離婚「知っトク」ブログ

性格の不一致で離婚はできる?具体例・慰謝料相場・親権の影響も解説

2025.08.29
  • 離婚の原因

夫婦の「性格の不一致」はよく挙げられる離婚理由です。合意があれば協議離婚は可能ですが、裁判になると性格の不一致だけでは離婚は認められにくいです。

性格の不一致そのものは法定離婚事由に直接はあたりません。長期別居や暴力・モラハラなど、婚姻関係が破綻した具体的な事情が問われます。

慰謝料についても「性格が合わない」という理由だけでは認められず、金銭面は解決金という形で合意により支払われるケースが多いのが実情です。

離婚後の生活設計や子どもへの影響をどう考えるかによっても、判断は大きく変わります。離婚を急ぐのではなく、経済面・精神面の両方を冷静に整理することが重要です。

この記事では、認められやすいケース、慰謝料・解決金の考え方、子ども・親権への影響、後悔を減らす準備までをわかりやすく解説します。

性格の不一致だけでは離婚は認められにくい理由

「性格の不一致」はよくある離婚理由ですが、裁判での離婚原因(民法770条1項各号)には原則あたりません。

裁判で離婚を認めてもらうには、「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たる程度の関係破綻が客観的に示される必要があります。単なる価値観の違いや些細な衝突だけでは足りません。

例えば、長期間の別居、DV・モラハラ、深刻な家庭不和などにより回復見込みがない状態であることが重視されます。

一方、協議離婚や調停離婚は合意で成立するため、法定事由がなくても可能です。ただし、争いになった裁判では「不一致だけ」では難しいのが実務です。

【関連記事】怒ってばかりの妻と離婚したい!不機嫌な妻に限界を感じた時の対処法

性格の不一致で離婚が認められるケース

家庭内で深刻な対立や暴力があるケース

性格の不一致が発端でも、暴言や威圧、物に当たる等のモラハラやDVが続き、回復見込みがないと評価されれば、民法770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたります。

離婚を考えるときには、日記や録音、診断書などを残しておくと、裁判でも状況を証明しやすくなります。

長期間の別居が続いているケース

別居の期間が長くなると、夫婦の生活が完全に別々になり、関係が終わっていると見なされる可能性があります。

特に、数年以上別々に暮らしていて連絡もほとんど取らないような場合には、離婚を認めてもらいやすくなります。

別居の経緯や期間、生活費のやり取りがあったかどうかなどを記録しておくことが大切です。

子どもや生活への悪影響が明確なケース

生活への具体的な悪影響が明確なときも、破綻の判断材料になります。

以下のような場合、生活に深刻な影響があると判断され離婚理由として認められることがあります。

  • 夫婦の不仲が原因で子どもが強いストレスを感じている
  • 生活費を渡さないために家計が成り立たない
  • 家庭内で大声や暴力が日常的に起きている

こうした状況を示す証拠を残しておくと、裁判で有利に働く可能性があります。

【関連記事】離婚できる5つの条件|必要な別居期間や書面化までの流れ

 性格の不一致で慰謝料や解決金はもらえる?

 原則として慰謝料はもらえない

性格の不一致は、法律で定められた離婚原因(有責行為)には当たりません。そのため、裁判で「不一致だけ」を理由に慰謝料が認められることは基本的にありません。

慰謝料は、不貞や暴力など相手の義務違反によって生じた精神的苦痛を補うものだからです。

協議離婚の場合も、性格の不一致は一方的な責任を問えないため、慰謝料を請求するのは難しいのが実情です。

 モラハラや暴言があれば慰謝料請求できる可能性がある

ただし、不一致をきっかけに日常的な暴言や威圧的な態度、無視などのモラハラや、身体的な暴力がある場合は状況が変わります。

これらは「婚姻を継続し難い重大な事由」や不法行為に該当する可能性があり、慰謝料が認められる余地があります。

実際に請求を検討する際は、録音や診断書、メール・LINEの記録など、客観的に証明できる資料を集めておくことが重要です。

【関連記事】離婚の慰謝料の相場|請求できるケースや証拠・年収で増額される?

