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夫婦喧嘩が離婚の原因に?離婚の判断基準と後悔しないための考え方

2026.02.06
  • 離婚の原因

夫婦喧嘩が続いている場合でも、それだけを理由に直ちに離婚が認められるわけではありません。

しかし、夫婦喧嘩が長期化し、婚姻関係が破綻していると評価される場合には、離婚が認められるケースもあります。

この記事では、夫婦喧嘩が離婚の原因としてどのように判断されるのか、離婚が認められる具体的なケースや判断基準、注意しておきたい点について整理します。

ただの夫婦喧嘩では原則、離婚は認められない

離婚が成立するかどうかは、喧嘩の有無ではなく、婚姻関係が実質的に破綻しているといえるかどうかが基準になります。

そのため、単に夫婦喧嘩があるという理由だけで、直ちに離婚が認められるわけではありません。

協議離婚の場合は、夫婦双方が離婚に合意していれば、理由を問わず離婚することが可能です。

一方で、相手が離婚に同意しない場合には、調停や裁判で離婚が認められるかどうかが問題となります。

裁判では、夫婦関係が回復不能な状態にあるかどうかが争点になるため、日常的な言い争いや意見の対立があるだけでは、離婚が認められにくいのが実情です。

夫婦喧嘩が続いている場合でも、内容や頻度、夫婦関係の全体像を整理したうえで、離婚が認められる状況に当たるかを確認していくことが重要です。

夫婦げんかで離婚が認められるケース

夫婦喧嘩があるだけでは離婚は認められませんが、喧嘩の内容や夫婦関係の状態によっては、離婚が認められる場合もあります。

ここでは、実務上、夫婦喧嘩を背景として離婚が認められやすい代表的なケースについて整理します。

夫婦喧嘩が長引き婚姻関係が破綻している場合

夫婦喧嘩が一時的なものにとどまらず、長期間にわたって繰り返されている場合には、婚姻関係が実質的に破綻していると判断される可能性があります。

ここでいう破綻とは、単に仲が悪いという状態ではなく、夫婦としての共同生活や信頼関係が回復困難な程度に失われている状況を指します。

たとえば、日常的な言い争いが続き、冷静な話し合いができない状態が長く続いている場合や、喧嘩をきっかけに夫婦関係が形骸化し、実質的な夫婦生活が成り立っていない場合などです。

このような状況では、喧嘩の頻度や内容、経過の長さなどを踏まえて、婚姻関係の破綻が認められます。

暴言・暴力などDVに発展している場合

夫婦喧嘩の中で、暴言や暴力といったDV行為が繰り返されている場合には、離婚が認められやすくなります。

ここでいうDVには、身体的な暴力だけでなく、人格を否定するような暴言や威圧的な言動など、精神的な攻撃も含まれます。

裁判では、DVの内容や、頻度、継続性などを踏まえて検討されるため、発言内容の記録や診断書、第三者への相談履歴など、客観的な事情が重要になります。

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別居が長期化し夫婦関係の修復が困難な場合

夫婦喧嘩をきっかけに別居に至り、その状態が長期間続いている場合には、離婚が認められる可能性があります。

別居そのものが直ちに離婚理由になるわけではありませんが、別居期間の長さや経緯は、夫婦関係の実態を判断するうえで重要な事情とされます。

別居に至った理由や、その後の連絡状況、関係修復に向けた動きの有無などを踏まえて、夫婦関係全体が総合的に検討される点には注意が必要です。

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生活費不払いなど婚姻義務違反がある場合

夫婦には、婚姻関係を継続するうえで互いに扶助する義務があり、生活費を分担することもその一部とされています(民法760条)。

そのため、正当な理由なく生活費の支払いを一方的に拒むような状況が続いている場合は、婚姻義務に反する行為として、離婚が認められる事情となります。

もっとも、収入状況や別居の経緯などによって判断は異なるため、単に経済的に余裕がない場合や、支払い方法をめぐる認識の違いがあるだけでは、直ちに離婚理由になるとは限りません

