離婚したくない人が弁護士に相談するメリット|無料相談の方法や費用
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配偶者から急に離婚を切り出され、「離婚したくない」「なんとか修復できないか」と焦っている人の中には、藁にも縋る気持ちで弁護士への依頼を考えている人もいるかもしれません。
離婚したくない場合でも、弁護士への相談や依頼は可能です。
この記事では、離婚したくない人が弁護士に依頼するメリットや無料相談をする方法、弁護士費用などについて解説します。
目次
離婚したくないときに弁護士に依頼するメリット
離婚したくないときに弁護士に依頼した場合、以下のようなメリットがあります。
- 離婚を避けるための法的なアドバイスが得られる
- 離婚調停に同席して的確な主張をしてくれる
- 離婚裁判への出席や対応を任せられる
- 夫婦関係が破綻していない証拠を提示できる
離婚を避けるための法的なアドバイスが得られる
弁護士に相談・依頼することで、離婚を避けるための法的なアドバイスを受けることができます。
片方が離婚を拒否している場合、最終的には裁判で離婚の可否が決定されます。
裁判に発展した場合、法律上の離婚理由である「法定離婚事由」がなければ、配偶者がどれほど希望しても離婚は認められません。
法定離婚事由には以下のものがあります。
不貞行為 | 配偶者が異性と肉体関係を持つなど不倫をすること |
悪意の遺棄 | 配偶者が正当な理由なく、夫婦の同居、協力、扶助義務に反した |
生死不明 | 配偶者の生死が3年以上明らかでない |
精神病 | 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
※2024年の民法改正により2025年には削除予定 |
その他婚姻を継続し難い重大な事由 | DVやモラハラ、性格の不一致、長期間の別居による婚姻関係の破綻、セックスレス、犯罪行為、過度な宗教活動、親族の不和など |
そのため、離婚原因と判断されるポイントを把握し、それを避ける行動を取ることが重要です。
離婚調停に同席して的確な主張をしてくれる
離婚を拒否すると、配偶者はまず離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停では、配偶者の離婚理由の理解やそれに対する改善策を提案し、修復の糸口を探る必要があります。
また、調停委員に共感してもらい配偶者を説得してもらうには、以下のような主張が重要です。
- 離婚しない方がよい・夫婦関係を修復した方がよいと思ってもらえるような事情を伝える
- 配偶者が訴えている点について、具体的な改善策を提案する
調停中に手紙で配偶者へ気持ちを伝える方法もありますが、いずれも自分の気持ちを整理して上手く伝えられなければ逆効果になる可能性があります。
弁護士に依頼すれば、調停に同席してその場で的確な主張をしてもらえるだけでなく、手紙の内容についてアドバイスを受けることも可能です。
離婚裁判への出席や対応を任せられる
離婚裁判に発展した場合でも、弁護士に依頼することで裁判への出席や書類による反論などの対応をすべて任せられます。
特に裁判では、書類を提出して反論を行うケースが多く、法的知識がなければ対応が難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。
離婚を求める相手に反論ができる
裁判に発展した場合は、離婚を求める側は、法定離婚事由が存在することを立証しなければなりません。
離婚したくない場合は、相手の主張が事実でない証拠を示し、反論を行うことになります。
弁護士に依頼することで、相手の主張を崩すための的確な反論をしてもらえます。
例えば、夫婦関係が破綻しているという主張に対しては、家族で旅行へ行き仲良く過ごしていたことや、別居中でも定期的に会って会話をしていた証拠を提示して反論することが考えられます。
しかし、このような反論は裁判が始まった後に準備しても間に合いません。
そのため、早期に弁護士に相談し、相手の主張に対応した証拠を集めておくことが重要です。
離婚したくない人が弁護士に無料相談する方法
離婚したくない人が弁護士に無料相談する方法は以下のとおりです。
- 無料相談に対応した弁護士に相談する
- 市区町村の法律相談を利用する
- 法テラスで相談する
無料相談に対応した弁護士に相談する
