離婚調停で勝つには?女性が有利?知っておくべきポイントや注意点
- 離婚手続
離婚調停に勝ち負けはありません。「女性の方が有利」と言われることもありますが、離婚調停では、調停委員が中立の立場で双方の主張を整理します。
そのため、希望の条件で離婚を成立させるためには、自分の主張を明確にし、しっかりと準備をしておくことが重要です。
この記事では、離婚調停で自分が望む結果を得るために知っておくべきポイントや注意点などについて解説します。
離婚調停で勝つには?知っておくべきポイント7つ
①自分の主張を明確にする
離婚調停では、調停委員が間に入り、中立の立場でお互いの主張を整理します。
そのため、そもそも希望する条件を明確に伝えないと、自分が望んでいる結果にはならないでしょう。
離婚の話し合いでは、配偶者の愚痴や婚姻生活の苦労話など、どうしても感情的な部分を話してしまいたくなります。
しかし、そういった話に時間を使い過ぎると、自分が望む条件などを明確に伝える時間がなくなってしまいます。
離婚調停はおおむね2時間程度で行われます。
調停委員と話せる時間は限られていますので、自身の主張を明確に伝えられるように、事前にメモなどを用意しておくのもよいでしょう。
②陳述書を作成して主張を整理しておく
事前に陳述書を作成し、自分の主張を整理しておくこともおすすめです。
陳述書は、離婚調停申立書や事情説明書など、離婚調停を申し立てる際に提出する書類では説明しきれない部分を補足するような意味合いで提出する書類です。
陳述書を作成する際は、決まったフォーマットはなく、書き方も自由です。一般的には、次のような項目を記載します。
- 当事者の情報:お互いの氏名・年齢・住所、子どもの名前・年齢・学校名など
- 職業に関すること:お互いの勤務先や年収 など
- 離婚調停に至った経緯:離婚したい理由や出来事 など
- 最終的に自分が望むこと:希望する離婚条件
上記のような項目について、事実に基づいて時系列ごとにわかりやすく記載します。
なるべく長文にはならないように、伝えたいポイントを箇条書きなどで書くのがおすすめです。
また、陳述書の提出は任意です。調停委員にうまく伝えられるか不安、という方は作成してもよいでしょう。
③主張を裏付ける証拠を用意する
相手に不倫やDVなどの有責行為がある場合、確たる証拠を提出することで、離婚調停を有利に進められる可能性があります。
離婚調停で証拠の提出は必須ではありませんが、自分の主張を通すための根拠として、証拠は用意したほうがよいでしょう。
例えば、不倫が原因で離婚や慰謝料の請求をしても、証拠がなければ、本当に不倫の事実があったのかどうか判断ができません。
また、離婚調停が不成立となり、裁判に進んだ場合は、さらに証拠の重要性が増します。
裁判では、証拠をもとに事実を認定するため、証拠がないと自身の主張が認められない可能性が高いです。
どんなものが有力な証拠になるのかは、一般の方だと判断が難しい部分もあります。不安な方は、一度弁護士に相談するのがよいでしょう。
④不利な発言をしないよう気を付ける
離婚調停では、自分が不利になるような発言をしないことも大切です。
不利になる発言とは、具体的には次のような発言になります。
- 嘘や矛盾している発言
- 根拠のない・具体的ではない発言
- 配偶者の批判や貶めるような発言
- 安易に譲歩するような発言
- 希望条件に固執しすぎる発言
- 調停委員に対する暴言 など
離婚調停は、あくまでも調停委員を交えた話し合いによって、離婚の合意を目指す手続きです。
嘘や感情的な発言ばかり繰り返してしまうと、話し合いも進まず、調停が長引く可能性があります。
調停委員と話す時は、誠実な対応を心がけ、無責任な発言もしないようにしましょう。
⑤調停委員を味方につける
調停委員は中立の立場ですので、どちらか一方に肩入れすることは基本的にありません。
しかし、調停委員もひとりの人間ですから、どちらかに好意や同情を感じることがないとは言い切れません。
何より調停委員と対立してしまうと、感情的な発言をしやすくなり、話し合いが思うように進まなくなる可能性もあります。
調停委員からの心証を悪くしないことも意識し、言葉遣いや身なり、常識的な行動を取るように心がけましょう。
また、仮に調停委員が相手に肩入れし、自分に不利な解決案を提示してきたと感じた場合には、明確に合意しない意思表示をすることも大切です。
⑥ある程度妥協点を決めておく
早期の離婚成立を望む場合は、離婚条件について、ある程度の妥協点も考えておくべきでしょう。
離婚調停は必ず成立するわけではなく、不成立になることもあります。
不成立になった場合には、夫婦の婚姻関係に何ら影響はありません。
改めて夫婦で協議をするか、裁判で離婚を進めるか、などを検討していくことになります。
裁判になった場合には、時間と手間も大きくかかります。
裁判で決着がつくまでには、1〜2年程度の期間を要することが多いです。
そのため、早期の離婚成立を目指す方は、可能な限り協議や調停などの話し合いで離婚の合意を得たほうがよいでしょう。
希望する離婚条件に優先順位を付け、妥協できるところは妥協することで、合意を得られやすくなります。
自分が絶対に譲りたくない条件や譲歩しても良い条件をあらかじめ決めておきましょう。
⑦弁護士への依頼も検討する
離婚調停を有利に進めたい方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士は代理人として調停にも同席できるため、自分の要望をわかりやすく整理し、適切な主張ができるようになります。
また、離婚調停を申し立てる際の、書類の作成や手続きなども任せることが可能です。
精神的な面でも非常に心強い味方となってくれるため、離婚調停にかかる負担を大きく軽減できます。
一度離婚調停が成立してしまうと、後から決まった内容を覆すことは原則できません。
取返しのつかない失敗をしないためにも、弁護士への依頼を検討しましょう。
関連記事:離婚調停で弁護士は必要か|弁護士なしで調停を行う人の割合
離婚調停に勝ち負けはある?
