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離婚できる5つの条件|必要な別居期間や書面化までの流れ

2025.05.16
  • 離婚手続
離婚条件

離婚の条件には2種類あります。離婚時の夫婦で決めるべき離婚の条件、例えば、親権や養育費、財産分与などです。

夫婦の話し合いで離婚に合意できない場合は、最終的に裁判で離婚の成否を判断してもらうことになります。

裁判で離婚が認められる条件には不貞行為(不倫)、悪意の遺棄、生死不明、婚姻を継続し難い重大な事由などの法定離婚事由が必要です。

この記事では、離婚が認められる法定離婚や離婚できる別居期間、離婚する際の条件など、離婚の条件について解説します。

離婚できる5つの条件|法定離婚事由とは

夫婦が話し合いで離婚に合意し、離婚届を提出することで成立する協議離婚は、よく知られた離婚方法です。

しかし、離婚条件などで揉めて合意できない場合は、離婚調停、そして最終的には裁判で離婚の成否を判断してもらうことになります。

裁判で離婚が認められるには、民法で定められた「法定離婚事由」が必要です。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法第770条 – e-Gov

裁判で離婚する際はこうした離婚事由があり、それを立証できる証拠が求められます。

そのため、離婚を検討した際は、離婚条件などで合意に至らず、裁判に発展した場合を見据えて、法定離婚事由の証拠を集めておくことが重要です。

一方で、法定離婚事由がない場合や、法定離婚事由となる離婚原因を作った側であれば、裁判以外の方法で解決できた方がよいと考えられます。

以下では、離婚が認められる条件について詳しく解説します。

配偶者に不貞な行為があったとき

法定離婚事由の一つは、配偶者の不貞行為です。不貞行為とは、わかりやすく言えば不倫であり、配偶者以外の異性と自由な意思のもと、性的な関係を結ぶことを指します。

裁判で不貞行為があったと判断されるには、不倫相手と肉体関係があったとわかる証拠が不可欠です。

例えば、二人がラブホテルを出入りする写真や、性的関係であるとわかる写真や動画、LINEなどのやり取りなどが証拠として挙げられます。

司法統計によると、2023年に離婚調停を申し立てた動機のうち、異性関係と回答した人の割合は全体の12.6%でした(複数回答可)。

参考:司法統計 – 裁判所

【関連記事】不貞行為とはどこからどこまで?慰謝料や証拠を簡単に解説

配偶者から悪意で遺棄されたとき

配偶者から悪意で遺棄された場合も、法定離婚事由に該当します。悪意の遺棄とは、法律に定められた夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務に違反することです。

夫婦には、同居し、婚姻生活を協力して築くこと、夫婦が同意程度の水準で生活できるよう双方助け合い、経済的援助をすることなどが民法第752条に定められています。

正当な理由もなく、婚姻関係を破綻させる目的や、破綻することを容認して、以下のような行為を行えば、悪意の遺棄となる可能性があります。

  • 無断で別居を開始する
  • 暴力的な言動で家から追い出す
  • 給料を渡さずに配偶者を困窮させる
  • 別居中に婚姻費用を支払わない など

一方、配偶者からのDVやモラハラから逃れるためなどの正当な理由があれば、別居を開始しても悪意の遺棄にあたりません。

悪意の遺棄には、同居義務違反、協力義務違反、扶助義務違反などさまざまなものがあるため、事案に適した証拠を集めることが重要です。

【関連記事】悪意の遺棄とは|慰謝料の相場と具体例は?証明方法はある?