不貞行為や重大な裏切りが夫婦喧嘩の背景にある場合

不貞行為は、婚姻関係における信頼を根本から損なう行為であり、喧嘩の原因がそこにある場合、夫婦関係の修復は困難であると評価されるからです。

このようなケースでは、喧嘩そのものよりも、不貞行為によって信頼関係が失われている点が重視され、不貞の態様や期間などを踏まえ、個別に判断されます。

不貞行為が繰り返されている場合や、夫婦関係の改善に向けた姿勢が見られない場合には、離婚が認められる可能性が高くなります。

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話し合いを重ねても関係改善の見込みがない場合

夫婦喧嘩が起きた際に、話し合いを重ねて関係の修復を試みていたとしても、その結果として改善の見込みがないと判断される場合には、離婚が認められる可能性があります。

重要なのは、単に話し合いをしたかどうかではなく、話し合いによって夫婦関係を立て直す現実的な可能性が残されているかどうかです。

裁判では、話し合いの経緯や回数、当事者双方の対応姿勢なども踏まえて、婚姻関係が回復不能な状態にあるかどうかが判断されます

夫婦喧嘩から離婚に至りやすい主な原因

夫婦喧嘩が離婚に発展するかどうかは、喧嘩の回数だけで決まるものではありません。

多くの場合、喧嘩そのものよりも、対立の背景にどのような問題が積み重なっているかが重要になります。

ここでは、夫婦喧嘩が長期化しやすく、結果として離婚に至りやすいとされる主な原因について整理します。

コミュニケーション不足・無視などの関係悪化

夫婦喧嘩が離婚に至りやすくなる原因として、コミュニケーション不足や無視が続く状態が挙げられます。

意見の違いがあっても、話し合いによって解消できていれば大きな問題にはなりにくいですが、会話自体が減り、相手の話を聞かない、無視をする、といった状況が続くと、夫婦関係は次第に悪化していきます。

その結果、夫婦としての信頼関係や協力関係が損なわれ、関係修復が難しい状況に陥ることがあります。

子育て・育児方針の対立による夫婦喧嘩

子育てや育児方針をめぐる意見の対立は、夫婦喧嘩が長期化しやすい原因です。

子どものしつけや教育方針、関わり方に対する考え方は家庭ごとに異なり、価値観の違いが表面化しやすい分野でもあります。

とくに、出産や育児をきっかけに生活リズムや役割分担が大きく変わると、負担の偏りや不満が生じやすくなります。

金銭感覚や家計管理の価値観の違い

金銭感覚や家計管理に対する価値観の違いも、夫婦喧嘩が深刻化しやすい原因です。

収入の使い方や貯蓄に対する考え方、生活費の分担方法などについて認識のズレがあると、日常生活の中で不満が生じやすくなります。

こうした問題は、最初は小さな行き違いであっても、十分な話し合いが行われないまま続くことで、「相手が協力してくれない」といった感情につながり、喧嘩が繰り返される原因になります。

