【離婚と離縁】連れ子がいて離婚する場合に気を付けること
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1 離婚しても離縁されない?
結婚する相手に連れ子がいる場合,結婚と同時にその連れ子とも養子縁組をするということは多いです。
また,婿養子に入る場合,結婚相手の両親と養子縁組をすることになります。
こうした場合,養子縁組は離婚をきっかけに行われているので,離婚すれば自動的に養子縁組が解消(離縁)されると誤解している方もいらっしゃいます。
しかし,結婚と養子とは別の制度ですので,離婚しても自動的に離縁されるわけではありません。養子の戸籍は,養親の戸籍に入ったままです。
そこで,①離婚した後も養子縁組をしたままであるとどのようなことが起きるのか,②離婚後に離縁するにはどうしたらいいのか,について解説いたします。
2 離婚した後も養子縁組をしたままだとどうなる?
(1)養育費
離婚した後も未成年者の養子がいる場合,養育費を支払わなくてはなりません。なお,養育費の金額は,養子であっても実子と変わりません。
(2)面会交流
血のつながっていない養子であっても,親子です。それまでの関係性からして,面会交流をすることが子供のためになる場合は,面会交流が認められることになります。
(3)相続
離婚した後も離縁していなければ,親子関係は存続します。
したがって,養子には養親を扶養する義務がありますし,養親が死亡したときには相続権があります。実子と養子との間で相続権に差はありません。
3 離縁の方法
(1)離縁手続
養子縁組を解消し,親子関係を消滅させるには,離縁手続が必要となります。離縁は,養親と養子との間で行われる手続ですが,養子が15歳未満の場合には離縁後の法定代理人(連れ子を養子にした場合は,その実親が法定代理人となる場合が多いでしょう)が養子を代理して当事者となります。
(2)離縁手続の種類
離縁には,①協議離縁,②調停離縁,③裁判離縁の3つがあります。
①協議離縁は,養親と養子との話し合いによって離縁の合意が得られた場合の手続きです(離縁届を役所に提出して行います)。
②調停離縁は,養親と養子との話し合いで合意が得られなかった場合に,家庭裁判所の調停制度を利用して話し合い,合意を目指す手続きです。
③裁判離縁は,調停でも話し合いがまとまらなかった場合に,裁判によって離縁を求める手続きです。
なお,養親または養子の一方が死亡している場合に,生存している一方が養子縁組を解消したい場合は,家庭裁判所の許可を受けて離縁することになります。
(3)裁判で離縁が認められるのはどんなとき?
裁判離縁は話し合いで離縁の合意ができなかったにもかかわらず,裁判官が離縁をさせるものですから,一定の条件が必要とされています。
具体的には,①悪意の遺棄,②3年以上の生死不明,③縁組を継続し難い重大な事由がある場合に,裁判離縁が認められます(民法814条)。
結婚を理由に連れ子と養子縁組をしたものの,離婚したという場合は離縁も認められます。③縁組を継続し難い重大な事由があると認められるからです。
(4)離縁後の戸籍
離縁が成立すると,養子は養親の戸籍から除籍され,1つ前の戸籍に戻ることになります。