離婚「知っトク」ブログ

離婚にかかる弁護士費用はいくら?相場や内訳・安く抑えるポイント

2024.11.29
  • お金のこと
費用

離婚を弁護士に依頼したいと考える際、多くの人が気になるのが弁護士費用です。

離婚を弁護士に依頼した場合にかかる費用の相場は、協議離婚の場合、着手金・報酬金それぞれ20~30万円、トータルで40~60万円程度と言われています。

ただし、これはあくまでも相場であり、各法律事務所の料金体系や依頼内容、手続きによって異なります。そのため、相談時に確認することが大切です。

この記事では、下記の点、そして弁護士費用を安く抑える方法についても解説します。

離婚にかかる弁護士費用の相場

離婚の方法は、最初に話し合いからスタートし、話し合いが難しい場合に調停、裁判へと発展します。

離婚の弁護士費用の相場は以下の通りです。

離婚方法 弁護士費用の相場
協議離婚 40~60万円
離婚調停 60~80万円
離婚裁判 60~120万円

協議離婚で配偶者との交渉を弁護士に依頼した場合の費用の相場は、着手金と報酬金を合わせて40~60万円程度が一般的です。

離婚調停を依頼した場合の弁護士費用の相場はおおよそ60~80万円、裁判に発展した場合の弁護士費用費用の相場は60~120万円ほどになります。

また、協議離婚から離婚調停に移行する際に、追加の着手金が発生する場合もあれば、着手金よりも少ない追加料金で対応してくれる弁護士もいます。

「弁護士費用は高額だ」と感じる人も多いでしょう。

実際、離婚の際に弁護士に依頼する必要があるのかについてと、弁護士費用を安く抑える方法や弁護士費用が高いと感じる理由についても後述します。

【関連記事】モラハラ離婚の弁護士費用の相場は?法テラスの費用や相談窓口も解説

離婚にかかる弁護士費用の内訳

離婚における弁護士費用には、着手金や報酬金だけでなく、以下のようなさまざまな費用が含まれます。

  • 法律相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 実費
  • 日当
  • その他

ここでは、弁護士費用の内訳と相場を解説します。

法律相談料

弁護士は、離婚問題の依頼を受ける前に、まず相談者の悩みをヒアリングします。この相談時間は、相談者にとっても、弁護士の対応を見極める大切な機会でもあります。

相談料の相場は30分5,000円ほどで、60分じっくり話を聞いて1万円程度の法律事務所もあります。

また、近年は初回相談無料の事務所も増えており、2回目以降から有料となるケースがあります。依頼後の相談料は発生しません。

【関連記事】養育費を弁護士に無料相談する方法|弁護士費用の相場を解説

着手金

着手金とは、弁護士に依頼する際に発生する費用です。手続きごとの相場は以下の通りです。

離婚方法 着手金の相場
協議離婚 20~30万円
離婚調停 30~40万円
離婚裁判 30~60万円

なお、着手金は、弁護士が依頼内容に着手した対価として発生するものです。依頼した案件を途中でキャンセルしても返金されません。

報酬金

報酬金とは、弁護士が依頼した案件を解決した際に、成果に応じて発生する費用です。弁護士費用で計算がややこしい費用でもあると言えます。

報酬金には二種類あり、希望した内容を実現したものと、金銭的な利益(経済的利益)を得た際に発生します。

例えば離婚で、離婚の成立と財産分与の獲得、慰謝料の獲得を依頼して、離婚の成立と財産分与だけ獲得した場合、報酬金は離婚の成立と財産分与の獲得に対して発生します。

報酬金の相場は「〇万円+経済的利益の10~20%」が一般的です。

実費

弁護士費用は大きく分ければ、着手金と報酬金で構成されていますが、実費も発生します。

実費とは、弁護士が事件処理のために発生する必要経費のことです。例えば、裁判所に納める手数料や書類の郵送代、戸籍謄本などの取得費用、交通費などが含まれます。

日当

日当とは、弁護士が法律事務所以外で業務をする場合に発生する費用です。例えば、調停や裁判への出席、出張などがあります。弁護士費用の日当の相場は1日3~5万円程度です。

