音信不通の旦那と離婚したい場合の対処法|離婚条件・財産分与を解説
- 離婚の原因

夫が家出したまま音信不通になっていても、条件を満たせば離婚は可能です。
連絡が取れないからといって、離婚できないわけではありません。
一方で、どのくらいの期間、音信不通の状態が続けば離婚できるのか、相手と連絡が取れない場合でも財産分与や、婚姻費用を請求できるのかなど、不安や疑問を抱える人も少なくありません。
この記事では、音信不通の旦那と離婚したい場合に取れる具体的な方法や、財産分与、離婚に向けて最初にやるべきことを整理して解説します。
目次
音信不通の旦那と離婚したい場合、どのような方法がある?
夫が家出したまま連絡が取れない場合など、音信不通の状態が続いていても、一定の条件を満たせば離婚は可能です。
離婚が認められるかどうかは、別居の状況や音信不通に至った経緯、婚姻関係が実質的に破綻しているといえるかといった事情を踏まえて、裁判所が判断します。
ここでは、音信不通の場合に選択される主な離婚方法を解説します。
協議離婚が難しいことを前提に進める
離婚は、民法第763条により、夫婦の協議によって行うことが原則とされています。
協議離婚は、夫婦双方が離婚に合意し、その内容に納得したうえで離婚届を提出することで成立する手続きです。
しかし、相手が家出したまま連絡が取れない音信不通の状態では、離婚について話し合うこと自体が困難で、合意形成を行うことは不可能に近い状態であるといえます。
このような状況では、法律上原則とされている協議離婚の方法を取ることができません。
音信不通が続いている場合には、協議による解決にこだわらず、家庭裁判所を利用した調停や裁判といった手続きを視野に入れて進める必要があります。
離婚調停を申し立てる
協議離婚が難しい場合、次に検討するのが家庭裁判所で行う離婚調停です。
離婚調停は、調停委員を介して話し合いを進める手続きであり、相手と直接やり取りをする必要はなく、音信不通の状況であっても、離婚に向けた手続きを進めることが可能です。
加えて、離婚調停では、相手が調停期日に出席しない場合でも、申立て自体が無効になることはありません。
裁判所は申立人から事情を聞き取り、相手方に出席を促したうえで手続きを進めます。
ただし、相手が繰り返し出席せず、話し合いが成立する見込みがないと判断された場合には、調停は不成立となり、次の手続きを検討することになります。
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離婚裁判で離婚を成立させる
離婚調停が不成立となった場合には、離婚裁判を提起することになります。
離婚裁判では、夫婦の合意がなくても、法律上の離婚原因が認められれば、裁判所の判断によって離婚を成立させることが可能です。
音信不通で相手と直接話し合うことができない場合でも、裁判という手続きを通じて解決を図ることができます。
裁判では、別居期間や音信不通の期間、家出に至った経緯、婚姻関係が実質的に破綻しているかどうかといった事情が総合的に考慮されます。
音信不通であること自体が直ちに離婚原因になるわけではありませんが、長期間にわたって連絡が取れず、夫婦関係が回復する見込みがないと判断されれば、離婚が認められる可能性があります。
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音信不通の期間はどのくらいで離婚できる?
