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離婚裁判とは|親権・慰謝料・敗訴リスクまで知っておきたい基礎知識

2025.12.19
  • その他

離婚裁判は、調停が成立しなかった場合に、家庭裁判所で離婚の可否や条件を判断してもらう手続きです。

裁判では、離婚が認められる理由の立証が必要となり、親権や慰謝料、費用など、重要な点が一つひとつ判断されます。

ただし、裁判に進めば必ず離婚できるとは限らず、証拠の不足や対応の仕方によっては、不利な結果になることもあります。

この記事では、離婚裁判とは何かという基本から、裁判にかかる期間や費用、不利になりやすいケースまでを、順を追って解説します。

離婚裁判とは

離婚裁判とは、夫婦間で離婚について話し合いがまとまらず、調停でも合意に至らなかった場合に、家庭裁判所で離婚の可否や条件を判断してもらう手続です。

離婚裁判では、単に離婚を望んでいるという意思だけでは足りず、法律上、離婚が認められる理由があるかどうかが審理されます。

そのため、進め方によっては不利な判断につながることもあるため、慎重な対応が求められます。

離婚調停と裁判の違いとは?

調停と裁判は、どちらも家庭裁判所で行われる手続きですが、その目的や進め方、求められる対応は大きく異なります。

ここでは、離婚調停と離婚裁判の違いについて、制度の基本から整理していきます。

離婚裁判は調停がまとまらなかったときに利用する制度

離婚裁判は、当事者同士の話し合いによる解決が難しく、家庭裁判所で行われる離婚調停でも合意に至らなかった場合に利用される手続です。

日本の離婚制度では、原則として、いきなり裁判を起こすことはできず、調停を経ることが求められています家事事件手続法 第257条(調停前置主義))。

調停では、調停委員を介して話し合いによる解決を目指しますが、意見の対立が大きい場合や、条件面で折り合いがつかない場合には、調停が不成立となることもあります。

このように調停で解決できなかった場合に、最終的な判断を裁判所に委ねる手続きが、離婚裁判です。

【関連記事】協議離婚と離婚調停の違い|メリットデメリット・どちらを選ぶべき?

裁判では離婚理由の立証が求められる

離婚調停では、当事者同士の合意が重視されますが、離婚裁判では、法律上、離婚が認められる理由があるかどうかが判断の中心となります。

離婚裁判では、夫婦関係が破綻していることを、客観的な事実や証拠によって示す必要があります。

そのため、離婚したい、関係がうまくいっていないといった主観的な事情だけでは、離婚が認められない場合もあります

【関連記事】性格の不一致で離婚はできる?具体例・慰謝料相場・親権の影響も解説

離婚裁判で扱われる主な争点は慰謝料・親権・財産分与など

離婚裁判では、離婚できるかどうかに加えて、親権や慰謝料、財産分与などが争点となることがあります。

ただし、これらすべてが常に問題になるわけではありません。

事案によって、どの点が争点となるかは異なり、当事者の主張や状況によって裁判の進め方も変わるため、自分のケースで何が争点になるのかを整理しておくことが重要です。

離婚裁判にかかる期間

離婚裁判は、申立てから判決まで一定の時間を要する手続きです。

事案の内容や争点の数によって期間は異なりますが、あらかじめ目安を知っておくことは重要です。

ここでは、離婚裁判にかかる期間の目安と、長引きやすいケースについて解説します。

裁判期間は半年〜1年以上になることがある

離婚裁判の期間は、申立てから判決まで、比較的スムーズに進んだ場合でも半年程度かかることが一般的です。

一方で、争点が多いケースや主張が対立している場合には、1年以上の期間を要することも少なくありません。

裁判では、期日ごとに当事者双方の主張や証拠を確認しながら進められます。

1回の期日で結論が出ることはなく、一定の間隔を空けて複数回の期日が重ねられるため、時間がかかる傾向があります。

加えて、途中で和解が成立した場合には、判決まで進まずに裁判が終了することもありますが、その場合でも、一定期間は必要です。

離婚裁判が長引く要因は主張対立・証拠不足・親権争いにある

離婚裁判が長期化しやすい要因としては、当事者双方の主張が大きく対立しているケースが挙げられます。

証拠の提出や評価に時間がかかるため、離婚理由を裏付ける証拠が十分にそろっていない場合も、裁判が長引く原因となります。

さらに、親権をめぐる争いがある場合には、子どもの生活状況や監護環境を慎重に確認する必要があり、離婚裁判が長期化する傾向にあります。

離婚裁判にはどんな費用がかかる?

