラの証拠となるもの

DV・モラハラの証拠となるものは、相手が暴力や暴言を吐いていることがわかる以下のような記録が必要です。

  • DVやモラハラ被害を受けているときの音声・動画・写真
  • DVの場合はケガした部位や壊れた物の写真
  • 医師の診断書や通院記録
  • DVやモラハラの内容を記録した日記やメモ
  • モラハラとわかるLINEのやり取り
  • 警察や公的機関への相談の記録など

過去にこのような記録を残していた場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、DVやモラハラ相手との交渉は危険であるため、弁護士に依頼して進めるのが安全です。

【関連記事】
モラハラで離婚する場合の慰謝料相場|慰謝料請求が難しい理由
DVによる離婚の慰謝料相場|DVの証拠がない場合は?

悪意の遺棄で証拠となるもの

悪意の遺棄とは、正当な理由なく配偶者としての義務(生活費の負担や同居など)を果たさないことをいいます。

たとえば、生活費を渡さず別居を続けていたケースでは、通帳や送金履歴、住民票、生活費を請求したLINEなどが証拠となります。

実際に義務を果たしていなかったことを、客観的に示すことが重要です。悪意の遺棄やその証拠については、下記の記事も参考にしてみてください。

【関連記事】
悪意の遺棄とは|慰謝料の相場と具体例は?証明方法はある?

離婚後に慰謝料を請求する方法

話し合いで支払いを求める

離婚後に慰謝料請求をする方法で手軽なのは、相手と話し合い、支払いを求めることです。

ただし、証拠がなければ相手が非を認めず、話し合いが平行線になることもあります。

感情的にならず冷静に交渉を進めることが必要なため、信頼できる第三者や弁護士に同席してもらうのが望ましいです。

また、相手がDVやモラハラの加害者である場合や、直接交渉することに抵抗がある場合は、弁護士に交渉してもらうか、内容証明郵便で請求を行う方法もあります。

弁護士に依頼することで、あなたの代理で交渉を行ってくれるため、精神的な負担が軽減できるほか、相手が支払いに応じる可能性があります

【関連記事】
弁護士を立てずに自分で慰謝料請求をする方法|請求の注意点と流れ

慰謝料請求調停を申し立てる

話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に「慰謝料請求調停」を申し立てることができます。

調停では、調停委員を交えて中立的な立場で話し合いを進めることができ、当事者同士だけでは難しい合意も得られやすくなります。

たとえば、「不倫は認めるが金額に納得できない」といった場合でも、調停を通じて現実的な金額に落ち着くことがあります。

調停のメリットとしては、費用が比較的かからず自分で手続きすることも可能な点が挙げられます。

一方で、相手が最後まで合意しなければ不成立となり、結局は裁判に進まざるを得ないというデメリットもあります。

慰謝料請求訴訟を起こす

調停でも解決しない場合は、民事訴訟を起こして慰謝料を請求する方法があります。裁判では、提出された証拠に基づいて慰謝料の支払いが命じられるかどうかが判断されます。

たとえば、不倫や暴力などの証拠がそろっていれば、裁判所が一定額の慰謝料を認める可能性があります。ただし、訴訟は時間と労力がかかるため、慎重に検討する必要があります。

また、ここまでくると法律の知識や手続きが複雑になるため、弁護士に依頼した方がよいでしょう。

離婚後の慰謝料請求は弁護士に依頼した方がよい?

離婚後に慰謝料を請求する場合、自分で対応することも可能ですが、弁護士に依頼することで多くのメリットがあります。

証拠集めのアドバイスや手続き代行まで任せられる

弁護士に依頼すれば、慰謝料請求に必要な証拠のアドバイスから、相手との交渉、調停や訴訟の手続きまで一括で任せることができます。

たとえば、自分が過去集めた証拠の有効性や、今どのような証拠が必要なのかアドバイスが受けられます

また、裁判による請求の場合は、申し立てや書類作成、裁判への出席など請求から回収まですべて対応してもらえます。

相手の反論に対しても、法的根拠に基づいた主張を組み立ててもらえるため安心です。

裁判の負担や費用を避けたい場合は、交渉の段階から弁護士に依頼することも一つの方法です。

弁護士費用の相場は20~30万円+報酬金10~20%

離婚後の慰謝料請求を弁護士に依頼した場合の費用の相場は以下のとおりです。

  • 着手金:20~30万円
  • 報酬金:獲得した慰謝料の10~20%

弁護士費用には、依頼時に支払う着手金、解決時に支払う報酬金のほかに、交通費などの実費や日当が含まれます。また、裁判で慰謝料請求した場合、着手金は30~60万円程度が相場となります。

