離婚「知っトク」ブログ

離婚の話し合いに応じない夫・妻への対応|進め方と避けるべき言動

2025.11.21
  • 離婚手続

離婚の話し合いに応じてもらえない状況が続くと、必要な手続きを進められず困る場面が生じます。

結論として、話し合いが難しい場合は進め方を見直し、避けるべき言動を把握することで状況が改善する可能性があります。

相手が話し合いを拒む背景や、事情を整理できていないまま説得を続けても、話し合いが長引き、かえって状況が悪化することもあります。

この記事では、離婚の話し合いで最初に確認すべき内容や、避けるべき言動、そして話し合いが困難な場合に選択できる手続きについて、弁護士の関与も含めて解説します。

 離婚の話し合いに応じないのはなぜ?考えられる理由

離婚を進めるうえで、相手が話し合いに応じない状況は珍しくありません。

相手の姿勢だけを見ると拒否されているように感じますが、その背景には複数の事情が隠れていることがあります。

ここでは、離婚の話し合いが止まってしまう主な理由を解説していきます。

 感情的な対立や離婚への抵抗があるため

夫婦間の感情的な対立が強い場合や、相手が離婚という結論を受け入れられていない場合には、話し合いが進みにくくなります。

過去のトラブルや不信感が残っていると、話し合いの場に向き合うこと自体を避ける傾向が生じ、議題に入る前に感情的なやり取りに発展してしまうことがあります。

離婚に踏み切る心理的準備が整っていない状況では、返答が曖昧になったり、話し合いを先延ばしにしたりしやすく、冷静に内容を検討することが難しくなります。

【関連記事】協議離婚とは|協議離婚の流れや弁護士費用・デメリットを解説

 離婚条件(お金・親権)に不安があるため

離婚にともなう項目には、財産分与、養育費、親権、年金分割など、生活に大きく影響する重要な内容が含まれます。

相手がこれらの知識を十分に持っていないと、話し合いに応じると不利になるのではないかという不安が生じ、消極的な態度につながってしまいます。

子どもがいる家庭では、親権が取れないのではないかという不安や、面会交流の形が見えないことも、話し合いを止めてしまう要因になります。

【関連記事】離婚時の親権の決め方や決まる基準は?母親が負ける場合はある?

 親や第三者の影響で話し合いが進まないため

夫婦間の問題であっても、親や親族、友人の意見が強く影響して話し合いが進まない場合があります。

とくに親が離婚に反対している場合、相手が自分だけの判断で話し合いに進むことが難しくなり、話し合いを避ける行動につながります。

第三者の意見が強いほど、本人の意思と行動にギャップが生じてしまい、結果として合意形成が一層難しくなる傾向があります。

 離婚の話し合いで決めるべき主な内容

離婚の話し合いでは、感情面とは別に、具体的に整理しなければならない項目があります。

これらの内容をあらかじめ把握しておくことで、話し合いが進めやすくなり、不要な対立を避けやすくなります。

ここでは、離婚の話し合いで確認しておくべき事項を解説します。

親権・監護権の取り決め

子どもがいる場合、最初に検討しておくべき事項が親権と監護権です。

親権とは、子どもの財産管理や法律行為の代理を行う権限のことで(民法818条)、監護権は、子どもの日常生活の世話や教育を担う役割を指します(民法819条)。

親権や監護権をどのように定めるかは、これまでの養育状況や子どもの生活環境を踏まえて判断する必要があります。

  • 別居後の養育状況や経済面の支え方
  • 子どもの生活拠点(学校・通学環境をどこに置くのが適切か)
  • これまでの主たる監護者
  • 子どもの年齢や意思

これらの取り決めは、離婚後の子どもの生活に大きく影響するため、役割を曖昧にしたまま離婚に進むとトラブルになる可能性が高くなります

養育費の金額と支払い方法

養育費は、親権の有無にかかわらず、子どもを扶養する義務に基づいて支払うものです(民法877条)。

離婚後の生活を安定させるために欠かせない費用であり、金額を検討する際には、次のような項目を確認する必要があります。

  • 双方の年収や収入源
  • 子どもの年齢・人数
  • 生活に必要な教育費・医療費の見通し
  • 養育費算定表の金額(標準的な目安)

金額を決める際には、養育費算定表を用いることが一般的で、裁判所の基準に沿った妥当な金額が確認できます(民法766条)。

ただし、算定表の金額が必ずしも最適とは限らず、教育費の増加や住居費など、個別の事情に応じて調整するケースもあります。

教育費の増加が見込まれる場合には、追加費用の扱いや大学進学時の負担をどう分担するかといった点も、あらかじめ取り決めておくと後のトラブルを避けやすくなります。

支払い方法が曖昧なまま離婚に進むと、将来的に支払い遅延や不払いにつながるおそれがあるため、振込日や金額、期間といった条件は、書面にして残しておくことが大切です。

【関連記事】養育費とは|養育費の相場や支払い義務・取り決め方法や計算例を解説

財産分与の範囲と分け方

財産分与は、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を分け合う制度で、離婚手続きに欠かせない項目です(民法768条)。