 解決金を支払ってもらうケースもある

慰謝料の要件を満たさない場合でも、話し合いを円滑に進めるために「解決金」を取り決めることがあります。

解決金は法的な損害賠償ではなく、離婚の合意を成立させるために支払われる金銭です。

特に離婚を強く望む側が支払いに応じるケースが多く見られます。

金額や支払方法、今後の請求をしないといった条項は、必ず協議書に明記しておく必要があります。

 解決金・慰謝料の相場は10万〜100万円前後が多い

性格の不一致が主な理由の離婚では、慰謝料が発生しても高額になることは少なく、解決金も含めて10万〜100万円前後で落ち着く例が多いとされています。

ただし、収入差や別居期間、子どもの有無、離婚を急ぐ事情の有無などによって金額は変動します。

あくまで目安であり、実際の金額は夫婦ごとの状況によって判断されます。

【関連記事】離婚における解決金とは?取り決め時の注意点等について弁護士が解説

性格の不一致で離婚後、後悔しないためにすること

 一時的な感情やわがままで判断しない

怒りや不安が強いと冷静さを失い、正しい判断ができなくなることがあります。次のような工夫で落ち着いて考えてみましょう。

  • 数日は結論を出さず、深呼吸や散歩で気持ちを整える
  • 事実と感情を分けてメモに残す
  • 相手に伝えたい要点を箇条書きにして整理する
  • 弁護士や公的窓口で「今の選択肢」を確認する
  • 別居・調停・面談など複数の方法があると知っておく
  • 得たいものと手放すものを書き出し、優先順位を決める

一時の感情に流されず、少し時間を置いて整理することで、後悔の少ない選択につながります。

 離婚後の生活や経済面をイメージしておく

離婚後の生活を考えるときは、感情だけでなく「お金と暮らし」の見通しを立てることが大切です。具体的には次のような点を整理しておきましょう。

  • 住まい(家賃や引っ越し費用)
  • 収入と支出のバランス(光熱費・保育料・通学費など)
  • 養育費や財産分与で受け取れる金額の見込み
  • 保険や口座の名義変更などの手続き
  • 緊急時に備えた生活資金や連絡先

転居や仕事の切り替えも含め、無理のないスケジュールを立てておくと安心です。

 子どもの気持ちや接し方にも配慮する

子どもには、年齢に合った言葉で短く、事実だけを伝えるようにしましょう。

相手を悪く言うのではなく、「あなたのせいではない」「お父さんもお母さんも大切に思っている」と繰り返し伝えることが大切です。

住む場所や学校、面会の予定など、これからの生活の流れを先に示すと安心につながります。

面会交流の方法や費用負担については、話し合って取り決めを文書にしておくと後のトラブルを防げます。

学校や園とも必要に応じて情報を共有し、できるだけ生活環境を変えずに過ごせるよう配慮してあげましょう。

子どもがいる場合に気をつけること

 養育費や親権は明確に取り決めておく

養育費は「親のため」ではなく子どもの生活費です。まずは金額・支払方法・面会交流のルールを話し合い、書面に残しましょう(協議書や公正証書)。

金額の目安は裁判所の「養育費算定表」を参考にできます。合意できないときは家庭裁判所の調停で決められます。

【関連リンク】養育費とは|養育費の相場や支払い義務・取り決め方法や計算例を解説

 父親が親権を得るには育児実績が重要

親権は「どちらが子どもの生活や成長にとって望ましいか」で判断されます。

特に普段どちらが世話をしてきたか、今の生活を無理なく続けられるかが重視されます。

送り迎え・食事・入浴・病院・学校連絡など、日々の関わりを記録して示すと有利です。生活環境や支援体制も整えておくことが大切です。

【関連記事】父親が離婚で親権を勝ち取るケースとは|共同親権の影響は?