配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

配偶者の生死が3年以上にわたり不明な場合には、裁判によって離婚を請求することが可能です。

ここでいう「3年以上の生死不明」とは、配偶者が失踪してから3年以上にわたり、連絡が一切取れず、生死も確認できない状態を指します。

一方で、居場所が分からなくても、連絡が来るなどして生存が確認できる場合は、「生死不明」には該当しません。

配偶者の生死が不明である場合は、裁判によってのみ離婚が認められます。

裁判では、消息がつかめず生死不明であることがわかる証拠を提示します。例えば、最後に連絡をとった時のやり取り、捜索願などです。

離婚以外でも、7年以上の生死不明や、災害により1年以上生死不明となった場合は、裁判所に失踪宣告を申し立てることで、配偶者の死亡が認定されます。

失踪宣告の場合、法的に婚姻関係がなくなるまで7年かかりますが、死亡が認定されることになり、配偶者と子どもは遺産を相続することが可能です。

配偶者が精神病にかかり回復の見込みがないとき

配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないときも、法定離婚事由に該当します。回復の見込みがない強度の精神病と判断され、離婚が認められるには以下の条件があります。

  • 夫婦の共同生活が営めない・夫婦の義務に違反するほどに重症であること
  • 回復の見込みがないこと
  • 離婚をしても配偶者の生活が困窮しないこと

判例では、統合失調症が多いとされていますが、回復の見込みがないかどうかは担当医の判断によっても異なるため、強度の精神病による離婚は容易ではありません。

なお、2024年5月に民法が改正され、法定離婚事由から4号の精神疾患が削除されることになりました

その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

最後に法定離婚事由となるのが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」です。

その他婚姻を継続し難い重大な事由とは、前述した離婚事由以外の理由により、婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない状態を指します。

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 性格の不一致・価値観の違い
  • DVやモラハラ
  • セックスレス・性生活の不一致
  • 長期間の別居
  • 親族との不仲
  • 借金・ギャンブル・過度の浪費
  • 過度な宗教活動
  • 犯罪行為・服役 など

【関連記事】
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離婚できる別居の条件は?

「相手が離婚に合意してくれない」ような場合に、長期間別居すれば離婚できるのではないかと考える人も少なくありません。

確かに、別居が長期間に及んでいると、婚姻関係は破綻しており、修復が不可能だと判断され、離婚が認められることがあります

以下では、離婚が認められる別居の条件について解説します。

離婚できる別居期間は3~5年

裁判で離婚が認められる別居期間は3~5年とされています。

ただし、裁判による離婚では、別居期間の長さだけでなく、夫婦の婚姻継続の意思や、子どもの有無、婚姻期間、性生活の有無などによって、総合的に判断されます。

そのため、別居期間が3~5年あったとしても、確実に離婚できるとは限りません。一方で、協議離婚や離婚調停の場合は、双方が合意に至れば、別居期間の長さに関係なく離婚が可能です。

有責配偶者の場合は10年が必要

法定離婚事由があっても、その法定離婚事由(離婚原因)を作った有責配偶者からの離婚請求は、基本的に認められません。

離婚原因を作った側からの離婚を認めるのは不公平だと考えられているためです。

しかし、有責配偶者であっても、別居期間が長期間あれば、婚姻関係は破綻しているとして、離婚が認められることがあります。

有責配偶者が離婚を認められる別居期間はおおよそ10年、長ければ20年とされることもあります。また、有責配偶者からの離婚が認められるには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 夫婦の別居が夫婦の年齢や同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと
  2. その間に未成熟の子どもが存在しないこと
  3. 離婚により配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚を容認することが著しく社会正義に反する事情がないこと

参考:最高裁大法廷昭和62年9月2日判決 – 裁判所

長期の別居期間のほか、子どもが自立しているなど未成熟な子どもがいないこと、離婚により配偶者が過酷な状況に置かれないことなどが揃えば、有責配偶者からの離婚が認められる可能性があります。

夫婦の義務に違反していないこと

一定期間以上の別居は、婚姻関係が破綻しているとして離婚が認められることがありますが、別居を開始した経緯やその後の対応によっては、有責配偶者だと判断される可能性があるため、注意が必要です。

