離婚の種類は4つ!手続きの流れ・費用・有利に進める条件を徹底解説
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離婚の手続きは、単に離婚届を提出すれば終わるものではなく、協議・調停・審判・裁判という4種類に分かれています。
話し合いで解決できる場合もあれば、家庭裁判所の手続きが必要になることもあり、選択する方法によってかかる時間や費用、準備すべき内容は大きく異なります。
この記事では、離婚の種類と手続きの流れを整理し、費用の目安や権利を守るための準備について解説します。
目次
離婚の種類とは?
離婚の方法は法律上いくつかに分かれています。
ここでは、民法上の離婚の種類と、その基本的な違いを整理します。
民法上の離婚は協議・調停・審判・裁判の4種類
民法および家事事件手続法に基づき、離婚の方法は次の4種類に分けられています。
- 協議離婚(民法763条)
- 調停離婚(家事事件手続法 第244条、家事事件手続法 第257条)
- 審判離婚(家事事件手続法284条など)
- 裁判離婚(民法770条)
最も多いのは協議離婚で、全体の約9割を占めています。
夫婦の話し合いによって条件がまとまれば、市区町村に離婚届を提出することで成立しますが、話し合いがまとまらない場合には家庭裁判所の手続きに進む必要があります。
それぞれの手続きは、成立の仕組みや必要な条件、かかる時間や費用が異なります。
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和解離婚と認諾離婚を含めると6種類と呼ばれることがある
法律上の基本的な離婚方法は、協議・調停・審判・裁判の4種類ですが、裁判離婚には終わり方の違いがあります。
裁判離婚の主な終結形態は次のとおりです。
- 判決離婚:裁判官が判決を下して離婚が成立する
- 和解離婚:裁判の途中で当事者双方が合意し、和解によって離婚が成立する
- 認諾離婚:被告が原告の請求を全面的に認めて訴訟が終了する
これらは裁判手続の中での終了形態の違いを示すものであり、独立した離婚方法というわけではありません。
そのため、基本的には4種類と説明されますが、終わり方まで含めて6種類と紹介されることがあります。
離婚手続きの流れと4種類の違い
離婚は、いきなり裁判から始まるわけではなく、通常は段階を踏んで進みます。
ここでは、離婚手続きの基本的な流れと、それぞれの方法の違いを整理します。
協議離婚は夫婦の合意で成立する
離婚手続きは、通常、夫婦の話し合いから始まります。これが協議離婚です。
夫婦双方が離婚に合意し、親権や養育費、財産分与などの条件についても合意できれば、市区町村に離婚届を提出することで成立します。
手続きは比較的簡便ですが、合意が前提である点が特徴です。
どちらか一方が離婚に反対している場合や、条件面で対立がある場合には協議離婚は成立しません。
加えて、離婚届を提出すれば形式上は成立しますが、養育費や財産分与などの合意内容に法的な強制力を持たせるためには、書面化しておく必要があります。
調停離婚は家庭裁判所で合意を目指す
夫婦間の話し合いで合意に至らない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停では、調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら合意点を探ります。
当事者同士が直接対立する場面は限定され、感情的な衝突を避けやすい仕組みになっています。
調停は1回で終わるとは限らず、通常は複数回にわたり期日が開かれます。
話し合いによって条件がまとまれば、調停調書が作成され、確定判決と同じ効力を持ちます。
もっとも、最終的には合意が必要であり、どちらかが強く反対している場合には成立しません。
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審判離婚は裁判所が職権で判断する
審判離婚は、調停がほぼまとまりかけているものの、一部の点で合意できない場合に行われる調停に代わる審判によって成立する離婚です。
家庭裁判所は、当事者双方の事情を踏まえたうえで、離婚の可否だけでなく、親権や財産分与などの条件についても相当と認める内容を定めます。
しかし、当事者が異議を申し立てた場合には効力を失うため、強制的に確定する仕組みではありません。
そのため、実務上利用されるケースはほとんどなく、最終的には調停で成立するか、裁判へ移行する場合が一般的です。
裁判離婚は判決・和解・認諾などの形で終了する
