離婚調停とは?手続きの流れから費用、期間まで弁護士がわかりやすく解説
- 離婚調停

離婚したいのに相手が応じてくれない、親権や養育費などの条件で揉めている、とお悩みではありませんか。この記事では、離婚調停とは何か、申し立てから成立までの全手順、費用や期間の目安、有利に進めるためのポイントまで弁護士が徹底解説します。離婚調停は、当事者だけでの解決が難しい場合に、第三者を交えて法的に妥当な解決を目指すための有効な手段です。この記事を読めば、離婚調停の全体像を理解し、次の一歩を踏み出す準備ができます。
目次
1. 離婚調停とは?協議離婚や離婚裁判との違い
離婚を決意した、あるいは相手から離婚を切り出されたものの、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しい場合、家庭裁判所の手続きを利用することになります。日本の法律で定められた離婚方法は、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類です。なかでも「離婚調停」は、夫婦間の話し合いと裁判の中間に位置する重要な手続きです。
この章では、まず離婚調停がどのような手続きなのかを解説し、最も一般的な協議離婚や、最終手段である離婚裁判との違いを明確にしていきます。それぞれの特徴を正しく理解することが、ご自身の状況に合った最適な解決策を見つける第一歩となります。
1.1 家庭裁判所で行う話し合い「離婚調停」
離婚調停とは、家庭裁判所において、調停委員という公平・中立な第三者を交えて、離婚やそれに伴う条件について話し合う手続きのことです。正式名称は「夫婦関係調整調停」といい、離婚だけでなく、夫婦関係を修復するための円満調整の場としても利用されます。
調停では、離婚に合意できるかどうかはもちろん、未成年の子どもがいる場合の親権者、養育費、子どもとの面会交流、夫婦で築いた財産の分け方(財産分与)、年金分割、不貞行為などがあった場合の慰謝料といった、離婚に関するあらゆる条件について話し合うことができます。
あくまで「話し合い」の場であるため、裁判官が一方的に結論を下すことはありません。調停委員が夫婦双方から別々に事情や意見を聞き、解決案を提示するなどして、双方が納得できる合意点を探っていくのが特徴です。
1.2 当事者同士で話し合う「協議離婚」との違い
協議離婚とは、夫婦が話し合いによって離婚に合意し、役所に離婚届を提出することで成立する離婚方法です。日本の離婚の約9割を占める最も一般的な方法ですが、離婚調停とはいくつかの重要な違いがあります。
最大の違いは、第三者の関与と、合意内容の法的な効力です。
協議離婚は夫婦間の話し合いのみで進められるため、第三者が間に入ることはありません。そのため、感情的になってしまったり、法的に妥当でない条件で合意してしまったりするリスクがあります。また、養育費などの取り決めを離婚協議書として作成しても、それだけでは支払いが滞った際に強制執行(給与の差し押さえなど)をすることはできません。強制執行力を持たせるには、別途費用と時間をかけて公正証書を作成する必要があります。
一方、離婚調停では調停委員が間に入ることで冷静な話し合いが期待でき、法的な観点から助言を受けながら妥当な解決を目指せます。そして、調停で合意した内容は「調停調書」という公的な書面に記載され、これには確定判決と同じ非常に強い法的効力があります。もし相手が調停で決まった養育費や慰謝料の支払いを怠った場合、この調停調書に基づいて直ちに強制執行の手続きをとることが可能です。
1.3 裁判官が判決を下す「離婚裁判」との違い
離婚裁判(訴訟)とは、調停でも話し合いがまとまらなかった(不成立となった)場合に、最終的な判断を裁判官に委ねる手続きです。調停が「話し合い」であるのに対し、裁判は当事者が法的な主張と証拠を出し合い、裁判官が「判決」という形で強制的に結論を下す点で根本的に異なります。
日本の法律では「調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)」が採用されており、原則として、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、先に離婚調停を申し立てなければなりません(家事事件手続法第257条)。これは、家庭内の問題はできる限り当事者の話し合いで解決すべきという考えに基づいています。
また、離婚裁判で離婚が認められるためには、不貞行為や悪意の遺棄など、法律で定められた離婚原因(法定離婚事由)があることを証拠に基づいて証明する必要があります。これに対し、離婚調停では、当事者双方が合意さえすれば離婚原因の有無にかかわらず離婚が成立します。
以下の表で、3つの離婚方法の違いを整理しました。
| 協議離婚 | 調停離婚 | 裁判離婚 | |
|---|---|---|---|
| 手続きの性質 | 当事者間の話し合い | 家庭裁判所での話し合い | 家庭裁判所での審理・判決 |
| 第三者の関与 | なし | 調停委員(裁判官も関与) | 裁判官 |
| 結論の決め方 | 夫婦の合意 | 夫婦の合意 | 裁判官の判決 |
| 合意文書の効力 | 離婚協議書(私文書) ※公正証書にすれば執行力あり |
調停調書(判決と同じ効力) | 判決書(判決と同じ効力) |
| 手続きの公開性 | 非公開 | 非公開 | 原則公開 |
| 法定離婚事由 | 不要 | 不要 | 原則必要 |
2. 離婚調停を利用すべきケースとは?
