離婚「知っトク」ブログ

【協議離婚】自宅を取得して、4か月半という短期間で離婚を成立させた事例

2022.05.25
  • 解決事例
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事案の概要

夫から離婚届に判を押してほしいと迫られている。7、8年前夫が家を出て別居をしているが、その間に夫から生活費の支払いはない。
離婚はしてもよいが、離婚後の生活保障がないと困るので、財産分与をきちんとしてほしい。
家は持ち家で、夫がローンを支払っているが、離婚後は持ち家に住み続けたい。夫と話すのが怖いので、代理人を就けて交渉したい。

争点

子は既に成人済みで独立をしていた。争点となるのは、財産分与のみであった。

解決方法

婚姻費用の支払を求める内容と、当方の希望する離婚条件を記載した受任通知を送付した。
相手方もすぐに代理人を就けて、財産資料を開示し、相手方の希望する離婚条件の提案を行ってきた。相手方としては、自宅を当方依頼者が取得することは構わない。
もっとも、それを踏まえてもなお厳密に財産分与を行うと、当方依頼者が相手方に対し、約400万円の支払いを行う計算となる。
しかし、早期離婚に同意をいただけるならば、相手方は当方依頼者に対し、財産分与の請求は行わないとのことであった。

これまで婚姻費用を支払われていなかったことを踏まえると、依頼者としては承服しかねる点もあったが、
これまでの期間婚姻費用の請求を行わなかった自分にも非はあったこと、自宅を取得できることを踏まえると相手方の提案は経済的に見ると利益であるので、
相手方提案に同意することとした。結果として、依頼者は、自宅の残債務を支払い、相手方持分を財産分与として譲り受け、自宅を取得して離婚を成立させた。
解決までの期間は4か月半程度だった。

弁護士の対応・アドバイス


依頼者は、別居以降、相手方に対し、婚姻費用の請求を行っていなかったようであった。実務上、婚姻費用分担請求権が具体化するのは請求時または調停申立時と考えられている。
そのため、別居以降、相手方から婚姻費用の支払いがなくなったときには、早期に婚姻費用の請求を行うとともに、調停の申立てを行っていただきたい。
また、裁判所は月ごとに婚姻費用をカウントするので、別居を開始した、あるいは、月の後半から婚姻費用が支払われなくなったときには、同月中に申し立てを済ませるように手続きをしてほしい。

離婚に関しては、相手方が早期の離婚を希望したことから、相手方から一定程度譲歩する条件の提示がなされた。
相手方の提示した条件が、自身にとって利益となるのかについて判断が難しい場合もある。相手方の条件が自分にとって利益かどうかについて、
自身では判断しかねることも多いであろうから、利益となるかどうか今後の見通し等も含めて弁護士に相談することをお勧めする。
本件については、相手方から開示された資料、依頼者が準備した資料を踏まえると相手方提案を受け入れることが当方依頼者の利益となったので、
早期離婚の観点から相手方提案を受け入れることを提案し、依頼者には了解いただくことができた。

夫婦共有の不動産があり、ローン債務者でない他方居住者が離婚後も居住を継続したい場合、ローンの負担をどうするのかという問題が出てくる。

解決方法としては、
①残ローンを居住希望者が一括で返済する
②居住希望者においてローンの借り換えを行う
③離婚後もローンをローン債務者に負担してもらって、ローン相当額を居住希望者がローン債務者に支払う
④一定期間の無償での居住を認めてもらう                           というものが考えられる。
ローン債務者からすると、③、④はリスクしかなく、受け入れがたい提案であると考えられる。
そのため、離婚後も自宅に居住をし続けたいとなると、①または②を選択せざるを得ないだろう。
収入や資産の面から①や②の解決をとることが難しい場合には、自宅を売却するということを検討しなければならなくなる。
離婚後も現在の家に住み続けたいと考える人は多いと思うが、実現可能性はあるのかどうかは検討しておく必要がある。

離婚に関するご相談は弁護士法人なかま法律事務所にご相談ください

離婚はしたいが、経済的な面で離婚後にどのような生活を送らなければならなくなるのか予想がつかないという人は多いのではないでしょうか。
おおよその相手方の収入、財産の状況がわかれば、離婚した場合の経済的な見通しを伝えることができる場合もございます。
離婚というワードがよぎった場合には、現実に離婚に踏み切る行動をするかどうかは別としても、
一度弁護士に相談をしてみるという選択を取りうることも頭の片隅に置いていただければと存じます。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)