家事・役割分担への不満の蓄積

家事や役割分担をめぐる不満が蓄積することも、離婚に至りやすくなる原因です。

共働きか専業かにかかわらず、家庭内での負担の感じ方には差が生じやすく、「自分ばかりが負担している」といった意識が強まると、不満が表面化しやすくなります。

家事の分担や役割について十分な話し合いが行われないまま時間が経過すると、夫婦関係全体の悪化を招くことがあります。

離婚話が繰り返される関係悪化

夫婦喧嘩のたびに離婚の話が持ち出される状態が続いている場合、夫婦関係が不安定になっている可能性があります。

離婚という言葉が繰り返し使われることで、相手への信頼感や安心感が失われ、冷静な話し合いが難しくなっていくからです。

このような状況では、喧嘩の内容そのものよりも、「問題が起きるたびに離婚を前提としたやり取りになっているかどうか」が問題です。

親族・警察など第三者の介入が常態化

夫婦喧嘩に親族や警察などの第三者が繰り返し関与している場合、夫婦だけで問題を解決することが難しい状態にあると考えられます。

たとえば、喧嘩のたびに親族が間に入って調整を試みている場合や、警察が介入するような事態が繰り返され、夫婦関係の緊張が日常化している場合などがあります。

このような状況では、冷静な話し合いが成立しにくく、関係修復の見込みが乏しいと判断されます。

夫婦喧嘩から離婚を考えたときの判断基準

離婚は感情の強さだけで決めるものではなく、状況を整理したうえで冷静に判断する必要があります。

ここでは、夫婦喧嘩をきっかけに離婚を考えたときに、どのような点を基準として検討すべきかを整理します。

喧嘩の原因が一時的な感情か、構造的な問題かを整理する

夫婦喧嘩が起きた背景が、一時的な感情の高ぶりによるものなのか、それとも夫婦関係の中に根本的な問題があるのかによって、離婚を検討すべきかの判断は大きく異なります。

離婚を考える際には、これまでの経緯を振り返り、問題が一過性のものなのか、長期的に解消されていないものなのかを整理することが重要です。

関係修復の余地があるかを冷静に見極める

夫婦喧嘩が続いている場合でも、夫婦関係を立て直す余地が現実的に残されているかどうかを冷静に見極める必要があります。

たとえば、喧嘩の原因について双方が向き合い、話し合いが成立している場合や、第三者の助言を受けながら改善に向けた取り組みが行われている場合には、関係修復の可能性が残されていると考えられます。

現在の状況が改善に向かっているのか、それとも停滞・悪化しているのかを見極める視点を持ちましょう。

離婚後の生活を具体的に想定して判断する

夫婦喧嘩を理由に離婚を考える際には、感情面だけでなく、離婚後の生活を現実的に想定したうえで判断する視点が欠かせません。

たとえば、子どもがいる場合には、親権や養育費、生活の拠点をどのようにするのかといった点が大きな影響を及ぼします。

加えて、収入や住居、仕事との両立など、離婚後の生活を維持できるかどうかについても、事前に考えておく必要があります

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喧嘩の中にモラハラやDVが含まれていないか確認する

夫婦喧嘩の内容を振り返る際には、その中にモラハラやDVに該当する行為が含まれていないかを確認しておく必要があります。

喧嘩の延長として行われていたとしても、相手を威圧する言動や人格を否定する発言、身体的な暴力が見られる場合には、単なる言い争いの範囲を超えている可能性があります。

喧嘩の中で相手に恐怖や強い精神的苦痛を与えていないか、冷静に振り返る視点が求められます。

感情的な行動を取る前に注意したいこと

夫婦喧嘩が続く中で離婚を意識すると、感情の高まりから早急に行動してしまうことがあります。

しかし、勢いで取った行動が、その後の話し合いや条件交渉に影響する場合も少なくありません。

ここでは、離婚を考える場面で避けておきたい行動や、事前に整理しておくべき点について確認します。

喧嘩の勢いで離婚届を提出するリスク

夫婦喧嘩の直後は感情が高ぶりやすく、その勢いで離婚届を提出してしまうと、後から条件面で不利な立場に置かれる可能性があります。

協議離婚の場合、離婚届が受理されると、原則として離婚は成立します。

親権や養育費、財産分与といった重要な事項について十分に整理しないまま離婚が成立してしまうと、その後に条件を調整することが難しくなるケースもあります。

感情的な判断によって後悔することを避けるためにも、離婚届を提出する前に、条件や今後の生活について一度立ち止まって整理することが必要です。

十分な話し合いをせず一方的に家出・別居するリスク

夫婦喧嘩が続く中で、冷静な話し合いを行わないまま一方的に家出や別居に踏み切ってしまうと、その後の話し合いや条件整理に影響することがあります。

たとえば、突然家を出て連絡を取らない状態が続くと、相手との協議が進まなくなり、誤解や対立が深まることがあります。

家出や別居を選択する場合には、その後の話し合いや整理につなげられる形になっているかを意識しておくことが求められます。

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証拠や条件整理をしないまま離婚を進めるリスク

夫婦喧嘩をきっかけに離婚を考えた場合でも、状況を整理しないまま手続きを進めてしまうと、後になって不利な立場に置かれることがあります。

たとえば、暴言や生活費の不払い、不貞行為などが問題になっているにもかかわらず、記録や資料を残していない場合には、事実関係を説明することが難しくなることがあります。