離婚について夫婦間で話し合い、合意の上で離婚届を提出する「協議離婚」が、日本の離婚全体の約9割を占めています。しかし、すべての夫婦が円満に話し合いで解決できるわけではありません。当事者同士での解決が難しい場合には、家庭裁判所の手続きである「離婚調停」の利用を検討すべきです。
具体的には、以下のようなケースで離婚調停の利用が推奨されます。
2.1 相手が離婚に合意してくれない
離婚をしたいと伝えても、相手が「絶対に離婚したくない」「理由に納得できない」などと頑なに拒否している場合、当事者同士の話し合いは平行線をたどるばかりで進展しません。協議離婚は、夫婦双方の離婚意思が合致して初めて成立するため、一方が拒否している限り、離婚届は受理されないのです。
このような場合、離婚調停を申し立てることで、膠着状態を打開できる可能性があります。調停では、公平な第三者である調停委員が間に入り、双方の言い分を客観的に聞き取ります。調停委員から離婚せざるを得ない状況について法的な観点から説明されたり、説得されたりすることで、相手の考えが変わり、離婚に応じるきっかけになることがあります。
2.2 親権や養育費など離婚条件で揉めている
離婚すること自体にはお互い同意していても、「子どもの親権はどちらが持つか」「養育費はいくらにするか」「財産分与をどうするか」といった離婚条件で意見が対立し、話がまとまらないケースは少なくありません。
当事者同士の話し合いでは、感情的な対立からお互いに譲歩できなくなったり、法的な知識がないために不公平な条件を主張し合ったりして、解決が困難になりがちです。離婚調停を利用すれば、調停委員が法的な知識や過去の事例に基づいて、客観的で妥当な解決案を提示してくれます。
特に揉めやすい離婚条件と、調停で期待できることは以下の通りです。
| 揉めやすい離婚条件 | 調停で期待できること |
|---|---|
| 親権 | 子どもの福祉を最優先に、これまでの監護実績や今後の監護環境などを踏まえた話し合いが進められます。必要に応じて、家庭裁判所調査官による調査が行われることもあります。 |
| 養育費・婚姻費用 | 裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を基準に、双方の収入に応じた客観的な金額での調整が期待できます。 |
| 財産分与 | 夫婦の共有財産は何か、特有財産はどれかといった財産の範囲を確定させ、貢献度に応じた公平な分割割合について、法的なルールに沿った話し合いができます。 |
| 慰謝料 | 不貞行為(浮気・不倫)やDV(ドメスティック・バイオレンス)などの離婚原因について、証拠に基づきながら、過去の裁判例などを参考にした妥当な金額を話し合うことができます。 |
| 面会交流 | 子どもの健全な成長の観点から、具体的な面会交流の回数、時間、場所、方法などを、双方の事情を考慮しながら建設的に調整できます。 |
2.3 相手と直接顔を合わせて話したくない
相手からDVやモラハラを受けているため恐怖心がある、あるいは、顔を見ると感情的になってしまい冷静な話し合いができないなど、相手と直接対話することが困難な状況もあります。
離婚調停は、原則として夫婦が顔を合わせずに手続きを進められるという大きな特徴があります。申立人と相手方はそれぞれ別の待合室で待機し、交代で調停室に入って調停委員と話をします。そのため、相手の威圧的な態度に怯えたり、感情的な言葉に惑わされたりすることなく、自分の意見を落ち着いて調停委員に伝えることができます。
また、DVなどの事情がある場合は、事前に裁判所に申し出ておくことで、待合室を別の階にする、裁判所への出入り時間をずらすといった配慮をしてもらえる可能性もあります。物理的・精神的な安全を確保しながら離婚に向けた話し合いを進めたい方にとって、離婚調停は非常に有効な手段です。
3. 離婚調停のメリット・デメリット
夫婦間の話し合い(協議離婚)で合意に至らない場合、次のステップとして考えられるのが「離婚調停」です。家庭裁判所を利用する手続きと聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。しかし、離婚調停には多くのメリットがある一方で、もちろんデメリットも存在します。
ここでは、離婚調停のメリットとデメリットをそれぞれ3つのポイントに絞って詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせ、調停を利用すべきかどうかを判断するための参考にしてください。
| 分類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| メリット |
|
| デメリット |
|
3.1 離婚調停の3つのメリット
まずは、離婚調停を利用するメリットから見ていきましょう。当事者同士の話し合いが行き詰まった際に、調停が有効な解決策となり得る理由がここにあります。
3.1.1 第三者を交えることで冷静に話し合える
夫婦二人きりの話し合いでは、どうしても感情的になりがちです。過去の不満をぶつけ合ったり、相手の話を遮ったりしてしまい、離婚条件などの本題が全く進まないケースは少なくありません。
