【内縁】内縁解消できるのか・したらどうなるのか②

1,「内縁に関する法律問題」の目次

第1回 内縁の成立要件「内縁ってなんですか?」

第2回 内縁の法的効果「内縁が認められるとどうなるか?」

第3回 内縁の解消(1)「内縁解消できるのか・したらどうなるのか」

 

2,はじめに

今回は内縁にまつわる法律問題の第4回です。

前回のブログでは内縁解消の要件,不貞行為による内縁解消と不貞相手の責任,重婚的内縁の解消についてお話しました。

今回は,内縁の解消にともなって生じる結納金の返還問題と財産分与の問題について,お話しします。

3.内縁の解消と結納金

(1)ご相談事例

結納を交わし,結婚式を挙げ,新婚旅行にも出かけ,帰国後夫婦として1年生活してきました。しかし,婚姻届けは出しておりません。

先日,相手と喧嘩になり,相手は実家に帰るとともに,婚約を破棄すると言ってきました。

私が贈った結納金や,私が負担した結婚式費用,媒酌人謝礼,新婚旅行費用の返還を相手に求めることはできるのでしょうか。

(2)回答

ア 結納金について

結納とは,「婚約の成立を確証し,あわせて,婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的でなされる一種の贈与」です(最高裁判決昭和39年9月4日)。

要するに,結納とは,証約手付としての性質に目的的贈与としての性質を併せたものといえます(塙陽子「結納金と婚約指輪の法的性質」)。

ですので,婚姻が成立した場合は,

結納の目的が達せられたことになり,結納金の返還を求めることはできません。

また,内縁は準婚といって婚姻関係に準ずる法的効果が生じますから,内縁が成立している場合も,婚姻が成立した場合と同様に扱われ,結納金の返還を求めることはできません。

他方,

婚約破棄により婚姻も内縁も成立しなかった場合,結納の目的が達せられなかったことになりますから,結納金の返還を求めることができます

(法的なお話をすると,結納金を受け取った者は結納金を所有する法律上の原因がないということになりますので,民法703条に基づき,不当利得として結納の返還を求めることができます)。

ただし,破棄の原因が結納金支払者の側にある場合(たとえば暴力を振るった場合など),結納金の返還を求めることは権利の濫用ないし信義則に反するためにできません(東京高等裁判所昭和57年4月27日)。

本件のご相談事例では,婚姻届けを出していないので,婚姻は成立していませんが,将来結婚する意思のもと,共同生活を送っていたので,内縁が成立しております。

したがって,本件のご相談事例の場合,結納金の返還を求めることはできません(千葉地裁佐倉支部昭和49年9月20日の判決も同様に解しています)。

イ 結婚式費用や媒酌人謝礼,新婚旅行費用について

結婚式費用や媒酌人謝礼,新婚旅行費用についても,結納と同様に考えられます。

すなわち,内縁が成立している場合,婚姻が成立した場合と同様に扱われ,費用の返還を求めることはできません(千葉県佐倉支部昭和49年9月20日)。

 

4,内縁解消と財産分与

(1)ご相談事例

私は専業主婦として内縁の夫を20年間支えてきました。

その間に,私達はマイホームを購入し,老後のために預貯金も2000万円貯めました。

内縁の夫には法律上の奥さんもいましたが,結婚してすぐ別居して連絡も取らないまま10年たっていました。

私達は,ここ最近になって仲が急速に悪くなり,別れることになりました。

マイホームや預貯金はすべて内縁の夫の名義ですが,離婚と同じように財産分与を受けることができるのでしょうか。

(2)回答

ア 財産分与請求の可否

財産分与の本質は,夫婦共同生活の財産関係の清算,離婚後の扶養,離婚に伴う損害の賠償にあるから,

内縁の解消の場合にも,現に存在した夫婦共同生活関係を調整するものとして,民法768条(離婚における財産分与を定める規定)が類推適用されます。

したがって,内縁の解消にあたり,夫婦の一方は,他方に対して,財産分与を請求することができます。

また,重婚的内縁の場合でも,法律婚が事実上の離婚状態にあり,かつ事実上の夫婦としての実態が相当長期間ある場合には,

財産分与の類推適用が認められ,財産分与請求が認められます(東京高裁昭和54年4月24日)。

なお,一方の婚姻意思について疑義があり,内縁の成立が認められるか微妙な事案において,

共同生活をしていて2人で財産を形成したと認められるのに一方が財産を独占することの不合理さを克服するために,「相手方の婚姻意思には疑義がないわけではない」としながらも,

内縁を認定した審判例があります(岐阜家裁昭和57年9月14日)。

イ 手続き

財産分与の具体的内容,方法については,2人で協議して決めることになります。

当事者間で協議が整わない場合には,家庭裁判所に調停の申立てをすることができます。

申立ては,内縁解消後2年以内にしなければなりません。

調停が不成立となったときは,審判へと移行します。

 

5,おわりに

今回は,前回に引き続き,内縁の解消にまつわる法律問題について解説させていただきました。

次回は,死亡によって内縁が解消された場合の法律問題について解説する予定です。

nakamahayato