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離婚しなくても浮気相手に慰謝料を請求できる?条件や注意点を解説

2025.08.14
  • 慰謝料

夫の浮気が発覚しても、子どものことや今後の生活を考えて、離婚を選択しないケースも少なくありません。

法律上、離婚をしなくても、一定の条件を満たせば浮気相手に慰謝料を請求することは可能です。

しかし、証拠の有無や状況によっては請求が認められないこともあります。

この記事では、離婚せずに慰謝料請求をする際の条件や注意点、請求の流れまでをわかりやすく解説します。

離婚しない場合でも浮気相手に慰謝料を請求できる?

離婚せずに夫婦関係を続ける場合でも、浮気相手に対して慰謝料を請求することは可能です。

浮気(不貞行為)は、民法709条に基づく不法行為に該当します。不法行為とは、相手の故意または過失によって損害を受けたときに、その損害について賠償責任が発生する法律上の仕組みです。

浮気によって精神的な苦痛を受けた場合は、浮気をした配偶者だけでなく、その浮気相手に対しても慰謝料請求することが認められています。

しかし、浮気相手だけに慰謝料を請求する場合は、次のようなトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。

  • 配偶者が浮気相手をかばって、夫婦関係が悪化する
  • 浮気相手から配偶者に対して、求償権(慰謝料の分担を求める権利)を行使される
  • 配偶者が独身と嘘をついて浮気をしてた場合、浮気相手から逆に慰謝料を請求される

また、自分で慰謝料請求をしても、浮気相手がまともに対応しないケースも珍しくありません。このような場合は、弁護士に慰謝料請求を依頼し、相手にプレッシャーをかけることも有効です。

【関連記事】不倫・浮気で慰謝料請求されたらすべきこと|お金がない場合の対処法

浮気相手に慰謝料を請求する前に確認すべき4つの条件

たとえば浮気の証拠がない状態で浮気相手に詰め寄ったりすると、浮気の証拠を隠されたりする可能性があります。慰謝料を請求する前に、下記の条件を満たしているか、確認しましょう。

①慰謝料請求に必要な証拠があるか

慰謝料を請求するには、肉体関係があったと客観的に認められる証拠が必要です。

LINEやメールだけでは、不貞(性的関係)を裏づける証拠としては不十分なことがあります。

次のようなものが、不貞行為を裏づける証拠として有効です。

  • ラブホテルの出入り写真や映像(日時が特定できるもの)
  • 性的関係を示すLINEやメールの文面
  • 浮気を認める発言の録音・書面
  • 調査事務所などの報告書(日付・場所・行動の詳細を記録したもの)

証拠が曖昧なまま慰謝料を請求しても、相手に否定されて終わる可能性があるため、事前の準備は非常に重要です。

②浮気相手が既婚と知っていたか

慰謝料を請求するには、浮気相手があなたの配偶者を既婚者だと知っていた、または知ることができた状況だったことが必要です。

これは、民法709条の不法行為責任が成立するためには、故意または過失が必要とされているためです。

たとえば、配偶者が独身だと嘘をついていたような場合、浮気相手は騙されていた側と判断されるため、慰謝料の支払い義務を免れる可能性があります。

しかし、以下のようなケースであれば、相手が既婚と知っていた(または気づけた)と判断されやすくなります。

  • 家族写真や結婚指輪など、既婚者とわかる物を身につけていた
  • 自宅に家庭的な雰囲気があった(子ども用の物や女性の持ち物など)
  • SNSで配偶者の投稿内容に家族がいると読み取れる表現があった
  • LINEやメールで家庭の話題が出ていた

特に近年は、SNSやスマートフォンのやりとりをもとに、相手の認識を裏づける例も増えています。

③夫婦の関係はどうか

慰謝料請求は、夫婦関係が継続していることが前提です。

すでに別居状態や離婚寸前で、実質的に夫婦関係が破綻していたと判断された場合は、浮気相手への慰謝料請求が認められないことがあります。

以下のような場合は破綻後の交際と見なされ、不貞とは扱われないこともあります。

  • 長期間の別居
  • 離婚調停中
  • 離婚合意済みの段階での交際開始

こうした事情があると、不貞行為による損害としての慰謝料請求が難しくなるため、浮気の時期や夫婦関係の実情を客観的に整理しておくことが重要です。

④慰謝料の時効に注意

浮気相手に対する慰謝料請求には時効があり、一定期間を過ぎると、たとえ不貞行為があっても請求が認められなくなる可能性があります。

民法724条に基づき、不法行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)は、以下のいずれか早い方の時点で時効が成立します。

