離婚「知っトク」ブログ

慰謝料請求の大敵!時効を食い止めるには?

2024.03.29
  • 慰謝料

不倫・浮気における慰謝料請求の時効

不倫・浮気を理由に慰謝料請求をする場合、最も気をつけなければならないことが「時効」です。適切に対処しなければ、最悪の場合、慰謝料請求をする権利が消滅してしまいかねないためです。本記事では、慰謝料請求における時効とそれを食い止める方法についてご説明します。

時効とは何か

そもそも、法律上、時効には、権利を行使できるのに放置していることでその権利が消滅してしまう「消滅時効」と、権利がないのに権利があるような振る舞いをすることで権利を取得し得る「取得時効」の2種類があるところ、慰謝料請求の場面では前者の「消滅時効」が問題となります。

そして、慰謝料請求の場面における消滅時効のルールは、以下のように定められています。

①損害及び加害者を知った時から3年間経つと時効が完成(=権利が消滅する)

②慰謝料請求の原因となる行為(不法行為)の時から20年間経つと時効が完成

②はともかく、①の3年間という時間は、意外と簡単に経ってしまうものです。そのため、不貞行為があったこと、不貞相手が誰かということを把握したら、まずは早めに行動を起こすことを考えましょう。

慰謝料請求の時効を止める方法

それでは、慰謝料請求をしたい側としては、3年間の時効が完成してしまいそうな時、どのような行動を取れば、それを食い止めることができるのでしょうか。

内容証明郵便の送付

時効の完成を食い止める最も簡単な方法は、相手方に対して「内容証明郵便」という方式の郵便によって、慰謝料を支払うよう催告することです。「内容証明郵便」とは、「誰から誰宛てに、いつ、どのような書面が郵便物として送付された」という事実を、郵便局が証明してくれる郵送方法です。このような特徴のため、慰謝料を支払うよう催告するための手段として一般的に用いられています。

このように、内容証明郵便によって催告をした場合、6か月間、時効の進行を止めることができます。しかし、6か月が経過した後は、その間一時的に停止していた時効の進行が再開してしまうため、注意が必要です。

相手に債務を承認させる

相手方が、自らが慰謝料を支払う債務を負っていると承認した場合は、時効は一時停止ではなく、更新されます。つまり、それまでの時効の進行をリセットすることができます。そのため、上記の慰謝料請求をする側からの催告に対して相手方が債務を承認するという反応をした場合は、慰謝料請求をする側にとっては非常に都合が良い展開となります。もっとも、相手方が必ずしも債務を承認してくれるとは限らず、慰謝料請求をする側が相手方に対して強制的に債務を承認させることもできないため、時効の進行をリセットするための方法としては不安定であることは否めません。

裁判での請求

慰謝料請求をする側が相手方に対して、慰謝料請求訴訟を提起することで、慰謝料の支払いを請求することでも、それまでの時効の進行を一時停止させることができます(訴訟が続いている間は時効の進行が一時停止します。)。さらに、そのうえで、その訴訟で請求を認める確定判決を得られた等、権利の存在について裁判所の“お墨付き”を得られた場合は、上記の債務の承認と同様に、それまでの時効の進行をリセットすることができます。訴訟を提起するためには、「訴状」という専門的な書面を作成したり、自らが慰謝料を請求する権利があるということを証明する証拠を提出したりしなければならず、それなりの労力が必要です。しかし、上記の債務の承認とは異なり、相手方側の行動の選択結果に左右されることはない安定的な手段といえる点が大きなメリットとなります。

強制執行・仮差押え・仮処分

①強制執行の場合

まず、強制執行の手続きを取ることができるのは、慰謝料請求をする側が専門用語で「債務名義」と呼ばれる文書を持っている場合です。この「債務名義」には、例えば、上記の「裁判での請求」の項目でご説明した、請求を認める確定判決が記された判決書が該当します。すなわち、強制執行の手続きによって時効を食い止める場面とは、おのずと、過去に進行がリセットされた時効がまた完成してしまいそうな場面であると考えられます。

この点、「裁判での請求」と同様に、裁判所に対して強制執行の申立てを行えば、それまでの時効の進行を一時停止させることができます(同様に、裁判所において強制執行の手続きが続いている間は時効の進行が一時停止します。)。さらに、裁判所から強制執行を実施する旨の判断を得られた場合は、それまでの時効の進行を再度リセットすることができます。

②仮差押え・仮処分の場合

逆に、仮差押えや仮処分は、訴訟を提起する前、訴訟で結論が出ることを待っていたのでは債務者が好き勝手に財産を処分してしまうかもしれないという時に行う、文字通り「仮」の手続きです。そのため、仮差押えや仮処分を申し立てて、裁判所から仮差押え・仮処分を実施する旨の判断を得られた場合には、6か月間時効の進行が一時停止します。あくまで「仮」という性質上、時効の進行のリセットはできないことに注意が必要です。

時効完成前に慰謝料請求をするポイント

上記のとおり、不貞行為があったこと、不貞相手が誰かということを把握したら、慰謝料請求ができる状態になったといえ、時効の時計の針は進み始めてしまいます。そのため、慰謝料を支払ってもらうことを希望するのであれば、早めに請求をかけることをご決断いただくということが、何よりの対処法となります。

この点、「どのように請求すればよいか分からない」「相手方と直接やりとりをしたくない」というお悩みがあるのであれば、弁護士へ慰謝料請求の代理人をご依頼いただくことをお勧めします。経験豊富な弁護士であれば、慰謝料請求の具体的な手順や見通しも熟知していますし、弁護士を交渉の窓口とすることで、相手方と直接話をする必要がなくなるためです。

一回でも時効が完成してしまえば、「権利は既に消滅している」との反論を相手方に許してしまうことになります。請求をためらってそのようになってしまうくらいであれば、弁護士にご相談・ご依頼いただくことをお勧めします。

慰謝料請求に関してお悩みの方は弁護士法人なかま法律事務所へ

以上、本記事では慰謝料請求における時効とそれを食い止める方法について解説しました。弊所では、慰謝料請求の経験豊富な弁護士とスタッフが、あなたのお悩みに寄り添い、解決のために全力でサポートをさせていただきます。平日18時までの初回相談は無料でお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。