離婚「知っトク」ブログ

養育費の支払いがとまった

2025.01.27
  • 養育費
養育費に悩む女性

感情的な対立や経済的な事情の変化などにより、養育費の支払いが止まるケースがあります。しかし、養育費の支払いは義務であり、基本的に免れることはできません。離婚相手が養育費を払わないときの対処法を解説します。

養育費を払わなくて良いケースはある?

原則として、養育費の支払いは法律上の義務です。子どもが20歳になるまで、もしくは自立するまで養育費は支払わなくてはいけません。ただし、以下のようなケースでは、養育費を支払わなくてよいこともあります。

【すでに子どもが自立している】

養育費は基本的に20歳まで支払うのが一般的です。しかし、子どもが高校卒業後に就職した場合などは、すでに経済的に自立していると考えられるため、18歳までとするケースもあります。

【養育費を支払わないことで合意している】

養育費をどうするかは父と母、双方の話し合いによって自由に決めることができます。そのため、お互いが合意している場合、養育費を支払う必要はありません。

【相手に支払い能力がない】

相手に支払う能力がなければ、養育費は受け取れません。例えば、病気が理由で働けない、リストラで収入がなくなったなどのケースが考えられます。ただし、働こうと思えば働ける状況である場合、養育費の支払いは免除されません。

【自分のほうが収入が多い場合】

養育費は夫婦双方の収入を考慮して金額を算定するのが一般的です。子どもと一緒に生活し、養育費を受け取る側の収入が著しく多い場合は、養育費を受け取れない、もしくは減額されるケースもあります。

離婚相手が養育費を払わないときの対処法

離婚相手が養育費を払わないときに、考えられる対処法を挙げていきます。

調停・審判・裁判

配偶者に養育費を支払う意思がない場合は、家庭裁判所の調停手続きを利用することが選択肢のひとつです。離婚成立前であれば「離婚調停」、離婚後であれば「養育費請求調停」を申し立てます。調停では、調停委員と呼ばれる第三者が夫婦双方から話を聞き、問題の解決を目指して調整を図ってくれます。

調停はあくまでも話し合いによって合意を目指す手続きですので、必ず養育費の合意に至るとは限りません。合意に至らなかった際は、調停が不成立となり、養育費調停の場合は自動的に「審判手続」に移行します。審判では、一切の事情を考慮して、最終的に裁判官が養育費の判断を下します。

離婚調停の場合は、不成立となっても自動的に審判に移行することはありません。調停不成立後、さらに裁判手続きを望む場合は、訴訟を提起する必要があります。

履行勧告・履行命令

履行勧告とは、調停や審判などで決定した内容を相手が守らない場合に、裁判所から支払いを促してもらう制度です。法的な強制力はありませんが、相手に対して心理的なプレッシャーをかけることができます。

履行命令とは、履行勧告をしても養育費を支払わない相手に対して、支払いをするよう命じてくれる制度です。履行命令に従わない場合は、10万円以下の過料が課される可能性があります。

強制執行(差し押さえ)

強制執行は、養育費を払わない相手の財産から、強制的に養育費を回収するための手続きです。強制執行をするためには、債務名義と呼ばれるものが必要で、調停調書や公正証書などがこれに当てはまります。強制執行では相手の給与や預金から、強制的に養育費を回収することが可能です。

養育費の支払いがとまった方へ

上記で紹介した方法は、裁判所を介した手続きであり、難しそうで面倒に感じる人も多いでしょう。実際、さまざまな書類を準備したり、解決までに時間がかかったりして、自身への負担も大きいです。

早期の解決を目指し、負担も減らしたい場合は、弁護士への依頼を検討してもよいでしょう。弁護士から相手に連絡をすることで、心理的なプレッシャーがかかり、素直に支払いに応じてくれる可能性が高まります。

また、裁判手続きになったとしても、弁護士に依頼していれば、あなたの代わりに手続きを進めてくれますので、負担も大きく軽減されます。当事務所でも養育費に関するご相談を承っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)