例えば、以下の行為は、夫婦の同居義務違反、扶助義務違反にあたり、悪意の遺棄に該当する可能性があります。

夫婦の同居義務違反 正当な理由もなく、無断で別居を開始する
夫婦の扶助義務違反 別居後に婚姻費用を支払わない

婚姻費用は、家族が夫婦の年収に応じた生活をおくるために必要な生活費のことです。

結婚している限りは、家族が自分と同程度の生活水準で生活がおくれるように、互いに生活を支える義務があります。

これは別居期間中でも変わりません。収入が多い側、もしくは子どもと同居して育児をしていない側は、配偶者に婚姻費用を支払う義務があります。

そのため、無断での別居や婚姻費用の未払いは悪意の遺棄にあたり、自分が有責配偶者となる可能性があるため、注意が必要です。

別居により離婚を目指す場合は、配偶者に承諾を得た上で別居を開始すること、婚姻費用は支払うようにした方がよいでしょう。

【関連記事】婚姻費用とは|もらえるケースや内訳は?婚姻費用算定表や金額を解説

離婚で相手に提示する離婚条件

離婚する前に、夫婦の話し合いで以下の離婚条件を決める必要があります。

  • 親権・養育費
  • 面会交流
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 婚姻費用

以下では、離婚時に決めるべき離婚条件について解説します。

親権・養育費

離婚時には、親権を取り決めなければ離婚届が受理されません。夫婦どちらかが親権者となるように決める必要があります。

なお2026年5月までに共同親権が施行される予定です。施行後は共同親権か単独親権か選べますが、両親が別居する場合、子どもはどちらの親と暮らすのかを決めることになります。

養育費は、子どもが経済的な自立を果たすまでに必要な生活費・教育費などで、子どもと暮らし、世話をしていない方の親に支払い義務があります。

養育費については、月いくらなのか、支払い期間、支払い日、支払い方法、特別費用などについて取り決めを行い、離婚協議書に明記しておきましょう。

【関連記事】
養育費とは|養育費の相場や支払い義務・取り決め方法や計算例を解説
離婚時の親権の決め方や決まる基準は?母親が負ける場合はある?

面会交流

面会交流は、離れて暮らす親子が定期的に会うなどして交流すること、またはその権利です。

面会交流では、直接会うほか、電話や手紙、オンラインでのやり取りなども考えられます。

離婚の際は、面会交流について頻度や時間、面会場所、子どもの受け渡し方法、連絡手段などについて取り決めを行います。

離婚に至る過程にはさまざまなものがあり、両親が不仲であることも少なくありません。

しかし、面会交流は子どもが離れた親と交流し、子どもが両親から愛されていると自覚する大切な機会です。子どもに負担の少ない方法で、積極的に交流を行うことが望ましいです。

財産分与

財産分与は、結婚生活の中で夫婦が築いた財産を公平に分けることです。

原則として半分に分けることになり、専業主婦(主夫)であっても財産を築くことに寄与したと判断され、受け取る権利があります。

財産分与に関しては、結婚生活の中で築いた財産を洗い出し、話し合いの中で公平に分けるようにしましょう。

【関連記事】離婚の財産分与とは|財産分与の割合や対象となる財産

慰謝料

不貞行為、悪意の遺棄、DVやモラハラは、離婚原因になると共に、民法上の不法行為に該当します。

このような不法行為があり、精神的な苦痛を受けた場合は、離婚時に配偶者に対して慰謝料を請求できます。

慰謝料の相場は、不法行為の内容によって異なりますが、おおよそ50~300万円程度とされています。

ただし、相手に交渉で請求しても、素直に支払いに応じないと考えられるため、不法行為の証拠を揃えておくことが重要です。

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年金分割

年金分割とは、結婚生活の間に納めた年金の記録を、夫婦で公平に分ける仕組みです。

年金分割の対象となるのは厚生年金(共済年金)です。年金は年収によって納める金額も多くなり、受け取る際に夫婦間で年金に差が生じます。

老後も一緒に暮らすのであれば家計は一緒であるため、年金を分け合うことができます。

しかし、離婚すると家計は別となるため、夫婦で協力して納めた年金記録を分けるのが年金分割です。

年金分割は、専業主婦はもちろん共働き夫婦でも行うことができます。専業主婦と共働き夫婦で手続きは若干異なりますが、最後は年金事務所で手続きを行います。

【関連記事】離婚時に年金分割をしないとどうなる?請求期限と受給額は?