離婚裁判を検討するうえで、費用の見通しは気になる点の一つです。

裁判では、裁判所に支払う実費のほか、弁護士に依頼する場合には弁護士費用も発生します。

ここでは、離婚裁判にかかる主な費用の内訳と、負担の考え方について整理します。

裁判所に支払う費用:数千円〜数万円程度が目安

離婚裁判を申し立てる際には、裁判所に対して一定の実費を支払う必要があります。

主なものは、申立手数料と郵便切手代(郵券)です。

申立手数料は、離婚を求める裁判の場合、数千円程度に設定されています。

加えて、裁判所からの書類送付などに使用される郵券も必要となり、これらを含めた裁判所に支払う費用の合計は、数千円から数万円程度が目安となります。

裁判の内容や当事者の人数によって必要な郵券の額が変わることはありますが、裁判所に支払う費用自体が高額になるケースは一般的ではありません

弁護士に支払う費用:数十万円〜100万円以上かかることがある

離婚裁判を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が発生します。

弁護士費用は、主に裁判を依頼する段階で支払う費用で、結果にかかわらず必要となる着手金と裁判の結果に応じて支払われる報酬金で構成されます。

弁護士費用の金額は、争点の数や内容によって大きく異なり、複数の争点がある場合や、裁判が長期化した場合には、数十万円から100万円以上になることもあります

弁護士に依頼する際には、どのような争点があり、どの程度の期間が想定されるのかを踏まえて、事前に費用の見通しを確認しておくことが重要です。

【関連記事】離婚裁判の費用・弁護士費用は誰が払う?払えない場合の対処法

費用負担は基本的に各自が行う

離婚裁判にかかる費用については、原則として、当事者それぞれが自分の分を負担する形となります。

裁判所に支払う申立手数料や郵券のほか、弁護士に依頼した場合の弁護士費用についても、基本的には各自が負担するのが一般的です。

もっとも、裁判の内容や結果によっては、費用負担の在り方が問題となることもあるため、費用について不安がある場合には、あらかじめ相談しておくことが大切です。

離婚裁判の親権はどう判断される?

離婚裁判において、親権はとくに重要な争点の一つです。

裁判では、親の事情だけでなく、子どもにとってどのような環境が最も適切かという観点から判断されます。

ここでは、離婚裁判における親権判断の考え方について解説します。

親権は子の利益を最優先に判断される

離婚裁判における親権の判断では、親の事情や希望よりも、子どもの利益が最も重視されます。

どちらの親と生活することが、子どもの心身の成長にとってより望ましいかという観点から判断が行われます。

主たる監護者が誰かが重視される

親権判断では、これまで主に子どもの世話をしてきた親が、どちらであるかが重要な判断材料です。

日常的な養育の実態は、今後の生活の安定性を考えるうえで大きな意味を持ちます

そのため、別居前の生活状況が、そのまま判断材料となることもあります。

現在の監護状況を維持する「継続性」が重視される

親権の判断では、子どもの生活環境を大きく変えないこと、いわゆる継続性も考慮されます。

学校や生活リズム、人間関係などを踏まえ、現在の監護状況を維持することが、子どもにとって安定につながるかが検討されます。

監護環境の安定性が判断に大きく影響する

住居や収入の状況、子育てに割ける時間など、継続的に養育できる環境が整っているかも判断対象となります。

一時的な条件ではなく、将来を見据えた安定性が重視されます。

裁判中の行動が親権判断に影響する場合がある

裁判の進行中の言動や対応が、親としての姿勢を判断する材料となることがあります。

たとえば、相手方を強く非難する発言を繰り返したり、子どもをめぐって感情的な行動を取ったりする場合には、冷静さや協調性に欠けると評価されることがあります。

加えて、正当な理由なく面会交流を拒むなどの行動も、親権判断に影響するおそれがあるため注意が必要です。

【関連記事】親権はどう決まる?離婚前に知っておきたい裁判の流れと判断基準

離婚裁判の慰謝料はどれくらい?

離婚裁判では、離婚原因によっては慰謝料が問題となることがありますが、すべての離婚で必ず認められるものではありません。不貞行為やDVなど、一定の事情がある場合に検討されます。

