離婚「知っトク」ブログ

離婚の進め方と手続きの選び方・やってはいけないこと

2025.07.11
  • 離婚手続

離婚を意識し始めたとき、最初に何から始めればよいのか、どう進めていくのが正解なのか悩む方は少なくありません。

とくに、感情が高ぶった状態のまま勢いで進めてしまうと、後になって不利な条件をのまされたり、後悔が残ったりすることもあります。

離婚には協議・調停・裁判といった複数の進め方があり、それぞれ必要な準備や対応が異なります。

この記事では、離婚を考えたときにまず確認しておきたい基本的な流れや注意点、そして子どもがいる場合に必要な手続きまで、冷静に進めるためのポイントを解説します。

離婚をしたいと思ったら何から準備するべき?

離婚は、感情だけで突き進むと後悔を招きかねません。できる限り冷静に、先を見据えた準備が大切です。とくに次の3点は、離婚を考えた段階から意識しておきましょう。

離婚後の生活の設計を立てる

離婚後も安定した生活を送るためには、事前の準備が欠かせません。特に、住まいや収入の見通しは早い段階で具体的に検討しておく必要があります。

まずは、今の住まいにそのまま住み続けるか、引っ越しが必要かを考えましょう。実家に戻る場合や新たに賃貸物件を探す場合は、家賃や初期費用、通勤・通学の動線なども含めた生活全体のシミュレーションが重要です。

次に、収入面の確認です。専業主婦(夫)の方やパート勤務だった方は、離婚後の自立に向けて、就職や転職、資格取得などを視野に入れた準備が求められます。ひとり親になる場合は、養育費や児童扶養手当、各種支援制度の活用についても情報収集しておくと安心です。

こうした現実的な生活設計をしておくことで、「離婚したのはよかったけれど、その後の生活がうまくいかない」といった後悔を避けることにつながります。生活再建の見通しが立つことで、離婚の判断にも冷静さを保ちやすくなります。

離婚の原因になる理由をまとめておく

離婚を考えるときは、まず「なぜ離婚したいのか」を整理しておく必要があります。話し合いや調停、裁判に進んだとき、その理由が交渉の土台になるからです。

例えば、不倫やDV、モラハラ、生活費を入れないといった明確な問題がある場合は、可能な範囲で証拠を残しておくことが有効です。LINEのやりとり、診断書、録音、写真、領収書など、証拠になり得るものは日付とともに整理しておきましょう。

一方で、証拠がない場合でも、「どのような場面でつらさを感じたか」「いつから関係が悪化したか」など、時系列を追ってメモを残しておくと、自分の気持ちや状況を冷静に伝えやすくなります。

相手に非がある場合も、感情に任せた一方的な非難ではなく、客観的な事実として「何が問題だったか」を説明できるようにしておくことが、結果的にスムーズな交渉につながります。

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離婚条件をまとめておく

離婚を進めるうえでは、事前に「何をどう決めたいのか」を明確にしておくことが大切です。

親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割など、話し合うべき条件は多岐にわたります。どこまでを希望条件とし、どこまで譲れるかを自分の中で整理しておくと、交渉時に判断がぶれにくくなります。

特に子どもがいる場合は、親権をどちらが持つか、その後の生活や教育環境にどう関わっていくかといった点も含めて、冷静に考えておく必要があります。

離婚条件を明確にすることで、相手や第三者に伝えるべき内容が具体的になり、無駄な衝突や感情的なやりとりを避けやすくなります。

離婚を考えた時の基本的な進め方

離婚の第一歩は、夫婦間での話し合い(協議)です。双方が合意すれば、裁判所を介さずに離婚が成立します。

親権や養育費、財産分与などの条件も、話し合いで自由に取り決めることができます。ただし、口約束だけでは後のトラブルにつながるおそれがあるため、合意内容は必ず書面(離婚協議書)にまとめておきましょう。

