【離婚専門弁護士が解説】社長が離婚する時に知っておくべき8つのポイント

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会社経営をしている場合、サラリーマンと比べて高年収だったり、株や高価品、高級会社や保険、多額の預金など財産が多額多種類に及ぶことが多く、特に、妻が専業主婦の場合、養育費や財産分与で争いが生じることは少なくありません。

また、夫婦で共同経営をしていて、お互いに株式を持っていたり、親族も取締役を務めている親族経営の場合は、経営権争いにも発展するなど紛争が複雑化してしまいます。

経営者のプライベートな離婚問題が,会社の経営権や財産に影響を与えることは避けたいところです。

「ウチに限って離婚なんて・・」と考えるかもしれませんが,

多くの従業員や取引先を抱える会社の代表として,自身が離婚する場合のリスクヘッジはしておくに越したことありません。

本記事では,社長が知っておくべき離婚の財産分与に関する情報をお伝えします。

1 法人名義の財産は、原則として財産分与の対象にならない

夫婦の財産分与の対象になるのは、原則として、夫婦個人の名義の財産です。

夫の経営している会社名義の財産は、夫個人の財産とは法的に別個の財産になりますので、基本的には財産分与の対象になりません(ex.社用車や会社名義で購入しているマンション等)

例外的に、個人資産とどうしできるような事情があれば、会社名義の財産であっても、分与対象になることがあります。ご自身の場合に会社名義の財産が分与他になるかどうか知りたい方は、離婚事件や経営者の離婚に精通している弁護士に相談してみてください。

2 夫の自社株は、財産名義の分与対象になる

夫が経営者として自社株を保有している場合は、当該株式は財産分与の対象になります。もっとも、会社経営に関与していない配偶者としては、自社株をそのまま分与されてもあまり意味がありませんので、基本的に金銭で分与を受けることを求めるでしょう。そこで問題になるのは、金銭で分与する場合の評価額です。ちなみに、経営者としては、株式を現物で分与する=経営権を渡すことにもなりかねませんので、どれだけ円満に離婚できるとしても、現物分与はやめておきましょう。

ア 上場会社の場合

離婚時の市場価格で評価額を算出できます。なお、対象になる株式は、婚姻後に購入した株式の合計数になりますので、

「一株あたりの市場価額×婚姻後に購入した株式数」で分与対象額を計算できます。

イ 非上場会社の場合

市場価額のない非上場会社の株式の評価は、概ね以下の二つの方法のいずれかで算出します。

あ 類似業種比準方式(大きめの会社の場合)

毎年6月に国税庁のHPで公表される「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」の類似業種の平均株価を基礎として、1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産額を類似業種と批准して、株式評価額を計算する方法です。

い 純資産方式(小規模な会社の場合)

評価化する会社の課税時期における資産(相続税評価額)から負債額及び評価差額に対する法人税額等相当額を控除して、株式評価額を計算する方法です。

会社規模で分けて記載しましたが、実際はこれらを併用したり、会社規模にかかわらず方式を選択したり、事案によって適切な株式評価をするには、弁護士だけでなく税理士にも相談しながら、進めていくことが求められます。

3 高価な時計や貴金属は財産分与対象になる

基本的に動産の評価は離婚時の評価額で算出しますので、家電・家具等々一般的な動産はほぼまとまった値段がつかないため、現物で分与するか処分するかいずれかで処理することが通例です。

他方、ダイヤその他高価な貴金属やロレックス等々の高級時計は、購入時の価格自体高額で、売却した場合も購入価格と遜色ない相当程度の値がつくことが多いですから、分与対象に含めて協議すべきでしょう。

この場合、評価額は、買取業者等に査定を出すことになります。

4 ゴルフ会員権も財産分与対象になる

最近はあまり聞きませんが、ゴルフ倶楽部の会員権も分与対象になります。

インターネットで検索すると、会員権の買取・販売を行っている事業者が運営しているHPがありまして、これを参照すれば、ゴルフ会員権の価値がわかることがあります。

それ以外の方法としては、国税庁のHPに詳しく書いてありますので、そちらをご参照ください

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4647.htm

5 退職金がなくても、退職金代わりの保険は財産分与対象になる

将来、役員が退任するときに退職金を支給するために会社を契約者、社長を被保険者として保険(長期平準定期保険や逓増定期保険と言われるもの等)に加入していることがあります。

保険の形をとることで,その保険料の2分の1から4分の1程度を損金として処理できる点で税制上有利であることから,税理士のアドバイス等で加入している方は多いのではないでしょうか。

会社の制度上退職金がなくても,こういったタイプの保険が財産分与対象になる,ということも留意する必要があります。

6 投資用不動産も分与対象になる

投資用不動産も婚姻後に購入かつ個人名義で所有しているものはやはり分与対象になります。

7 自宅不動産・個人名義の預金も当然分与対象になる

婚姻後に購入、形成した個人の財産ですから、これは当然ですね。

8 妻を雇用している場合は要注意

離婚するから、会社も辞めて当然だろう、と考えてしまう経営者様は多いのですが、夫婦間の離婚と、会社と従業員との雇用の問題は、本来全く別物です。配偶者を雇用している場合、離婚するに際して、従業員の地位の問題が離婚の障害になることを留意しておく必要があります。

解雇については、労働契約法第16条によって、客観的・合理的な解雇事由があり、かつ、社会通念上相当と認められないかぎりは、解雇したとしても無効とされるなど、かなりハードルが高く、離婚を理由に解雇は難しいでしょう。

従って、離婚に伴い、退職の合意を得ることも重要になります。場合によっては、退職(離婚)後の生活保障の趣旨で一定の解決金を提示することもあるでしょう。

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