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養育費請求調停における流れを解説!有利に進めるために必要なこととは?

2023.12.27
  • 養育費
  • 離婚手続

お子様のための費用としてとても重要な養育費。ですが、きちんとした取り決めができているケースは実はそう多くはありません。もっとも、養育費についての取り決めをしないまま離婚してしまったとしても諦める必要はなく、「養育費請求調停」という手続を利用することで、養育費をきちんともらえることができるようになります。

養育費請求調停とは

養育費請求調停を申し立てるメリット

養育費請求調停は、簡単に言うと裁判所内で行われる養育費に関する話し合いです。そのため、裁判所の外で行う一般的な話し合いと同じように、双方の主張が平行線を辿って折り合いがつかないということはあり得ます。もっとも、そうした場合でも、養育費請求調停は自動的に「審判」という手続きに移行します。審判では最終的に裁判官が相手方の支払うべき養育費がいくらになるか、それをいつまで支払うべきか、ということを判断するところ、養育費はお子様のための費用であるため、一切支払わなくてよいという結論には基本的になりません。このように、最終的には支払ってもらえるという結論に辿り着ける可能性があるという点が、養育費請求調停の大きなメリットです。

養育費請求調停を申し立てるデメリット

養育費請求調停で話し合いをする場合、後述のように「期日」といって、裁判所に来る日が決められ、その日に裁判所に行って話し合いをするということになります。1回の期日は約2時間、期日と期日の間隔は(裁判所の混雑具合にもよりますが)1か月~2か月ほどとなります。そうすると、養育費請求調停を申立てると、1か月~2か月の頻度で平日に約2時間、どうしても裁判所に行かなければならないということになります。このように、予定を拘束されてしまう面があるということは、デメリットといえるでしょう。

養育費請求調停の流れ

家庭裁判所に申し立てをする

養育費請求調停申立書などの書類一式を作成して、相手方の住所地を管轄する裁判所に提出します。書類一式の書式や裁判所の管轄については、裁判所の公式ホームページ上に案内があります。また、現実の裁判所においても、書式の配布や書き方の指導を受けることができるようです。

調停期日の調整、呼出状の送付

書類の提出後、不備がなければ、第1回期日の日程調整の連絡があります。第1回期日が確定した後は、相手方に対して養育費請求調停が申立てられたこと・第1回期日の日時等を知らせる書類や、申立書の写し等が送付されます。

調停への出席

期日の当日は、初めに裁判所内の予め指定された待合室に向かいます。そこで待機していると、担当の調停委員から呼ばれ、調停室に案内されます。この調停室で、話し合いを行います。なお、調停室には相手方本人はおらず、話し合いは調停委員を介する形で(当事者は調停室を代わる代わる訪れることになります)進められますので、この点は安心です。

調停の終了

養育費請求調停が終了する主なパターンは、「成立」と「不成立」です。「成立」は、話し合いがまとまり、合意に至ることができたパターンです。他方、「不成立」は、反対に、話し合いの折り合いがつかず、合意ができなかったパターンです。

調停で解決しない場合

「不成立」の場合は、前述のとおり、自動的に「審判」という手続きに移行し、裁判官が当事者双方の主張を踏まえて判断することになります。

養育費請求調停を有利に進めるためのポイント

養育費標準算定表による相場の確認

養育費標準算定表とは、家庭裁判所が作成した、養育費の金額を簡単に決めるための表です。統計資料等の客観的な資料から導かれた計算式がこの表の元になっているため、法的な公平性が担保されています。そのため、どんなに争いになっても、基本的にはこの表(または元になった計算式)から算定されることが圧倒的に多いです。そうだとすると、養育費請求調停を申立てる前からこの表を確認し、あらかじめ金額がいくらになるかの予測を立てることで、最終的に認められやすい主張を行うことができるようになります。

調停委員の理解を得ること―主張内容の正当性

養育費標準算定表では、大学や私立学校の学費や高額の医療費は考慮されていません。そのため、こうした特別の費用についても請求をしたい場合は、別途話し合いの題材とする必要があります。もっとも、養育費標準算定表に代わる何らかの明確な基準がある訳ではありません。

そのため、自分の希望するまま、思いつくままに主張してしまうと、調停委員から「その内容では相手方を説得することは難しい。」といった厳しい反応が返ってくるかもしれません。調停委員が説得に加わってくれることで自分に有利な内容で合意ができた、というケースも少なくないので、中立な立場である調停委員からも理解を得られるような正当な主張をすることを心がけましょう。

審判移行の検討

調停が進み、期日を何回も経てもなお合意ができない場合、「もう少し頑張って合意を目指すか?それとも諦めて審判に移行してもらうよう要請するか?」といった悩みに直面することがあります。こうした場合は、

・合意まであとどれくらい双方の主張に距離が残っているか

・審判になるとどういう結果となるか

といった観点からできる限り冷静に判断することが必要となります。

養育費請求調停を弁護士へ相談するメリット

以上ご説明したとおり、養育費請求調停では、検討や判断が必要となる場面は意外と多いです。その精度を上げる近道は、養育費請求調停の相談をしたり、代理人を依頼したりすることを通じて、専門的な知見を持つ弁護士に一緒に考えてもらうことであるといえるでしょう。

また、他にも、代理人を依頼することで書類を代わりに作ってもらえる、裁判所や相手方と連絡をする必要が生じた際の窓口となってもらえる(自分で直接対応しないでよくなる)といった、心身の負担が軽減できる様々なメリットもあります。

養育費に関してお悩みの方は弁護士法人なかま法律事務所へ

以上、本記事では養育費請求調停に関する基本的な知識をご説明しました。弊所では、養育費請求調停の経験豊富な弁護士とスタッフが、あなたのお悩みに寄り添い、解決のために全力でサポートをさせていただきます。平日18時までの初回相談は無料でお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。