弁護士に法律相談をすると、おおよそ30分5,000円の相談料が発生するのが一般的です。
しかし、近年は初回相談に限り無料としている法律事務所も数多く存在します。こうした無料相談を活用するのがおすすめです。
また、市区町村役場の法律相談や法テラスと異なり、自分で離婚問題の実績が豊富な弁護士を選ぶことができます。
そのため、実績のある弁護士から専門的な回答が得たいという人におすすめの方法です。
市区町村役場の法律相談を利用する
弁護士に無料相談をしたい場合は、市区町村役場の無料法律相談を利用する方法もあります。
市区町村役場の法律相談のメリットは、弁護士の事務所に行くよりもハードルが低く、気軽に相談しやすい点です。
「法律事務所で弁護士と相談するのは緊張するから、馴染みのある市区町村役場で法律相談をしたい」という人におすすめです。
ただし、以下のデメリットもあるため、留意しておきましょう。
- 相談時間が役所の開庁している平日昼間であることが多い
- 相談担当の弁護士は弁護士会から派遣されるため、離婚問題が得意な弁護士を指名できない
- 法律相談は一般的な回答にとどまることが多く、専門的なアドバイスを求める人には向かない
法テラスで相談する
法テラスとは、国が設立した法律相談センターで、同じ問題について3回まで無料相談が可能です。
ただし、以下のようなデメリットがあるため、注意が必要です。
- 役所同様に担当する弁護士は選べない
- 利用には、収入が一定以下などの利用条件がある
法テラス経由で弁護士に依頼した場合は、弁護士費用を立て替えてもらえる民事法律扶助を利用できる可能性があります。
弁護士費用の負担が難しい場合は、法テラスの利用がおすすめです。
他にも、有料となりますが、各都道府県の弁護士会が提供する法律相談を利用する方法もあります。
【関連記事】無料で離婚相談ができる窓口3つ|離婚相談は誰にすべき?
離婚したくない場合の弁護士費用の相場
離婚を回避したい場合の弁護士費用の相場は、依頼する離婚の手続きによって以下の通り異なります。
- 協議離婚:40~60万円
- 離婚調停:60~80万円
- 離婚裁判:60~120万円
これは、依頼時に支払う着手金と、案件解決時に発生する報酬金を合わせた金額です。
また、財産分与や慰謝料の獲得、あるいは減額などの金銭的利益が生じた場合、得た金額や減額分に対して10~20%の成功報酬が発生することが一般的です。
法律事務所ごとに料金設定が異なるため、具体的な金額は依頼前に必ず確認しましょう。
離婚時の弁護士費用の内訳や費用を安く抑える方法については、以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】離婚にかかる弁護士費用はいくら?相場や内訳・安く抑えるポイント
離婚したくない人が弁護士を選ぶ際のポイント
離婚の回避を弁護士に相談したい人が、弁護士を選ぶ際に考慮すべきポイントは以下のとおりです。
- 離婚問題の取り扱いが豊富
- 相談者の話を聞いてくれる
- 異性の弁護士
- リスクやデメリットも説明してくれる
- 複数の弁護士に相談する
離婚問題の取り扱いが豊富な弁護士を選ぶ
離婚問題では、離婚を求めるよりも、離婚を回避する方が難易度が高くなります。
そのため、より専門性の高い離婚問題の取り扱い経験が豊富な弁護士を選ぶことが重要です。
離婚問題に注力している弁護士は、これまでの豊富な経験から、落とし穴となる部分を避けつつ、適切な反論や戦略を立てることができます。
弁護士の実績は、ホームページに記載されている紹介文や取り扱い分野、解決事例などから確認できます。
当事務所でも10年以上にわたり離婚問題に取り組んできた実績がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
相談者の話を聞いてくれる弁護士を選ぶ
離婚したくない人には、相談者の話をじっくり聞いてくれる弁護士を選ぶことがおすすめです。
離婚を回避する場合は、配偶者と修復するために、過去の出来事を整理する時間が必要です。
配偶者への今後の接し方、具体的な改善策、自分の主張を言語化していく上でも、傾聴や対話を重視する弁護士の方が、満足度が高いでしょう。
異性の弁護士を選ぶ
同様に、離婚したくない人は、異性の弁護士を選ぶことがおすすめです。