音信不通の状態が続いている場合でも、一定の期間が経過すれば自動的に離婚できるわけではありません。
離婚が認められるかどうかは、音信不通の長さだけでなく、その間の生活実態や夫婦関係の状況を踏まえて、判断されます。
ここでは、音信不通の期間ごとに、離婚が認められやすいかどうかの考え方を解説します。
数か月程度の音信不通では離婚が難しい
音信不通の期間が数か月程度の場合、離婚が認められる可能性は高くありません。
短期間の別居や連絡不通は、一時的な家出や夫婦間のトラブルの延長と判断されることが多く、直ちに婚姻関係が破綻しているとは評価されにくいためです。
この段階では、夫婦関係が修復できる余地があると見られるケースも少なくありません。
そのため、音信不通になってから間もない場合は、すぐに離婚裁判を起こしても、離婚原因が不十分と判断される可能性があります。
数年単位の別居や音信不通は判断材料になりやすい
音信不通や別居の状態が数年単位で継続している場合には、婚姻関係が実質的に破綻していると判断される可能性が高まります。
長期間にわたって同居や連絡がなく、夫婦としての実体が失われている状況は、裁判において重要な判断材料となります。
とくに、生活費の分担が行われていない、夫婦としての交流が一切ないといった事情が重なっている場合には、関係修復の見込みがないと評価されやすくなります。
音信不通の期間だけでなく、その間の生活実態を整理して説明できるかどうかが重要です。
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10年以上音信不通の場合の扱い
音信不通の状態が10年以上に及ぶ場合には、婚姻関係が完全に形骸化していると判断される可能性が高くなります。
長期間にわたり連絡が取れず、同居や夫婦としての協力関係が一切存在しない状況では、離婚裁判においても離婚が認められやすい傾向にあるからです。
加えて、不在者の生死が7年間明らかでない場合には、家庭裁判所に対して失踪宣告を申し立てることができるとされています(民法第30条・普通失踪)。
このように、長期間にわたって生死が分からない状態が続いていること自体が、法的にも重く評価される事情となります。
もっとも、期間が長ければ必ず離婚が認められるわけではありません。
音信不通に至った経緯や、別居後の生活状況、これまでにどのような対応が取られてきたかといった事情を含めて、裁判では総合的に判断されます。
さらに、10年以上にわたり生死が分からない状態が続いている場合には、失踪宣告という制度を検討することができます。
失踪宣告は、一定期間生死不明の状態が続いていることを前提に、法律上死亡したものとみなす制度であり、離婚手続きとは別の仕組みです(民法第32条・失踪の効果)。
失踪宣告が認められると婚姻関係は終了しますが、相続や財産の扱いなどに大きな影響が生じるため、状況に応じて慎重に判断する必要があります。
音信不通の旦那との離婚で問題になりやすいお金の話
音信不通の旦那と離婚を進める場合、手続きと同じくらい悩みやすいのが、お金の問題です。
相手と連絡が取れない状況では、財産分与や婚姻費用の話し合いが進まず、生活面で不安を抱える人も少なくありません。
ここでは、相手が長期間音信不通のケースで、とくに問題となりやすい財産分与について解説します。
財産分与の話し合いが進まない
音信不通の状態であっても、離婚に伴う財産分与を請求すること自体は可能です。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を公平に分けるための制度であり、相手と連絡が取れないからといって当然に権利が失われるわけではありません。
しかし、相手が音信不通の場合、当事者同士で財産分与を決めることは困難なため、離婚調停や離婚裁判の中で、財産分与についても併せて判断してもらうことになります。
調停や裁判では、預貯金、不動産、保険、退職金など、財産の内容や取得経緯をもとに分与の可否や割合が検討されます。
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婚姻費用を請求できず生活が不安定になる
夫婦が別居している場合であっても、離婚が成立するまでは、原則として生活費を分担する必要があります(婚姻費用)。
しかし、相手と連絡が取れない場合には、話し合いによって婚姻費用を決めることが難しく、結果として生活費の支払いが滞ってしまうケースも少なくありません。
とくに、突然の家出や音信不通によって別居が始まった場合には、当面の生活費に困る人も多く見られます。
このような場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることで、支払いについて判断してもらうことができます。
音信不通の状態が続いている場合には、生活の不安定さを放置せず、早い段階で婚姻費用の請求を検討することが大切です。
借金やローンの扱いが不明確になる
音信不通の旦那がいる場合、名義がどちらになっているのか、婚姻期間中に生じたものなのかによって、離婚時の扱いが変わるため、整理が必要です。
原則として、婚姻期間中に夫婦の生活のために負担した借金やローンは、財産分与の対象として考慮されることがあります。
一方で、個人的な浪費や事業のための借金など、夫婦の協力関係と無関係な債務については、分与の対象にならないと判断されるケースもあります。
音信不通の場合には、相手がどのような借金を抱えているのか把握できないことも多く、後から問題が表面化するおそれがあります。