その他

前述した着手金や報酬金が定められている料金体系とは異なり、稼働時間に応じて弁護士費用を算出する「タイムチャージ制(時間報酬制)」という計算方法もあります。

弁護士費用の相場は、1時間あたり2~5万円程度です。

タイムチャージ制は、企業法務や成果が予測しにくい案件で採用されることが多い傾向にあります。

メリットは、稼働時間に応じた適正な費用計算が可能な点です。一方で、どの程度の稼働時間となるのか依頼時に算出しにくく、稼働時間が増えると費用が高額になります。

離婚の弁護士費用のシミュレーション

ここでは、実際に離婚で依頼した際の弁護士費用をシミュレーションしてみます。

協議離婚

協議離婚を弁護士に依頼し、離婚が成立、財産分与300万円、不倫慰謝料100万円を獲得できたケースでシミュレーションします。

内訳 費用相場
着手金 30万円
報酬金 離婚成立に対して30万円

財産分与と不倫慰謝料の報酬金が40万円(400万円に対して経済的利益が10%)

100万円

離婚成立とは別に、経済的な利益が発生した場合は、獲得金額に対して10%の報酬金が発生します。

離婚調停

離婚調停を弁護士に依頼し、離婚が成立、親権と養育費を獲得したケースでシミュレーションします。

内訳 費用相場
着手金 30万円
報酬金 離婚成立に対して30万円

親権獲得に対して30万円

獲得した養育費の10%

90万円+獲得した養育費の10%

親権獲得に対する報酬金の相場は20~30万円程度です。

離婚裁判

離婚裁判を弁護士に依頼し、離婚が成立、親権、養育費、不倫慰謝料200万円を獲得したケースでシミュレーションします。

内訳 費用相場
着手金 40万円
報酬金 離婚成立に対して40万円

親権獲得に対して30万円

獲得した養育費の10%

不倫慰謝料の報酬金が20万円

130万円+獲得した養育費の10%

これらはあくまでもシミュレーションの一例であり、各法律事務所の料金体系によって異なります。

法律事務所によっては、さまざまな争点をまとめた離婚調停プランを提供している場合や、柔軟な支払い方法に対応している場合もあります。相談時に詳細を確認しましょう。

離婚の弁護士費用を安く抑えるポイント

弁護士費用は決して安価ではありません。そのため、「弁護士費用は高額だし依頼を諦めるしかない」と感じる人もいるでしょう。

しかし、工夫次第で弁護士費用を安く抑えることも可能です。ここでは、費用を安く抑えるポイントについて具体的に解説します。

複数の弁護士の見積もりを比較する

弁護士費用は各法律事務所によって異なります。複数の弁護士から見積もりを取り比較することで予算にあった弁護士を見つけられます

費用だけでなく、弁護士の対応や実績も含めて総合的に判断しましょう。

着手金無料・支払い方法が柔軟な弁護士を選ぶ

弁護士費用の中でも、依頼時に一括払いが原則となる着手金の負担は大きいです。

しかし、着手金が無料の法律事務所や、分割払いやクレジットカード払いに対応している弁護士も存在します。

相談時に分割払いなど支払い方法についても確認してみましょう。

ただし、着手金が無料の場合、報酬金が相場より高額に設定されていることもあるため、トータルでいくらかかるのか確認することが大切です。

法テラスを利用する

弁護士費用の負担が難しい人にとって法テラス(日本司法支援センター)は心強い味方です。法テラスとは、国が設立した法律相談センターです。

法テラスでは以下のサービスを提供しています。

  • 同じ案件3回まで無料法律相談が可能
  • 相場よりもリーズナブルな価格で弁護士に依頼が可能
  • 弁護士費用立て替え制度(民事法律扶助)が利用可能

例えば、離婚にかかる費用は以下の通りです。

協議離婚 8万6,000~13万円

経済的利益に対して10%

離婚調停 10万8,000~15万2,000円

経済的利益に対して10%

離婚裁判 26万6,000円

経済的利益に対して10%

民事法律扶助を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらい、月々5,000~1万円で分割払いが可能です。

