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家庭内別居とはどんな生活?定義や離婚への影響をわかりやすく解説

2025.12.26
  • その他

家庭内別居とは、同じ家に住みながら夫婦関係が実質的に成り立っていない状態を指します。

会話がなく、生活を分けたまま過ごしているものの、別居や離婚に踏み切る決断ができず、現状を続けている人も少なくありません。

家庭内別居を続けると、将来の離婚の判断や生活費の扱い、老後の生活設計に影響が出ることがあります。

この記事では、家庭内別居の定義やどのような生活になるのかを整理したうえで、行く末や離婚への影響、生活費や子どもへの影響についてわかりやすく解説します。

家庭内別居の定義と生活の実態

家庭内別居という言葉は広く使われていますが、どのような状態を指すのか、法律上どのように扱われるのかは分かりにくい面があります。

ここでは、家庭内別居の基本的な考え方と、実際にどのような生活状態を指すのかを整理します。

同居しながら夫婦関係が実質的に破綻している状態

家庭内別居とは、住民票上は同一の住所にあり、生活拠点も同じであるにもかかわらず、夫婦としての関係が実質的に機能していない状態を指します。

法律上の婚姻関係は続いていても、互いに関心を持たず、意思疎通がほとんど行われないなど、婚姻生活の実態が失われているといえるケースです。

このような状態では、夫婦として協力して生活を営んでいるとは言い難く、外形上は同居していても、実質的には別々の生活を送っていると評価されることがあります。

会話や食事、生活空間を分けて暮らすケースが多い

家庭内別居の状態では、日常生活の多くが分断されていることが少なくありません。

必要最低限の連絡以外は会話をしない、食事の時間や場所を別にする、寝室や生活動線を分けるといった形で、生活上の接点を極力減らすケースが見られます。

こうした生活は、衝突を避けるという意味では一時的に負担を軽減することもあります。

しかし、話し合いや関係改善の機会が失われやすく、問題が解決しないまま距離だけが固定化してしまう点には注意が必要です。

家庭内別居は法律上の制度ではない

家庭内別居という言葉は広く使われていますが、民法などで定義された正式な制度ではありません。

あくまで、夫婦関係の実態を説明するための表現であり、法律上、家庭内別居だからこう扱われるという明確なルールもありません。

そのため、離婚や生活費、財産分与といった場面では、家庭内別居という名称そのものよりも、実際にはどのような生活を送っていたのかが重視されます。

【関連記事】別居中の生活費や養育費はどうやって決める?

