離婚「知っトク」ブログ

離婚調停とは|離婚調停の流れや申立方法や期間をわかりやすく解説

2024.08.02
  • 離婚手続

話し合いで離婚が決まらない場合は、離婚調停を利用して離婚を目指すことになります。

夫婦間で感情的になり進まなかった話し合いも、調停委員を介して行うことで、スムーズに解決でき、離婚できる可能性があるでしょう。

この記事では、離婚調停について下記の点を解説します。

  • 離婚調停の流れと申し立て方法
  • 離婚調停にかかる期間
  • 離婚調停が不成立になったら?
  • 離婚調停は女性が有利って本当?

離婚調停がどのような手続きなのか、基本をしっかり理解して準備しておくことが大切です。

離婚調停とは

離婚調停とは、夫婦間の問題について、家庭裁判所で話し合う手続きのことです。

第三者である調停委員を介して、離婚や親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割、慰謝料などの離婚条件の話し合いを行い、解決を目指します。

正式名称は、夫婦関係調整調停と言い、離婚の話し合いのほか、夫婦関係を円満にするための話し合いでも利用されます。

また、調停には離婚調停のほか、個々の離婚条件に付いて話し合うための調停も存在します。

例えば、婚姻費用分担請求調停や養育費の調停などです。離婚をする際は、基本的に離婚調停でこれらの内容について話し合います。

離婚調停のメリットデメリット

夫婦双方の話し合いで合意が得られれば、離婚届を提出することで離婚を成立させることができるでしょう。

一方で、話し合いで離婚が成立しなかった場合は、離婚調停を申し立てて、離婚の成立を目指すことになります。

ここでは、離婚調停のメリットデメリットを解説します。

メリット

離婚調停で話し合いを進めるメリットは下記の通りです。

  • 調停委員という第三者が仲介するため、冷静な話し合いが可能
  • 裁判に比べて、費用や時間がかからない
  • 当事者間で合意ができれば、裁判よりも柔軟な解決ができる

夫婦が直接顔を合わせて話し合いをするとなると、どうしても揉めてしまい、話し合いが進まないということもあるでしょう。

離婚調停の場合は、第三者である調停委員が、夫婦別々に双方の主張を聞いて、条件などについてすり合わせを行います。

そのため、夫婦で直接話し合うよりは、冷静な話し合いができるメリットがあります。

また、裁判は裁判官が離婚を判断しますが、調停は双方の話し合いです。

当事者で合意ができれば、裁判よりも費用や時間をかけずに、柔軟な解決ができます。

デメリット

一方で離婚調停には下記のようなデメリットもあります。

  • 調停にかかる時間が長引くことがある
  • 感情的な対立が激しい場合、解決が難しいこともある
  • 合意に至らなければ、調停不成立となり他の方法を検討する必要がある

先述した通り、調停はあくまでも話し合いの場です。

そのため、感情的な対立が激しく、双方が譲歩しなければ、離婚まで時間がかかることになります。

場合によっては、調停が不成立となり、再度直接の話し合いで離婚を目指すか、裁判を申し立てることになります。

離婚調停の流れと申立て方法

離婚調停は下記のような流れで進行します。

  1. 必要書類を準備する
  2. 家庭裁判所に申立てを行う
  3. 調停期日の通知書が届く
  4. 第一回目の調停期日
  5. 第二回目以降の調停期日
  6. 調停終了

ここでは、離婚調停の流れと申し立て方法について解説します。

必要書類を準備する

離婚調停は、必要書類を準備して、家庭裁判所に申し立てることになります。

申し立てに必要な書類は下記の通りです。

  • 離婚調停申立書:調停の申し立てに必要な書面で、自分用、裁判所用、相手に送付する用と3通作成する。
  • 3ヶ月以内に発行された夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 陳述書:自分の考えや伝えたいことをまとめた書類
  • 進行に関する照会回答書:調停の際に参考とするための確認事項を記した書面。相手の暴力の有無や調停期日、裁判所への要望などについて
  • 事情説明書:調停で対立する可能性のある事柄や、それぞれの収入や財産状況、不仲になった経緯などを説明する書類
  • 子についての事情説明書:子どもについて、主な監護者や子どものことで心配なことや要望などを説明する書類
  • 送達場所届出書:裁判所の書類を届ける住所の申請や連絡先に関する書類
  • 非開示の希望に関する申出書:申立人が提出した書類のうち、相手に開示したくない情報がある場合に一緒に提出する書類