離婚調停では、「調停委員」という中立的な立場の第三者が間に入って話し合いを仲介します。調停委員は、裁判官のほかに、社会的な知識や経験が豊富な男女1名ずつで構成されるのが一般的です。
また、調停は夫婦が別々の待合室で待機し、交互に調停室に呼ばれて調停委員と話す形式で進められます。そのため、相手と直接顔を合わせることなく、自分の意見や要望を落ち着いて伝えられます。特に、相手からDVやモラハラを受けている場合など、顔を合わせることに恐怖を感じる方にとっては、非常に大きな精神的メリットと言えるでしょう。
3.1.2 法的な知識に基づいた妥当な解決を目指せる
離婚条件について、何が法的に妥当な水準なのかを当事者だけで判断するのは困難です。例えば、「養育費はいくらが相場なのか」「財産分与はどのように分けるのが公平か」といった点で、知識がないまま交渉を進めると、本来得られるはずだった権利を失ってしまう可能性があります。
離婚調停では、調停委員が法律や過去の裁判例(判例)に基づいた情報を提供したり、解決案を提示してくれたりします。例えば、養育費については「養育費算定表」を参考にしたり、財産分与については法律上の原則を説明してくれたりします。
これにより、法的な観点から見て、著しく不公平な条件での離婚を避け、妥当な解決を目指すことができます。専門家である弁護士に依頼していない場合でも、一定の公平性が担保される点は大きなメリットです。
3.1.3 調停調書には判決と同じ効力がある
調停で離婚や離婚条件について合意が成立すると、その内容が「調停調書」という公的な書面にまとめられます。この調停調書は、裁判の確定判決と同一の強力な法的効力を持ちます(家事事件手続法第268条)。
これがなぜ重要かというと、将来の金銭支払いを確保できるからです。例えば、調停で「相手が毎月5万円の養育費を支払う」と決まったにもかかわらず、支払いが滞ったとします。この場合、あなたは調停調書に基づき、相手の給与や預貯金などを差し押さえる「強制執行」の手続きを申し立てることができます。
協議離婚で作成する私的な「離婚協議書」だけではこの強制執行はできず、別途公正証書を作成する必要があります。調停が成立すれば、追加の手間なく強力な法的効力を持つ書面が手に入るのです。
3.2 離婚調停の3つのデメリット
多くのメリットがある一方で、離婚調停にはいくつかのデメリットも存在します。時間や労力に関わる部分が多いため、申し立てる前によく理解しておくことが重要です。
3.2.1 平日の日中に裁判所へ出向く必要がある
離婚調停は、家庭裁判所で行われます。家庭裁判所の開庁時間は、原則として平日の午前10時から午後5時頃までです。そのため、調停期日には、仕事を休んだり、早退・遅刻したりして裁判所に出向く必要があります。
調停は1回で終わることは稀で、通常は月1回程度のペースで数回にわたって開かれます。その都度、平日のスケジュールを調整しなければならない点は、特に仕事を持つ方にとっては大きな負担となるでしょう。
3.2.2 解決までに時間がかかる場合がある
離婚調停は、申し立ててから第1回調停期日まで約1か月から2か月、その後は月1回のペースで期日が開かれるのが一般的です。双方の主張に隔たりが大きい場合や、親権や財産のことで争いが複雑な場合には、合意までに半年から1年以上かかることも珍しくありません。
協議離婚のように、数回の話し合いでスピーディーに解決できるわけではないため、すぐに離婚して新しい生活を始めたいと考えている人にとっては、時間がかかる点がデメリットに感じられるでしょう。調停が長引けば、その分だけ精神的な負担も大きくなります。
3.2.3 必ずしも合意できるとは限らない
離婚調停は、あくまでも「話し合い」の場です。裁判のように、裁判官が最終的な判断(判決)を下して強制的に問題を解決するものではありません。したがって、双方が合意できなければ、調停は「不成立」として終了します。
例えば、相手が離婚自体を頑なに拒否している、あるいは離婚条件について全く譲歩しないといったケースでは、いくら調停を重ねても合意に至らず、不成立となる可能性が高いです。その場合、調停にかけた時間や労力、費用が無駄になってしまうこともあり得ます。
調停が不成立になった後、それでも離婚を望むのであれば、最終手段である「離婚裁判」を提起することになります。
4. 離婚調停の申し立てから成立までの全手順を6ステップで解説
離婚調停を考え始めたものの、「何から手をつければいいのかわからない」「手続きが複雑そう」と不安に感じる方は少なくありません。しかし、離婚調停は決められた手順に沿って進められるため、全体の流れを把握しておけば、落ち着いて対応することができます。ここでは、申し立ての準備から調停成立後の手続きまで、具体的な手順を6つのステップに分けて詳しく解説します。
4.1 ステップ1:申し立ての準備(必要書類・費用)
離婚調停を始めるには、まず家庭裁判所に提出する必要書類を揃え、申し立て費用を準備することからスタートします。不備なくスムーズに手続きを進めるためにも、事前にしっかりと確認しておきましょう。
4.1.1 離婚調停申立書や戸籍謄本など必要書類一覧