 子どもの気持ちや生活環境に配慮する

離婚後も子どもが落ち着いて暮らせるよう、環境を整えることが欠かせません。

住む場所や学校をできるだけ変えず、友達や日常の習慣を守る工夫をしましょう。

転校や引っ越しが避けられない場合は、事前にしっかり説明して不安を減らすことが大切です。

また、学校や園に事情を共有しておくと、周囲の理解やサポートが得やすくなります。安定した環境を保つことが、子どもの安心につながります。

弁護士に相談すべき理由

 離婚の進め方を整理できる

離婚には「協議・調停・裁判」の段階があり、どこで何を決め、どんな資料や証拠が必要かを早めに整えると迷いにくくなります。

弁護士なら、各手続きの違いとリスク、必要資料(別居の経緯・家計・子の事情など)を整理し、優先順位に沿った進め方を設計できます。

 財産分与などの条件交渉を有利に進められる

交渉で重要なのは条件の全体像を整理することです。

財産分与・養育費・親権や面会交流・解決金などを一つずつ確認し、法律の基準や相手の事情を踏まえて、現実的に合意できる内容を見極めていきます。

弁護士であれば実務の相場や根拠をもとに助言でき、合意書の文言も整えて将来のトラブルを防ぐことができます。

 離婚に迷っているときもアドバイスが受けられる

離婚は大きな決断なので、急いで結論を出す必要はありません。

別居をした方がよいのか、時期はいつがよいのか、まずは話し合いで進めるべきかなど、状況に応じて考えるべき選択肢はいくつもあります。

弁護士に相談すれば、必要な証拠の集め方や生活への影響を整理しながら、性格の不一致だけでは裁判が難しいという実情も踏まえて、現実的なアドバイスを受けることができます。

 調停・裁判でも法的にサポートしてもらえる

話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所での調停や裁判に進むことになります。

調停では主張や必要書類の準備をサポートしてもらえ、裁判では訴状や証拠の提出、和解の条件交渉などを代理してもらうことができます。

性格の不一致は裁判で認められにくいため、他の事情や夫婦関係の状況をどう示すかが重要です。

弁護士が関わることで、適切な手続きを踏みながら解決へと進めやすくなります。

【離婚:離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント

 性格の不一致による離婚でよくある質問

 性格の不一致で離婚できますか?

協議離婚であれば、夫婦双方が合意すれば性格の不一致を理由に離婚は可能です。

ただし、裁判で離婚を求める場合は「性格が合わない」だけでは足りず、長期間の別居や暴言・暴力など夫婦関係が修復できない事情が必要です。

 性格の不一致が理由でも慰謝料を請求できますか?

性格の不一致だけでは慰謝料は原則として認められません。不貞行為や暴力、モラハラなど、法律上の義務違反があった場合に初めて慰謝料が請求できます。

性格の違いが理由の場合は、話し合いの中で「解決金」として金銭を取り決めるケースが多いです。

 性格の不一致で離婚すると親権や養育費はどうなりますか?

親権は子どもの生活や成長にとってどちらの親が適しているかを基準に決められ、養育費は親の収入などをもとに算定表を参考にして取り決めます。

離婚後も子どもが安心して生活できるよう、面会交流の方法や生活環境についても話し合い、書面に残しておくことが大切です。

 子どもがいない夫婦の場合、性格の不一致で離婚しやすくなりますか?

子どもがいるかいないかで、裁判での離婚の認められやすさが変わることはありません。

裁判で離婚が成立するかどうかは、性格の不一致が「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)にあたるかどうかが基準であり、子どもの有無は直接の判断要素ではないからです。

ですが、未成年の子どもがいる場合は、親権や養育費、面会交流といった取り決めが必要になるため、どうしても争点が多くなります。

その結果、話し合いや裁判が長引くことは珍しくありません。

一方で、子どもがいない夫婦は取り決める項目が少ない分、協議離婚や調停で合意に至りやすく、「手続きが比較的スムーズに進む」と感じられるケースがあります。

 まとめ

性格の不一致は離婚理由としてよく挙げられますが、それだけでは裁判で離婚が認められることは多くありません。

長期の別居や暴言・暴力など、夫婦関係が修復できないと判断できる事情が必要です。

また、性格の不一致のみでは慰謝料が認められることは少なく、金銭面は「解決金」として話し合いで取り決められるケースが中心となります。

さらに、離婚は結論を出した瞬間がゴールではなく、その後の生活が本当のスタートです。

住まいや収入、養育費や財産分与などを見通し、子どもがいる場合は親権や生活環境への影響も丁寧に考えておく必要があります。

一時的な感情で決めてしまうと後悔につながりやすいため、冷静に状況を整理することが大切です。

離婚すべきか迷うときや条件の交渉を進めたいときは、弁護士に相談することで現実的な選択肢を整理し、将来を見据えた解決に近づけます。

法律の知識と経験を持つ専門家のサポートを受けながら、自分と家族にとって最善の形を探していきましょう。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)