自分が意識せず、むしろよかれと思ってやっていた行動が、異性から見ると配偶者を傷つける行動だったり、モラハラだと受け取られたりする場合も少なくありません。
異性の弁護士であれば、配偶者と同じ視点に立ち、どのような接し方が良いのか具体的なアドバイスをもらうことができます。
リスクやデメリットも説明してくれる
離婚を回避するのは難しいケースが多く、弁護士が全力を尽くしても結果が依頼者の期待通りになるとは限りません。
最終的には、依頼者がどれだけ配偶者のために行動できるかにかかっています。
場合によっては、離婚が避けられないものとして考えなければならないこともあります。
離婚が回避できるまで戦う方法もありますが、費用や時間もかかります。
そのため、依頼者にとって都合のいい話ばかりでなく、リスクやデメリットについても説明し、幅広い選択肢を提示してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
複数の弁護士に相談する
離婚を回避するケースでは、一人の弁護士だけでなく複数の弁護士に相談することがおすすめです。
複数の視点からアドバイスをもらうことで、より適切な選択肢を見つけられる可能性が高まります。
最終的には、自分にとって信頼でき、相性の良い弁護士を選ぶことが重要です。
【関連記事】離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント
離婚したくないのに離婚を切り出された人がすべきこと
もし突然配偶者から離婚を切り出されたら、どのように対処すべきなのでしょうか。
ここでは、離婚したくないのに離婚を切り出された場合の対処法を解説します。
配偶者が離婚したい理由を確認する
もし配偶者から離婚を切り出された場合、まずはなぜ離婚をしたいのか理由を確認しましょう。
配偶者の言い分をしっかりと聞き、その事実を受け止めた上で、改善の意思と離婚をしたくないという気持ちを冷静に伝えることが大切です。
離婚を切り出す配偶者は、多くの場合、悩み抜いた末に離婚以外の選択肢がないと判断し、勇気を出して離婚を切り出しています。そのため、相手を責めるような言動は避けましょう。
なお、裁判では夫婦関係を修復できる可能性があるかどうかが離婚の判断材料になります。
離婚を拒否するのは前提として、夫婦関係の修復の意思があることを口頭や記録が残る方法で伝え、改善のための具体的な行動を示すことが重要です。
離婚届不受理申出を提出する
離婚届不受理申出とは、配偶者が勝手に離婚届を提出した場合に、それを受理しないよう役所に申請できる制度のことです。
この申出を役所に提出しておけば、配偶者が離婚届を勝手に提出しても受理されることを防ぐことができます。
万が一の事態に備えて、早めに離婚届不受理申出を役所に提出しておきましょう。
参考:不受理申出 – 横浜市
相手が有責配偶者であれば証拠を集める
有責配偶者とは、法定離婚事由に該当する離婚原因を作った配偶者のことです。有責配偶者からの離婚請求は、基本的に認められません。
そのため、相手に法定離婚事由がある場合は、その証拠を押さえることで、離婚が認められるのを防ぐことができます。
有責配偶者であることを証明する証拠は裁判の際に有効です。
裁判に発展してから証拠を集めるのは難しいため、協議の段階から裁判を見越して証拠を集めておくことが重要です。
【関連記事】不貞行為とはどこからどこまで?慰謝料や証拠を簡単に解説
別居は避ける
離婚したくない場合、極力別居は避けるようにしてください。別居をすると以下のようなリスクがあります。
- 別居期間が3~5年程度に及ぶと、夫婦関係が破綻していると判断され、離婚が認められやすくなる
- 別居期間を経て冷静になることで、離婚の意思が強くなる可能性がある
- 子どもと離れて暮らすと、親権の上で不利になる可能性がある
特に法定離婚事由がない場合、一定期間の別居を経て裁判で離婚を求める手法があります。
基本的には別居を避けるべきですが、別居に至っている場合には、離婚が認められるまでの最低でも3年程度の間に自分の欠点を改善し、夫婦関係修復の糸口を見つけることが重要です。
婚姻費用は払い続ける
法律上、夫婦はお互いに協力する義務や、生活費を分担する義務があります。
そのため、別居をした場合は、収入が多い側が少ない側に対して生活費(婚姻費用)を支払う義務があります(民法第760条)。
あなたの方が収入が多い場合は、相手が勝手に別居を開始したとしても、婚姻費用は支払い続けるようにしてください。
