離婚「知っトク」ブログ

不貞行為した側にかかる弁護士費用は?依頼すべきケースやメリット

2026.06.04
  • その他

不貞行為をした側であっても、慰謝料請求や離婚問題について弁護士に相談することは可能です。

配偶者から高額な慰謝料を請求されている、弁護士費用を払ってまで依頼すべきか迷っているなど、不貞行為が発覚した後には費用や対応に関する不安が生じやすくなります。

この記事では、不貞行為をした側が弁護士に依頼したほうがよいケースやメリット、弁護士費用の相場、離婚をめぐる対応について解説します。

不貞行為をした側でも弁護士に依頼したほうがよいケース

不貞行為をした側であっても、慰謝料や離婚条件のすべてが相手の希望どおりに決まるとは限りません。

ここでは、不貞行為をした側が早めに弁護士へ相談・依頼したほうがよいケースを解説します。

配偶者から高額な慰謝料を請求されている

配偶者から高額な慰謝料を請求されている場合は、弁護士に依頼したほうがよいケースです。

不貞行為があったとしても、慰謝料の金額は一律に決まるわけではありません。

婚姻期間、不貞行為の期間や回数、夫婦関係の状況、子どもの有無、離婚に至ったかどうかなど、さまざまな事情をもとに判断されます。

離婚条件で大きな対立がある

不貞行為をきっかけに離婚の話が進んでいる場合、慰謝料だけでなく、財産分与や親権、養育費、面会交流などの条件も問題になります。

不貞行為をした側は、自分に非があることから、相手の要求をすべて受け入れなければならないと考えてしまうかもしれません。

しかし、財産分与や養育費、親権などは、不貞行為の有無だけで決まるものではありません。

離婚条件で大きく対立している場合は、相手の請求内容をそのまま受け入れるのではなく、法的に整理したうえで交渉を進めることが大切です

不貞相手にも慰謝料請求が及んでいる

配偶者が、不貞行為をした本人だけでなく、不貞相手にも慰謝料を請求するケースがあります。

この場合、自分と不貞相手のどちらがいくら負担するのか、不貞相手との間で求償の問題が生じます。

加えて、不貞相手が既婚者である場合には、相手の配偶者から慰謝料請求を受ける可能性もあります。

不貞相手にも慰謝料請求が及んでいる場合は、早めに弁護士へ相談し、請求関係や負担の範囲を整理しておくことが重要です。

裁判や調停に発展する可能性がある

相手との話し合いで解決できない場合、慰謝料請求の裁判や離婚調停に発展します。

裁判や調停では、主張したい内容を整理し、証拠に基づいて説明する必要があります。

そのため、不貞行為をした事実がある場合でも、慰謝料の金額や離婚条件について争える部分が残っていることは少なくありません。

裁判や調停に発展する可能性がある場合は、手続きが始まる前に弁護士へ相談しておくとよいでしょう。

【関連記事】離婚裁判で弁護士なしは危険?費用の相場とつけない場合の注意点

相手が弁護士をつけている

配偶者や不貞相手がすでに弁護士をつけている場合は、自分も弁護士への相談を検討したほうがよいでしょう。

相手方の弁護士から通知書が届くと、慰謝料の支払いや離婚条件について、法的な主張を含めた対応を求められます。

内容を十分に確認しないまま返答したり、感情的に連絡を取ったりすると、不利な発言や合意につながる可能性があります。

不貞行為をした側が弁護士に依頼するメリット

