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別居中に異性と遊ぶのは不貞行為になる?慰謝料の対象となるケース

2025.06.27
  • 男女トラブル
別居中の不貞行為

「別居中に配偶者が浮気しているかもしれない…」そんな疑念を抱え、不安や怒りに悩む方は少なくありません。

離れて暮らしているとはいえ、婚姻関係が続いている限り、浮気(不貞行為)があれば慰謝料請求の対象となる可能性があります。

ただし、浮気が、慰謝料請求が認められる「不貞行為」に該当するかどうかは、別居の状況や夫婦関係の実情によって判断が分かれます。

この記事は、別居中の浮気が慰謝料の対象となるかどうか、その判断基準や慰謝料請求のポイントについてわかりやすく解説します。

別居中の浮気が不貞行為になるかの判断基準

別居中の浮気が=ただちに「不貞行為」に該当するかどうかはわかりません。法律で慰謝料請求や離婚が認められる「不貞行為」の判断基準について解説します。

他の異性と自由意思により肉体関係がある

法律上の「不貞行為」とは、夫婦のどちらかが配偶者以外の異性と、肉体関係を持つことをいいます。

食事やちょっとしたデート、気持ちを伝えるLINEのやりとりなどだけでは、不貞行為にはあたりません。ポイントは「お互いの自由な意思による肉体関係」です。

不貞行為と認めてもらうには、交際相手と肉体関係があったことを裏付ける証拠が必要です。不貞行為があった場合は、民法の離婚原因や不法行為に該当し、離婚や慰謝料の請求が可能です。

【関連記事】不貞行為とはどこからどこまで?慰謝料や証拠を簡単に解説

別居の段階で夫婦関係が破綻しているかどうか

別居中に不貞行為があった場合でも、必ずしも慰謝料の対象になるとは限りません。不貞行為が慰謝料の対象になるかどうかは、不貞行為が原因で夫婦関係が破綻したかどうかで判断されます。