裁判離婚は、調停が不成立となった場合に、家庭裁判所へ離婚訴訟を提起して進める離婚手続きです。
裁判では、民法770条に定められた法定離婚事由があるかどうかが主な争点となります。
主な法定離婚事由は、次のとおりです。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
裁判では、当事者がそれぞれ主張と証拠を提出し、裁判所が最終的な判断を下します。
裁判の終わり方には、判決によって離婚が成立する場合のほか、和解や認諾などがありますが、いずれの場合も裁判所を通じて成立するため、法的な効力が確定します。
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離婚届は1種類?離婚の種別による書き方の違い
離婚届の様式自体は全国共通で、基本的に1種類です。
しかし、どの手続きによって離婚が成立したかによって、記載方法や添付書類に違いがあります。
ここでは、協議離婚と調停・裁判離婚の違いを整理します。
協議離婚の場合は証人2人の署名が必要
協議離婚では、夫婦双方の署名押印に加えて、成人2人の証人署名が必要になります。
証人は親族や友人などでも差し支えありませんが、実在する人物であることが前提です。
加えて、未成年の子どもがいる場合には、親権者を必ず記載しなければなりません。
親権者の記載がない場合、形式的な不備として扱われるため、離婚届は受理されません。
協議離婚では離婚届の提出日が成立日となります。
調停・裁判離婚の場合は裁判所の確定証明書が必要
調停離婚や裁判離婚では、証人の署名は不要です。
その代わり、家庭裁判所で離婚が成立していることを証明する書類を添付します。
たとえば、調停離婚であれば調停調書謄本、裁判離婚であれば判決謄本と確定証明書などが必要になります。
この場合の離婚届は、離婚自体は裁判所で成立しており、離婚届はその事実を戸籍に反映させるための手続きという位置づけです。
提出期限が定められているため、成立後は速やかに手続きを行うことが求められます。
離婚届以外に必要な届出の種類
離婚が成立しても、すべての手続きが自動的に完了するわけではありません。
状況に応じて、次のような手続きが必要になることがあります。
- 氏の変更届(婚姻前の姓に戻る場合)
- 子の氏の変更許可申立て(家庭裁判所への申立て)
- 児童扶養手当の申請
- 健康保険の資格変更手続き
- 年金の種別変更手続き
離婚する際に子どもがいる場合は、戸籍や姓の扱いについて家庭裁判所の許可が必要です。
離婚届の提出とあわせて整理しておくことで、その後の生活上の手続きが円滑になります。
離婚の費用はいくらかかる?
離婚にかかる費用は、どの手続きを選ぶかによって大きく異なります。
ここでは、それぞれの費用の目安を整理します。
協議離婚は手続き費用がほとんどかからない
協議離婚の場合、離婚届の提出自体に費用はかかりません。
しかし、離婚条件を書面化するために離婚協議書を作成する場合や、公正証書にする場合には費用が発生します。
加えて、弁護士に交渉を依頼する場合には、着手金や報酬金が必要になります。
当事者同士で条件が整理されている場合は比較的費用を抑えやすい一方、財産や親権をめぐって争いがある場合には、書面作成や交渉にかかる負担が増える傾向があります。
調停離婚は申立費用と郵券などが必要
離婚調停を申し立てる場合、家庭裁判所に収入印紙(1,200円程度)と郵便切手(数千円程度)を納めます。
裁判所に支払う費用自体は大きくありませんが、調停は複数回にわたり行われることが一般的であり、資料の準備や主張整理が必要になります。
加えて、弁護士に依頼する場合には、別途費用が発生します。
さらに、財産分与や慰謝料などの請求をあわせて行う場合には、争点が増えることで手続きが長期化する可能性もあります。
費用は手続きそのものよりも、事案の内容によって左右されることが多いといえます。
裁判離婚は印紙代などに加えて弁護士費用がかかる
離婚訴訟では、収入印紙代や郵券などの実費が必要になります。
裁判は法的主張や証拠提出が中心となるため、弁護士に依頼するケースが一般的です。
弁護士費用は、着手金・報酬金・実費などで構成され、事案の難易度や請求内容によって幅があります。
争点が多い場合や、証拠収集が必要な場合には、時間的・金銭的負担が増える傾向があるため、手続きに入る前に費用の見通しを確認しておくことが重要です。
なお、離婚手続きにかかる費用は、原則として各自が負担します。
慰謝料請求が認められた場合などには、結果として一定額を回収できるケースもありますが、すべての費用が相手に転嫁されるわけではありません。
離婚を有利に進める条件とは?