  • 不貞行為の事実および加害者(浮気相手)を知った日から3年
  • 不貞行為があった日から20年

時効が近い場合は、以下のような方法で時効の完成を防ぐ(中断させる)ことが可能です。

  • 内容証明郵便で慰謝料請求の意思表示を送り、6か月以内に正式な手続きをとる
  • 裁判所に提訴する(裁判を起こすことで正式に時効が中断)

内容証明はあくまで一時的な中断なので、6か月以内に示談成立または訴訟提起をする必要があります。

時効の起算点(浮気を知った時点など)の判断や、内容証明の書き方・送付タイミングは、法的な知識が必要になるため、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

【関連記事】協議離婚する際の慰謝料請求条件や方法を解説

浮気相手に請求できる慰謝料の相場と増額されやすいケース

浮気相手に慰謝料を請求する具体的な方法を紹介します。

慰謝料の相場

浮気に対する慰謝料の相場は、一般的に50万円〜300万円程度とされています。

この金額は、浮気の悪質性や被害者側の精神的苦痛の程度、婚姻関係の状況などを踏まえて判断されます。

たとえば、以下のようなパターンで変動があります。

状況 慰謝料の目安
離婚なし/関係修復を希望 50万〜100万円前後
離婚あり/子どもあり 100万〜300万円前後
訴訟まで発展・悪質なケース 300万円以上の例もあり

ただし、あくまで目安であり、具体的な金額は個別の事情に応じて変わります

離婚しない場合は相場が下がる傾向

浮気によって精神的苦痛を受けた場合、必ずしも離婚しなければ慰謝料を請求できないわけではありません。

ただし、裁判所は夫婦関係が継続している以上、破綻には至っていないと判断する傾向があり、その結果として慰謝料額がやや低く認定されるケースもあります。

とはいえ、関係を修復しつつも配偶者に責任を取ってもらいたい場合、請求額にこだわりすぎず、誠意を求めたり、気持ちの整理をつける手段として慰謝料請求を行うことは有効です。

増額につながる具体的な事情

慰謝料の金額は、浮気の内容やその影響の大きさによって変動します。

以下のような事情があると、浮気の悪質性や被害の深刻さが認められ、慰謝料が相場よりも高くなることがあります。

  • 長期間にわたって交際していた
  • 不貞の証拠を隠滅・破棄しようとした
  • 浮気を否定する虚偽の発言を繰り返し、反省がみられない
  • 被害者がうつ病や適応障害などを発症した(診断書などの証拠あり)
  • 子どもが浮気現場を目撃したり、家庭内トラブルが激化した
  • 浮気相手に妊娠・中絶などの重大な結果が生じた

実際に、こうした要素が複数重なった裁判では、300万円以上の慰謝料が認められた例もあります。

ただし、金額は個別事情や証拠の有無によって大きく変動するため、弁護士と相談しながら適切な請求額を判断することが大切です。

【関連記事】離婚の慰謝料の相場|請求できるケースや証拠・年収で増額される?

慰謝料に影響する相手の事情

慰謝料の金額は、不貞行為の内容や被害者側の状況だけでなく、加害者側の社会的立場や経済力によっても大きく左右されます。

たとえば、以下のような事情があると、比較的高額な慰謝料が認められる傾向があります。

  • 高収入や資産家がある場合は支払い能力が高いと判断され、慰謝料も高めに認定されやすい
  • 公務員や教員など社会的信用が高い職業に就いている場合は、訴訟や公的記録が残ることを避けたい意識が強く、高額での示談が成立しやすい
  • 芸能人や経営者など世間への影響が大きい立場にある場合は、早期かつ高額な解決を望む傾向がある