工夫することで費用を抑えられることも

弁護士費用は決して安価ではありません。しかし、以下のような工夫をすることで費用を抑えられます。

  • 分割払いや完全成功報酬制の弁護士に依頼する
  • 収入が一定以下など条件を満たす場合は、法テラスを利用して費用を抑える
  • 有料相談やバックアッププランを活用して自分で対応する
  • 複数の弁護士を比較して予算に合った弁護士に依頼する など

また、弁護士保険に加入している場合は、自己負担を抑えて依頼することもできます。

当事務所でも、以下のようなプランを設けています。

  • 不倫慰謝料請求プラン:11万円~
  • 内容証明の送付:5万円~
  • バックアッププラン:3ヶ月7万円

※料金が変更となる場合があるため、事前にご相談ください。

法律事務所によっては、分割払いに応じてもらえるケースもありますし、初回相談を無料で行っているところも少なくありません

まずは相談することで、慰謝料の見込み額、必要な証拠、手続きの流れ、かかる費用や期間の見通しについて具体的なアドバイスが受けられます。お悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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離婚にかかる弁護士費用はいくら?相場や内訳・安く抑えるポイント

離婚後慰謝料に関するよくある質問

離婚後に慰謝料を請求できる時効や期間は?

離婚後に慰謝料を請求できる期間は、離婚から3年です。

離婚後に浮気が発覚した場合も慰謝料請求できる?

離婚後に配偶者の浮気が判明した場合でも、その浮気が結婚期間から継続していた場合は、慰謝料請求が可能です。

たとえば、離婚後に元夫のスマホから不倫の証拠が見つかった場合、不倫相手が特定でき、時効が経過していなければ請求できます。

このような場合は不貞行為の立証やいつから浮気をしていたのかが重要となるため、弁護士に相談して進めるようにした方がよいでしょう。

離婚後に慰謝料請求されない方法はある?

離婚しても、以下のケースでは慰謝料請求ができません。

  • 自分に離婚原因や不法行為がない
  • 離婚協議書に定められた慰謝料をすでに支払っている
  • 離婚協議書に清算条項があり金銭的な問題が解決している
  • 離婚から3年以上経過している

ただし、これらに該当せず、相手が不法行為の証拠を持っている場合は、慰謝料の請求を受けるかもしれません。

また、離婚後に発覚した不倫についても慰謝料請求を受ける可能性があります。

離婚後に慰謝料を請求された場合はどうしたらよい?

離婚後に慰謝料請求をされた場合は、まずは本当に慰謝料を支払う必要があるのか確認することが大切です。

場合によっては、不法行為がなかったり、時効が経過していたりすることもあります。

ただし、請求を受けた場合は、何かしらのリアクションをとらないと裁判に発展することもあるため、まずは弁護士に適切な対処を相談してください。

不法行為の事実があり、慰謝料の条件を満たしている場合は、弁護士に依頼することで減額交渉をする方法もあります。

【関連記事】
不倫・浮気で慰謝料請求されたらすべきこと|お金がない場合の対処法

まとめ

離婚後であっても、条件を満たせば慰謝料を請求できます。ただし、離婚時の取り決めや証拠の有無や時効など注意が必要です。

特に離婚後の慰謝料請求でも証拠が重要となります。自分で交渉を行っても支払いに応じてもらえないこともあります。

そのため、弁護士に相談しながら進めるのが望ましいです。

弁護士に依頼することで、有効な証拠収集から、裁判前の交渉、裁判の手続きまで任せることができ、相手の反論に対して法的な主張が可能です。精神的な負担も軽減できるでしょう。

工夫次第で費用を抑えることもできるため、まずは無料相談を活用して、慰謝料請求の見通しや有効な証拠について相談しましょう。

なかま法律事務所では、これまで数多くの慰謝料請求に携わってきました。粘り強い交渉が強みです。費用も含めて相談可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)