モラハラ夫とあっさり離婚する方法|モラハラ夫は変わるのか?
- DV・モラハラ

モラハラ夫と離婚したいと思っても、さまざまな障害があり「離婚できないのではないか?」と不安になる人も少なくありません。
しかし、モラハラ夫がいくら離婚を拒否しても、最終的に離婚を成立させる方法はいくつもあるため、必要以上に不安になることはありません。
モラハラ夫との離婚を実現できるかどうかは、モラハラ夫の対応よりも、自分自身の強い意思にかかっています。
「夫が変わってくれるのではないか?」と期待すると、心が揺れてしまうため、強い意思を持って臨むことが重要です。
この記事では、モラハラ夫との離婚の離婚の進め方を中心に解説すると共に、モラハラ夫は変わるかどうかについても解説します。
目次
モラハラ夫との離婚の傾向
モラハラ夫との離婚にはいくつかの傾向や重要となるポイントがあります。
- モラハラ夫が離婚を拒否して長期化しやすい
- 裁判に発展した際は証拠が不可欠になる
- 証拠があればモラハラの慰謝料も請求できる
- 別居ができれば離婚に近づく
具体的な離婚の手順を解説する前に、モラハラ夫との離婚における傾向を解説します。
モラハラ夫が離婚を拒否して長期化しやすい
モラハラ夫との離婚でよくあるケースは、離婚を切り出されたモラハラ夫が激昂し、離婚を拒否することです。
モラハラ夫は、妻を自分の所有物や従うべき存在と考える傾向があり、自分の意に反した行為を「反発」や「反抗」と捉えて攻撃的になります。
日頃からモラハラ夫と関わる機会が多い人にとっては納得できる話かもしれません。モラハラ夫との離婚は長期化する可能性が高いため、覚悟しておくことが大切です。
裁判に発展した際は証拠が不可欠になる
モラハラ夫と離婚することは可能ですが、前述のとおり、離婚を拒否された場合は手続きに時間がかかります。
離婚は夫婦の話し合いから始まり、調停までは双方の話し合いで、合意に至らなければ裁判に移行します。
裁判で離婚を成立させるには、法律上の離婚事由(法定離婚事由)が必要です(民法第770条)。
モラハラの場合は、法定離婚事由の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当しますが、その被害を証明する証拠が不可欠です。
証拠があればモラハラの慰謝料も請求できる
モラハラは、民法上の不法行為に該当します。そのため、証拠があれば不方向にもとづき慰謝料請求が可能です。
モラハラ夫と離婚する際の慰謝料の相場はおおよそ50~300万円とされています。
しかし、慰謝料請求を認めてもらうにも、モラハラの証拠が必要です。
別居ができれば離婚に近づく
モラハラ夫との離婚で重要なのは、早急に別居することです。別居には以下のようなメリットがあります。
- モラハラ夫から心身の安全を確保する
- モラハラ夫の精神的支配から解放される
- 婚姻費用が負担となりモラハラ夫が離婚に応じる可能性がある
- 3~5年程度の別居期間を経ると離婚が認められやすくなる
モラハラ夫は、妻の人格を否定し自信を奪うことで支配しようとします。
そのため、物理的に距離を置き、本来の自分を取り戻し、自信を回復することが重要です。
また、別居することで離婚が認められやすくなるだけでなく、婚姻費用の負担が生じ、モラハラ夫が離婚に応じる可能性もあります。
婚姻費用とは、結婚生活に必要な生活費のことで、収入の多い側が少ない側に支払う義務があります(民法第760条)。
「モラハラ夫が婚姻費用を素直に払うだろうか?」と思うかもしれませんが、モラハラ夫は世間体を気にする傾向があり、裁判所などの公的機関の決定にしたがう可能性が高いです。
結果として、離婚を拒否しながらも、婚姻費用の負担が負担となり、最終的に離婚に応じることが考えられます。
モラハラ夫との離婚の進め方
モラハラ夫との離婚を進める際の流れは以下のとおりです。
- モラハラの証拠を集める
