離婚「知っトク」ブログ

離婚調停中にやってはいけないことや調停中の過ごし方・聞かれること

2024.08.23
  • 離婚手続
  • 離婚調停
考える女性

離婚調停は、裁判所の調停委員が間に入り、話し合いによって合意を目指す手続きです。

離婚調停を有利に進めるためには、事前の準備が重要です。また、離婚調停中にも注意すべき点が多くあります。

この記事では、離婚調停中にやってはいけないことや不利になる発言などを解説します。離婚調停で少しでも自分が望む結果とするために、ぜひ参考にしてください。

離婚調停中にやってはいけないこと

離婚調停中にやってはいけないこととしては、次のような行為が挙げられます。

  • 異性との交際
  • 調停期日に遅刻や無断欠席
  • 調停中に一方的な別居
  • 子どもの連れ去り
  • 相手に直接連絡する
  • 相手に嫌がらせなどの行為
  • 夫婦の財産を勝手に処分する

異性との交際

離婚調停中であっても、法律上は夫婦であることに変わりありません。

そのため、異性と交際し、肉体関係を持ってしまうと、不貞行為として慰謝料を請求される可能性があります。

不貞行為の慰謝料相場は50万円〜300万円程度となり、決して低い金額ではありません。お互いに離婚の意思がある場合には、夫婦関係はすでに破綻していると考えられるため、不貞行為をしても基本的に慰謝料は認められません。

しかし、余計なトラブルを生まないためにも、離婚調停中は慎重に行動することが大切です。離婚調停中は異性との交際や同棲は控えた方が良いでしょう。

調停期日に遅刻や無断欠席

調停期日に遅刻や無断欠席をすると、調停委員からの心証が悪くなる可能性があります

離婚調停は、調停委員を含めた話し合いにより、離婚の合意を目指す場所です。

遅刻や無断欠席などの不誠実な対応を取ると、話し合いが思うように進まなくなることも考えられます。

調停委員は中立の立場で調停を進めることが求められるため、心証が悪くなったとしても、不利になることは原則としてありません。

しかし、話し合いの場ですので、誠実な対応を心がけましょう。

調停中に一方的な別居

離婚調停中の一方的な別居も控えましょう。

一方的な別居をすると、法的な離婚事由である悪意の遺棄に該当し、慰謝料を請求されたり、離婚が認められなくなったりする可能性があります

夫婦で話し合い、別居について合意している場合は、もちろん別居をしても問題はありません。

別居をしながら離婚調停を進める夫婦は少なくないでしょう。離婚調停中に別居する際は、配偶者とも話し合い、適切に進めるようにしましょう。

【関連記事】離婚調停中に別居できる?注意点や調停不成立後の別居について

子どもの連れ去り

離婚調停中に子どもを連れて勝手に別居したり、別居中の子どもを強引に自分の元に連れてきたりする行為は絶対に辞めましょう。

子の連れ去りは、最悪の場合、刑事罰が科される可能性もあります(未成年者略取誘拐罪)。

法的にも問題がある行為のため、離婚調停も不利に進んでしまう恐れがあります。親権を決める際にも悪影響を与えるでしょう。

また、生活環境が頻繁に変わってしまうことは、子どもにとっても良くはありません。子どもの利益を最優先に考え、安定した環境で過ごせるように配慮しましょう。

相手に直接連絡する

離婚調停中に相手に直接連絡することも控えましょう。

離婚調停では、基本的に相手と直接会うことはありません。調停委員がお互いの主張を聞き取り、合意を目指します。

夫婦での話し合いが進まないから離婚調停をしているのであって、相手に伝えたいことがある場合には、調停委員を介して伝えるようにしましょう。

また、直接連絡を取ると、感情的なやり取りになるリスクが高く、トラブルの原因となります。

相手に連絡をする際は、どうしても伝えなくてはいけない事務的な連絡にとどめ、それ以外は調停委員や弁護士を通すようにしましょう。

相手に嫌がらせなどの行為

相手に対する嫌がらせ行為は、離婚調停の進行を妨げるだけでなく、法的にも処罰される可能性があります。

例えば、配偶者に対して脅迫まがいのことを言ったり、職場に突然現れたりする行為などが挙げられます。

これらの行為を受けている場合には、証拠を確保しておき、必要に応じて警察にも相談すべきです。また、嫌がらせの事実を調停委員にも報告することで、離婚調停を有利に進められる可能性もあります。

夫婦の財産を勝手に処分する

配偶者に財産を渡したくないという理由で、財産分与の対象となる財産を勝手に処分したり、隠したりするケースがあります。

これらの行為が発覚した場合には、問題が複雑化し、離婚調停も長引いてしまう可能性があります。

財産分与では、夫婦の財産を半分ずつ分けるのが原則です。勝手に夫婦の財産を処分することはできないので注意しましょう。

また、相手が財産を勝手に処分する恐れがある場合は、家庭裁判所に「調停前の仮の処分」を申し立てることで、財産を勝手に処分しないよう命じてもらうことができます。

この処分に従わなかった場合には、10万円以下の過料に処せられます。ただし、強制的な執行力はないため、利用されることが少ないのが現状です。

離婚調停で不利になる発言

離婚調停で不利な発言をしてしまうと、自分が望まない解決案になったり、調停が長引いたりする可能性があります。

調停をスムーズに進めるためにも、次のような発言をしないように気をつけましょう。

  • 感情的な発言や相手を批判するような発言
  • 嘘や矛盾のある発言
  • 相手の主張に安易に同意する発言

感情的な発言や相手を批判するような発言

離婚調停は、調停委員に対して離婚の具体的な原因や条件を主張する場です。相手を批判する発言をしても、話し合いは一向に進みません。

離婚する配偶者に対して、怒りやネガティブな感情を抱くことはあると思いますが、その感情を調停委員にぶつけることは避けた方がよいでしょう。

相手の批判ばかりを繰り返すと、まともに話し合いができず、感情的になりやすい人という印象を持たれてしまうかもしれません。

離婚調停では、自分の主張を冷静に伝えていくことが重要です。

嘘や矛盾のある発言

嘘や矛盾のある発言をすると、調停委員からの信頼が損なわれ、調停の結果にも悪影響を与える可能性があります。嘘が発覚したとしても、罰則は何もありませんが、離婚調停では誠実に事実を伝えることが重要です。

