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不倫されたら裁判できる?慰謝料を請求したいときの進め方と注意点

2025.07.10
  • 慰謝料
裁判所の画像

配偶者の不倫が発覚したとき、「慰謝料を請求したい」「裁判でけじめをつけたい」と考える方も少なくありません。不倫は、精神的な苦痛だけでなく、夫婦関係や家庭生活にも深刻な影響を与える問題です。

ただし、すべての不倫問題が裁判に発展するわけではありません。相手が非を認めて話し合いに応じるケースもあれば、慰謝料の金額や事実関係でもめて、裁判で争うことになるケースもあります。

不倫裁判には、証拠の有無や準備すべき費用、リスクなども関わってくるため、事前に基本的な流れを理解しておくことが大切です。

この記事では、不倫裁判とはどういうものか、どのようなときに裁判になるのかといった基本的なポイントをわかりやすく解説します。

不倫裁判とは

不倫裁判とは、配偶者または不倫相手に対して慰謝料の支払いを求めるために起こす民事訴訟のことです。

不倫は「不貞行為」として、民法上の不法行為に該当します。婚姻関係にあるにもかかわらず、配偶者以外の異性と性的関係を持つ行為は、もう一方の配偶者の権利を侵害するものとして、損害賠償(慰謝料)請求の対象となります。

不倫の慰謝料請求は、まずは話し合いや内容証明の送付などで解決を目指すのが一般的です。しかし、相手が応じない場合や争いが激しい場合には、裁判に発展することがあります。

裁判になれば、慰謝料の有無や金額を裁判所が最終的に判断します。そのため、話し合いよりも明確な結論が得られる一方、証拠の準備や費用・時間の負担も伴います。

不倫の慰謝料請求で裁判になるケース

不倫の慰謝料請求は、まず話し合いや内容証明の送付といった任意の方法で進めるのが一般的です。しかし、相手の対応によっては話し合いでの解決が難しくなり、裁判に発展することもあります。

ここでは、どのような場合に不倫の慰謝料請求が裁判に至るのか、主なケースを紹介します。

相手が話し合いに応じない

内容証明を送っても無視されたり、連絡が取れなかったりする場合は、裁判での請求を検討する必要があります。

慰謝料請求は、基本的に当事者同士の話し合いで合意が得られなければ、任意の支払いは期待できません。

とくに、不倫した側が責任を認めようとしない場合や、連絡そのものを絶ってしまうような状況では、交渉の糸口さえ見つからないこともあります。こうした場合には、裁判という公的な手段に頼り、法的に慰謝料の支払いを求めることが現実的な対応になります。

慰謝料の金額に合意ができない

不倫の慰謝料は、当事者間で金額を決めることができますが、たとえば「100万円請求したいが、相手は10万円しか支払うつもりがない」といった場合、双方の認識の差が大きく、話し合いでは解決が難しくなります。

このようなときは、裁判所に適正な金額を判断してもらう必要があります。

【関連記事】
離婚の慰謝料の相場|請求できるケースや証拠・年収で増額される?

相手が不貞行為を認めない

そもそも相手が「不倫はしていない」と否定している場合、話し合いで慰謝料を支払ってもらうのは非常に難しいです。

慰謝料の支払いを求めるには、裁判所で不貞行為があったことを証拠に基づいて立証する必要があります。

不倫相手が関係そのものを完全に否定しているようなケースでは、いくら交渉を重ねても平行線のまま終わってしまう可能性があります。

「関係はあったが肉体関係はない」といった主張をされることもあり、証拠がなければ不貞行為と認定されるのは困難です。

こうした場合は、メールやLINE、写真、探偵による報告書などの証拠をそろえたうえで、裁判を通じて慰謝料を請求するのが現実的な手段といえるでしょう。

【関連記事】
不貞行為の立証は難しい?|立証のための要件と証拠集めのポイント

不倫裁判に負けるとどうなる?慰謝料はいくら払う?