離婚調停の申し立てには、主に以下の書類が必要です。申立書などの書式は、家庭裁判所の窓口で受け取るか、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。裁判所によって書式が異なる場合があるため、申し立てを行う家庭裁判所のウェブサイトで最新の情報を確認しましょう。
| 書類名 | 入手場所・作成方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 夫婦関係調整調停申立書 | 家庭裁判所の窓口、または裁判所のウェブサイトからダウンロード | 裁判所用、相手方用、自分用の合計3通を作成します。 |
| 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書) | 本籍地の市区町村役場 | 発行から3ヶ月以内のものを準備します。 |
| 事情説明書 | 家庭裁判所の窓口、または裁判所のウェブサイト | 夫婦関係がうまくいかなくなった経緯や、現在の状況などを記入します。 |
| 子についての事情説明書 | 家庭裁判所の窓口、または裁判所のウェブサイト | 未成年の子どもがいる場合に必要です。子どもの監護状況や今後の希望などを記入します。 |
| 進行に関する照会回答書 | 家庭裁判所の窓口、または裁判所のウェブサイト | DVの有無や期日の希望などを記入します。相手と顔を合わせたくない場合は、ここでその旨を伝えられます。 |
| 年金分割のための情報通知書 | 年金事務所 | 年金分割を求める場合に必要です。取得に時間がかかることがあるため、早めに手続きをしましょう。 |
このほか、財産分与を求める場合は預貯金通帳の写しや不動産の登記事項証明書、慰謝料を請求する場合は不貞行為の証拠など、主張内容に応じた資料も準備しておくと、その後の調停を有利に進めやすくなります。
4.1.2 申し立てにかかる費用(収入印紙・郵便切手)
離婚調停の申し立て自体にかかる費用は、数千円程度です。弁護士に依頼しない場合は、この実費のみで手続きを進めることができます。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 1,200円分 | 申立書に貼り付けて納付します。郵便局やコンビニエンスストアで購入できます。 |
| 郵便切手 | 800円~1,200円程度 | 裁判所から当事者への書類送付(呼出状など)に使用します。金額や組み合わせは各家庭裁判所によって異なるため、事前に申し立て先の裁判所に確認が必要です。 |
4.2 ステップ2:家庭裁判所への申し立て
必要書類と費用が準備できたら、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います。提出先となる裁判所はどこでも良いわけではなく、定められたルールがあります。
4.2.1 どこの裁判所に申し立てる?管轄裁判所の調べ方
離婚調停の申し立ては、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所に行います。例えば、申立人が東京都在住で、相手方が大阪府在住の場合、原則として大阪家庭裁判所に申し立てることになります。
相手方の住所がわからない場合や、DV被害から逃れて別居しているなどの事情がある場合は、自分の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てができるケースもあります。管轄の家庭裁判所がどこになるかは、裁判所のウェブサイトで確認できます。
もし夫婦間で「〇〇家庭裁判所で調停を行う」という合意ができている場合は、「管轄合意書」を申立書に添付して提出することで、その合意した裁判所で手続きを進めることが可能です。
4.3 ステップ3:第1回調停期日の通知
家庭裁判所に申立書が受理されると、裁判所が第1回目の調停期日を決定します。その後、申立人と相手方の双方に「呼出状(よびだしじょう)」という書面が郵送で届きます。
呼出状には、調停が行われる日時と場所が記載されています。申し立てから約2週間前後で呼出状が発送され、実際の調停期日は申し立てから約1ヶ月~2ヶ月先に指定されるのが一般的です。やむを得ない事情で指定された期日に出頭できない場合は、速やかに裁判所に連絡し、期日の変更を申し出る必要があります。
4.4 ステップ4:調停期日当日
いよいよ調停期日当日を迎えます。裁判所での話し合いと聞くと緊張するかもしれませんが、事前に当日の流れや注意点を把握しておくことで、リラックスして臨むことができます。
4.4.1 当日の流れと所要時間
離婚調停は、法廷ではなく「調停室」という個室で行われます。当事者双方が同席して話し合うのではなく、申立人と相手方は別々の待合室で待機し、交互に調停室に呼ばれて調停委員と話す、という流れで進められます。これにより、相手と顔を合わせることなく、冷静に自分の意見を伝えることができます。
- 指定された日時に家庭裁判所へ行き、受付を済ませる。
- 申立人待合室と相手方待合室に分かれて待機する。
- まず申立人が調停室に呼ばれ、調停委員(通常は男女各1名)に約30分話をする。
- 申立人は待合室に戻り、次に相手方が調停室に呼ばれ、同様に約30分話をする。