ただし、利用には収入が一定以下などの条件があります。また、法テラス経由で弁護士に依頼した場合、弁護士を選ぶことはできません。

そのため、離婚案件の実績がある弁護士に当たるとは限らない点は注意が必要です。

離婚の争点を絞って依頼する

弁護士費用を抑えるコツの一つは、離婚の争点を絞って依頼することです。

例えば、離婚の成立や親権、慰謝料などすべてを依頼すると、それぞれに費用が発生します。

「親権の獲得が難しい」「慰謝料の獲得が難しい」など、特に争いがよそうされる部分や、自分で対応が難しい部分だけを弁護士に依頼するとよいでしょう。

ただし、親権や慰謝料など、希望通りの条件で離婚できるか見通しを立てるにも、法的な知識が必要です。

自分で判断するのは難しいため、弁護士に相談して方針を決めるのがおすすめです。

離婚がこじれる前に依頼する

協議離婚の弁護士費用は40~60万円程度ですが、裁判に発展すると60~120万円程度になります。

裁判の方が専門的な知識を求められるため、費用も高額となります。

そのため、離婚がこじれて裁判に発展する前に依頼して解決するのも、費用を抑えるポイントです。

有料相談を活用して自分で対処する

「弁護士費用がどうしても負担できない」「法テラスが利用できない」という場合は、最終手段として、有料相談を活用して弁護士のアドバイスを受けながら、自分で手続きを進める方法もあります。

自分で対応可能な範囲を進め、それでも解決が難しい場合は弁護士に依頼するのも一つの選択肢です。

ただし、離婚がこじれた段階から依頼すると、修正が効かないことや、かえって弁護士費用が高額となる可能性が高いため、注意が必要です。

法律事務所によっては、月額で一定期間弁護士が有料でアドバイスをしてくれるバックアッププランなどを提供している場合もあります。

依頼する前に、「そもそも今の状況は自分で離婚の手続きを進められるか?」「揉める可能性があるかどうか?」なども含めて、弁護士に相談した上で検討しましょう。

離婚は費用を負担しても弁護士に依頼すべき?

弁護士費用を安く抑えるポイントについて解説しましたが、それでも「弁護士費用が高い」と感じるのは自然なことです。

ネット上でも、「弁護士に依頼すべき」という意見を目にすることが多いですが、果たして離婚は費用を負担してでも弁護士に依頼するべきなのでしょうか?

協議離婚や離婚調停は弁護士なしでも対応可能

協議離婚や離婚調停は、弁護士に依頼しなくても手続きを進められます。

協議離婚は夫婦間で話し合いで合意できれば成立します。

離婚調停は家庭裁判所で調停委員を介して行う話し合いであるため、協議離婚と大きく変わりません。

確かに弁護士がいると以下のメリットがあります。

  • 協議離婚では、弁護士が配偶者と代理交渉を行い、直接会わずに手続きが進められる
  • 法律にもとづいた適切な条件での離婚が期待できる
  • 調停に同席し、法的な観点からその場で的確にフォローしてもらえる
  • 法律の専門家のサポートにより、精神的な負担が軽減できる

特に、相手が暴力的、モラハラ気質の場合、頑なに離婚を拒否したり、法外な要求をしてきたりすることがあります。

弁護士が間に入ることで、相手と交渉を行うことで、早期かつ適切な条件での離婚が実現する可能性が高まります

日本弁護士連合会の資料では、2022年に離婚調停を弁護士に依頼した人の割合は60.1%でした。

「自分で交渉が難しい」「相手が争う姿勢で時間がかかりそう」という場合には、弁護士への依頼を検討しましょう。

参考:夫婦関係調整調停事件における代理人弁護士の関与状況 – 日本弁護士連合会

【関連記事】離婚調停で弁護士は必要か|弁護士なしで調停を行う人の割合

離婚裁判は弁護士の必要性が高い

一方で、離婚裁判は弁護士に依頼した方が良いと言えます。裁判では、以下の理由から法的知識が必須となります。

  • 離婚を認めてもらうには、不倫などの「法定離婚事由」が必要になる
  • 証拠を提示して事実を立証する必要がある
  • 書面による反論が必要である

裁判と聞くと、口頭でやり合うようなイメージがあるかもしれませんが、相手の反論に対しても、書面を提出しなければなりません。

なお、前述の資料によると、離婚裁判を弁護士に依頼した人の割合は98.3%でした。

離婚裁判は自分で対応することも不可能ではありませんが、今から法律の知識を学んで裁判を行うのは現実的ではありません。

裁判まで発展する場合は、弁護士のサポートが結果に直結する可能性が高いため、弁護士への依頼をおすすめします。

弁護士に相談して判断するのがおすすめ

弁護士に依頼すべきかどうかは、「自分が離婚条件をどの程度譲れないのか」「相手が弁護士をつけているかどうか」などによっても左右されます。

特に相手が弁護士をつけている場合、対等に交渉し、不利な条件による離婚を回避するためにも、弁護士をつける必要性があるでしょう。

いずれもその時の状況や個々の事案によって異なります。そのため、「弁護士をつけるべきか迷う」という人は、まず弁護士に相談して依頼の必要性を確認するのがおすすめです。

