離婚「知っトク」ブログ

医師が離婚するときに気を付けるポイント。離婚に注力する弁護士が解説しました。

2018.05.05
  • お金のこと
  • 養育費
  • 婚姻費用
  • 子供のこと
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医師は会社員と比べると,
●平均年収が高い
●不動産や株式など給与以外の収入がある事が多い
という特色があります。
医師が離婚する場合,これらの特色から,
①養育費・婚姻費用,②財産分与において,通常のケースとは異なる問題が起きやすくなります。

①養育費・婚姻費用が高額

 算定表では,義務者(養育費を支払う側)の収入の上限が2000万円です。そうなると,2000万円を超える収入がある場合,
(1)2000万円以上は一律で算定表の上限額とする
(2)標準算定式で個別に計算した金額を養育費・婚姻費用とする
どちらにすべきか,という問題が生じます。
この点については,調停実務上,(1)とされることが多いように感じます。
これには,「一定以上の収入を前提にすると,それ以上収入が上がっても生活に必要なお金の金額は変わらない」という考え方が背景にあります。
要するに,夫の収入が2000万円の家庭と,3000万円の家庭で,衣食住に必要な金額は変わらないだろう,と。
あくまで養育費や婚姻費用は,標準的な日常生活を送るのに必要なお金ですから,収入に比例して上限なく増えていくものではない,ということですね。
他方,ケースによっては(2)の算定式で個別に計算する処理を妥当とすることもあります。妥当な金額で決めたいという方は,弁護士に対応を依頼する必要があるでしょう。

②養育費・婚姻費用の算定が複雑

医師の中には給与だけでなく,
節税目的等のため,不動産所得や株式所得など確定申告書上の事業所得に該当する収入を得ている人が多く見受けられます。
給与所得と事業所得がある場合,養育費・婚姻費用の算定における収入算定が複雑になります。単純にそれぞれを足した金額で,というわけにはいきません。
(1)不動産所得を給与所得に換算したり,
(2)確定申告書上の「課税される所得金額」から,基礎控除額や青色申告控除額,生命保険料控除額など各種控除を踏まえて基礎収入を算定しないと,妥当な養育費・婚姻費用は算定できません。
これも一般の方では計算が難しいでしょう。

③財産分与対象財産・金額がいずれも大きく,処理が複雑

多額の預金や不動産,株式,生命保険など,分与対象財産が多岐にわたり,金額も大きくなる場合,分与財産の整理から分与額の算定に至るまで,複雑な処理が求められます。
これも専門家に依頼して適切な処理をすべきでしょう。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)