不貞行為をした側であっても、弁護士に依頼することで慰謝料や離婚条件について適切に対応しやすくなります。

ここでは、不貞行為をした側が弁護士に依頼する主なメリットを解説します。

慰謝料の減額交渉ができる

慰謝料の減額交渉では、請求額が妥当かどうかだけでなく、減額につながる事情を具体的に整理することが重要です。

  • 不貞行為の期間が短い
  • 不貞行為の回数が少ない
  • 不貞行為の前から夫婦関係が悪化していた
  • 不貞相手がすでに慰謝料を支払っている

弁護士に依頼すれば、請求額が妥当かどうかを確認したうえで、減額につながる事情を整理し、相手方と交渉を進めることができます。

離婚条件を有利に整理できる

不貞行為をきっかけに離婚する場合でも、すべての離婚条件が不貞行為だけで決まるわけではありません。

財産分与、親権、養育費、面会交流などは、それぞれ別の基準で検討する必要があります。

たとえば、財産分与は夫婦が婚姻中に築いた財産を清算する制度であり、不貞行為の有無だけで一方的に不利になるものではありません。

弁護士に依頼することで、慰謝料とその他の離婚条件を分けて整理し、法的に必要な範囲を超えた条件まで受け入れないよう対応できます。

相手との直接交渉を避けられる

不貞行為が発覚した後は、配偶者や不貞相手とのやり取りが感情的になりやすくなります。

当事者同士で直接連絡を取り続けると、相手を刺激してしまったり、その場の空気に流されて不利な条件を受け入れてしまったりするおそれがあります。

加えて、LINEやメールで不用意な発言をすると、後から交渉や調停、裁判で不利に扱われる可能性もあります。

弁護士に依頼することで、感情的な衝突を防ぎながら、冷静に話し合いを進められます。

裁判や調停になっても対応できる

調停や裁判では、期日への出席、書面の提出、相手方の主張への反論、資料の準備など、通常の話し合いとは異なる対応が必要になります。

不貞行為をした側が一人で対応すると、どの主張に反論すべきか、どの資料を提出すべきか判断しにくい場面も少なくありません。

弁護士に依頼していれば、裁判所での手続きに沿って対応を進められるため、調停や裁判に移行した場合でも落ち着いて対応しやすくなります。

精神的な負担を軽減できる

不貞行為が発覚した後は、慰謝料をいくら支払うことになるのか、離婚を避けられるのか、裁判になる可能性があるのかなど、多くの不安を抱えやすい状況です。

弁護士に相談すれば、現在の状況をもとに、慰謝料の見通しや今後の対応方針を整理できます。

今後起こり得る流れを把握したうえで対応できるため、一人で悩み続ける負担を軽減できます。

不貞行為をした側が負担する弁護士費用の相場

不貞行為をした側が弁護士に依頼する場合、費用は依頼する内容や手続きの段階によって異なります。

弁護士費用には、主に以下のようなものがあります。

  • 相談料:30分5,500円〜1万円程度
  • 着手金:10万〜30万円程度
  • 報酬金:減額できた金額の10〜20%程度
  • 実費:数千円〜数万円程度
  • 日当:1日または1回の出廷ごとに数万円程度

法律事務所によっては、初回相談を無料としている場合もあります。

慰謝料の減額交渉だけでなく、離婚協議、離婚調停、裁判まで依頼する場合には、費用が高くなる傾向にあります。

弁護士費用は法律事務所によって異なるため、依頼前に費用体系を確認しておくことが大切です。

不貞行為の裁判費用は誰が払う?