「相談したら依頼を強制されるでは?」と不安に感じる人もいるかもしれません。

しかし、特に争いが少ない事案では、弁護士も無理に依頼を迫ることはありません。

むしろ無理に契約を取れば、弁護士にとっても、相談者や依頼者とトラブルの原因となるため、慎重に対応します。

万が一、強引に依頼を迫られた場合は、断りましょう

離婚で弁護士費用を支払う際の注意点

離婚で弁護士に依頼する際は、費用に少しでも不安がある場合、必ず事前に確認しましょう。

ここでは、離婚で弁護士費用を支払う際の注意点を解説します。

報酬金のシステムを理解しておく

弁護士費用の報酬は、依頼した案件の実現と、金銭的な利益を得た際に発生します。

報酬金は弁護士の成果に応じて支払うため、依頼案件を実現するほど、金銭的な利益を得るほど、費用が高額になります。

こうした報酬金の仕組みをよく理解しておくことが大切です。

手続きごとに費用が生じる場合がある

弁護士費用は、手続きごとに費用が発生する場合があります。

例えば、協議離婚から継続して離婚調停の対応も依頼する場合、協議離婚の費用とは別に、離婚調停の着手金が発生することがほとんどです。

着手金の半分の金額が追加料金として発生するケースが多いです。

費用の支払いタイミングを把握する

弁護士費用は、以下のタイミングで支払いを求められることが多いです。

内訳 支払いタイミング
着手金 依頼して契約書を締結した後
報酬金 依頼案件が解決して報酬が生じた後
日当 依頼案件が解決した後、もしくは出廷をした後

依頼案件が解決した後にすべての支払いが発生するわけではありません。また法律事務所によっても支払いのタイミングが異なるため、相談や依頼前によく確認しておきましょう。

離婚の弁護士費用に関するよくある質問

離婚の弁護士費用は誰が払う?

「離婚に至った原因は相手にあるのだから、離婚の弁護士費用は相手に支払わせたい」と考える人も多いでしょう。

しかし、離婚の弁護士費用は原則として自己負担です。相手が離婚原因を作ったとしても、弁護士に依頼するかどうかは個人の自由だからです。

ただし、裁判で不倫慰謝料の支払いが命じられた場合、命じられた慰謝料の10%程度を弁護士費用として相手に支払ってもらうことができます。

また、勝訴すれば相手に裁判費用の請求も可能です。

弁護士費用の高さは弁護士の能力に比例する?

弁護士費用についてよくある質問の一つが、「弁護士費用は弁護士の能力の高さに比例するの?」というものです。

確かに、依頼を受けた案件を確実によい結果に導けると自信があるのであれば、費用も高額に設定する弁護士がいるかもしれません。

しかし、「費用が高いから」「弁護士に依頼したから」必ずしも結果が保証されるわけではありません。

弁護士を選ぶ際は、実績はもちろん、相性や信頼感も重要です。

離婚問題は夫婦の不満から生じるものです。これまで不満を抱えてきた人が、離婚の手続きの時まで、自分と相性の悪い弁護士を選ぶ必要はありません。

実際に相談をしてみて、「丁寧に対応してくれる」「話を聞いてくれる」「信頼できる」と感じられる自分に合った弁護士を選びましょう

まとめ

離婚の弁護士費用は、事務所や手続き内容によって異なります。協議離婚や離婚調停は、弁護士なしでも進められる場合があります。

しかし、「離婚条件を譲りたくない」など強い希望がある場合や、相手が弁護士をつけている場合、事案によって揉めそうな場合は依頼が必要になることもあります。

自分で弁護士を付けた方がよいかどうか判断するのは難しいことがほとんどです。

そのため、「弁護士に依頼すべきかどうか」「今後の見通しはどうなるのか」といった内容をまず弁護士に相談した上で判断するのがおすすめです。

複数の法律事務所に相談し、信用できる弁護士を選びましょう。

当事務所でも、離婚のご相談を多数いただいております。様々な離婚のプランをご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)