一方で、収入が少ない相手や無職の場合は、支払い能力の面から慰謝料が減額されるケースもあります。

このように、慰謝料の水準は相手の事情によっても変動するため、感情的な判断に頼るのではなく、現実的な視点から適切な金額を見極めることが重要です。

浮気相手への慰謝料請求の流れと方法

示談交渉が基本

浮気相手に慰謝料を請求する際は、まず話し合いによる解決(示談)を試みます。

示談交渉では、相手に慰謝料の支払いを求めつつ、金額や支払い方法、謝罪の有無などを取り決めます。

示談が成立した場合は、示談書(和解書)を作成し、合意内容を明文化しておくことが重要です。

示談書には以下のような項目を記載します。

  • 慰謝料の金額と支払期限
  • 分割払いの場合の回数と方法
  • 今後一切の請求をしない旨(清算条項)
  • トラブル防止のための秘密保持条項 など

口頭のやり取りでは後のトラブルにつながりやすいため、示談交渉は文書や録音など、記録を残す形で進めましょう。

内容証明で請求意思を示す

相手が話し合いに応じない場合や、連絡が取れない場合は、内容証明郵便を送ることで慰謝料の請求意思を正式に伝えることができます。

内容証明には以下のような効果があります。

  • 慰謝料請求の意思表示として、後の裁判で有利になる
  • 時効の中断の効果がある
  • 相手に心理的プレッシャーを与えることができる

内容証明は、文面作成から発送までを弁護士が代行できます。

裁判に進むケースとは

示談交渉がまとまらない場合や、相手が慰謝料の支払いを拒否・無視する場合は、民事訴訟(損害賠償請求訴訟)を起こすことになります

裁判になると、以下のような準備が必要です。

  • 不貞の証拠の提出(調査報告書、LINE、写真など)
  • 精神的苦痛の裏づけ(診断書などがあると強い)
  • 相手の住所や氏名などの情報の把握

裁判は時間や費用がかかりますが、法的な拘束力を持つ「判決」によって支払いを命じる強制力が生まれます。そのため、慰謝料を確実に回収したい場合や、相手に明確な責任を取らせたい場合には有効です。

【関連記事】不倫されたら裁判できる?慰謝料を請求したいときの進め方と注意点

浮気相手に慰謝料を請求した後のトラブルと対応

こちらが請求した金額に対し、相手がすんなり納得し、支払いに応じるとは限りません。発生しやすいトラブルと、その対処法を紹介します。

無視・放置されたときの対応

慰謝料の請求に対して、相手が連絡を無視したり、示談の話し合いに一切応じなかったりするケースも少なくありません。

このような場合には、以下の手段が取られます。

  • 内容証明郵便を送る
  • 弁護士から通知を送る(弁護士名で通知を送ることで法的手段を示唆できる)
  • 裁判に進む

裁判に進む場合でも、不貞の証拠や相手の住所が分かっていれば対応可能です。

【関連記事】慰謝料を払ってくれない時の対処法とは?

浮気相手に訴えられるリスクとは

慰謝料を請求された側が名誉毀損やプライバシー侵害などを理由に逆に訴訟を起こしてくることもあります。

  • 証拠が不十分なままSNSで浮気を公表した
  • 強い口調で脅迫的な請求をした
  • 職場や家族に不貞の事実を知らせた

このような行為は、不法行為や侮辱行為とみなされるリスクがあります。

慰謝料請求をする際は、感情的にならず、冷静かつ法的に正当な範囲で行動することが重要です。

慰謝料の減額を求められた場合

相手が慰謝料請求に応じる意思はあるものの、金額が高すぎるとして減額交渉をしてくるケースもあります。

主な減額理由としては、以下のことが挙げられます。

  • 浮気相手が既婚者であることを知らなかった
  • 不貞行為の回数が少なかった
  • 夫婦関係がすでに破綻していた
  • 支払い能力が低い(収入が少ない・失業中 など)

こうした主張が事実であるかどうかを証拠をもとに判断し、必要に応じて合理的な金額での和解を検討することも大切です。

約束を破られたときの対処法

示談書で慰謝料の支払いが合意されたとしても、その後に支払いが遅延・不履行になることもあります。

このような場合、次のような対処が可能です。

  • 支払い期限の再通知
  • 強制執行の申立て(示談書が公正証書または判決の場合)
  • 分割払いの見直しや再交渉
  • 訴訟の再提起(未払い金の請求)

示談書を公正証書で作成しておくと、支払いが滞った場合でも裁判を経ずに差押えなどの強制執行が可能になります。

交渉段階で弁護士に依頼しておくと、こうしたリスクにも備えられます。

【関連記事】離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント

浮気相手への慰謝料請求でよくある質問

離婚しないと慰謝料はもらえないの?

離婚していなくても慰謝料は請求できます。

慰謝料の根拠となるのは、不貞行為による精神的苦痛であり、離婚の有無は直接関係しません

ただし、離婚をしない場合は、慰謝料の相場がやや低くなる傾向にあります。

請求したら相手から訴え返されることもある?

SNS上や相手の職場などで実名を出して浮気を暴露した場合や、脅迫的な口調で慰謝料請求した場合には、名誉毀損やプライバシーの侵害とみなされる可能性があります。

慰謝料請求は、感情的な対応を避け、法的に正当な手続きを踏むことが重要です。

夫と浮気相手の両方に慰謝料を請求できる?

両方に対して慰謝料請求することが可能です。不貞行為には、配偶者と浮気相手のどちらにも責任があるとされるため、それぞれに対して損害賠償を請求できます。

まとめ

離婚をしない場合でも、配偶者の浮気によって精神的苦痛を受けたのであれば、浮気相手に慰謝料を請求することは可能です。

ただし、慰謝料を請求するには不貞行為の証明や夫婦関係などの条件があるため、慎重な判断が必要です。

慰謝料の相場や請求後のトラブル対応についても正しく理解しておくことで、納得のいく形で解決に近づけます。

不安なときは、ひとりで抱え込まずに弁護士に相談してみてください。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)