そのため、住宅ローンの契約書やカードローンの明細、保証人の有無など、分かる範囲で情報を確認しておくことが重要です。
音信不通の旦那と離婚したいと思ったらやることリスト
音信不通の状態が続いている場合、感情的に動いてしまうと手続きが長期化したり、不利になるおそれがあります。
離婚を前に進めるためには、まず状況を整理し、必要な情報を揃えることが重要です。
ここでは、音信不通の旦那と離婚を検討したときに、やっておくべき確認事項を解説します。
音信不通になった時期と経緯を整理する
いつ頃から連絡が取れなくなったのか、どのような状況で音信不通に至ったのかを整理しておくことが重要です。
突然の家出なのか、徐々に連絡が減っていったのかによっても、受け止め方や評価は異なります。
音信不通になる直前の夫婦関係やトラブルの有無、最後に連絡を取った日時や内容なども含めて、時系列でまとめておくとよいでしょう。
こうした整理は、調停や裁判の場で事情を説明する際の基礎資料となります。
別居開始日と現在の生活状況を整理する
別居の開始時期は、婚姻関係がどの程度継続しているのかを判断する際の基準の一つとされるためです。
実際に同居が解消された日や、別居に至った経緯を明確にしておくことで、夫婦関係の実態を具体的に説明しやすくなります。
突然の家出による別居なのか、話し合いの末に別居に至ったのかといった点も整理しておくとよいでしょう。
子どもがいる場合には、誰がどのように監護しているのか、日常生活の状況も含めて整理しておくと、後の手続きで役立ちます。
生活費や収入状況を把握する
音信不通によって生活費の支払いが止まっている場合、まずは自分自身の収入や支出の状況を把握しておく必要があります。
毎月の生活費や、現在の収入でどこまで賄えているのかを整理しておくことで、婚姻費用を請求する必要性や、どの程度の金額が妥当なのかを検討しやすくなります。
感覚的にではなく、具体的な数字として整理しておくことが大切です。
財産分与の対象になりそうな財産を洗い出す
預貯金や不動産、生命保険、車、退職金など、婚姻期間中に形成された財産について、把握できる範囲で洗い出しておきましょう。
相手と連絡が取れない場合でも、通帳の写しや契約書、不動産の登記情報など、手元にある資料は重要な手がかりになります。
財産の内容や取得時期を整理しておくことで、調停や裁判で財産分与を求める際の準備がスムーズに進められます。
連絡を試みた事実や記録を残す
これまでに相手に対してどのような方法で連絡を試みてきたのか、その記録を残しておくことも大切です。
電話の履歴、メールやメッセージアプリの送信記録などは、音信不通の事実を客観的に示す資料になります。
連絡を取ろうとしたにもかかわらず応答がなかったことは、調停や裁判においても状況説明の一部として考慮されることがあるため、意識的に記録を保存しておくと安心です。
離婚の進め方について弁護士に相談する
長期間にわたって音信不通が続いているケースでは、どの手続きを選ぶかによって、離婚が成立するまでにかかる時間や精神的・経済的な負担が大きく変わります。
調停から進めるべきか、裁判を見据えて準備すべきかといった判断は、状況によって異なるため、自己流で進めてしまうと、解決までに時間がかかってしまうことも少なくありません。
加えて、長期間音信不通である場合、一般的な離婚とは異なる注意点も多く、慎重な対応が求められるケースが少なくありません。
そのため、早い段階で弁護士に相談し、自分の状況に合った進め方を確認しておくことで、無理のない選択をしやすくなります。
音信不通という特殊な状況だからこそ、第三者の視点を取り入れながら進めることが、離婚を前に進めるための有効な手段です。
音信不通の旦那との離婚に関連するよくある質問
夫が家出して音信不通でも勝手に離婚できる?
相手が音信不通であっても、自分の判断だけで勝手に離婚することはできません。
しかし、一定の条件を満たせば、裁判によって離婚が認められる可能性はあります。
失踪宣告を使えば離婚できる?
失踪宣告が認められると婚姻関係は終了します。
ただし、相続や財産関係に大きな影響が生じるため、離婚裁判とどちらを選ぶべきかは慎重に検討する必要があります。
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途中で相手が現れた場合、手続きはどうなる?
調停や裁判の途中で相手と連絡が取れるようになった場合でも、手続きが直ちに無効になるわけではありません。
その後の対応は、相手の意向や話し合いの可能性によって変わります。
まとめ
夫が家出したまま音信不通になっていても、条件を満たせば離婚を進めることは可能です。
ただし、協議離婚は成立しにくく、調停や裁判といった手続きを選ぶ必要があるケースが多くなります。
音信不通のケースでは、財産分与や婚姻費用、借金やローンの扱いといったお金の問題も複雑になりがちです。
相手と連絡が取れなくても、調停や裁判を通じて整理できる可能性があるため、状況を把握したうえで冷静に進めることが重要です。
感情的に動いてしまうと、手続きが長引いたり、不利な状況を招いたりするおそれがあります。
事実関係や生活状況を整理し、必要に応じて弁護士に相談しながら、無理のない進め方を検討していきましょう。
音信不通という難しい状況でも、適切な手順を踏むことで、次の一歩につなげることはできます。

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