不貞行為が不法行為に該当するのは、結婚している夫婦の平穏な生活を侵害したと判断されるためです。

一方で、不貞行為の前から夫婦関係が破綻していると、不貞行為が夫婦の関係を侵害したとは判断されません。

別居中でも、夫婦としての関係が続いていたかどうかが大きな分かれ目です。詳しく後述します。

別居中の浮気が不貞行為にならないケース

夫婦の一方が別居中に異性と関係を持っても、必ずしも不貞行為として慰謝料の対象になるとは限りません。以下では、不貞と判断されない代表的なケースについて解説します。

離婚前提に別居している

離婚に向けた話し合いの中で別居している場合には、その後に異性と交際しても、不貞行為と判断されないことがあります。

たとえば「子どもが〇歳になったら離婚する」など、すでに夫婦の間で離婚の合意があるようなケースでは、婚姻関係は破綻していると評価されやすくなります。

ただし、離婚の合意がはっきりしていない、あるいは一方が離婚を望んでいない場合には、夫婦関係が破綻していないと判断されると考えられます。

別居期間が長期に及んでいる

夫婦関係の悪化などが原因で、別居が長期間にわたって続いている場合には、婚姻関係がすでに破綻していると判断されることがあります。

一般的に、別居が3〜5年ほどが目安となり、別居中に異性と交際しても、不貞行為とは扱われないことがあります。

ただし、別居期間が長くても、定期的に連絡を取り、夫婦として過ごすことがある場合は、夫婦関係が破綻しているとはいえず、慰謝料請求が認められる可能性があります。

別居しているからといって必ず不貞にならないとは限らず、日常のやり取りや接触の有無も判断材料になります。

異性と遊んだだけで肉体関係はない

法律上、不貞行為とされるのは、配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合です。

そのため、たとえ別居中に恋人がいても、関係が食事やデートだけで肉体関係がなければ、基本的には不貞行為にはあたらず、慰謝料も発生しないと考えられます。

ただし、夫婦関係を修復できる可能性がある状況に対して、恋人の存在が決定打となったような場合は、慰謝料が認められることもあります。

別居中や夫婦関係が破綻していたとしても、婚姻関係がある以上は他の異性と交際をしない違法がよいでしょう。

好きな人ができたが性的関係はない

別居中に気になる相手や好きな人ができたとしても、肉体関係がなければ、基本的には法律上の不貞行為には当たりません。

ただし、前述のとおり、好きな人と恋人関係に発展し、その事実が原因で離婚に至るような場合は、慰謝料請求が認められることがあります。

別居中の不貞行為で慰謝料が発生するケース

以下では、別居中の不貞行為で慰謝料が発生するケースを解説します。

浮気相手との同棲を目的とした別居

浮気相手と同棲するために別居を始めた場合は、不貞行為と判断され、離婚や慰謝料請求が認められると考えられます。

特に同棲をする場合、一般的には肉体関係がある間柄だと考えられます。

また、名目上離婚を目的とした別居であっても、別居後に浮気相手と同棲していれば、婚姻期間中に関係があったと判断されるのが通常です。

離婚を前提としない別居だった

別居の理由が離婚ではなく、単身赴任や親の介護、出産などやむを得ない事情だった場合、婚姻関係は継続していると判断されます。

そのため、別居中に配偶者以外の異性と肉体関係を持った場合、不貞行為に該当し、慰謝料の対象となります。

一時的な夫婦ケンカなどで冷却期間として別居していたようなケースも同様です。

離婚に向けた話し合いをしていない、または関係修復の可能性がある状態での不貞は、夫婦の権利を侵害する行為と考えられます。

別居期間中も夫婦関係が続いていた

前述のとおり、別居していたとしても、夫婦の関係が続いていると判断される場合には、不貞行為が慰謝料の対象になります。

別居の有無だけでなく、実際の関係性や生活実態がどうだったかが、慰謝料請求の判断に影響します。

別居期間が短い

別居して間もない時期に浮気があった場合は、不貞行為として慰謝料が認められる可能性があります。

別居期間の長短で「夫婦関係が破綻している」と判断されるかの明確な基準はありませんが、別居から数カ月程度の期間では、まだ夫婦関係が継続していると考えられます。

また、別居後すぐに交際が始まった場合は、「別居前から関係があったのではないか」と疑われる原因になります。

一方的に別居が開始された

夫婦が話し合った末に別居に至ったのではなく、正当な理由もなく一方的に別居を開始して、浮気をした場合は、不貞行為として慰謝料が認められると考えられます。

一方的に別居を開始しても、婚姻関係は継続していると判断されるほか、一方的な別居は、夫婦の同居義務に反する「悪意の遺棄」に該当することもあります。

ただし、一方的に別居された側が、その後何のアクションも起こさず放置していた場合は、別居や婚姻関係の破綻を受け入れたと判断され、慰謝料が認められない可能性もあります。

相手が一方的に別居を開始し、浮気が疑われる場合は、早めに対処することが重要です。

【関連記事】悪意の遺棄とは|慰謝料の相場と具体例は?証明方法はある?

別居中の不貞行為の慰謝料の相場

別居中の不貞行為の慰謝料の相場はおおよそ50万円~300万円が目安とされています。

また、別居中の不貞行為により離婚に至ったかどうかによっても金額は異なります。

ケース 慰謝料の目安
別居中だが離婚しなかった場合 50〜100万円程度
離婚に至った場合 100〜300万円程度

他にも、以下の要素により金額は変動します。

  • 婚姻期間の長さ
  • 不貞の内容(悪質性、期間、回数)
  • 子どもの有無
  • 配偶者に与えた精神的苦痛の程度
  • 判例や裁判状況に基づく判断

不貞行為の慰謝料は、当事者間の交渉によって合意するため、必ずしも相場通りにはなりません。相場はあくまでも目安となる金額であり、実際は個々の事情と双方の合意で決定されます

具体的な金額を知りたい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

【関連記事】離婚の慰謝料の相場|請求できるケースや証拠・年収で増額される?