不貞行為をめぐる慰謝料請求や離婚問題が裁判になった場合、裁判所に納める費用や弁護士費用が発生します。

ここでは、不貞行為の裁判費用と弁護士費用の違いや、それぞれを誰が負担するのかについて解説します。

裁判費用と弁護士費用の違い

裁判費用とは、裁判所に手続きを申し立てる際に必要となる費用のことです。

たとえば、慰謝料請求訴訟では、訴状に貼る収入印紙代や、裁判所から書類を送るための郵便切手代などがかかります。

一方で、弁護士費用は、弁護士に相談・依頼するための費用です。

相談料、着手金、報酬金、日当、実費などが含まれます。

裁判費用と弁護士費用は別の費用であるため、誰が負担するのかも分けて考える必要があります。

不貞行為の裁判費用は原則として敗訴者が負担する

民事裁判では、訴訟費用は原則として敗訴者が負担します。

民事訴訟法第61条でも、訴訟費用は敗訴の当事者が負担すると定められています。

ただし、実際には裁判を起こす側が、収入印紙代や郵便切手代をいったん支払って手続きを進めます。

不貞慰謝料の裁判では、すべて勝ったか負けたかだけで決まるのではなく、認められた請求額や判決内容によって費用負担が変わります。

弁護士費用は原則として各自が負担する

相手に慰謝料請求をされた場合でも弁護士費用は、基本的に依頼した本人が負担します。

不貞行為を理由とする慰謝料請求では、判決で弁護士費用の一部が損害として認められることもあります。

しかし、実際に認められるとしても、支払った弁護士費用の全額ではなく、慰謝料額の一部に限られるのが一般的です。

不貞行為をした側が離婚したい場合の対応

不貞行為をした側から離婚を求める場合、夫婦で合意できるか、裁判で離婚を求めるのかによって対応が変わります。

ここでは、不貞行為をした側が離婚したい場合に知っておきたい考え方や、離婚が認められやすいケース・認められにくいケースを解説します。

不貞行為をした側から離婚を求めることはできる?

不貞行為をした側からでも、配偶者に離婚を求めること自体は可能です。

夫婦が話し合いで合意できれば、協議離婚によって離婚できます。

一方で、配偶者が離婚に応じない場合、最終的には裁判で離婚を求めることになります。

裁判で離婚が認められるには、不貞行為や悪意の遺棄、その他婚姻を継続し難い重大な事由に定める離婚原因が必要です民法第770条)。

離婚が認められやすいケース

不貞行為をした側からの離婚請求でも、夫婦関係がすでに修復困難な状態にある場合には、離婚が認められる余地があります。

  • 長期間の別居が続いている
  • 夫婦としての交流がほとんどない
  • 未成熟の子どもがいない
  • 離婚によって相手が過酷な状況に置かれない
  • 生活費や住まいなど、離婚後の条件について一定の配慮がされている

不貞行為をした側は、単に離婚したいと主張するだけでなく、夫婦関係がすでに破綻していることや、相手に不利益が集中しない条件を整理する必要があります

【関連記事】離婚できる5つの条件|必要な別居期間や書面化までの流れ

離婚が認められにくいケース

夫婦関係がまだ修復できる状態にある場合や、別居期間が短い場合には、不貞行為をした側からの離婚請求は認められにくくなります。

他にも、次のようなケースが挙げられます。

  • 未成年の子どもがいて生活環境への影響が大きい
  • 配偶者が離婚を強く拒否している
  • 不貞行為が主な原因で夫婦関係が悪化した
  • 離婚後に配偶者の生活が大きく不安定になる

有責配偶者からの離婚請求では、離婚を求める側の事情だけでなく、相手方や子どもへの影響も重視されます。

不貞行為をした側が離婚したくない場合の対応

不貞行為をした側であっても、相手から離婚を求められたら必ず応じなければならないわけではありません。

ここでは、不貞行為をした側が離婚したくない場合に整理すべきことや、離婚を避けるための対応を解説します。

まずは離婚原因や状況を整理する

離婚したくない場合は、まず配偶者が離婚を求めている理由や、現在の夫婦関係を整理する必要があります。

配偶者が離婚を求めている理由が不貞行為だけなのか、それ以前から夫婦関係に問題があったのかによって、対応の方向性は変わります。

離婚を拒否したい場合は、単に離婚したくないと伝えるだけでなく、夫婦関係を続けられる事情や、修復に向けてどのような対応ができるのかを整理することが大切です。

離婚を拒否できるケース

協議離婚や離婚調停では、夫婦双方の合意がなければ離婚は成立しません。

そのため、不貞行為をした側であっても、離婚に合意しなければ、話し合いや調停だけで離婚が決まることはありません。

一方で、配偶者が裁判で離婚を求めた場合には、不貞行為が裁判上の離婚原因として扱われます。

離婚を拒否したい場合は、夫婦関係が完全に破綻していないことや、婚姻関係を続ける意思があることを具体的に示す必要があります。

離婚を避けるためにすべきこと

離婚を避けたい場合は、配偶者の離婚請求に対して感情的に反論するのではなく、今後の対応を冷静に整理することが重要です。

  • 離婚届に安易に署名押印しない
  • 不貞相手との関係を完全に断つ
  • 配偶者に対して必要な範囲で謝罪する
  • 慰謝料や生活費について誠実に話し合う
  • 別居している場合は婚姻費用の支払いを放置しない