- これを2回ほど繰り返し、その日の調停は終了となる。
1回の調停にかかる時間は、全体でおよそ2時間程度が目安です。
4.4.2 調停委員から聞かれることの具体例
調停委員は、中立な立場で双方から話を聞き、解決策を探る役割を担っています。主に以下のような事柄について質問されます。自分の考えを整理し、具体的に答えられるように準備しておきましょう。
- 申し立ての動機(なぜ離婚したいのか、関係修復の可能性はあるか)
- 婚姻生活の経緯(いつから関係が悪化したか、その原因は何か)
- 離婚条件についての希望(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)
- 現在の生活状況(収入、仕事、子どもの様子など)
- 相手の主張に対する自分の考え
4.4.3 服装や持ち物で気をつけること
調停期日に臨むにあたり、服装や持ち物にも気を配ると良いでしょう。
- 服装:特に決まりはありませんが、清潔感のある落ち着いた服装が望ましいです。スーツである必要はなく、普段着で問題ありません。ただし、調停委員に良い印象を持ってもらうためにも、派手な服装やラフすぎる格好(ジャージやサンダルなど)は避けた方が無難です。
- 持ち物:
- 呼出状
- 身分証明書(運転免許証など)
- 印鑑(認印で可)
- 筆記用具、メモ帳
- 自分の主張や時系列をまとめた書類
- 主張を裏付ける証拠資料(写真、メールのコピー、診断書、源泉徴収票など)
- 飲み物(待機時間が長くなる場合があるため)
4.5 ステップ5:2回目以降の調停
多くの場合、離婚調停は1回では終わらず、複数回にわたって行われます。第1回調停の最後に、次回の期日が調整され、その場で伝えられるか、後日郵送で通知されます。
2回目以降の調停は、およそ1ヶ月~1ヶ月半に1回のペースで開かれます。前回の調停で調停委員から宿題(次回までに検討してくることや、追加資料の提出など)が出された場合は、次の期日までに準備しておく必要があります。双方が合意に至るまで、このプロセスを繰り返していきます。
4.6 ステップ6:調停成立と離婚届の提出
話し合いを重ね、離婚そのものや親権、養育費、財産分与などの離婚条件について双方が合意に達すると、調停は「成立」となります。
4.6.1 調停調書の効力と離婚後の手続き
調停が成立すると、裁判所が合意内容をまとめた「調停調書」という公的な書面を作成します。この調停調書は、裁判の確定判決と同じ非常に強い法的効力を持ちます。例えば、調停調書で定められた養育費や慰謝料の支払いが滞った場合、相手の給与や財産を差し押さえる強制執行の手続きをとることが可能です。
調停成立後の手続きは以下の通りです。
- 調停が成立すると、離婚が法的に確定します。
- 申立人は、調停成立日から10日以内に、市区町村役場に離婚届を提出しなければなりません。
- 離婚届を提出する際には、通常の協議離婚で必要な証人欄への署名は不要ですが、代わりに「調停調書の謄本」を添付する必要があります。
この手続きを終えることで、戸籍上も正式に離婚が反映されます。期限を過ぎてしまうと過料(罰金)が科される可能性があるので、忘れずに手続きを行いましょう。
5. 離婚調停を有利に進めるための5つのポイント
離婚調停は、単に自分の言い分を主張する場ではありません。中立な立場の調停委員を介して、相手方との合意形成を目指す手続きです。感情的になったり、準備不足で臨んだりすると、望まない結果に終わってしまう可能性もあります。ここでは、離婚調停を少しでも有利に進め、ご自身の希望に近い形で解決するための5つの重要なポイントを解説します。
5.1 自分の主張と希望を明確に整理しておく
調停期日は1回あたり2時間程度と限られています。その短い時間で、調停委員に自分の状況を正確に理解してもらい、相手方に意向を伝えてもらうためには、事前に自分の主張と希望を論理的に整理しておくことが不可欠です。行き当たりばったりで話すと、要点が伝わらず、主張に一貫性がないと判断されかねません。
調停に臨む前に、最低でも以下の点については、ご自身の希望と、なぜそう希望するのかという理由をセットで書き出しておきましょう。
| 整理すべき項目 | 整理する内容の具体例 |
|---|---|
| 離婚そのもの | なぜ離婚したいのか(離婚原因)。離婚の意思は固いか。 |
| 親権 | なぜ自分が親権者にふさわしいのか(これまでの監護実績、今後の監護計画、経済力、心身の健康状態など)。 |
| 養育費 | 希望する月額と、その算定根拠(裁判所の算定表を参考に、子の年齢や人数、双方の収入を基に計算)。 |
| 面会交流 | 希望する頻度(月1回など)、時間、場所、方法(宿泊の可否、受け渡し方法など)。 |
| 財産分与 | 対象となる共有財産(預貯金、不動産、保険、自動車など)のリスト。希望する分割割合(原則2分の1)とその理由。 |
| 慰謝料 | 請求したい金額と、その根拠(相手の不貞行為やDVなど、有責行為の内容、期間、精神的苦痛の程度)。 |
| 年金分割 | 按分割合を0.5とすることを希望するかどうか。 |
これらの内容を「陳述書」や「事情説明書」として書面にまとめておくと、調停委員に提出でき、自分の主張を正確に伝えやすくなります。