いずれも、裁判所のホームページからダウンロードが可能ですし、家庭裁判所の事件受付窓口などで受け取ることもできます。

また、相手が暴力をふるう場合なども、こちらの情報が相手にバレないように意見書を添えることができるので安心です。

それぞれの書類については、裁判所によって微妙に書式が異なるため、申し立てる家庭裁判所のホームページから確認やダウンロードをしましょう。

もしわからない場合は、家庭裁判所で直接確認すれば優しく教えてくれます。

なお、調停で話し合う親権や財産分与などがあれば、都度話し合いに必要な書類を用意します。

例えば、財産分与の場合は、預金通帳の写しや不動産登記事項証明書などの夫婦の財産がわかる書類が必要です。

参考:夫婦関係調整調停(離婚)|裁判所

横浜家裁家事部

家庭裁判所に申立てを行う

必要な書類が準備できたら、相手の住所を管轄とする家庭裁判所に申し立てます。

自分が神奈川県に住んでいて、相手が東京に住んでいる場合は、相手の住まいを管轄する東京の家庭裁判所に申し立てることになります。

ただし、調停を行う家庭裁判所について相手と取り決めがある場合は、申立書に管轄合意書という書類を添えて提出し、指定の家庭裁判所で調停を行うことも可能です。

参考:裁判所の管轄区域|裁判所

調停期日の通知書が届く

離婚調停を申し立てると、申し立てから約2週間前後で、第一回の調停期日の通知(呼出状)が、申立人と相手に対して届きます。

第一回の調停期日は、申し立て後約1~2ヶ月後に指定されるケースが多いです。通知書に記載された期日に、家庭裁判所に行くことになります。

第1回目の調停期日

期日になったら、家庭裁判所に行って調停を行います。

裁判所で話し合いを行うと聞くと、法定のような場所で話し合うイメージがあるかもしれません。

離婚調停は、それぞれ別の控室に待機している夫婦が交代で調停室に入り、調停委員がそれぞれの話を聞く形で進行します。

そのため、相手と顔を合わせなくて済み、相手から話を遮られたりすることなく、自分の気持ちを伝えることができるでしょう。

調停室には、男女1名ずつの調停委員がおり、裁判官が同席することもあります。

1回の調停にかかる時間は約2時間ほどで、30分を目安に夫婦が交代します。

第2回目以降の調停期日

調停がスムーズに進めば、一度の期日で離婚調停が成立することもありますが、合意に至らない場合は、第2回目の調停期日が設定されます。

2回目の調停期日は、第1回目の1ヶ月から1ヶ月半後となるケースが多いです。

必要な資料があれば、次の期日までに準備が必要となります。

このように、双方合意する条件となるまで、調停委員との面談を続け、合意を目指していきます。

調停終了

離婚調停の中で、双方が合意に至れば、離婚成立で調停は終了します。

離婚調停が終了する際は、調停で取り決めた内容が調停調書という書面としてまとめられ、交付されます。

調停調書は、裁判の確定判決と同じ法的効力があり、合意内容にしたがう義務があります。

決められた支払いを怠ることがあれば、差し押さえも可能となるため、内容に誤りや記載漏れがないかしっかり確認しましょう。

調停が成立した後は、調停成立日から10日以内に、離婚届に調停調書を添えて役所に提出すれば、離婚が成立します。

離婚調停を進める上でのポイント

離婚調停を進める上でのポイントは、調停委員に共感してもらって、味方にすることです。

調停委員は中立的な立場ではありますが、それゆえこちらの味方になるとは限りません。

また、日本調停協会連合会の統計によると、調停委員の約60%が60代です。

そのため、世代的な価値観を持っている可能性があります。

自分の気持ちを上手く伝えられないことで理解を得られずに、悔しい思いをすることもあるでしょう。

自分の正当性を主張するために相手の欠点ばかりをあげつらっても、調停委員の理解は得られません。

調停委員に理解してもらうには、自分の気持ちや希望、なぜそう思うのかの根拠を、具体的なエピソードを含めて説明して、説得する気持ちで臨むことが重要です。

自分の希望を実現するためにも、調停を行うまでに、ある程度自分の希望や主張を整理しておきましょう。

離婚調停の成立までにかかる期間

離婚調停の成立までにかかる期間はケースバイケースで異なりますが、一般的には数ヶ月から半年程度でまとまるケースが多いです。

司法統計によると、2022年に行われた離婚調停の審理期間は6ヶ月以内、実施された期日は2回が最多でした。

一方、複雑なケースでは、1年以上かかることもあります。上記統計によると、約10%が1年を超えて審理しています。

参考:司法統計|裁判所

離婚調停が不成立だった場合はどうなる?

もし離婚調停で離婚に至らない場合はどうなるのでしょうか?