- 準備を整えて別居する
- モラハラ夫と離婚を話し合う
- 離婚調停で話し合う
- 離婚裁判をする
モラハラの証拠を集める
モラハラ夫は離婚を拒否する可能性が高いため、裁判を想定して事前に証拠を集めることが重要です。証拠には、以下のようなものがあります。
- モラハラの言動を録音・録画したデータ
- モラハラの内容を記した日記やメモ
- 暴言を吐かれた内容のLINEやメールのやり取り
- 精神疾患になった際の医師の診断書や通院記録 など
具体的な内容はこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
【関連記事】モラハラで離婚する場合の慰謝料相場|慰謝料請求が難しい理由
証拠を集める際は、相手に気づかれないよう注意し、自分の安全を最優先にしてください。特に、暴力を振るわれる恐れがある場合は、証拠収集よりも先に別居を優先するべきです。
判断に迷った場合は、弁護士に相談しましょう。
準備を整えて別居する
証拠を集めながら、別居に向けた準備を進めます。別居前に以下の準備を整えておきましょう。
- 生活費や別居先の確保
- 自分の財産や資料を持ちだす
- 相手の財産がわかる資料を確認しておく(いずれも財産分与のため)
モラハラ夫によって働くことを制限されていた場合は、別居が難しいこともあります。その際は、実家への避難も検討しましょう。
モラハラ夫の理解や承諾を得て別居することは困難です。
そのため、置手紙を残し、「一緒に生活できないので別居したいこと」「元気に暮らすので探さないでほしいこと」などを伝えて出るのがよいでしょう。
別居時には、財産分与のための資料なども必要となるため、必要な資料や別居の進め方は弁護士に相談しておくのが望ましいです。
【関連記事】【別居】【生活費】別居前にしていおいたほうがよい6つのこと
モラハラ夫と離婚を話し合う
モラハラ夫と離婚をする場合、可能であれば話し合いからスタートします(協議離婚)。また、婚姻費用の請求も併せて行います。
婚姻費用の発生は請求時点からとされるため、別居開始後すぐに話し合いや内容証明郵便による請求を行うことが重要です。
ただし、モラハラ夫との話し合いは難しいケースが多いです。相手が感情的になる可能性があるだけでなく、夫婦のパワーバランスにより対等な交渉が困難な場合もあります。
そのため、直接の話し合いを避け、離婚調停を申し立てるか、弁護士に交渉を代理してもらうことをおすすめします。
【関連記事】協議離婚とは|協議離婚の流れや弁護士費用・デメリットを解説
離婚調停で話し合う
現実的なのは、離婚調停を申し立てて、モラハラ夫と話し合いを行うことです。
離婚調停とは、家庭裁判所で調停委員と呼ばれる裁判所の職員を通じて、離婚の話し合いを進める手続きのことです。
夫婦は別々の部屋で待機して、交代で調停室に呼ばれ、調停委員と話をします。離婚調停には以下のメリットがあります。
- モラハラ夫と顔を合わせる心配がなく、第三者を交えて冷静に話し合える
- 婚姻費用分担請求調停も同時に申し立てることで、離婚と婚姻費用を併せて話し合える
調停委員がこちらの主張を理解すれば、モラハラ夫を説得してくれる可能性もあります。
ただし、離婚調停には強制力がないため、モラハラ夫が離婚に合意しなければ調停は不成立となります。
【関連記事】離婚調停で勝つには?女性が有利?知っておくべきポイントや注意点
離婚裁判をする
離婚調停が不成立になった場合は、離婚裁判を起こし、裁判官に離婚の成否を判断してもらうことになります。
裁判では、原告側(離婚を求める側)が証拠を提示し、モラハラの事実を立証する責任を負います。
離婚が認められた場合、判決確定後10日以内に離婚届を提出すれば、離婚が成立します。
離婚裁判は書面のやり取りが多く、手続きも複雑なため、弁護士に依頼して進めるのが望ましいでしょう。
モラハラ夫と離婚を進める際のポイント