5.2 主張を裏付ける客観的な証拠を準備する
あなたの主張が事実であることを調停委員や相手方に納得してもらうためには、言葉だけでなく、それを裏付ける客観的な証拠が極めて重要になります。証拠がなければ、相手が「そんな事実はない」と否定した場合に「言った・言わない」の水掛け論になってしまい、話し合いが平行線をたどる原因となります。
主張したい内容に応じて、以下のような証拠を事前に収集・整理しておきましょう。
| 主張したい内容 | 有効な証拠の例 |
|---|---|
| 相手の不貞行為(浮気・不倫) | 配偶者と浮気相手がラブホテルに出入りする写真や動画、肉体関係を示すメールやSNSのやり取り、探偵の調査報告書、クレジットカードの利用明細など。 |
| 相手からのDV・モラハラ | 怪我の写真、医師の診断書、暴言や罵倒の録音データ、精神科への通院記録、警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談記録、詳細な日記など。 |
| 財産分与の対象財産 | 夫婦双方の預貯金通帳のコピー(婚姻期間中の取引履歴)、不動産登記事項証明書、生命保険証券、給与明細や源泉徴収票、退職金規程など。 |
| 親権者としての適格性 | これまでの育児への関与を示すもの(育児日記、母子健康手帳、保育園や学校との連絡帳、子どもの写真や動画など)。 |
証拠は、調停期日に持参し、どの事実を証明するためのものかを明確に説明しながら提示することが効果的です。何が有効な証拠になるか分からない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
5.3 調停委員を味方につける話し方を意識する
調停委員は、裁判官と共に調停を進行する、公平・中立な立場の第三者です。しかし、調停委員も人間であるため、どちらの言い分に説得力があり、共感できるかという心証は、調停の行方に影響を与えます。調停委員に「この人の話は信頼できる」「協力してあげたい」と思ってもらうことが、有利な解決への近道です。
調停委員と話す際は、以下の点を意識しましょう。
- 丁寧な言葉遣いを心がける:調停委員は、社会経験豊富な年長者であることが多いです。敬意を払い、礼儀正しい態度で接しましょう。
- 相手の悪口ばかり言わない:相手への不満をぶちまけるだけでは、単なる感情的な人と見なされてしまいます。相手の非を指摘する際も、客観的な事実に留め、人格攻撃は避けましょう。
- 嘘をつかない、話を盛らない:事実と異なることを述べると、後々矛盾が生じ、信用を失います。不利なことであっても、正直に話す姿勢が重要です。
- 質問には的確に答える:調停委員からの質問の意図を汲み取り、聞かれたことに対して簡潔かつ明確に答えましょう。関係のない話を長々と続けるのは避けるべきです。
- 調停委員の意見に耳を傾ける:たとえ自分の考えと違う提案をされても、すぐに否定せず、一度受け止めて検討する姿勢を見せましょう。「おっしゃることは理解できます。しかし、私としては…」といった形で、冷静に自分の意見を述べることが大切です。
5.4 感情的にならず、冷静に事実を伝える
離婚問題は、当事者にとって精神的な負担が大きく、調停の場で相手の言動に怒りや悲しみがこみ上げてくることもあるでしょう。しかし、感情をコントロールし、冷静に事実を伝える努力が不可欠見出し>です。感情的に泣き叫んだり、相手を罵倒したりしても、何も良い結果は生まれません。
むしろ、感情的な態度は調停委員に「話し合いが困難な人」というマイナスの印象を与え、あなたの主張の正当性まで疑われかねません。調停は、自分の感情をぶつける場ではなく、法的な手続きに則って問題を解決する場であると認識しましょう。
もし、相手から挑発的なことを言われても、直接反論するのではなく、調停委員に対して「相手は今こう言っていますが、事実はこうです」と、あくまでも冷静に事実関係を説明するように心がけてください。
5.5 譲歩できる点とできない点を決めておく
調停は、裁判のように白黒をつける手続きではなく、当事者双方が互いに譲り合い、妥協点を見つけて合意を目指す話し合いの場です。自分の希望を100%すべて通そうとすると、相手も頑なになり、調停は不成立に終わってしまいます。
そこで重要になるのが、事前に「絶対に譲れない点」と「ある程度譲歩してもよい点」を自分の中で明確にし、優先順位をつけておくことです。
- 絶対に譲れない点(最低ライン):これだけは実現しなければ離婚に応じられないという核心的な条件です。(例:「子どもの親権だけは絶対に譲れない」「最低でも養育費は月〇万円は必要」など)
- 譲歩できる点(交渉のカード):相手の出方次第では、譲歩を検討してもよい条件です。(例:「財産分与で不動産を相手に譲る代わりに、相応の代償金をもらう」「慰謝料の金額を少し下げる代わりに、早期に一括で支払ってもらう」など)
このように落としどころの選択肢を複数用意しておくことで、交渉の幅が広がり、調停が膠着状態に陥るのを防ぐことができます。すべての条件で強硬な姿勢を貫くのではなく、柔軟な対応を見せることが、結果的に最も重要な条件を守ることにつながるのです。
6. 離婚調停が不成立になった場合はどうなる?
