離婚「知っトク」ブログ

【婚約破棄】【慰謝料】 婚約破棄の慰謝料が認められるには。

2016.08.29
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 年頃の男女が交際していれば,多かれ少なかれ「結婚」の文字が会話の中で飛び交うことはあろうかと思います。では,いつから婚約が成立したといえるのでしょうか?

解釈論になりますが,正確には,婚姻予約と言いまして,「将来において適法な婚姻をすることを目的とする契約」であり,それを不当に破棄した者は慰謝料の支払い義務を負うとされています。
なお,契約とはいえ,婚姻を強制することはできません。結婚は当事者の自由意思によるもので,法律が結婚を強制すべきではないからです。あくまで契約違反に対する慰謝料しか法律では請求できません。
また,単に双方が同意の上納得して婚約を解消した場合,慰謝料は発生しません。一方が「正当な事由がないのに」婚約を破棄した場合のみ慰謝料の請求が認められます。
以上を踏まえ,婚約破棄による慰謝料請求をするためには,①婚約が法的に成立しているかどうか,②正当な事由がない婚約破棄といえるか が問題になります。
① 法的な婚約の成立
 裁判例では,交際状況,会話の内容,結納,婚約指輪の授受,結婚に向けた具体的な準備や予定があったか,親族への紹介,知人や職場への公表など,様々な事情を総合的に考慮して「誠心誠意の確実な約束であったか」を認定しています。
 ですから,単に会話の中やメールで「結婚しよう」と言っているだけではだめで,具体的に婚姻に向けた行動をしていたかどうかが一つポイントになってくるといえます。
② 正当な事由がない婚約破棄(婚約の不当破棄)
  不貞,暴力などが理由による婚約破棄は正当事由として認められやすいですね。他方,単に恋愛感情が冷めたというだけでは正当な事由とは評価されにくいでしょう(つまり不当破棄として慰謝料請求が認められる可能性があります)。
理屈では,以上のとおり慰謝料請求の対象になるレベルの婚約が認められるのは,結構ハードルが高いです。
ただ,男性の心変わりで一方的に関係解消を申し入れられた女性の,「将来一緒になることを約束して,何年も交際を続けていたのに,一方的な心変わりで別れを告げられるのが許せない」という心情はとても理解ができます。婚約が成立していないからと法律論で支払いを拒絶することは簡単ですが,真摯に交際をしてきた二人なわけですから,女性の心情に配慮してある程度の解決金を提示するというのは早期・円満解決のためには必要な姿勢かなと思います。