さらに、公正証書として残すことで、強制執行の効力を持たせることも可能です。協議離婚が成立するためには、原則として夫婦の合意と離婚届の提出が必要です。

まずは話し合いからスタートする

離婚の手続きは、夫婦の合意が前提です。協議離婚と呼ばれるこの方法では、当事者同士の話し合いだけで離婚が成立します。

親権や養育費、財産分与などの条件についても話し合いで決める必要があります。家庭裁判所を通さずに済むため、時間的・経済的な負担は比較的少なくて済みますが、感情的な対立があると合意が難航することもあります。

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条件がまとまらなければ調停を申し立てる

協議で合意に至らない場合は、家庭裁判所に「調停」を申し立てることになります。調停は、調停委員が間に入りながら進める話し合いの手続きで、当事者が直接顔を合わせなくても意見を伝えられる点が特徴です。

感情的な対立があるケースでも、調停委員を通じて冷静なやりとりが可能です。調停で合意が成立した場合は、その内容が調停調書に記載され、法的な拘束力を持ちます。

なお、調停は必ずしも一度で終わるとは限らず、複数回の期日を経て合意に至ることもあります。

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調停でも合意できなかったら裁判での離婚を目指す

調停でも話し合いがまとまらなかった場合、最終的には離婚裁判に進むことになります。裁判では、離婚原因が法律で定められた事由に該当するかが判断されます。

たとえば、不貞行為や悪意の遺棄、DV、長期間の別居などが法定離婚事由にあたります。これらの主張を裏付ける証拠が必要になるため、事前の準備が重要です。

裁判は調停よりも時間と労力がかかるため、精神的な負担も大きくなります。とはいえ、相手が一切応じない場合や、不当な主張をしてくる場合には裁判で解決を図るしかないケースもあります。

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離婚前にやってはいけないこと

離婚を考えたとき、焦りや感情の高ぶりから、後に不利になる行動をとってしまう人も少なくありません。しかし、離婚は法律的な手続きでもあり、準備不足や軽率な判断が、財産や親権などに大きな影響を及ぼすこともあります。

ここでは、離婚前に避けるべき行動について、具体的に解説します。

不倫などの不法行為をしない

離婚を考えている最中に新しい恋愛を始めるのはリスクがあります。たとえ夫婦関係が破綻していると感じていても、法的には婚姻中の不貞行為と見なされ、慰謝料請求の対象になる可能性があるためです。

離婚を有利に進めたい場合、自ら不法行為にあたるような行動を取るべきではありません。また、交際の事実を相手に知られてしまえば、離婚交渉そのものがこじれる原因にもなります。離婚が成立するまでは、慎重な行動が求められます。

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準備も証拠もないまま家を出る

相手との関係が悪化すると、勢いで家を出たくなることもあるかもしれません。しかし、証拠や生活の準備が整っていない状態で別居すると、不利になるケースがあります。

たとえば、相手に子どもを残して家を出ると「育児放棄」と受け取られ、親権を主張しづらくなることがあります。

また、婚姻費用や財産分与の主張に必要な資料を手元に残せないまま出てしまうと、証拠集めが難しくなります。離婚に向けて家を出る場合は、事前に証拠や書類の確保、住居や収入源の準備をしておくことが重要です。

勢いや衝動で離婚届を提出してしまう

感情が高ぶった状態で勢い任せに離婚届を出してしまうと、後から後悔することになりかねません。離婚届を提出し受理されれば、法的な夫婦関係は終了します。一度成立した離婚は、たとえ気持ちが変わっても取り消すことができません

また、養育費や財産分与の取り決めをしないまま離婚すると、不利な条件での生活が始まる可能性もあります。離婚届は、すべての条件が整ってから提出すべきものであり、感情的に判断すべきものではありません。

離婚の話し合いで気を付けること

離婚を進める際には、まず相手との話し合いが必要になります。ですが、感情がぶつかり合いやすい場面でもあるため、冷静さを欠くと交渉が長引いたり、関係が悪化したりするおそれがあります。