ここでは、離婚調停の不成立についてと、不成立になった場合の対応について解説します。

離婚調停の「不成立」とは

離婚調停で合意に至らなかった場合、調停は不成立となります。

調停が不成立となるのは下記のようなケースです。

  • 相手が一度も離婚調停に出席しない場合
  • 調停を重ねても合意の見込みがなく、裁判官や調停委員が不成立だと判断する場合
  • 相手が不倫やDVなどの離婚原因について認めない場合 など

相手が一度も離婚調停に出席しない場合は、そもそも調停を行っても無駄だと判断されて、調停が終了します。

調停を重ねても合意の見込みがない、もしくは当事者同士が早く裁判に移行したいと考えていれば、早い段階で調停を不成立にすることもあります。

なお、調停を申し立てずにいきなり離婚の裁判を申し立てることはできません(家事事件手続法第257条)。

家庭の問題については、まず話し合いで解決を探るべきであるという法律の考え方があるからです(調停前置き主義)。

そのため、この後裁判をするには、調停が不成立となった証として作成される離婚調停不成立調書を貼付して申し立てる必要があります。

不成立になった後の対応

調停が不成立になった場合は、次の対応が考えられます。

  1. 再度話し合いで離婚を目指す
  2. 再度離婚調停を申し立てる
  3. 裁判で離婚を決める

双方で意見が対立しており、話し合いで離婚を目指すのが難しい場合は、裁判を申し立てることになるでしょう。

不成立になる割合

2022年の司法統計によると、離婚調停が不成立になった割合は約27.9%でした。

  • 総数:3万4,723件
  • 調停成立:1万5,227件で割合は43.9%
  • 調停不成立:9,680件で割合は27.9%
  • その他(取り下げや終了など):9,816件で割合は28.3%

※円満調停や婚姻費用の調停を除いた離婚調停のみ

参考:司法統計|裁判所

離婚調停にかかる費用

実際に離婚調停を申し立てた場合、いくらくらい費用がかかるのか解説します。

申立て費用

離婚調停の申し立てにかかる費用は下記の通りです。

  • 離婚調停の申し立てにかかる費用:1,200円(※収入印紙で支払う)
  • 当事者に郵便物を郵送するための切手代:横浜家裁の場合は100円×2枚、82円×8枚、10円×8枚、2円×10枚、1円×4枚 合計960円分

収入印紙とは、税金や手数料を徴収するために政府が発行する証票のことで、見た目は切手のようなものです。コンビニや郵便局で購入して、申立書に貼って提出します。

弁護士費用

離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用は下記の通りです。

  • 相談料:0~5,000/30分
  • 着手金:依頼時に発生する費用で相場は20~50万円
  • 報酬金:調停が終了時に発生する成功報酬金で相場は30~50万円、他に財産分与などの金銭的な利益があれば、獲得した金額に対して10%

一般的な相場は、おおよそ50~100万円です。ただし、各法律事務所によっても料金体系は異なります。

また、財産分与や婚姻費用、慰謝料などを獲得した場合は、それぞれの獲得金額に対して10%の成功報酬が発生するケースが多いです。

当事務所の場合は、ご契約の流れ/報酬についてを参考にしてください。法律事務所によっても支払い方法が異なるため、相談時に確認するのがおすすめです。

離婚調停でよくある質問

ここでは、離婚調停でよくある質問に回答します。

円満調停とはなんですか?

夫婦円満調停とは、夫婦関係の修復を目的とした調停です。

調停を申し立てる方法や流れ、話し合いを行う点は、離婚調停と同じですが、唯一異なるのは離婚前提ではなく、夫婦の関係改善を目指して話し合いが行われる点です。

円満調停では、夫婦の話を聞いた調停委員から助言を受けながら、どのように改善していくのか考えます。

円満調停は、離婚を迷っている場合にも利用可能です。そのまま離婚で一致すれば、離婚条件について話し合いができます。

参考:夫婦関係調整(円満)調停を申し立てる方へ|裁判所

離婚調停は女性が有利って本当?

離婚調停は中立的な立場で行われるため、性別による有利不利はありません。

男女1名ずつの調停委員が公平に話を聞いて進めてくれます。

ただし、親権においては女性が有利な傾向にあります。

これは現代の日本においても、母親が主に育児を担っているケースが多く、こうした実情や子どもの利益を考えて総合的に判断されるためです。

離婚調停の不成立と取り下げの違いは?

離婚調停が終了するケースには、調停の不成立と取り下げがあります。

離婚調停が不成立に終わるのは、調停で合意に至らなかった場合や、そもそも相手が調停に出席しなかったような場合です。

申立人の気持ちが変わって離婚の話し合いをやめたい場合は、申立人の希望で調停の申し立てを取り下げることができます。

まとめ

離婚調停は、夫婦間の問題を解決するための重要な手続きです。

離婚調停のメリットやデメリットを理解して、適切な準備を行うことが成功の鍵となります。

また、調停が不成立の場合も、次のステップを見据えて対応することが重要です。

離婚調停は弁護士に依頼せずに、自分で対応することも可能です。

ただし、調停委員は中立の立場であるため、味方になってくれるとは限りません。自分の思いを上手く伝えられないこともあるでしょう。

弁護士法人なかま法律事務所では、離婚調停についてもアドバイスを行っています。

「調停を上手く進められそうにない」「不安」という人は、お気軽にご相談ください。