私立高校や大学の学費や塾代は離婚後も父親持ちか?
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「私立学校に通っているので養育費が足りない!塾に通っているので養育費が足りない!大学卒業まで養育費を支払って欲しい!」
1,質問①
子供の養育費を決めるには、夫婦それぞれの収入から、算定表に基づいて決めるものだと聞きました。
しかし、計算したら全然すくなくてびっくりしました。
うちの子は私立の学校に通っているため、学費が高いのです。
公立の学校に通っている場合と同額の養育費しか貰えないなんて納得行きません。
子供が私立に通っている場合,養育費は増えませんか?
2,ご回答①
(1)算定表の問題点
養育費は基本的には算定表に基づいて決めるというのは間違ってはいません。
しかし、算定表は、公立学校に通っている場合を想定して金額が定められています。
14歳までの子供であれば年間13万4217円
15歳から19歳の子供であれば年間33万3844円
が教育費として考慮されています。
では、そもそも私立の学校に通っていることが養育費の算定において考慮されるのでしょうか。
結論としては、ケースバイケースです。
子供が現に私立の学校に通っていること(または、通うことが決まっていること)に,養育費を支払う側が承諾していれば、養育費の算定にあたって考慮される可能性が高くなります。
審判では、親の学歴や収入なども含め、様々な考慮事由から判断がなされます。
ご自身の場合に養育費に私立高校への通学が考慮されるかどうかが気になる方は、弁護士に相談されることをおすすめします。
では,私立に通っていることを考慮するとして,どのように養育費を計算するのでしょうか。
複数の方法がありますが、たとえば私立の学校に現実にかかっている学費から、算定表で既に考慮されている教育費(14歳までの子供であれば年間13万4217円、15歳から19歳の子供であれば年間33万3844円)を差し引いた額を、夫婦(元夫婦)それぞれの収入に応じて分担する方法があります。
(4)私立幼稚園の場合は?
私立幼稚園の場合も、私立学校の場合と同様に考えることができます。
3,ご質問②
私の息子は大学受験に備えて塾に通っています。
大学受験のために塾に通うことは一般的ですし、養育費の増額を認めてもらいたいです。
4,回答②
(1)算定表で塾の費用は考慮されているのか?
算定表においては、塾や習い事の費用は考慮されておりません。
(2)塾に通っていることが養育費の算定において考慮されるか?
塾に通っていることが養育費の算定において考慮されるかどうかについても、ケースバイケースです。
ただし、私立高校の場合よりも優先順位は下がり、私立高校の学費を養育費に加算したうえ、なお経済的な余裕がある場合でなければ、塾の費用が養育費に加算されることはありません。私立学校の学費以上に慎重に判断されることになります。
もっとも、絶対に考慮されないというわけではありません。養育費を支払う側が塾に通うことを承諾していたかどうかといった事情のほか、夫婦(元夫婦)それぞれの収入・学歴・地位、これまでの生活状況、現在の生活状況等を考慮要素として、養育費に加算すべきか判断されます。
(3)習い事について
習い事についても、塾の費用と同様に考えられます。
<大学卒業までの養育費を支払って欲しい!>
5,ご質問③
養育費は20歳までしか支払われないと聞きました。
しかし、うちの子供は大学に進学する予定で、20歳を超えてもまだ社会人にはなりません。
大学に行くことは夫も望んでおりました。
大学卒業まで養育費を支払ってもらうことはできないのでしょうか?
6,回答③
大学進学率が高い現代では、大学在学中の養育費が柔軟に認められるようになってきています。
審判においても、家庭の経済水準や教育水準(親の学歴等)、子どもや親の大学進学に関する意向、奨学金やアルバイトの収入見込みなどの各事情を考慮して、4年制大学卒業まで養育費支払義務が継続されるべきであると判断されることが多くあります。