50代離婚から人生やり直し|貯金なしでも後悔しない準備と知識
- 離婚の原因

50代での離婚は、決して珍しい選択ではありません。
しかし、長年専業主婦やパートとして家庭を支えてきた場合、貯金がないことが大きな不安となり、一歩を踏み出せないこともあるでしょう。
この記事では、50代の離婚から人生をやり直すために、貯金なしでも離婚できる法的根拠や、離婚後の現実、後悔しないための準備について解説します。
目次
50代の離婚は珍しいことではない
50代での離婚は、統計上も一定数存在しており、子どもが成人した後に離婚を選択する夫婦も少なくないのが実情です。
ここでは、50代の離婚率の傾向や熟年離婚の現状について解説します。
50代の離婚率は一定数存在する
厚生労働省の資料によると、日本の離婚件数は2002年の約29万組をピークに、長期的には減少傾向にあります。
直近の2024年の確定数では約18.6万組となっており、ピーク時と比べると10万組以上減少しています。
もっとも、全体の件数が減少している中でも、50代で離婚する夫婦は一定数存在しており、50代の離婚が特別な出来事であるとはいえません。
熟年離婚は増加傾向にある
全体の離婚件数は減少傾向にあるものの、同居期間20年以上の夫婦による離婚、いわゆる熟年離婚の割合は増加しています。
1947年には全体の3.1%にとどまっていましたが、2023年には約21.7%にまで上昇しており、現在では、離婚全体の5組に1組以上が婚姻期間20年以上の夫婦によるものです。
加えて、人口統計資料集によれば、50代の離婚率は人口千対でおおむね1.5〜2.0前後で推移し、50代が1,000人いた場合、年間で約2人が離婚している計算になります。
【関連記事】令和5年(2023)人口動態統計(確定数)
50代で離婚を考える主な原因とは
50代で離婚を考える背景には、長年の夫婦関係の積み重ねがあります。
日常の小さな違和感が解消されないまま続き、子育てが一段落した時期に改めて関係性を見つめ直す人も少なくありません。
ここでは、50代で離婚を考える主な原因について整理します。
【関連記事】熟年離婚の原因ランキング|後悔しないために知っておくべき現実と備え
夫婦の会話がほとんどない
長年連れ添っていても、日常的な会話が事務的な連絡に限られてしまう夫婦は少なくありません。
生活に必要なやり取りはあっても、お互いの気持ちや考えを共有する時間がない状態が続くと、次第に心理的な距離が広がっていきます。
大きな衝突がなくても、対話の不足が積み重なることで、関係の修復が難しいと感じるようになることがあります。
家事や生活費の管理を当然の役割とされる
長年にわたり家事や生活費の管理を担ってきた場合、それが当然の役割として固定化されてしまいます。
家庭を支える重要な働きであるにもかかわらず、自分の存在が役割だけに限定されているように感じることもあります。
夫婦は本来対等な関係ですが、家事や金銭管理が一方に偏り、その状況が当たり前とされている場合、関係性に違和感を覚えるきっかけになります。
子育てが終わり役割を失ったと感じる
子育てに多くの時間とエネルギーを注いできた場合、子どもが自立した後に生活の重心が大きく変わります。
これまで家庭の中心にあった役割が一段落し、自分の立ち位置を見つめ直す機会になったり、夫婦だけの時間が増えることで、これまで気づかなかった関係の距離に直面することもあります。
子育てが終わったこと自体が原因というよりも、その後の夫婦関係をどのように築いていくかが問われる場面で、離婚を考えるきっかけとなる場合があります。
長年の我慢が限界に達する
大きな問題がなくても、小さな不満や違和感を長年抱えたまま過ごしている夫婦もいます。
その都度解決せずにやり過ごしてきた結果、気づいたときには気持ちの距離が大きく広がっていることもあります。
とくに50代は、これまでの我慢を続けるべきか、それとも自分の生活を見直すべきかを真剣に考え、離婚を選択肢として意識するようになる時期でもあります。
【関連記事】夫婦喧嘩が離婚の原因に?離婚の判断基準と後悔しないための考え方
セックスレスが長期化している
50代の離婚相談において、セックスレスは珍しい問題ではありません。
若い世代とは異なり、単に行為がないということ以上に、一人の女性(男性)として見てもらえていないのではないかという思いや、夫婦としての心の通い合いが失われていることへの孤独感が背景にある場合が多く見られます。
歩み寄ろうとしたにもかかわらず拒否が続き、その経験が長年積み重なっているケースもあります。
加えて、セックスレスをきっかけに不貞行為が発覚するケースもあります。
家では関係がないにもかかわらず、外で交際関係があったことが判明した場合、夫婦関係の破綻がより明確になることがあります。
正当な理由なく長期間にわたり関係を拒否され続け、その結果として夫婦関係が実質的に破綻していると認められる場合には、離婚の事由に該当する可能性があります。