婚姻費用

離婚前に別居していた場合は、別居中の生活費である婚姻費用も請求できます。

ただし、婚姻費用が発生するのは、別居時からではなく、相手に請求を開始した時(記録の残る方法による請求や調停)からです。

婚姻費用は、夫婦の話し合いや、裁判所が公表する「婚姻費用算定表」をもとに決められます。

【関連記事】婚姻費用分担請求とは|算定表の見方・自分で請求する方法

離婚条件を書面化するときの流れ

離婚条件を決めたら、必ず「離婚協議書」を作成して書面化します。

離婚条件を決めても、書面化せずにいると、離婚条件があやふやになったり、相手が約束を守らない可能性があるためです。

決めた条件は、書面で明確にし、記録として残るようにするとよいでしょう。以下では、離婚条件を書面化する際に、盛り込む内容や作成例、公正証書にする方法を解説します。

離婚協議書に記載すべき内容

離婚協議書には、取り決めた以下のような内容を記載します。

  1. 離婚に合意・離婚届の提出者、提出日時
  2. 親権者の指定
  3. 養育費の支払い・支払いの詳細
  4. 面会交流の条件
  5. 財産分与の取り決め
  6. 年金分割について
  7. 慰謝料の金額・支払い方法
  8. 清算条項について

清算条項は、離婚協議書以外に、当事者に他に権利や義務がないと定める条項です。離婚協議書に記載された金額以上を支払う義務、請求する権利はありません。

これ以外に必要な内容があれば、柔軟に盛り込むことが可能です。

離婚協議書の作成例・テンプレート

離婚協議書の作成例は以下のとおりです。

離婚協議書作成例

離婚協議書

 

(夫)〇〇〇〇(以下「甲」という)と(妻)〇〇〇〇(以下「乙」という)との間で、離婚に関する協議を行い、以下のとおり合意する。

 

第1条(離婚の合意)

甲および乙は、協議離婚することに合意し、本契約締結後〇日以内に、離婚届を提出する。

第2条(親権)

甲および乙の間の未成年の子〇〇〇〇(令和〇年〇月〇日生、以下「丙」という)の親権者・監護者は乙とする。

第3条(養育費)

1. 甲は、乙に対し、丙の養育費として、令和〇年〇月より丙が満20歳に達する月まで、毎月〇万円を毎月末日限り、乙指定の下記口座へ振り込む方法で支払う。振込手数料は甲の負担とする。

2. 丙の進学・病気・事故等、特別な費用の負担は、甲乙協議のうえ、分担額を定める。

第4条(面会交流)

1.  甲は、丙と、毎月第2・第4土曜日の午後1時から午後5時まで、面会交流することを認める。

2. 面会の方法、日時、場所については、丙の福祉を最優先として、甲乙協議して柔軟に調整するものとする。

第5条(財産分与)

甲は、財産分与として乙に金〇〇万円を支払う。支払いは令和〇年〇月〇日までに、乙の以下の口座へ振込送金により行う。振込手数料は甲の負担とする。

第6条(年金分割)

甲および乙は、婚姻期間中における双方の年金分割の按分割合を0.5とし、年金分割に必要な手続きに協力し、速やかに手続きを行う。

第7条(慰謝料)

甲は、乙に対し、慰謝料として金〇〇万円を、令和〇年〇月〇日までに、乙指定の下記口座に振り込む。振込手数料は甲の負担とする。

第8条(通知義務)

甲と乙は、連絡先、住所、職業に変更があった場合は、遅滞なく相手に変更内容を通知する。

第9条(清算条項)

甲および乙は、本協議書に定める事項のほか、甲乙間に本協議書記載以外の債権債務が一切存在しないことを相互に確認し、何らの財産上の請求をしないことを約束する。

第10条(公正証書の作成)