不貞行為をした側が離婚を避けたい場合、相手に対して修復の意思を示すだけでは足りません。

不貞相手との関係を清算し、生活費や子どものことなど、配偶者が不安に感じている部分に具体的に対応することが必要です。

弁護士に依頼するメリット

不貞行為をした側が離婚したくない場合、弁護士に依頼することで、離婚を拒否できる見通しや今後の対応方針を整理できます。

協議離婚や調停離婚では合意が必要であり、相手の希望だけで離婚が成立するわけではありません。

弁護士に依頼すれば、裁判になった場合のリスクを踏まえつつ、離婚を回避するためにどのような主張や対応が必要かを確認できます。

「必ず勝てる」という説明には注意する

不貞行為や離婚問題では、必ず離婚を回避できる、絶対に慰謝料を払わずに済むといった説明には注意が必要です。

離婚が認められるかどうか、慰謝料がいくらになるかは、夫婦関係の状況、不貞行為の内容、証拠、別居期間、子どもの有無などによって変わります。

そのため、具体的な事情を確認しないまま、結果を断定する説明は慎重に受け止めるべきです。

弁護士に相談する際は、有利な話だけでなく、不利な事情や裁判になった場合の見通しまで説明してくれるかを確認しましょう。

不貞行為について嘘をつかない

離婚したくないからといって、不貞行為について嘘をつくのは避けるべきです。

不貞行為の期間、回数、不貞相手との関係、発覚した経緯などを隠すと、弁護士が正確な見通しを立てられません。

配偶者がすでに証拠を持っている場合、あとから事実と異なる説明が明らかになると、交渉や調停で信頼を失う原因になります。

証拠や事実を正確に伝える

弁護士に相談する際は、自分に有利な事情だけでなく、不利な証拠や事実も正確に伝える必要があります。

  • 配偶者から届いた通知書
  • 離婚や慰謝料請求に関するLINEやメール
  • 不貞相手とのやり取り
  • 子どもや生活費に関する状況

弁護士には事実を正確に伝えたうえで、離婚を回避できる見通しや、慰謝料・婚姻費用などへの対応を相談しましょう。

費用体系を事前に確認する

不貞行為をした側の相談では、慰謝料請求への対応だけでなく、離婚協議、離婚調停、裁判対応まで必要になるケースがあります。

相談時には、相談料や着手金、報酬金のほか、次の点を確認しておくと安心です。

  • 実費や日当の有無
  • 調停や裁判に移行した場合の追加費用
  • 途中で依頼内容が変わった場合の費用

費用の説明を受けたうえで依頼することで、弁護士費用に関する不安を減らしながら対応を進めやすくなります。

不貞行為をした側の弁護士費用に関するよくある質問

慰謝料請求の弁護士費用を相手に請求できる?

不貞行為をした側が、慰謝料請求への対応を弁護士に依頼した場合、弁護士費用は基本的に自分で負担します。

なお、不貞行為をされた側が裁判で慰謝料を請求する場合には、弁護士費用相当額の一部が損害として考慮される余地があります。

不貞行為を認めていても弁護士は依頼できる?

不貞行為を認めている場合でも、弁護士に依頼できます。

不貞行為をした事実と、慰謝料の金額や支払方法、離婚条件をどのように決めるかは別の問題です。

まとめ

不貞行為をした側であっても、慰謝料請求や離婚問題について弁護士に相談することは可能です。

弁護士に依頼すれば、慰謝料の減額交渉や離婚条件の整理、相手との交渉、調停・裁判への対応を任せられます。

不貞行為をした側から離婚を求めたい場合や、反対に離婚したくない場合でも、夫婦関係の状況や証拠、今後の見通しを踏まえて対応を考えることが大切です。

不貞行為をした事実があっても、慰謝料の金額や離婚条件がすべて相手の希望どおりに決まるわけではありません。

請求内容や今後の対応に不安がある場合は、早めに弁護士へ相談することを検討しましょう。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)