【関連記事】セックスレスが理由で離婚できるケース|離婚慰謝料の相場を解説
50代で貯金なしでも離婚できる理由
長年専業主婦やパートとして家庭を支えてきた場合、自分名義の預貯金がほとんどないことが離婚の際の大きな不安につながります。
しかし、法律上は夫婦で築いた財産を分ける制度があり、一定の条件を満たせば将来の年金も分割の対象となります。
ここでは、50代で貯金がない場合でも離婚できる理由について整理します。
財産分与によって共有財産の半分を受け取れるから
離婚する際には、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分ける財産分与という制度があります。
この財産分与は、原則として、婚姻中に形成された共有財産は2分の1ずつ分けるとされています(民法第768条)。
ここでいう共有財産には、預貯金や不動産だけでなく、婚姻期間中の収入によって形成された資産が含まれます。
専業主婦やパートであった場合でも、家事や育児によって家庭を支えてきた貢献が評価されるため、財産分与の対象から除外されることはありません。
【関連記事】財産分与の進め方がわからない
貯金は名義に関係なく共有財産に含まれるから
離婚時の財産分与では、誰の名義かよりも、どのように形成された財産かが重要になります。
婚姻期間中の収入によって蓄えられた預貯金であれば、たとえ夫名義の口座であっても、原則として共有財産に含まれます。
専業主婦やパートとして家庭を支えてきた場合でも、名義だけを理由に財産分与の対象から外れることはありません。
もっとも、結婚前から保有していた財産や相続によって取得した財産は特有財産とされ、分与の対象とならないのが原則です。
退職金も条件次第で分与の対象となるから
退職金は、将来支給されるものであっても、一定の条件を満たせば財産分与の対象となります。
とくに、退職金の支給がほぼ確実と見込まれ、婚姻期間中の勤務によって形成された部分がある場合には、その相当額について分与が認められやすくなります。
もっとも、退職時期が大きく先である場合や、支給の見込みが不確実な場合には、直ちに分与の対象とならないこともあります。
年金分割により将来の年金を受け取れるから
離婚の際には、婚姻期間中の厚生年金の記録を分割する年金分割という制度があります。
これは、婚姻中に夫婦の一方が厚生年金に加入していた場合、その保険料納付実績を分けることができる仕組みです。
専業主婦やパートであった場合でも、婚姻期間中に配偶者が厚生年金に加入していれば、将来受け取る年金額に反映される可能性があります。
もっとも、分割の対象は厚生年金部分に限られ、国民年金の基礎年金部分は原則として分割の対象にはなりません。
加えて、婚姻期間や加入状況によって受け取れる額は異なるため、具体的な金額については個別の確認が必要です。
不貞行為があれば慰謝料を請求できるから
配偶者に不貞行為があった場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
不貞行為とは、配偶者以外の第三者と自由な意思に基づいて性的関係を持つことを指し、夫婦の信頼関係を著しく損なう行為とされています。
もっとも、慰謝料が認められるかどうかは、証拠の有無や夫婦関係の状況などを踏まえて判断されます。
慰謝料の金額も事案ごとに異なりますが、一般的には数十万円から数百万円の範囲で判断されることが多く、これを離婚後の生活費の一部に充てることができます。
【関連記事】不倫慰謝料の相場と請求条件とは?|手順やよくある失敗まで解説
50代女性が離婚後に直面する主な課題
離婚後の生活は、法的な制度だけで支えられるものではありません。
50代での離婚は、経済面だけでなく、住まいや働き方、心の整理など、現実的な課題と向き合うことになります。
ここでは、離婚後に直面しやすい主な課題について整理します。
生活費を自分で確保する必要がある
離婚後は、生活費を自分で確保する必要があります。都市部で一人暮らしをする場合、生活費は月15万〜20万円程度が一つの目安とされています。
内訳としては、家賃が6万〜8万円、食費が3万〜4万円、光熱費や通信費が2万〜3万円、保険料や日用品などで数万円程度かかることが一般的です。
財産分与や慰謝料、年金分割の見込みなどを踏まえて収支を整理することで、現実的な生活設計を立てることは可能です。
【関連記事】総務省統計局 家計調査(家計収支編) 調査結果
住居費の負担が大きい
離婚後の生活で大きな割合を占めるのが住居費です。
賃貸住宅に住む場合、家賃は生活費の中でも固定的にかかる支出となり、地域によっては月収の3分の1以上を占めることもあります。
とくに50代で新たに賃貸契約を結ぶ場合、収入状況や保証人の有無などが審査に影響することもあります。
そのため、現在の住居に住み続けるのか、新たに借りるのか、あるいは実家に戻るなどの選択肢を含めて検討する必要があります。