甲および乙は、本協議書の内容について強制執行認諾条項付きの公正証書を作成することを承諾する。

上記の通り合意したので、本書2通を作成の上、甲乙署名押印し、各1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

甲:住所 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

  氏名 〇〇〇〇 (印)

乙:住所 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

  氏名 〇〇〇〇 (印)

離婚後に旧姓に戻す場合でも、離婚前に離婚協議書を作成する場合、婚姻中の苗字で署名します。

ただし、これはあくまでもサンプルです。個々の離婚条件によっても、盛り込むべき内容は異なります。

また、離婚協議書は、記載内容を誤るとのちに大きなトラブルに発展する恐れもあります。

そのため、弁護士に相談して、個々の事情に応じた離婚協議書を作成するのが望ましいです。

離婚条件を公正証書化する方法

公正証書は、裁判官や弁護士など法律の実務に携わり、法務大臣が任命した公証人に作成してもらう公文書で、強い証拠力があります。

「執行文」を付与してもらうことで、裁判を行わず差し押さえなどが可能となります。

離婚協議書を公正証書化するには、公証役場で公証人に作成してもらいます。公正証書を作成する際の流れは以下のとおりです。

  1. 離婚協議書を確認する
  2. 提出書類を準備する
  3. 公証役場に公正証書作成の予約を入れる
  4. 当日公証役場に行く
  5. 内容を公証人に伝えて、公正証書を作成してもらう
  6. 公正証書に署名捺印する

公正証書を作成する際に必要となる書類は以下のとおりです。

  • 印鑑登録証明書と実印
  • 運転免許証・マイナンバーカードなど本人確認書類と認印
  • 戸籍謄本
  • 財産に不動産がある場合は、登記事項証明書、固定資産税納税通知書・固定資産評価証明
  • 年金分割のための年金手帳

離婚協議書を公正証書にする際にかかる手数料は、離婚協議書に定められた金額によって以下のように異なります。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 1万1,000円
500万円を超え1000万円以下 1万7,000円
1000万円を超え3000万円以下 2万3,000円
3000万円を超え5000万円以下 2万9,000円
5000万円を超え1億円以下 4万3,000円
1億を超える場合 1億円を超え3億円以下:4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額

3億円を超え10億円以下:9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額

10億円を超える場合:24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

参考:11 必要書類 – 日本公証人連合会
12 手数料 – 日本公証人連合会

【関連記事】
離婚協議書の内容に記載しておくべき事項とは

離婚で慰謝料請求ができる条件

前述のとおり、相手に不法行為があれば、慰謝料請求が可能です。以下では、離婚で慰謝料請求ができる条件について解説します。

不法行為により権利の侵害を受けたこと

慰謝料請求ができる条件の一つは、相手に不法行為があったことです。前述のとおり、不法行為には、不倫、悪意の遺棄、DV・モラハラなどが含まれます。

民法では第709条、710条に、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、生じた損害を賠償する責任を負うと定められています。