ここでは、離婚の話し合いで特に注意しておきたいポイントを整理します。

相手を感情的に責めない

話し合いの場で相手を責めてしまうと、防衛的な態度を取られ、建設的な対話が難しくなります

離婚に至るまでには不満や怒りもあるかもしれませんが、それをぶつけるだけでは前向きな解決にはつながりません。相手が感情的になると、協議がこじれたり、調停や裁判に発展したりする可能性もあります。

感情に流されず、伝えるべきことを整理し、冷静な態度で話すことが重要です。必要であれば、メモを用意するなど準備して話し合いをしましょう。

子どもの前での話し合いは避ける

離婚に関する話し合いは、必ず大人だけの場で行うべきです。子どもの前で口論になったり、一方の親が相手を悪く言ったりすると、不安やストレスを与え、子どもの心に深い傷を残すことがあります。

ときに自分を責めてしまったり、心のバランスを崩したりすることもあるため、離婚協議中でも子どもの心を守る意識が必要です。離婚後も親として関わっていく以上、配慮を怠ってはいけません。

また、感情的になった親が、子どもに意見を求めたり、どちらの親と暮らしたいかを聞いたりすることは子どもにとって強いプレッシャーとなり、親権や面会交流の話し合いにも悪影響を及ぼしかねません。

離婚は大人の問題であり、子どもを巻き込まない姿勢が求められます。

無茶な離婚条件を提示しない

離婚の話し合いでは、相手の同意があってはじめて成立します。相場とかけ離れた養育費や、相手に一方的な不利益を与えるような財産分与など、現実的でない条件を提示しても交渉は前に進みません

また、相手に対する不満や怒りから強気な要求をしてしまうと、かえって相手の態度を硬化させる結果にもつながります。

話し合いでは、お互いに納得できるラインを探る姿勢が大切です。必要に応じて第三者や専門家に相談するのも一つの方法です。

子どもがいる場合に必要な離婚手続き

子どもがいる場合、離婚は当事者だけの問題ではありません。離婚後も、子どもの生活環境や将来に大きく影響を及ぼすため、手続きの一つひとつを丁寧に進める必要があります。

離婚前と離婚後で必要な手続きが異なるため、それぞれの内容を事前に把握しておくことが大切です。

離婚前|親権や養育費、面会交流などの取り決め

未成年の子どもがいる場合、離婚届には「どちらが親権者となるか」を明記する必要があります。話し合いで合意ができていなければ、離婚は成立しません

また、養育費の金額や支払い方法、面会交流の頻度や方法なども、できるだけ具体的に取り決めておくことが望まれます。

これらの条件は、離婚協議書や公正証書として書面に残しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。

離婚後|戸籍や氏などの変更

離婚によって、子どもの戸籍や姓をどうするかも検討が必要です。基本的に、親権者であっても自動的に子どもが同じ戸籍に入るわけではありません。

子どもを自分の戸籍に入れるには、「入籍届」や「氏の変更許可申立て」といった手続きが必要です。離婚後に親権を持つ親が旧姓に戻す場合、子どもだけが元の姓のままとなるケースもあるため、学校や生活への影響を考慮して判断しましょう。

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まとめ

離婚は、感情だけで進めてしまうと後悔を招きかねません。特に、子どもがいる場合や金銭の問題が絡む場合には、離婚後の生活に大きく影響します。

まずは、離婚の意思が固まった段階で冷静に情報を集め、準備を進めることが大切です。生活設計を立て、離婚理由や条件を整理しておくことで、話し合いもスムーズになります。

一方で、勢いで家を出たり感情的に相手を責めたりするような行動は、かえって不利になるおそれがあります。

離婚を前向きな一歩とするためにも、手続きの進め方や注意点をしっかり把握し、必要に応じて法律の専門家に相談するようにしましょう。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)