離婚を検討する段階では、感情だけで判断するのではなく、事実関係や条件を一つずつ整理したうえで進めていくことが、後悔を避けるための考え方です。

夫婦喧嘩が続く場合に検討できる選択肢

夫婦喧嘩が続いている場合でも、直ちに離婚を選ぶ以外に、検討できる対応はいくつかあります。

ここでは、夫婦喧嘩が続く中で現実的に検討されることの多い選択肢について、それぞれの位置づけを整理します。

話し合いの方法や距離の取り方を見直す

夫婦喧嘩が続いている場合でも、話し合いの進め方や互いの距離の取り方を見直すことで、状況が落ち着くことがあります。

感情的になりやすい状態で直接向き合うよりも、時間や場所を区切るなど、冷静に話せる環境を整えることが方法の一つです。

また、対面での話し合いが難しい場合には、文章にまとめて考えを伝えるなど、方法を変えることで意思疎通が図れることもあります

別居という形で冷却期間を設ける

夫婦喧嘩が激しくなり、同居を続けることで対立が深まっている場合には、別居という形で一定の距離を置くことが一つの選択肢になります。

加えて、別居期間中に連絡の取り方や話し合いの機会を見直すことで、関係修復につながる場合もあります。

もっとも、別居を始める際には、その目的や期間、生活費の分担などを整理しておくことが望ましいといえます。

離婚を視野に入れて弁護士へ相談する

夫婦喧嘩が長期化し、当事者同士での話し合いが難しい状況にある場合には、離婚を前提とせずとも、弁護士に相談するという選択肢があります。

弁護士に相談することで、離婚が認められる可能性や、取るべき手続きの流れ、注意すべき点などを把握することができます。

現在の状況を整理し、今後どのような選択肢が考えられるのかを確認する一つの手段として、弁護士への相談が役立つ場合があります。

【関連記事】離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント

夫婦喧嘩と離婚に関するよくある質問(Q&A)

喧嘩が多いだけで離婚は認められますか?

喧嘩が多いという事情だけで、直ちに離婚が認められるわけではありません。

裁判で離婚が認められるかどうかは、夫婦関係が実質的に破綻しているといえるかが判断の基準になります。

無視が続いている場合は離婚理由になりますか?

無視が続いていること自体が、直ちに離婚理由になるとは限りません。

ただし、長期間にわたり会話や連絡が断たれ、話し合いが成立しない状態が続いている場合には、夫婦関係が形骸化している事情として考慮されることがあります。

子どもがいても夫婦喧嘩を理由に離婚できますか?

子どもがいる場合でも、夫婦喧嘩をきっかけに離婚すること自体は可能です。

もっとも、子どもがいる場合には、親権や養育費、面会交流など、離婚後の生活に関する取り決めが必要になります。

まとめ

夫婦喧嘩が続いているからといって、直ちに離婚が認められるわけではありません。

離婚が成立するかどうかは、喧嘩の有無ではなく、夫婦関係が実質的に破綻しているといえるかどうかが判断の基準になります。

もっとも、喧嘩が長期間にわたり繰り返され、話し合いが成立しない状態が続いている場合や、暴言・暴力、生活費不払いなどが伴っている場合には、離婚が認められる可能性が高まります。

夫婦喧嘩が続き、今後の対応に迷っている場合には、早い段階で弁護士に相談し、状況を客観的に整理することも選択肢の一つです。

自分たちにとって無理のない解決方法を見極めるためにも、落ち着いて検討を進めていきましょう。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)