婚姻費用の支払いをやめてしまうと、夫婦の扶助義務に違反した「悪意の遺棄だ」「夫婦関係を修復する意思がない」などと相手から主張される可能性があるからです。
婚姻費用の負担は大きなものとなります。そのため、離婚が認められるまでに時間があるとはいえ、早急に弁護士に相談して対処しましょう。
専門家に相談する
夫婦関係の修復が難しい場合、一人で抱えずに専門家の力を借りることも重要です。
例えば、夫婦カウンセラーに相談することで、夫婦の性格や価値観を理解した上で、配偶者への接し方や関係修復の方法を模索できます。
また、弁護士に相談すれば、離婚を回避するためにどのような対策を講じるべきか、的確なアドバイスを得られます。
夫婦円満調停で話し合う
夫婦円満調停(夫婦関係調整調停)とは、家庭裁判所で調停委員を介して、夫婦の関係改善を冷静に話し合う調停のことです。
離婚調停の夫婦関係改善版ともいえるもので、どのように関係を修復できるかという観点から調停委員が様々なアドバイスを行います。
配偶者との話し合いが難しい場合や進まないような場合は、こうした手続きを利用する方法もあります。
ただし、調停への出席を強制することはできず、調停を行ったからと言って必ずしも夫婦関係が改善できるとは限らない点は留意しておきましょう。
離婚したくない人が弁護士にするよくある質問
離婚したくない場合の奥の手はある?
離婚したくない場合には、以下の方法を実践することが重要です。
- 険悪な状況が長期化する前に自分から素直になる
- 相手の目線に立ち、相手の考え方を尊重する
- 自分に悪い点があれば、しっかりと謝罪する
- 昔の価値観や考え方が通用しないことを理解する
- 相手に対して感謝の気持ちを伝えるようにする
これらは離婚を完全に防ぐ「奥の手」ではありません。そもそも離婚を決意した相手の気持ちを瞬時に変えることは不可能です。
相手に変化を求めるのではなく、あなた自身が変わる姿勢を示し、相手から「変わったね」と思われるように地道に努力することが信頼回復への第一歩です。
自分が悪いけど離婚したくない場合はどうしたらいい?
自分が不倫をしていたなど、有責配偶者である場合、離婚が回避できるかどうかは状況によります。
仮に相手が離婚を求めて裁判を起こしても、離婚原因の証拠がなければ、離婚は認められない可能性が高いです。
相手がまだあなたに愛情が残っている場合、話し合いの中で誠実に謝罪し、同じ過ちを繰り返さないと約束して、誓約書を作成する方法も考えられます。
一方で、相手が離婚原因の証拠を揃えている場合は、裁判で争っても不利になる可能性があります。
そのような場合、離婚を避けられないとしても、納得のいく条件を得られるよう弁護士と協力して準備を進めましょう。
離婚を拒否し続ける妻と離婚する方法はある?
離婚を拒否し続ける妻が何を望んでいるのかによって、離婚できるかどうかは異なります。
妻に法定離婚事由がなく、あなたにまだ愛情が残っているのなら、離婚するのは難しいでしょう。
一方で、女性の場合は、育児でキャリアが絶たれてしまい、離婚時に職場復帰できず経済的な不安から離婚したくてもできないケースもあります。
金銭的な理由であれば、財産分与や養育費を多めに支払ったり、持ち家に妻が住める環境を保障したりすることで、金銭不安を解消する方法があります。
そのような提案も受け入れてもらえない場合は、離婚調停を申し立てて協議を行い、それでも合意に至らない場合には、裁判で離婚の可否を判断してもらうことになります。
裁判でも離婚できない場合は、一定期間の別居が必要となりますが、婚姻費用の負担が生じる点には注意が必要です。
相手が離婚を拒否していても、弁護士が交渉することで、法的措置を懸念して離婚に応じてくれるケースもよくあります。相手が離婚に応じてくれない場合も、弁護士に相談してみてください。
まとめ
離婚したくないのに離婚を切り出された方は、一人で対峙しても対応を誤り、ますます溝が深まる可能性もあるため、弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所では開設から10年以上にわたり、数多くの離婚問題に向き合ってきた経験があります。
今後の対応方法や離婚を回避するためのポイント、見通しや方針などのアドバイスが可能です。
「別居を開始して、もう気持ちが離れてしまったかも…」と諦めずに、まずはご相談ください。