名義に関わらず、実質的に夫婦の協力によって形成された財産は共有財産とみなされるため、一覧化して整理することが必要です。

預貯金、不動産、車両、保険、退職金(一定の要件あり)など、対象となる財産を正確に把握することが必要です。

財産分与では、共有財産の種類や範囲、分与の割合などが争点になりやすく、事前整理が欠かせません。

曖昧なまま進めると後の請求や追加協議につながるため、慎重に確認して取り決めることが大切です。(民法768条

【関連記事】離婚の財産分与とは|財産分与の割合や対象となる財産

慰謝料の有無

慰謝料は、不貞行為や暴力行為など、相手の有責性が離婚の原因になっている場合に請求できる可能性があります(民法709条・710条)。

慰謝料の金額は一定ではなく、行為の内容、期間、夫婦関係への影響、精神的苦痛の程度などを総合的に考慮して判断されます。

以下のような場合は、慰謝料が認められやすくなります。

  • 配偶者が不貞行為を行い、夫婦関係が破綻した
  • DV(身体的暴力)が継続していた
  • モラルハラスメント(精神的暴力)が長期間続いた
  • 不貞相手に対しても損害賠償を検討できる状況

慰謝料を請求する場合、行為を裏付ける証拠が重要です。

不貞行為であれば、日時が特定できる写真・メッセージのやりとり・ホテルの出入り記録など、DVであれば診断書や録音などが検討材料となります。

【関連記事】不倫慰謝料の相場と請求条件とは?|手順やよくある失敗まで解説

面会交流の実施方法

面会交流は、別居後も子どもと継続して関わるために必要な取り決めのことです。

親子の関係維持を図るという観点から、家庭裁判所でも重要な項目とされており、話し合いの段階で具体的に決めておくことが求められます(民法766条)。

面会交流の内容を検討する際には、次のような点を整理しておくと後のトラブルを避けやすくなります。

  • 実施の頻度(例:月1回、長期休暇のみ など)
  • 場所(自宅、第三者の立ち合い施設、公園など)
  • 交流にかける時間(数時間〜半日、宿泊の可否)
  • ビデオ通話などのオンライン交流を取り入れるかどうか

面会交流は親の希望ではなく、あくまで子どもの利益を最優先に判断されます

面会交流を曖昧にしたまま離婚すると、実施頻度をめぐる衝突や連絡トラブルが生じやすくなるため、話し合いの段階で具体的な取り決めを行うことが重要です。

【関連記事】面会交流の取り決めを適切にしたい

離婚の話し合いを進めるための基本的なポイント

話し合いが滞っている場合でも、話せる環境を整えたり、第三者を関与させたりすることで、前に進むきっかけが生まれることがあります。

ここでは、冷静に離婚の話し合いをするための基本的な進め方を整理します。

話す順番や優先度を整理する

話し合いをスムーズに進めるためには、親権、養育費、財産分与、慰謝料など、取り上げる項目を事前に整理しておく必要があります。

項目が曖昧なまま話し合いを始めると、論点がずれたり感情的なやり取りが増えたりして、結論にたどり着きにくくなります。

事前に話し合う順番や優先度を決めておけば、議論が脱線しにくく、必要な内容を一つずつ確認しながら進めることができます。

離婚の話し合いは落ち着いた場所・時間を選ぶ

話し合いが難航する原因には、内容だけでなく、環境やタイミングが適切でないことが挙げられます。

仕事の直後や子どもの前など、気持ちが不安定になりやすい状況では、冷静に話すことが難しくなります。

落ち着いて話せる時間帯や場所を確保することで、感情的な衝突を避けやすくなり、必要な内容に集中して話を進めることができます

離婚の話し合いは第三者を交えて冷静に話す

夫婦間で話し合いが進まない場合には、親族、友人、弁護士など第三者を同席させる方法があります。

第三者が入ることで感情的な対立を抑えやすくなり、話し合いの内容を整理しながら進められるようになります。

金銭面や子どもに関する取り決めなど専門性が求められる内容が多い場合には、弁護士を介して協議を行うことで、誤解を防ぎながら話し合いを進めやすくなります。

【関連記事】離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント

メモ・録音など記録を残してトラブルを防ぐ

話し合いの内容は、後から確認できるよう記録を残しておくことが重要です。

口頭での合意は時間が経つにつれて認識のずれが生じやすく、後に「言った・言わない」の争いに発展することがあります。

メモを残すほか、相手の了解を得たうえで録音を行っておけば、話し合いの経緯や合意内容を正確に把握できます。

とくに金銭面や子どもに関する取り決めは紛争の火種になりやすいため、記録化は欠かせない対応です。

最終的に取り決めた内容は文書にまとめておくことで、離婚後のトラブルを避け、双方の認識を明確に保つことができます。

離婚の話し合いで言ってはいけないことは?