不倫の慰謝料をめぐる裁判では、請求する側と請求される側のどちらにもリスクがあります。証拠や主張が認められなければ請求が退けられる可能性や、反対に不貞行為が認定されれば高額な慰謝料の支払いを命じられることもあります。

ここでは、不倫裁判で「負けた」ときに起こりうる結果や、慰謝料の相場について整理します。

請求側:慰謝料が減額・認められない

慰謝料を請求する側は、相手の不貞行為を証拠に基づいて立証しなければいけません。証拠が不十分な場合や、夫婦関係がすでに破綻していたと認定された場合には、慰謝料が大幅に減額されたり、まったく認められないこともあります。

また、請求額が高すぎると「社会通念上、妥当な金額とは言えない」として減額されることもあります。

請求された側:慰謝料の支払い命令が下される

裁判で不貞行為が認定された場合、不倫をした配偶者や不倫相手には、慰謝料の支払いを命じる判決が下されます。

判決には法的拘束力があるため、「納得できない」「払いたくない」といった個人の意思では回避できません

判決が確定すると、支払い義務が正式に発生し、決められた金額を期限内に支払う必要があります。万が一、支払いに応じない場合には、相手方が財産の差押えなど強制執行の手続きをとることも可能になります。

たとえば、給与や預金口座が差し押さえられるケースもあり、生活への影響は小さくありません。こうしたリスクを避けるためにも、裁判になった場合は、専門家のサポートを受けながら適切に対応することが重要です。

裁判で認められる慰謝料金額の目安

不倫の慰謝料として裁判で認められる金額は、50万円〜300万円程度が一般的です。

ただし、実際の金額は以下のような事情によって変動します。

  • 婚姻期間の長さ
  • 子どもの有無
  • 不倫によって夫婦関係が破綻したかどうか
  • 被害者側の精神的苦痛の程度
  • 不倫の期間や頻度、悪質性

たとえば、長年連れ添った夫婦で子どももいたのに、不倫をきっかけに離婚に至ったようなケースでは、慰謝料が高額になる傾向があります。

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不倫裁判ではどんな証拠が必要?

不倫裁判では、「不貞行為があった」と裁判所に認めてもらうための証拠が必要です。ここでいう不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを指します。単なる食事や連絡のやりとりだけでは、法的に不貞と認定されることはありません。

そのため、慰謝料を請求する側は、肉体関係があったと推認できる証拠を準備する必要があります。

肉体関係があったと分かるやりとり

LINEやメールなどで、肉体関係をうかがわせる内容のやりとりが残っていれば、有力な証拠になります。

たとえば、「昨日の夜はありがとう」や「ホテルに行ってよかった」など、関係を示唆する文言がある場合、裁判所が不貞行為を推認する材料になり得ます。

ただし、単なる日常的な会話や曖昧な表現だけでは証拠としての力は弱いため、内容の具体性が重要です。

肉体関係があったとわかる写真や動画

2人がラブホテルに出入りしている写真や、同じ部屋に長時間いたことがわかる動画などは、不貞行為を裏付ける強い証拠になります。

こうした記録があれば、裁判所も「肉体関係があった」と推認しやすく、慰謝料請求が認められる可能性が高まります。

特に、撮影日時や場所が明確に特定できるもの、同様の行動が複数回に渡って行われていたことがわかる記録などは、有力な証拠として扱われます。

不倫関係が一時的なものではなく、継続的・計画的であったことが示されれば、悪質性が高いと判断され、慰謝料の金額にも影響することがあります。

なお、証拠の入手にあたってはプライバシー権や違法な撮影にあたらないよう注意が必要です。

不倫相手が浮気・不倫を自白した録音

話し合いの中で、不倫相手が自ら不貞行為を認めた場合、そのやりとりを録音しておくことも重要な証拠になります。

録音は、後に発言を否定された際の反証材料になります。ただし、違法な手段で取得した録音(盗聴など)は、裁判で証拠として認められないおそれがあります。

証拠として有効とされるためには、あくまで会話の当事者として正当に録音したものであることが前提です。

探偵などの調査報告書

探偵事務所などに依頼し、不倫の事実を調査した報告書も証拠として使えます。特に、写真や行動記録が詳細に記載された報告書であれば、裁判所の判断に影響を与えることがあります。