離婚調停は、あくまで当事者間の話し合いを基本とする手続きです。そのため、双方の意見がまとまらず、合意に至らないケースも少なくありません。もし離婚調停で合意できなかった場合、調停は「不成立」として終了します。ここでは、調停が不成立になる具体的なケースや、その後の選択肢について詳しく解説します。
6.1 調停が「不成立」で終了するケース
離婚調停が不成立となるのは、主に以下のような場合です。調停委員や裁判官が、これ以上話し合いを続けても合意の見込みがないと判断したときに、不成立の決定がなされます。
- 夫婦双方の主張の隔たりが大きく、お互いに譲歩する姿勢が見られない場合
- 離婚の可否、親権、財産分与などの重要な離婚条件について、意見が根本的に対立している場合
- 相手方が正当な理由なく調停期日を欠席し続け、話し合いが成り立たない場合
- 当事者の一方または双方が、調停での解決を諦め、裁判での決着を強く望んでいる場合
調停が不成立で終了すると、家庭裁判所によって「不成立調書」という書面が作成されます。この調書は、後に離婚裁判を提起する際に、調停手続きを経たことの証明として必要になる重要な書類です。
日本の法律では、離婚のような家庭に関する問題は、まず話し合いで解決を図るべきという考え方(調停前置主義)が採用されています。そのため、原則として、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、先に離婚調停を申し立てなければなりません。
6.2 不成立後の選択肢は「離婚裁判」
調停が不成立となった場合、離婚を実現するための次のステップとして最も一般的なのが「離婚裁判(離婚訴訟)」です。しかし、裁判以外にもいくつかの選択肢が考えられます。
6.2.1 離婚裁判(離婚訴訟)を提起する
離婚裁判は、調停とは異なり、当事者の合意ではなく、裁判官が法的な基準に基づいて離婚を認めるかどうかの判決を下す手続きです。調停が非公開の「話し合い」であるのに対し、裁判は原則公開の法廷で、お互いの主張と証拠に基づいて法的に争う「訴訟」となります。
調停と裁判の主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 離婚調停 | 離婚裁判 |
|---|---|---|
| 性質 | 家庭裁判所での話し合い | 法的な争い(訴訟) |
| 結論の出し方 | 当事者双方の合意 | 裁判官による判決 |
| 公開/非公開 | 非公開 | 原則公開 |
| 離婚理由 | 合意があれば理由は問われない | 法律で定められた離婚原因(法定離婚事由)が必要 |
| 強制力 | なし(合意できなければ不成立) | あり(判決には法的な拘束力がある) |
離婚裁判を提起するには、不成立調書を添付して、家庭裁判所に訴状を提出する必要があります。裁判では、不貞行為やDVといった法律で定められた離婚原因の存在を、証拠に基づいて主張・立証していくことになります。
6.2.2 その他の選択肢
裁判は時間も費用も精神的な負担も大きいため、他の選択肢を検討することも可能です。
- もう一度当事者間で話し合う:調停を通じてお互いの考えや争点が明確になったことで、冷静に話し合える可能性があります。ここで合意できれば、協議離婚として離婚届を提出できます。
- 期間を空けて再度調停を申し立てる:不成立後、すぐに裁判に進まず、冷却期間を置くことも一つの方法です。別居期間が長くなるなど状況に変化があれば、相手の考えが変わり、次の調停で合意できる可能性もあります。
- 審判離婚:これは非常に例外的なケースですが、調停が不成立に終わったものの、離婚すること自体や大半の条件には合意できており、ごくわずかな意見の対立で不成立となった場合などに、裁判官が職権で離婚を命じる「審判」を下すことがあります。ただし、当事者から異議申し立てがあれば効力を失うため、利用されることは稀です。
どの選択肢が最適かは個々の状況によって異なります。裁判に進むべきか迷う場合は、一度弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。
6.3 離婚調停の不成立になる割合は?
離婚調停を申し立てた夫婦のうち、どのくらいの割合が不成立に終わるのでしょうか。裁判所が公表している司法統計によると、令和4年(2022年)のデータでは以下のようになっています。
- 調停総数:53,467件
- 調停成立:24,948件(約46.7%)
- 調停不成立:8,111件(約15.2%)
- 取下げなど:20,408件(約38.2%)
(出典:司法統計年報(令和4年)第19表 婚姻関係事件数―終局区分別審理期間別―全家庭裁判所)
このデータを見ると、不成立で終了するケースは約15%となっており、決して珍しいことではありません。「取下げ」の中には、調停外で話し合いがまとまったケースや、関係修復に至ったケースも含まれますが、話し合いが決裂して取り下げた後に裁判へ移行するケースも考えられます。
調停が不成立に終わったとしても、悲観する必要はありません。それは離婚に向けた次の一歩であり、最終的な解決方法である裁判への道が開かれたと前向きに捉えることが大切です。
7. 離婚調停に関するよくある質問
離婚調停を初めて利用する方や、これから申し立てを検討している方が抱きやすい疑問について、Q&A形式で詳しくお答えします。
7.1 弁護士に依頼する必要はある?弁護士に依頼するメリットは?