別居中の不貞行為で慰謝料請求をする際のポイント

別居中に浮気があったとしても、すぐに慰謝料が認められるとは限りません。請求を成立させるには、相手の不貞行為を裏付ける証拠や、夫婦関係の状況を示す証拠が必要になります。

ここでは、慰謝料請求を考えるうえで押さえておきたい基本的なポイントをご紹介します。

不貞行為の証拠を集めておく

別居中に不貞行為があったとしても、証拠がなければ慰謝料を請求するのは難しくなります。相手が不貞を否定した場合、裁判で認められるには以下のような客観的な証拠が必要です。

  • 肉体関係があるとわかる写真や動画
  • ラブホテルの出入りを撮影した写真や映像
  • 肉体関係を示すメッセージやSNSのやりとり
  • 探偵による調査報告書 など

ただし別居中は相手の行動が見えにくくなるため、自力で証拠を集めるのは簡単ではありません。弁護士や探偵に相談して、法的に使える証拠を確保することも検討しましょう。

夫婦関係の破綻に関する証明をする

不貞行為の証明には、前述したような証拠が必要です。ただし、相手から「夫婦関係はすでに破綻していた」と反論されることも予想できます。

そのため、別居中であっても通常通り連絡を取っていたなど「夫婦関係が続いていた」と証明できる証拠があるとなおよいでしょう。

たとえば次のような内容を証明できるやり取りや出かけた際の写真などが証拠として考えられます。

  • 別居後も、日常的に連絡を取り合っていた
  • 家族イベントや子どもの学校行事に一緒に参加していた
  • 夫婦として外出や旅行をしていた

夫婦仲が険悪でない場合は、家族で旅行をするのも一つの方法です。どのような証拠を集めるべきなのかは、弁護士に相談して具体的なアドバイスをもらいましょう。

弁護士に相談する

別居中の不貞行為に対して慰謝料を請求するには、法的な判断や証拠の整理が不可欠です。

自分だけで進めようとすると、「証拠が不十分だった」「請求の時効が過ぎていた」といった理由で、請求が認められないこともあります。

弁護士に相談すれば、状況に応じた対応方針の提案や、必要な証拠の整理・収集方法について具体的なアドバイスを受けられます。

不貞行為の立証や、相手方との交渉をスムーズに進めるうえでも、弁護士のサポートは大きな助けになります。

別居中の不貞行為は証拠を集めるのも大変なため、早い段階で弁護士に相談して方針を決めるとよいでしょう。

【関連記事】
弁護士を立てずに自分で慰謝料請求をする方法|請求の注意点と流れ
無料で離婚相談ができる窓口3つ|離婚相談は誰にすべき?

別居中の不貞行為に関するよくある質問

離婚協議中の浮気は不貞行為になる?

離婚協議(調停)中に浮気が発覚した場合でも、不貞行為と認められるかどうかは、まだ婚姻関係が破綻していなかったかどうかがポイントになります 。

たとえば、離婚の話し合いが始まっていても、夫婦のどちらかが離婚に同意していない場合は、婚姻関係が破綻しているとは限りません。

このような場合、不貞行為が慰謝料請求の対象になることがあります 。

また、離婚協議や調停前から浮気を始めていた場合は、婚姻関係が続いていた時期に不貞関係があったと主張することで、慰謝料が認められる可能性があります 。

別居中は連絡しない方がいい?

別居中に連絡を取るべきかどうかは、状況によって異なります。特に、相手が弁護士に依頼している場合は、直接の連絡を避け、弁護士を通すのが原則です。

無理に連絡を取ろうとすると、相手に不快感を与えるだけでなく、自分に不利になることもあります。一方、弁護士を立てていない場合でも、やみくもな連絡は避けた方がよいでしょう。

すでに双方で離婚に向けて進みだしている場合は、感情的なトラブルを避けるため、必要な事情がある場合に限り、冷静かつ簡潔なやり取りにとどめるのが望ましい対応です。

連絡手段にも注意が必要です。電話やメール、SNSなどはすべて記録に残る可能性があるため、言葉遣いや内容には十分に配慮しましょう。

別居中のやり取りに不安がある場合は、早めに弁護士に相談し、適切な対応を確認しておくと安心です。

まとめ

別居中であっても、夫婦関係が破綻していなければ、不貞行為によって慰謝料請求が可能なケースは多くあります。

一方で、別居期間が長く、すでに夫婦関係が実質的に終わっている場合などは、不貞行為による慰謝料請求が認められないこともあります。

そのため、慰謝料請求を検討する際は、「いつから」「どのように」別居していたのか、夫婦間の関係性がどうだったか、といった点が非常に重要です。

慰謝料をしっかり請求するためには、不貞行為の証拠や夫婦関係の継続性を示す資料がカギになります。早めに弁護士へ相談し、正確な法的アドバイスを受け、不利にならないよう対処しましょう。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)