モラハラ夫と離婚をする場合は、協議離婚、離婚調停、離婚裁判それぞれ以下のようなポイントがあります。
協議離婚での離婚の切り出し方
モラハラ夫と直接離婚を話し合う場合は、切り出し方や伝え方を工夫します。
離婚を切り出すタイミング | 仕事で忙しい時や疲れている時は避ける
知り合いがいる場所で行わない |
切り出し方 | 大事な話があると前置きをして伝える |
伝え方 | 攻撃的な表現や非難は避ける |
感情的になると相手が反発し、協議が難航する可能性があります。
また、直接話し合う際に相手が暴力的・脅迫的な行動をとるリスクも考慮しましょう。
中には、自殺をほのめかすなど、心理的に圧力をかけてくるケースもあるため、弁護士など信頼できる第三者に同席してもらうことをおすすめします。
離婚調停での説明の仕方
離婚調停では、調停委員にわかりやすく自分の主張を伝えることが大切です。調停委員が共感してくれれば、モラハラ夫を説得してくれる可能性があります。
ただし、モラハラ被害の辛さは伝わりにくいものです。人によっては「そんなことで離婚したいのか?」と思うかもしれません。
そのため、調停委員にモラハラの被害を伝える際は、具体的なエピソードを交えて、どのような被害を受けたのかを事実に基づいて説明してください。
【具体例】
- 子どもの成績が下がってしまったため、塾に通わせたいと夫に相談したところ、「お前の頭が悪いから子どもに遺伝したんだ」と言われた
- 夫のために夕食を作ったのに、「こんなもの食べたくない」と言われ、料理をゴミ箱に捨てられた
- 体調が悪くて寝ているときに、「早くくたばれ」「お前のような母親はいらない」と暴言を吐かれた など
また、モラハラの記録を残した日記や、動画・音声データも有力な証拠となります。
さらに、これらの出来事がどのくらいの頻度で起きたのかを説明することも大切です。
モラハラ夫の異常性を具体的に伝えることで、調停委員の理解を得やすくなります。
離婚裁判でのモラハラの伝え方
離婚裁判では、裁判官にモラハラの被害を理解してもらうことが重要です。
裁判では、モラハラの事実を主張する際に書面での説明が求められますが、調停と同様に具体的なエピソードを交えて説明する必要があります。
説明の際は、以下の点を意識しましょう。
- 「悲しかった」などの感情的な表現だけでなく、モラハラ夫が行った行為を具体的に述べる。
- 説明は要点を絞り、簡潔でわかりやすくする。
また、弁護士に依頼することで、書類作成や手続きを任せることができます。離婚裁判に発展した際は、弁護士のサポートを受けることを検討しましょう。
モラハラ夫と離婚する際の注意点
モラハラ夫と離婚する際は、以下の点に注意が必要です。
- 自分と子どもの身の安全を最優先にする
- モラハラ夫は変わるのかと期待しない
自分と子どもの身の安全を最優先にする
モラハラ夫は場合によっては、暴力的・脅迫的な行動をとる可能性があり、子どもが被害に遭う恐れもあります。
身の危険を感じた場合は、警察や配偶者暴力相談支援センターなどに相談し、自分と子どもの安全確保を最優先にしましょう。
また、別居に際して「勝手に別居するのは同居義務違反だから、離婚は認められない」と主張するモラハラ夫もいます。
確かに夫婦には同居義務(民法第752条)があり、正当な理由のない別居は「悪意の遺棄」という不法行為に該当し、離婚請求が認められない可能性があります。
ただし、モラハラによる別居は正当な理由と判断され、同居義務違反にはならないと考えられます。
モラハラ夫はあらゆる手段で妻を逃がさないようにするため、法律の知識を持ちだすこともあります。しかし、離婚問題の実績がある弁護士の知識には敵いません。
モラハラ夫の言い分をそのまま信じるのではなく、弁護士に相談して適切なアドバイスを受けるようにしてください。
モラハラ夫は変わるのかと期待しない
モラハラ夫と離婚したいと思う一方で、「離婚を切り出せばモラハラ夫が変わるかもしれない」と期待する人は少なくありません。