離婚調停は、必ずしも弁護士に依頼する必要はなく、ご自身で手続きを進めることも可能です。実際に、令和4年の司法統計によると、離婚調停の申立人のうち51.7%は弁護士を立てずに本人で申し立てています。(出典:e-Stat 司法統計年報 家事編 令和4年度)
しかし、弁護士に依頼することで多くのメリットが得られます。ご自身の状況に合わせて、依頼するかどうかを検討しましょう。
7.1.1 弁護士に依頼するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
特に、相手が弁護士を立てている場合、財産分与が複雑な場合、DVやモラハラがある場合、親権で激しく対立している場合などは、ご自身だけで対応するのは困難なケースが多いため、弁護士への依頼を強くおすすめします。
7.2 離婚調停にかかる期間の目安は?
離婚調停にかかる期間は、事案の複雑さや当事者の意向によって大きく異なりますが、一般的には半年から1年程度で終了するケースが多いです。
裁判所が公表している司法統計(令和4年度)によると、離婚調停の審理期間は以下のようになっています。
- 6ヶ月以内:約55%
- 1年以内:約30%
- 2年以内:約12%
調停の期日は1ヶ月に1回程度のペースで開かれ、2〜5回程度の期日で合意に至るのが平均的です。ただし、親権や財産分与などで争点が多かったり、夫婦間の感情的な対立が激しかったりすると、10回以上の期日を重ね、1年以上の長期にわたることもあります。
7.3 相手が調停を欠席・無視したらどうなる?
相手方が正当な理由なく離婚調停を欠席・無視した場合、いくつかの段階を経て手続きが進みます。
まず、1回目の期日を欠席しただけでは、すぐに大きな不利益が生じるわけではありません。多くの場合、裁判所は再度期日を指定し、相手方に出頭を促します。
しかし、無断欠席を繰り返すと、調停委員や裁判官の心証が悪くなる可能性があります。また、家事事件手続法に基づき、裁判所からの呼出しに応じない場合は5万円以下の過料(罰金のようなもの)に処せられることがあります。
最終的に、相手に話し合いの意思がないと判断されると、調停は「不成立」として終了します。その後は、離婚を求める側が家庭裁判所に「離婚裁判(訴訟)」を提起することになります。裁判では、相手が調停に協力しなかったという事実が、不利な事情として考慮される可能性もあります。
7.4 調停中に生活費(婚姻費用)を請求できる?
はい、請求できます。法律上、夫婦は離婚が成立するまで、お互いの生活レベルが同等になるように助け合う「生活保持義務」を負っています。そのため、別居中であっても、収入の多い方が少ない方に対して生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。
婚姻費用には、配偶者の生活費だけでなく、未成年の子どもの養育費も含まれます。
請求方法としては、離婚調停の中で婚姻費用の支払いについて話し合うこともできますが、相手が支払いに応じない場合は、「婚姻費用分担請求調停」を別途申し立てるのが確実です。離婚調停と同時に申し立てることも可能で、多くの場合、こちらが先行して話し合われます。
婚姻費用は、原則として請求した時点(調停申立時など)から支払い義務が発生します。別居後すぐにでも請求手続きを始めることが、ご自身の生活を守る上で非常に重要です。
7.5 離婚調停は女性が有利というのは本当?
「離婚調停は女性に有利」と耳にすることがあるかもしれませんが、基本的に性別によって有利・不利になることはありません。
調停委員は、男女各1名で構成されるのが原則であり、中立公正な立場で双方の言い分を聞き、話し合いを進めます。慰謝料や財産分与といった金銭的な問題は、法律や証拠に基づいて客観的に判断されるため、性別が影響することはありません。
ただし、「親権」については、結果的に母親(女性)が獲得するケースが多い傾向にあります。これは、女性が有利だからというわけではなく、裁判所が「これまでの監護実績」や「子の福祉(子どもの心身の健全な成長)」を最優先に判断するためです。現状、母親が主に子どもの世話を担っている家庭が多いため、環境の変化を最小限に抑えるという観点から、母親が親権者として適任と判断されやすいのです。父親が主に育児を担ってきた場合は、父親が親権者となることも十分にあり得ます。
8. まとめ
離婚調停は、当事者同士での解決が難しい場合に、家庭裁判所で調停委員を介して話し合う有効な手段です。第三者が関わることで冷静に交渉でき、法的に妥当な解決を目指せる点が大きなメリットです。有利に進めるには、主張や証拠を事前に準備し、冷静に事実を伝えることが重要となります。この記事で解説した流れやポイントを参考に、ご自身の状況に合った解決策を見つけてください。不安な場合は、一人で抱え込まず弁護士へ相談することも検討しましょう。
なかま法律事務所は、2015年の設立から一貫して離婚事件に注力しており、所属弁護士はいずれも離婚事件の経験が豊富ですので、安心してご相談いただけます。
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