暗黙のルールで成り立つため精神的負担が大きい

家庭内別居は、明確な合意やルールを取り決めたうえで始まるケースは多くありません。

そのため、どこまで干渉してよいのかといった境界線が曖昧なまま、暗黙の了解に頼って生活が続いていくことになります。

このような状態では、相手の反応を常に気にしながら行動する必要があり、精神的な緊張が慢性的に続きやすい傾向があります。

表立った衝突がなくても、不安や違和感を抱えたまま日常を送ることになり、心身への負担が蓄積していくケースも少なくありません。

こうした精神的負担は、後に離婚や生活設計を考える際の大きな障害になることがあります。

家庭内別居の始まりに多いきっかけ

家庭内別居は、ある日突然始まるというよりも、小さな違和感やすれ違いが積み重なった結果として生じることが多いものです。

ここでは、家庭内別居に至るケースでよく見られる背景やきっかけを解説します。

価値観や生活リズムのズレが積み重なる

家庭内別居のきっかけとして多いのが、価値観や生活リズムのズレが少しずつ積み重なっていくケースです。

仕事への考え方、家事や育児の分担、金銭感覚など、日常生活の中で生じる考え方の違いが解消されないまま放置されると、不満や諦めに変わっていくことがあります。

最初は話し合いをしていた夫婦でも、次第に意見を伝えること自体を避けるようになり、衝突を避けるために距離を取る選択をするようになることもあります。

こうした積み重ねが、家庭内別居という形で表面化していくのです。

不倫やモラハラなどのトラブルが背景にある

不倫やモラハラといった深刻なトラブルが、家庭内別居に至る直接的なきっかけとなるケースも見られます。

こうした問題によって信頼関係が大きく損なわれると、同じ家に住み続けることはできても、夫婦としての関係を維持することが難しくなります。

とくに感情的な対立が強い場合には、別居に踏み切る前段階として、距離を取る手段として家庭内別居が選ばれることがあります。

ただし、問題の原因が解消されないまま生活を分ける状態が続くと、関係修復の見通しが立ちにくくなる点には注意が必要です。

【関連記事】夫婦のモラハラとは|モラハラ夫(妻)の特徴とモラハラの対処法

子どもの成長や熟年期を迎えたことによる関係変化

子どもの成長や独立、あるいは熟年期を迎えたことをきっかけに、夫婦関係が変化するケースもあります。

これまで子育てや仕事を中心に成り立っていた関係が一区切りつき、夫婦二人の時間が増えたことで、距離感の違いが明確になります。

加えて、長年積み重なっていた不満が、この時期に表面化することも少なくありません。

生活の基盤が大きく変わる節目は、家庭内別居へと移行する一因になりやすいといえます。

家庭内別居を続けた場合の行く末

家庭内別居は、衝突を避けるための一時的な選択として始まることもあります。

一方では、その状態を続けることで、将来の方向性が曖昧なまま固定化されてしまうケースも少なくありません。

ここでは、家庭内別居が長引いた場合に想定されやすい行く末について解説します。

 関係が自然に修復されるケースは多くない

家庭内別居を続けていれば、時間の経過とともに関係が自然に改善するのではないかと期待する人もいるかもしれません。

しかし、実際には、距離を置くだけで夫婦関係が修復されるケースは多くありません。

話し合いや問題解決を先送りにしたまま生活を分けていると、互いの関心や関係性がさらに希薄になりやすくなります。

その結果、関係を立て直すきっかけを失い、修復がより難しくなっていくのです。

離婚に進むか現状維持が続くことが多い

家庭内別居が長期化すると、問題について明確な結論を出さないまま生活が続き、その状態が固定化してしまうケースが少なくありません。

話し合いや関係の見直しが行われないまま時間が経過すると、次第に現状を変えるきっかけを失い、離婚に進むか、問題を抱えたまま現状維持が続く状況になりやすくなるためです。

ただし、現状維持を選んだ場合でも、将来への不安が解消されるわけではありません。

老後の生活や経済面、介護の問題などが現実的な課題として浮かび上がったときに、改めて判断を迫られるケースも少なくありません。

家庭内別居のまま老後を迎えた場合に起こりやすい問題

家庭内別居の状態を続けたまま老後を迎えると、さまざまな問題が表面化しやすくなります。

日常生活では距離を保てていたとしても、年齢を重ねるにつれて、健康や経済、介護といった現実的な課題から目を避けることが難しくなるからです。

たとえば、収入が減少した後の生活費の分担や、病気や介護が必要になった場合の対応について、明確な話し合いが行われていないケースも少なくありません。

家庭内別居のまま関係を続けていると、いざ判断が必要になったときに、意思疎通が取れず、選択肢が限られてしまうことがあります。

老後の不安は、離婚するかどうかとは別の問題として、早い段階で整理しておくことが重要です。

家庭内別居は離婚でどのように評価される?