相手の主張に安易に同意する発言

相手の主張に安易に同意するような発言も控えた方が良いでしょう。

安易に同意する発言をすると、自分にとって不利な解決案になってしまう可能性があります。

また、離婚調停で双方が合意に至った場合には、調停調書が作成されます。調停調書が一度作成されてしまうと、後から内容を撤回することは原則できません。

絶対に譲りたくない条件やどこまで譲歩できるかなどは、離婚調停が始まる前に整理しておくと良いでしょう。離婚調停では、自分の意見をしっかりと主張することが大切です。

【関連記事】
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離婚調停中の過ごし方

離婚調停中は、上述した不貞行為や夫婦の財産を勝手に処分する行為などは辞めましょう。

日常生活をできるだけ普段通りに過ごすことが大切です。離婚調停を進める中で、心理的なストレスを感じてしまう方も多いと思います。

なるべくストレスを溜めないように、適度な運動や趣味に時間を使うのも良いでしょう。

また、離婚調停中に異性と遊ぶことは大丈夫なのか、と疑問を抱く方も多いです。不貞行為はもちろんNGですが、異性と食事に行く程度なら本来問題はありません。

しかし、異性との紛らわしい写真を撮られて、あらぬ疑いを掛けられるリスクもあります。

離婚調停中は、異性と会うことはなるべく控えるのが無難と言えるでしょう。

離婚調停をスムーズに進められるように、必要な資料や情報を整理しておくことも重要です。弁護士を代理人にしているのであれば、定期的に連絡を取り、進捗状況をお互いに確認するようにしましょう。

【関連記事】離婚調停で弁護士は必要か|弁護士なしで調停を行う人の割合

離婚調停で聞かれる事

離婚調停で聞かれることは、個別の事情によって様々ですが、代表的な質問を例にご紹介します。

離婚を決意するまでの経緯や理由

結婚から離婚を決意するまでの経緯や理由は特によく聞かれます。時系列に沿って、なるべく簡潔に説明できると良いでしょう。

離婚の経緯などは、どうしても感情的になりやすい事柄です。

しかし、感情的な発言を繰り返してしまうと、話しがなかなか進まず、本当に重要なことを伝える時間がなくなってしまうかもしれません。

離婚調停では、双方の主張を聞く時間に限りがありますので、なるべく冷静に、要点を抑えて伝えるように意識しましょう。

現在の夫婦関係の状況

現在の夫婦関係の状況もよく聞かれます。別居の有無や夫婦の生活費などについてです。

現在の夫婦関係や生活がどのような状態にあるかを正確に伝えるようにしましょう。

どちらかが離婚を望んでいない状況では、夫婦関係が修復できる可能性についても聞かれることがあります。

プライベートな内容で伝えにくいこともあるかもしれませんが、調停委員には守秘義務がありますので、ありのままを伝えましょう。

財産分与や慰謝料などの離婚条件

離婚の際には、財産分与や慰謝料、親権などに関する条件も決める必要があります。

自分が希望する条件は、調停委員に明確に伝えるようにしましょう。その際、抽象的ではなく、具体的な金額や根拠も説明できると良いです。

財産分与や慰謝料、養育費などのお金に関することは、ある程度の相場があります。

相場とかけ離れた金額を望む場合は、相応の理由や根拠が必要となるでしょう。離婚条件を高望みしすぎると、相手が合意せず、調停が不成立になる可能性も高まります。

離婚条件を提示する際は、証拠や参考となる資料を用意したうえで、主張するようにしましょう。

親権や面会交流などの子どものこと

子どもがいる場合には、親権や養育費、面会交流なども聞かれる可能性が高いでしょう。

子どもに関することは、離婚時に揉めやすい問題でもあります。

親権を決める際には、子どもの現在の生活環境やこれまでの監護実績などを総合的に考慮して判断されます。

しかし、親権を獲得するのは、ほとんどのケースで母親です。父親が親権を望む場合には、監護実績や子どもの福祉に適した環境を用意できることを明確に主張していく必要があります。

【関連記事】離婚時の親権の決め方や決まる基準は?母親が負ける場合はある?

離婚後の住まいや生活費について

新しい住まいや仕事など、離婚した後の生活についても聞かれることが多いです。特に子どもがいる場合には、養育環境に問題がないかどうかも重要です。

離婚後の経済的な自立や生活設計もしっかりと考え、具体的な計画や見通しを話せるようにしておきましょう。

まとめ

離婚調停は冷静で誠実な対応が求められます。自分にとって不利な発言や行動をしないように、離婚調停中は次の行為に注意しましょう。

  • 異性との交際
  • 調停期日に遅刻や無断欠席
  • 調停中に一方的な別居
  • 子どもの連れ去り
  • 相手に直接連絡する
  • 相手に嫌がらせなどの行為
  • 夫婦の財産を勝手に処分する

離婚調停にひとりで望むのが不安な方は、弁護士を代理人に立てることもおすすめです。弁護士に依頼することで、法的な観点から適切な主張ができます。

調停にも同席できるため、心強い味方となってくれるでしょう。当事務所でも離婚に関するご相談を受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)