離婚調停は勝ち負けを決めるものではなく、話し合いによって合意を目指す手続きです。
そのため、仮に自分が納得いかない解決案を提示された場合には、合意をせず、調停は不成立になって終わりです。
調停が不成立になった場合、婚姻関係には何も影響を与えません。その後、復縁をする夫婦もいれば、裁判に進む夫婦もいます。
離婚裁判では、勝ち負けがあると言えます。
裁判で負けた場合には、離婚が認められなかったり、自分の主張が認められず不本意な結果になったりする可能性もあります。
離婚調停そのものに勝ち負けはありませんが、少しでも自分が望む条件で離婚できるように、しっかりと準備をしておきましょう。
離婚調停は女性が有利って本当?
性別で有利・不利になることはない
「離婚調停は女性が有利」と言われることもありますが、性別によって離婚調停が有利・不利になることはありません。
離婚調停で女性が有利と言われる理由としては、男は親権を獲得しづらい、養育費や婚姻費用を妻に払わなきゃいけない、などが考えられます。
しかし、調停委員はあくまで中立かつ公平な立場で調停を進めていくため、性別差を気にする必要はないでしょう。
親権争いは女性の方が有利になりやすい
親権争いについては、女性の方が有利になりやすいのが実情です。
2022年の統計データでは、子どもが一人の夫婦が離婚した件数は「45,551件」。そのうち、妻が親権を獲得した件数は「40,076件」。割合としては「約88%」です。
離婚した夫婦の9割近くが、母親が親権者になっています。
特に乳幼児期などの子どもは、「母親と一緒にいた方が望ましい」という考え方があり(母性優先の原則)、親権争いでは母親が有利になることが多いです。
しかし、男性が絶対に親権を獲得できないわけではありません。
男性が親権を獲得したい場合は、これまでの監護実績や育児のサポート体制について、明確に主張していく必要があります。
離婚調停が不成立になったらどうする?
話し合いで離婚を目指す
離婚調停が不成立になった場合、相手と再度話し合い、協議離婚を目指すことも可能です。
また、離婚調停をもう一度申し立てることもできます。調停の申し立て回数に法律上の制限はありません。
ただし、調停が不成立になった直後に話し合いをしても、条件がまとまらず、平行線をたどることが予想されます。
そのため、ある程度時間を置いてから再協議をするほうがよいでしょう。
裁判で離婚をする
離婚調停が不成立になった後の流れとしては、裁判をするのが一般的です。
離婚裁判では、離婚が認められるかどうか、離婚条件をどうするか、などが最終的に判決で決まります。
なお、裁判の途中で合意に至った場合には、和解離婚という形で成立することもあります。
離婚裁判にかかる期間は、一般的に1〜2年程度が多いです。
裁判が終わるまでに長い期間を要するため、夫婦双方に大きな負担がかかります。
離婚裁判を起こす場合には、家庭裁判所に訴状を提出します。
自分ひとりで裁判を進める場合にかかる費用は、収入印紙と郵便切手代くらいです。
しかし、裁判の手続きは非常に煩雑で、ひとりで対応するのは難しい面もあります。また、自分の主張は基本的に書面で提出しなければなりません。
そのため、裁判を検討している人は、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士を代理人にすることで、裁判でも適切な主張ができ、煩雑な手続きも任せることができます。
離婚調停でよくある質問
離婚調停は申し立てた側が不利になる?
離婚調停で申し立てた側が不利になることはありません。
調停委員は中立の立場で、双方の意見を聞き取り、公正な判断をするように努めています。
そのため、申し立てた側、申し立てられた側、どちらも有利不利になることはありません。
離婚調停で話がまとまらないときは?
離婚調停で話がまとまらない、合意ができない場合、調停は不成立となります。
その後は、夫婦で再協議をしたり、裁判に進んだりします。なお、離婚調停を再度申し立てることも可能です。
離婚の話し合いがまとまらないケースでは、弁護士を入れることも検討してください。
弁護士に依頼することで、相手との交渉をすべて任せることができ、早期の離婚成立が期待できます。
離婚調停で嘘をついたらバレる?
嘘がバレるかどうかは相手の証言や証拠の信ぴょう性にもよります。
離婚調停で嘘をついても罰則は何もありませんが、「バレなければ嘘をついてもいい」ということではありません。
離婚調停で嘘をつくのはリスクがあります。
嘘がバレると、調停委員からの信用を失い、調停の結果に悪影響を及ぼす可能性もあります。離婚調停では、誠実に事実を話すことを心がけましょう。
まとめ
離婚調停はあくまでも話し合いによって離婚の合意を目指すため、自分の主張をわかりやすく整理し、調停委員に伝えることが大切です。
調停委員との話し合いを円滑に進めるためには、感情的になりすぎず、冷静さと誠実さを意識してコミュニケーションを取りましょう。
離婚調停にはメモを持ち込むこともできるため、事前に伝えたいことを書いておいたり、次回までに準備しておくことをメモしたりしてもよいでしょう。
離婚調停が不安な方は、弁護士を代理人に立てることもおすすめです。
当事務所でも、離婚調停に関するご相談を受け付けておりますので、まずは一度ご相談ください。