家庭内別居は、それだけで直ちに離婚が認められるものではありませんが、離婚調停や裁判では、夫婦関係の実態がどのようなものかが判断材料になります。

ここでは、家庭内別居が離婚の場面でどのように評価されるのか、判断の基準となる考え方を解説します。

家庭内別居だけでは直ちに離婚は認められない

家庭内別居をしているという事実だけで、直ちに離婚が認められるわけではありません。

離婚が成立するかどうかは、夫婦関係が回復不能な状態にあるか、つまり婚姻関係が実質的に破綻しているかによって判断されます。

そのため、家庭内別居は離婚理由の一つとして考慮されることはあっても、単独で決定的な要素になるとは限りません。

離婚では別居期間や婚姻破綻の有無が重視される

離婚が認められるかどうかは、単に別居しているか否かではなく、夫婦関係が回復困難な状態にあるかを基準に判断されます。

その判断にあたっては、別居期間の長さに加え、夫婦としての交流や協力関係がどの程度失われているかといった事情が総合的に考慮されます。

別居期間が長く、話し合いや関係修復の試みが行われていない状態が続いている場合には、婚姻関係がすでに破綻していると評価されやすくなります。

【関連記事】離婚できる5つの条件|必要な別居期間や書面化までの流れ

家庭内別居が長期化すると別居と評価される場合がある

家庭内別居が長期間にわたり続き、夫婦としての生活実態が完全に分断されている場合には、実質的には別居に近い状態と評価されることがあります。

具体的には、会話や意思疎通がほとんどなく、生活費の管理を互いに切り離しているなど、夫婦としての共同生活が成り立っていない状況が続いているかどうかが確認されます

もっとも、家庭内別居が直ちに別居と評価されるわけではなく、期間の長さや生活の分断の程度、夫婦間のやり取りの有無などを踏まえ、個別の事情ごとに判断されます。

生活実態は日常の状況から判断される

家庭内別居かどうか、また婚姻関係が破綻しているかどうかは、日常生活の積み重ねをもとに判断されます。

たとえば、会話の有無や頻度、家事や育児への関わり方、生活費の管理状況など、具体的な事情が総合的に考慮されます。

そのため、家庭内別居という言葉に当てはまるかどうかよりも、自分たちがどのような生活を送っていたのかを、客観的に説明できるかが重要になります。

もっとも、どのような点が評価の対象になるのかは分かりにくい場合も多く、当事者だけでは判断が難しいこともあります。

状況を整理する際には、弁護士の視点を取り入れることで、後の手続きに備えやすくなることもあります。

感情的な行動は不利に評価されることがある

家庭内別居中に感情的な行動を取ってしまうと、後の離婚手続きで不利に評価されることがあります。

たとえば、一方的に生活費を止める、相手を過度に責め立てるといった行為は、状況を悪化させる原因になりかねません。

冷静に状況を整理し、記録を残しながら対応することが、結果的に自分を守ることにつながります。

感情が強く動いている状況では判断を誤りやすいため、早い段階で弁護士の意見を確認しておくことが、結果的にトラブルを避けることにつながります。

家庭内別居中の生活費や財産分与の扱い

家庭内別居をしている状態であっても夫婦が同居している以上、何となく曖昧にしてしまいがちですが、家庭内別居中であっても法的な考え方は変わりません。

ここでは、生活費と財産分与の基本的な扱いについて整理します。

婚姻費用の分担義務は原則として続く

家庭内別居中であっても、婚姻関係が続いている限り、夫婦には生活費を分担する義務があります。

これは、民法第760条に定められている婚姻費用分担義務に基づくもので、同居しているかどうかにかかわらず、夫婦である以上、生活費を分担する義務が認められています。

支払いについて話し合いでの解決が難しい場合には、家庭裁判所の調停を利用し、婚姻費用の分担について整理することが一般的です

【関連記事】婚姻費用を払わないとどうなる?差し押さえ・強制執行の流れと注意点

家庭内別居中に形成した財産も分与の対象になる

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産です。

そのため、家庭内別居中であっても、婚姻関係が続いている間に形成された財産は、原則として分与の対象になります(民法第768条)。

同居していない、あるいは生活を分けていたという理由だけで、財産分与は関係ないと考えてしまうと、後に認識のズレが生じることもあります。

財産の帰属や管理状況については、家庭内別居を始めた時期や生活実態も踏まえて判断されます。

【関連記事】財産分与の対象にならないものは?退職金や親からの贈与はどうなる?

お金の扱いを曖昧にすると後で問題になりやすい

家庭内別居中は、生活費や貯蓄の扱いについて、明確な取り決めをしないまま過ごしてしまうケースも少なくありません。

しかし、取り決めを曖昧にしたまま時間が経過すると、離婚や別居に進んだ際に、生活費の負担や財産の範囲について主張が食い違う原因になります。

当時の状況を振り返って説明しようとしても、記憶が曖昧になってしまい、話し合いが難航することもあります。

自分たちだけでの整理が難しいと感じる場合には、早い段階で弁護士に相談し、法的な視点から状況を確認しておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

家庭内別居に関するよくある質問

家庭内別居中に生活費をもらえない場合はどうすればいい?

家庭内別居中であっても、婚姻関係が続いている以上、生活費を分担する義務は原則として残ります。

子どもがいる場合、家庭内別居は影響する?

家庭内別居そのものが直ちに問題になるわけではありませんが、夫婦間の緊張や会話のない環境が続くと、子どもに精神的な影響を与えることがあります。

子どもの生活環境や気持ちへの配慮を含め、状況を冷静に整理することが大切です。

家庭内別居のまま老後を迎えると、どのような問題がある?

家庭内別居の状態が長く続くと、老後の生活設計や経済面、介護をめぐる判断が難しくなります。

まとめ

家庭内別居は、法律で定められた制度ではありませんが、同じ家に住みながら夫婦関係が実質的に成り立っていない状態を指します。

会話や生活を分けることで一時的に衝突を避けられることはあるものの、関係が自然に修復されるケースは多くなく、将来の方向性が曖昧なまま固定化してしまうことも少なくありません。

いずれの場合でも、生活費や財産、老後の生活設計など、後になってから判断が難しくなる問題が表面化しやすい点には注意が必要です。

一人で考えることが難しいと感じたときは、弁護士に相談し、状況に応じた対応を検討することも一つの方法です。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)