損害には、財産上の損害だけでなく、精神的苦痛に対する賠償も含まれています。

例えば、不倫で慰謝料が発生する理由は、「夫婦の貞操」や「夫婦生活の平和の維持」などの権利を侵害したと判断されるためです。

慰謝料請求の時効を過ぎていないこと

慰謝料の請求権には、時効があります。この時効を過ぎていないことが、慰謝料を請求できる条件です。慰謝料の請求権の時効は、下記のいずれかの期間です。

  • 損害及び加害者を知った時から3年(生命・身体に対する不法行為は5年)
  • 不法行為のときから20年

不倫の慰謝料請求であれば、不倫相手が特定できない場合は20年以内、不倫相手が特定できた場合の時効は3年です。

対して、DVを受けた場合、加害者は配偶者だと判明しているため、DV被害から5年が時効となります。

不法行為の証拠があること

離婚で慰謝料請求ができる必須の条件ではありませんが、不法行為の証拠があることが望ましいです。

慰謝料請求は、相手との話し合いで請求できますが、相手が素直に慰謝料の支払いに応じるとは限りません。

相手が慰謝料の支払いに応じない以上、慰謝料を支払ってもらうことができないため、法的措置を検討することになります。

裁判所に不法行為を認定してもらい、慰謝料の支払いを命じてもらうには、裁判官に不法行為があったと主張できる証拠が必要となります。

しかし、交渉後に証拠を探そうとしても、相手が警戒して証拠を集められない可能性があります。

そのため、慰謝料を請求する前から、裁判に発展した場合を視野に入れて準備をしておくことが重要です。

離婚条件でよくある質問

離婚条件が合わない場合はどうしたらよい?

夫婦で話し合っていても、離婚条件が合わずに離婚に至らず、悩む人は少なくありません。また、常識を超えた請求を受けて悩んでいる人もいるでしょう。

離婚条件が合わない場合、以下の方法を検討できます。

  1. 自分の条件に優先順位をつけ、他の条件を譲歩する
  2. 離婚調停で話し合う
  3. 弁護士に依頼する

お互いが100%納得する離婚条件はそう多くはありません。譲歩せずにいれば、離婚に時間がかかり、精神的な負担も増大していきます。

そのため、今一度離婚条件を見直し、本当に自分に必要なものはどれか、離婚後の生活で欠かせないものは何か絞り、他の条件を譲歩するのも選択肢の一つです。

離婚で重要なのは、その後自分の人生を豊かにすることです。離婚後の生活を考慮して判断することが大切です。

また、相手が強硬な姿勢を貫く場合や、親族を味方につけてきた場合は、法律の専門家である弁護士を味方につけた方が得策です。

弁護士であれば、法的な根拠やこちらの条件に対して的確な主張をしてくれます。費用の負担が心配な場合は、法テラスの利用なども検討するとよいでしょう。

【関連記事】離婚にかかる弁護士費用はいくら?相場や内訳・安く抑えるポイント

別居期間が3年あれば離婚条件になる?

一定の別居期間があれば、婚姻関係の破綻により離婚が認められることがありますが、必ずしも3年経過したからといって、機械的に離婚が認められるわけではありません。

別居期間は離婚の一事情となりますが、夫婦の婚姻継続の意思、婚姻期間、子ども、性生活の有無などによって、総合的に判断されます。

離婚原因を作った有責配偶者から離婚を求める場合は、10年程度の期間や前述したようなその他の条件が必要です。

離婚条件について弁護士に相談するメリットは?

離婚条件について弁護士に相談するメリットには、さまざまなものがあります。

  • 相手の離婚条件が妥当かどうか判断できる
  • 離婚条件が認められるかの見通しが立てられる
  • 今後の見通しを踏まえて、相手の反論を見越した準備ができる
  • 離婚で不利にならないよう法的なリスクなどアドバイスがもらえる

相手から一方的な離婚条件を突き付けられると、「なぜ自分が譲歩しなければならないのか」と感じるかもしれません。

しかし、そもそも請求の根拠がないこともあります。法律の専門家である弁護士の視点から、離婚の見通しや、今すべきことなど助言をもらうのが得策です。

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まとめ

相手が離婚に応じない場合には、法定離婚事由が必要となります。また、離婚時には、離婚条件を話し合い決定しなければなりません。

しかし、離婚条件を巡り夫婦で対立したり、折り合いがつかなかったりすることは少なくありません。

このような場合は、相手の主張が妥当かどうか、離婚の見通しがどうなるのか、離婚問題の解決実績がある弁護士に相談するのが得策です。

弁護士への相談は、初回無料であるケースが多いです。相談したからといって必ず依頼する必要はありません。

まずは、「相手の主張が妥当かどうか」や離婚の見通し、それに応じて弁護士に依頼する必要があるかどうか判断するために、相談してみるのが望ましいです。

当事務所では、開設以来、離婚問題全般に取り組み、豊富な解決実績があります。離婚条件に悩んだ方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)