住居費は一度決まると見直しが難しい支出でもあるため、離婚後の収入見込みを踏まえて慎重に判断することが重要です。
働き方を見直す必要がある
離婚後の生活を支えるためには、収入の確保が欠かせません。
専業主婦の場合、ブランクや年齢への不安を感じることもありますが、正社員に限らず、パートや契約社員、在宅ワークなど、働き方の選択肢はさまざまです。
重要なのは、いきなり理想の働き方を目指すのではなく、生活費や体力、これまでの経験を踏まえて現実的な選択をすることです。
ハローワークや自治体の就労支援制度を活用できるため、自分に合った働き方を模索する視点が求められます。
感情の整理に時間がかかる
離婚は法的な手続きであると同時に、長年の関係を終える出来事でもあります。
たとえ自ら選択した離婚であっても、寂しさや不安、後悔の気持ちが生じることは珍しくありません。
とくに50代は、これまでの人生を振り返る時期でもあり、決断の重みを強く感じることがあります。周囲には理解されにくい複雑な感情を抱えることもあります。
そのため、経済面や住居の準備だけでなく、自分の気持ちと向き合う時間も必要です。
50代の離婚で後悔しないための準備
50代での離婚は、これからの人生を左右する大きな決断です。
ここでは、離婚を決断する前に確認しておきたい後悔しないための離婚準備について解説します。
一時的な感情で離婚を決めない
離婚を考えるきっかけがあったとしても、その場の強い感情だけで結論を出すことは避ける必要があります。
長年の不満が一気にあふれたときや、衝撃的な出来事があった直後は、冷静な判断が難しくなることがあります。
とくに50代は、今後の生活設計や老後資金にも影響する決断となるため、時間をかけて状況を整理することが重要です。
財産状況を把握する
離婚を具体的に考える場合、預貯金や不動産、保険、退職金の見込みなど、婚姻期間中に形成された財産がどの程度あるのかを整理しておく必要があります。
通帳や保険証券、給与明細、年金記録などの資料を確認し、どの財産が共有財産に当たるのかを把握することで、離婚後の見通しが立てやすくなります。
離婚後の生活費を具体的に試算する
毎月どの程度の生活費が必要なのか、現在の収入や見込み収入でどこまで賄えるのかを具体的に試算しておきましょう。
住居費や食費、保険料、医療費などを書き出し、現実的な家計を想定してみることで、離婚後の生活像が明確になります。
すぐに離婚せず別居という選択もある
離婚するかどうかを判断する前に、別居という選択肢を取ることもあります。
一定期間距離を置くことで、感情を整理できる場合もありますし、夫婦関係の実態を客観的に見つめ直す機会になることもあります。
加えて、別居期間中の生活費については、婚姻費用として請求できる可能性があり、経済的な見通しを立てる一助となることもあります。
【関連記事】【別居】【生活費】別居前にしていおいたほうがよい6つのこと
弁護士に相談し選択肢を整理する
離婚は感情的な問題であると同時に、法律やお金が関わる問題でもあります。
自分だけで判断するのではなく、弁護士に相談することで、取り得る選択肢や見通しを客観的に整理できます。
財産分与や年金分割、慰謝料の可能性などについて具体的な説明を受けることで、漠然とした不安が軽減されることもあります。
50代の離婚に関するよくある質問
50代専業主婦でも離婚後に生活できる?
専業主婦であっても、財産分与や年金分割などの制度を活用できる可能性があります。
生活が成り立つかどうかは、財産状況や住居費、収入見込みによって異なるため、具体的な収支を整理することが重要です。
50代で離婚すると再婚は難しい?
年齢のみを理由に再婚が難しいと断定することはできませんが、再婚を前提に離婚を判断することは慎重であるべきです。
50代で貯金がない場合の離婚はどう準備する?
財産分与の対象となる財産を把握し、退職金や年金分割の見込みも含めて整理することが第一歩です。
不安がある場合には、早めに専門家へ相談することが有効です。
50代で離婚した場合の生活費はいくら必要?
住む地域や生活水準によって異なりますが、単身世帯の生活費は月15万〜20万円程度が一つの目安とされています。
まとめ
50代の離婚は、決して珍しい選択ではありません。
長年の夫婦関係の中で積み重なった違和感や孤独感が、子どもの自立や人生の節目をきっかけに表面化することもあります。
財産分与や年金分割などの制度を理解し、現実的な生活設計を立てることで、将来の見通しを整理することは可能です。
一時的な感情に流されず、財産状況や生活費を具体的に確認したうえで、慎重に判断することが後悔を防ぐことにつながります。
不安を抱えたまま一人で悩み続けるのではなく、情報を整理し、必要に応じて弁護士の意見を聞くことも選択肢の一つです。
これからの人生をどのように生きていきたいのかを見つめ直し、自分にとって納得できる道を選ぶことが大切です。

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