しかし、残念ながらモラハラは自然に治るものではなく、モラハラ夫が変わることもほとんどありません。
これまで何度もモラハラ夫を信じて裏切られてきた妻であれば、その現実をきっと理解できるでしょう。
モラハラ夫は別居や離婚を切り出されると、まるで反省したかのように謝罪したり、優しい言葉をかけたりしてきます。しかし、それこそが典型的なモラハラのサイクルです。
そのため、別居後や弁護士に依頼した後は、いかなる連絡も無視することが重要です。
少しでも心が揺れれば、これまでの決意が無駄になり、再び苦しい生活に戻ることになりかねません。
また、一度戻ってしまうと、今度こそ離婚する気力すら奪われる恐れがあります。モラハラ夫は変わらないと割り切ることが大切です。
モラハラ夫との離婚を弁護士に相談・依頼するメリット
モラハラ夫との離婚を考える場合は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。ここでは、弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
離婚全般のアドバイスがもらえる
弁護士に相談することで、モラハラ夫との離婚の見通しや、それを踏まえた準備、別居や離婚の手順などについて的確なアドバイスを受けられます。
特に、離婚問題やモラハラに詳しい弁護士であれば、これまでの経験をもとに、夫が取り得る行動を予測し、適切な助言が期待できます。
また、モラハラ夫が主張している内容が正しいかどうかを確認するためにも、弁護士への相談は有効です。
モラハラ夫が離婚の話し合いに応じやすくなる
離婚を弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代わりにモラハラ夫と交渉を行います。
弁護士が介入することで、モラハラ夫も離婚の話し合いに応じやすくなる可能性があります。
頑なに離婚を拒んでいる場合でも、交渉相手が弁護士になると、法的措置を恐れてあっさり離婚に応じるケースも少なくありません。
話し合いが困難な場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。
婚姻費用や慰謝料の請求ができる
弁護士に依頼すれば、離婚の成立だけでなく、婚姻費用や慰謝料の請求、さらに財産分与や親権などの交渉も任せることができます。
婚姻費用の支払いが決まれば、経済的に余裕を持って離婚準備を進められます。
精神的な負担が軽減できる
モラハラ夫との離婚は、一般的な離婚以上に精神的な負担が大きくなります。
モラハラの証拠集めや離婚の話し合いが困難であったり、手続きが煩雑であったり、相手から荒唐無稽な主張を受けたりすることで、ストレスが溜まることが続きます。
このような状況でも、弁護士に依頼することで、モラハラの証拠収集のサポートや、モラハラ夫との対等な交渉、煩雑な手続きまで全てを任せることが可能です。
モラハラ夫と直接やり取りする必要がなくなるため、本来の自分の人生を取り戻すことができます。
何より弁護士が味方となることで、一人でモラハラ夫と対峙する必要はありません。
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まとめ
モラハラ夫との離婚は、①証拠を集める、②別居をして距離を置く、③モラハラ夫が変わると期待せず、連絡も取らないことが重要です。
証拠を集めて距離を置くことで、モラハラ夫との離婚は可能です。実際に障害となるのは、自分の気持ちかもしれません。
モラハラ夫と離れる覚悟ができたら、その選択を信じて、離婚の決意を持つことが大切です。
もしモラハラ夫との離婚に悩んでいる場合や、一人では解決できそうにないと感じた場合は、弁護士に相談しましょう。
当事務所でも、数多くのモラハラ離婚を解決してきた実績がありますので、お気軽にご相談ください。