離婚手続きでは、親権や養育費、財産分与、慰謝料など、将来の生活に直結する問題が決まります。
ここでは、離婚を進めるにあたって押さえておきたい事項を整理します。
親権・養育費は子どもの生活設計を先に固める
未成年の子どもがいる場合、親権や養育費は最も重要な争点になります。
裁判所が重視するのは、親の事情よりも子どもの利益です。
具体的には、これまで誰が主に監護してきたのか、生活環境がどのように維持されるのか、学校や住環境が安定しているかといった事情が考慮されます。
そのため、日常的な育児の実態や生活状況を整理しておくことが重要です。
将来どのような生活設計を描いているのかを具体的に説明できる状態にしておくことで、話し合いの場でも軸がぶれにくくなります。
【関連記事】親権はどう決まる?離婚前に知っておきたい裁判の流れと判断基準
財産分与は対象財産と時点を整理しておく
財産分与では、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産が対象になります。
そのため、専業主婦(主夫)の場合であっても、家事や育児への貢献は評価の対象となります。
しかし、すべての財産が自動的に対象になるわけではありません。
たとえば、結婚前から保有していた預貯金や、相続・贈与によって取得した財産は、原則として対象外とされます。
預貯金、不動産、保険、株式、自動車、退職金の見込みなど、名義にかかわらず対象となる可能性があります。
あらかじめ財産の一覧を作成し、通帳や契約書などの資料を確保しておくことで、後の話し合いや手続きが円滑になります。
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慰謝料は請求できる条件と証拠の有無が分かれ目になる
慰謝料は、法律上の責任が認められる場合に請求できるものです。
不貞行為や悪意の遺棄などが典型例ですが、単なる性格の不一致では認められないのが原則です。
そのため、法的に責任が認められる事情があるのか、主張を裏付ける客観的な証拠があるかが重要になります。
感情的なやり取りや推測ではなく、具体的な事実関係を積み重ねていくことが、結果を左右します。
【関連記事】不倫された側の離婚時における慰謝料請求のポイントとは?
別居は開始時期と生活費の確保が重要になる
別居は、離婚手続きの前段階として位置づけられることが多くあります。
もっとも、別居は単なる事実ではなく、法律上も一定の意味を持ちます。
別居開始の時期は、財産分与の基準時や婚姻費用の算定に影響することがあります。
加えて、別居中の生活費については、どのように確保するのかを事前に整理しておくことが重要です。
費用を抑えるなら見積もりと優先順位の整理が重要
離婚手続きでは、すべての争点を徹底的に争うことが必ずしも最善とは限りません。
何を優先して確保したいのか、どの点が譲歩可能なのかを整理し争点を明確しておくことで、手続きの長期化を防ぎやすくなります。
弁護士に依頼する場合も、事前に対応範囲や見通しを確認しておくことで、過度な負担を避けることができます。
準備段階での整理が、その後の展開を左右します。
離婚の種類に関連するよくある質問
離婚する方法は何種類ありますか?
法律上の基本的な離婚方法は、協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の4種類です(民法および家事事件手続法に基づく制度)。
離婚届は何種類ある?
離婚届の様式は全国共通で、基本的に1種類です。
ただし、手続きの種類によって必要書類が異なります。
離婚調停と裁判はどちらがよい?
いきなり裁判を選ぶことはできず、原則として先に調停を経る必要があります(調停前置主義)。
調停は話し合いによる解決を目指す手続きであり、合意が成立すれば終了します。
どちらがよいかは事案によりますが、争点や証拠の有無によって適切な手続きは異なります。
離婚するともらえる手当はある?
離婚したからといって自動的に金銭が支給されるわけではありません。
子どもがいる場合には児童扶養手当の対象になる可能性があります。
加えて、養育費は元配偶者に請求するものです。
公的手当の有無や条件は、収入や世帯状況によって異なるため、自治体で確認することが必要です。
まとめ
離婚の方法は、協議・調停・審判・裁判の4種類に分かれています。
多くは協議離婚で成立しますが、合意が難しい場合には家庭裁判所の手続きに進むことになります。
手続きの種類によって、進め方やかかる時間、準備すべき内容は異なります。
離婚を有利に進めるとは、相手を不利にすることではなく、自身の正当な権利を適切に確保することを意味します。
そのためには、手続きの仕組みを理解し、事実関係や資料を整理したうえで判断することが重要です。
具体的な事情によって最適な進め方は異なるため、不安がある場合には、早い段階で弁護士に相談することも一つの選択肢です。

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