調査の質は業者によって差があるため、信頼できる探偵事務所に依頼することが大切です。

不倫裁判でかかる費用

不倫の慰謝料をめぐる裁判を起こす場合、一定の費用がかかります。ここでは、代表的な費用である「訴訟費用」と「弁護士費用」についてご紹介します。

訴訟費用

訴訟費用とは、裁判所に支払う手数料などのことを指します。具体的には、以下のような費用がかかります。

  • 収入印紙代(訴える金額に応じて異なる)
  • 郵便切手代(裁判所から書類を送付するため)

たとえば、100万円の慰謝料を請求する場合、収入印紙代は約1万円程度が目安です。郵便切手代は裁判所ごとに異なりますが、数千円程度を求められるケースが一般的です。

弁護士費用

不倫裁判では、手続きや証拠の提出が専門的になるため、弁護士に依頼する方が多くなります。弁護士費用には主に以下の2つがあります。

  • 着手金:裁判を依頼する際に支払う費用(30~60万円程度)
  • 報酬金:裁判に勝訴し、慰謝料の支払いが認められたときに発生する費用(得られた金額の10~20%前後)

また、相談料や証拠収集にかかる実費が別途かかる場合もあります。依頼前に見積もりや費用の説明を受けておくことが大切です。

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不倫裁判に関するよくある質問

配偶者だけでなく浮気相手にも慰謝料請求できる?

可能です。不倫による慰謝料請求は、不貞行為をした当事者の両方に対して行えます。つまり、配偶者とその不倫相手のどちらにも慰謝料を請求できます。

ただし、不倫相手が配偶者に配偶者がいることを知らなかった(知らされていなかった)場合などは、慰謝料が認められないこともあります。

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浮気相手だけに慰謝料を請求したい

証拠が少ない場合でも慰謝料請求できる?

証拠がまったくない状態での請求は難しいでしょう。しかし、一つひとつの証拠が弱くても、複数用意することで、慰謝料の請求が認められる可能性はあります。

証拠が不十分な場合は、弁護士に相談し、補強方法を検討することが大切です。

示談で解決できるなら裁判を起こさなくてもいい?

示談(話し合い)で慰謝料の支払いに合意できれば、裁判を起こす必要はありません。むしろ、裁判は費用や時間がかかるため、可能であれば話し合いで解決したほうが負担は少なく済みます。

示談では「示談書」や「和解書」を作成しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。必要に応じて、弁護士が書面の作成をサポートすることも可能です。

裁判を起こされたら出廷しなければいけない?

原則として、本人が出廷する必要があります。ただし、弁護士に依頼していれば代理人として弁護士が出廷することで対応できる場合もあります。

出廷命令を無視すると裁判が一方的に進んでしまい、慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。訴状が届いたら放置せず、まずは弁護士に相談し、対応方針を検討しましょう。

まとめ

不倫による慰謝料請求は、相手の対応次第では話し合いで解決できることもありますが、対立が深まれば裁判に発展する可能性もあります。

裁判では、不貞行為の有無や慰謝料の金額が法的に判断されるため、証拠の有無や内容が結果を大きく左右します。

裁判を起こすには、証拠の準備や訴訟費用、弁護士費用なども必要になるため、事前に見通しを立てておくことが重要です。また、必ずしも裁判がベストな選択とは限らず、話し合いや示談で解決できる場合もあります。

不倫問題をどう解決するかは、状況や相手の対応によって異なります。一人で判断するのが難しいと感じたら、弁護士に相談し、適切な対応を検討することをおすすめします。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)