話し合いが進まない理由の一つに、無意識のうちに相手を刺激してしまう言動があります。

状況を悪化させないためにも、控えるべき対応をあらかじめ理解しておくことが重要です。

ここでは、離婚の話し合いの最中に避けた方がよい言動を解説します。

感情的な発言や相手を責める言い方

怒りや不満をそのままぶつけてしまうと、相手が防御的になり、話し合いが進まなくなります。

感情的な言い方は論点を曖昧にし、必要な内容に集中できなくなるため、冷静に話すことが重要です。

意見の違いがある場合でも、事実と希望を分けて整理し、落ち着いた態度で伝えることで、合意を目指すための土台を保ちやすくなります。

一方的な要求や結論の押しつけ

自分の希望だけを押しつける対応は、相手の反発を招きやすく、話し合いが長期化する原因となります

離婚に関する項目は双方の生活に関係するため、一方的な決め方では合意形成が困難です。

相手の意見を聞きながら調整する姿勢を持つことが、現実的な合意につながります。

無断録音や違法につながる行為

会話の当事者が相手に知らせず録音を行う行為は、一般的には違法とはされていません。

離婚の話し合いにおいても、無断録音が証拠として採用されるケースは多く、内容を正確に確認する手段として用いられています。

ただし、スマホ・SNSアカウントに無断でアクセスして情報を取得する行為は、プライバシー侵害や不正アクセスにあたるおそれがあり、法的に問題となります

こうした対応は後の手続きに悪影響が出るため、避ける必要があります。

【関連記事】【離婚慰謝料】DV・モラハラ 慰謝料をとるための証拠とは?

離婚の話し合いが進まないときに取れる選択肢

話し合いがどうしても進まない場合には、第三者の介入や家庭裁判所の制度を利用するなど、別の手続きを利用して離婚を進める方法があります。

ここでは、離婚の話し合いが進まない時に選択できる別の手段を解説します。

弁護士に代理人を依頼して交渉してもらう

相手が話し合いに応じない場合や、感情的な対立が続いて自分たちだけでは整理が難しい場合には、弁護士を代理人に立てて交渉を進める方法があります。

弁護士が窓口になることで、直接やり取りを避けられ、落ち着いた形で必要な項目を整理できます。

加えて、法的にどのような主張が可能か、どのラインで合意すべきかなどを判断してもらえるため、話し合いが停滞している状況を改善しやすくなります

離婚調停を申し立てる

協議での話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。

調停では、夫婦の間に調停委員が入り、双方の意見を整理しながら合意点を探していきます。

第三者が間に入ることで感情的な衝突を避けやすくなり、必要な項目を一つずつ確認しながら話し合うことができます

協議では進まなかった内容でも、調停を利用することで合意に至る可能性が高まります。

【関連記事】協議離婚と離婚調停の違い|メリットデメリット・どちらを選ぶべき?

調停で和解できなければ裁判を起こす

調停でも合意に至らなかった場合には、訴訟(離婚裁判)で離婚の可否や条件を判断してもらう方法があります。

裁判では、提出された証拠や主張に基づいて裁判官が判断するため、調停よりも法的な要素が強い手続きとなります。

離婚裁判は時間と費用がかかるため、最終的な手段として位置づけられますが、調停で解決が難しいケースではこの手続きによって結論を得ることができます。

裁判を見据える場合には、証拠の整理や主張の準備が必要になるため、弁護士へ依頼して進めることが望ましいです。

離婚の話し合いに関するよくある質問

話し合いを録音しても大丈夫?

会話の当事者が相手に知らせず録音する行為は、一般的には違法とはされておらず、家庭裁判所でも証拠として採用されることが多くあります。

夫(妻)がまったく応じない場合はどうする?

相手が連絡に応じなかったり、話し合いを拒否し続けたりする場合でも、弁護士を代理人にして交渉してもらうことができます。

それでも話し合いが進まない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、調停委員を介した話し合いに移ることができます。

離婚の話し合いに親を交えて話すのは適切?

親を同席させることで話し合いが進むケースもありますが、感情的な衝突を招き、問題が複雑になることもあります。

弁護士など中立的な立場の専門家を介した方が、話し合いを整理しやすくなります。

話し合いなしで離婚できるケースはある?

夫婦双方が離婚に合意している場合には、話し合いを経ずに離婚届を提出することも可能です。

ただし、親権・養育費・財産分与などの取り決めが不足すると、離婚後にトラブルが起きることがあるので、合意していても、最低限の内容は話し合っておくことが重要です。

まとめ

離婚の話し合いは、感情の対立や意見のすれ違いによって停滞することがあります。

親権や養育費、財産分与などの取り決めを曖昧にしたまま離婚へ進むと、離婚後の生活に不安が残るため、内容を一つずつ整理しながら進める必要があります。

話し合いがうまく進まない場合には、弁護士を代理人にして交渉を任せる、離婚調停を利用するなど、第三者を介した手続きを検討することで状況を動かせる場合があります。

どの方法が適切か判断が難しいときは、弁護士へ相談して現状を整理し、取るべき進め方を確認しておくと安心です。

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)