ここでは、離婚裁判における慰謝料の考え方と、目安について整理します。

慰謝料の相場は不貞行為で50万〜300万円程度が多い

離婚裁判における慰謝料の金額は、離婚原因が不貞行為である場合、50万円から300万円程度が一つの目安とされることが多くあります。

もっとも、この金額はあくまで一般的な傾向であり、すべてのケースに当てはまるものではありません。

不貞行為の期間や回数、婚姻期間の長さ、精神的苦痛の程度などによって、金額は大きく変動します。

そのため、相場だけを基準に判断するのではなく、自分のケースではどのような事情が考慮されるのかを整理する必要があります。

慰謝料は不貞行為・DVなどの有無で判断される

離婚裁判で慰謝料が認められるかどうかは、離婚に至った原因に、相手方の不法行為があるかが判断基準となります。

代表的なものとしては、不貞行為やDVが挙げられます。

これらが認められる場合には、精神的苦痛に対する賠償として、慰謝料が認められる可能性が高い傾向にあります。

一方で、性格の不一致や価値観の違いなど、一方的な責任を認めにくい理由の場合には、慰謝料が認められないこともあります

親権や財産分与とは独立して判断される

慰謝料は、親権や財産分与とは別の観点で判断されるため、親権をどちらが持つか、財産をどのように分けるかとは、直接的な関係はありません。

親権を取得したからといって必ず慰謝料が増えるわけではなく、逆に、慰謝料が認められたからといって親権の判断に影響するものでもありません。

それぞれの制度の役割を切り分けて理解しておきましょう。

【関連記事】離婚の慰謝料の相場|請求できるケースや証拠・年収で増額される?

離婚裁判で不利になる行動と敗訴につながるケース

離婚裁判では、主張の内容だけでなく、その裏付けとなる証拠や、裁判に臨む姿勢も含めて判断が行われます。

対応の仕方によっては、不利な評価につながったり、離婚が認められない結果となることもあります。

ここでは、離婚裁判で注意すべき行動や、敗訴につながりやすいケースについて整理します。

離婚原因や法定離婚事由を十分に証明できない場合がある

離婚裁判では、法律上、離婚が認められる理由があることを、客観的な事実や証拠によって示す必要があります。

主張内容が事実であっても、証拠が不十分な場合には、離婚が認められないことがあります。

とくに、不貞行為やDVを理由とする場合には、証拠の有無や内容が結果を大きく左右します。

監護環境の悪化が判断に不利に働く場合がある

親権が争点となっている離婚裁判では、子どもの生活環境が不安定になっていると評価される場合、親権判断に不利に働くことがあります。

別居後の生活状況や養育の実態が適切に保たれているかは、裁判において重要な判断材料の一つです。

虚偽説明や一貫性のない言動が信用性の低下につながる場合がある

離婚裁判では、当事者の説明内容に一貫性があるかどうかも重視されます。

たとえば、事実と異なる説明をしたり、主張が途中で変わったりすると、全体の信用性が低下するおそれがあります。

その結果、本来認められるはずの主張まで、十分に評価されないこともあります。

SNSや周囲への発言が評価に影響する場合がある

裁判とは直接関係がないように思える行動であっても、SNSへの投稿内容や、周囲への発言が問題となることがあります。

相手方や子どもに配慮を欠く言動は、裁判上、不利な事情として受け取られる可能性があるので、裁判中は、日常の言動についても慎重な対応が求められます

離婚裁判で弁護士が重要になる理由

離婚裁判では、感情的な主張だけでなく、法律上どのように評価されるかを踏まえた対応が求められます。

裁判の進め方次第で、結果に大きな差が生じることもあります。

弁護士が関与することで、次のような点で裁判を有利に進めやすくなります。

  • 離婚が認められるかどうかを含め、争点を整理できる
  • 親権・慰謝料・財産分与について、見通しを立てやすくなる
  • 裁判官に伝わりやすい形で、主張や証拠を構成できる
  • 書面作成や期日対応の負担を軽減できる
  • 和解が適切かどうかを、条件面から冷静に判断できる

離婚裁判は長期化することも多く、精神的な負担が大きくなりがちです。

早い段階で弁護士に相談することで、不要なトラブルや不利な判断を避けられる場合もあります。

離婚裁判に関連するよくある質問

調停と裁判はどちらが先?

原則として、離婚裁判を起こす前に、家庭裁判所での離婚調停を経る必要があります。

調停で合意に至らなかった場合に、はじめて離婚裁判へ進む流れとなります。

裁判中に別居すると不利になる?

別居自体が直ちに不利になるとは限りません。

ただし、別居後の生活状況や子どもの養育環境は、親権や離婚理由の判断に影響することがあります。

親権は裁判で逆転することがある?

裁判の過程で、新たな事情や証拠が明らかになった場合には、親権の判断が変わる可能性もあります。

もっとも、子どもの生活の継続性が重視されるため、安定した監護状況がある場合には、判断が大きく変わらないこともあります。

まとめ

離婚裁判は、調停で話し合いがまとまらなかった場合に、家庭裁判所で離婚の可否や条件を判断してもらう手続です。

裁判では、離婚理由の立証が求められ、親権や慰謝料、費用などについても、法的な観点から判断されます。

離婚裁判を検討している場合には、自分の状況で何が争点となり得るのか、どのような準備が必要なのかを整理したうえで、慎重に判断することが大切です。

判断に迷う場合や、不安があるときには、早めに弁護士に相談することで、状況に応じた適切な進め方が見えてくることもあります。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)