熟年離婚の原因ランキング|後悔しないために知っておくべき現実と備え
- 離婚の原因

熟年離婚を考えるきっかけは、性格の不一致だけではありません。
定年退職や子どもの独立、親の介護など、生活の節目で夫婦の距離感が変わり、これまで見過ごしてきた違和感がはっきりすることもあります。
この記事では、熟年離婚の原因ランキングと増えやすいタイミングを整理し、メリット・デメリット、今からできる備えまでわかりやすく解説します。
目次
熟年離婚とは?増えているって本当?
熟年離婚とは、一般的に同居期間が20年以上の夫婦が離婚するケースのことで、近年は件数が増加傾向にあります。
ここでは、基本的な定義と、実際の傾向を整理します。同居期間が20年以上の夫婦の離婚のこと
熟年離婚とは、法律上の明確な定義があるわけではありませんが、一般的には結婚生活が20年以上続いた夫婦の離婚を指します。
若い世代の離婚とは異なり、子どもが成人している、住宅ローンの状況がある程度見えている、定年退職が近い、あるいはすでに迎えているといった特徴があります。
そのため、離婚後の生活設計や老後資金への影響を踏まえた判断が求められます。
熟年離婚率はこの30年ほどで約2倍に増加している
厚生労働省の人口動態統計によると、同居期間20年以上の夫婦の離婚件数は、昭和60年(1985年)の約2万件から、令和元年(2019年)には約4万件へと増加しています。
加えて、離婚総数に占める割合で見ても、1970年代には約5%程度だったものが、近年では約20%を超える水準となっています。
つまり、離婚する夫婦のうち5組に1組以上が熟年夫婦という状況です。
背景には、平均寿命の延びや女性の就労機会の拡大、価値観の多様化などがあると考えられます。
かつては、子どものため、世間体のためと離婚を選ばなかった人も、老後の過ごし方を重視する傾向がみられます。
データで見る熟年離婚の原因ランキング
熟年離婚の背景には、長年の結婚生活の中で積み重なったさまざまな問題があります。
ここでは、裁判所が公表している「司法統計年報(家事編)」のデータをもとに、熟年離婚の主な原因をランキング形式で整理します。
1位は性格の不一致
熟年離婚の理由として最も多いのが性格の不一致です。
長年一緒に暮らしていると、価値観や生活習慣の違いが徐々に積み重なっていきます。
たとえば、次のような違いが挙げられます。
- 金銭感覚のズレ
- 家事や生活リズムへの考え方の違い
- 老後の過ごし方に対する価値観の違い
大きな出来事がなくても、このまま一緒に老後を過ごせるだろうかという違和感が離婚のきっかけになることがあります。
熟年離婚では、突然のトラブルというより、長年の積み重ねが表面化するケースが少なくありません。
【関連記事】性格の不一致だけで離婚はできる?
2位はモラハラなどの精神的DV
近年、熟年離婚の原因として目立つのが、モラハラなどの精神的DVです。
身体的な暴力がなくても、長期間にわたって人格を否定する発言や無視、威圧的な態度が続くと、精神的な負担は大きくなります。
若い頃は我慢すればいいと考えていた人でも、退職などによって同居時間の増加化し、耐え難いと感じるようになっていきます。
とくに次のような行為は、精神的DVにあたる可能性があります。
- 「誰のおかげで生活できている」と繰り返し言う
- 外出や交友関係を制限する
- 無視や冷淡な態度を続ける
長年続いた関係であっても、精神的な尊厳が守られない状態が続く場合には、離婚を検討する理由になり得ます。
3位は生活費を渡さないなどの経済的問題
生活費を十分に渡さない、家計を一方的に管理するなどの経済的問題も、熟年離婚の大きな原因の一つです。
とくに専業主婦やパート勤務の人にとって、配偶者が生活費を制限する行為は、日常生活そのものに直結します。
加えて、退職金や老後資金の使い道を巡って意見が対立するケースもあるため、老後資金の扱いは、対立が深刻化しやすいテーマです。
経済的な不安は、熟年離婚において重要な判断材料となります。
4位は不貞行為などの異性関係
不貞行為や異性関係も、熟年離婚の理由として挙げられます。長年連れ添った後での裏切りは、精神的な衝撃が大きいものです。
とくに、退職後に配偶者の行動範囲が変わったことをきっかけに、関係が発覚するケースもあります。
「何十年たっても過去の不倫は熟年離婚の原因になりますか」といった相談を受けることもありますが、信頼関係が大きく損なわれている場合には、年月が経っていても夫婦関係に影響を及ぼすことがあります。
加えて、不貞行為があった場合には、慰謝料請求の問題もあるため、証拠や今後の生活設計を踏まえて冷静に整理することが大切です。
【関連記事】不貞行為とはどこからどこまで?慰謝料や証拠を簡単に解説
熟年離婚が増えるタイミング
熟年離婚は、ある日突然決断されるものではありません。人生の節目をきっかけに、これまで見過ごしてきた問題が表面化することがあります。
ここでは、熟年離婚が増えやすいタイミングを整理します。
夫の定年退職で24時間一緒に過ごすようになる
熟年離婚のきっかけとして多いのが、夫の定年退職です。
これまで日中は仕事で家を空けていた配偶者が、自宅で過ごす時間が増え、生活リズムの違いや、家事への関わり方をめぐって、これまで気にならなかった不満が表面化していきます。
とくに、自分の時間が持てない、家事の負担が増えたと感じる人も少なくありません。
長年別々のペースで生活してきた夫婦にとって、24時間同じ空間で過ごすことは想像以上に大きな変化です。
こうした生活環境の変化が、熟年離婚を考えるきっかけになることがあります。
子どもの独立で夫婦だけの生活になる
子どもが独立すると、夫婦は再び二人だけの生活に戻ります。これまで家庭内の中心にあった子育てが終わることで、夫婦関係そのものと向き合う時間が増えます。
一方で、子どもを通じて保たれていた会話や役割分担がなくなり、距離を感じるようになることもあります。
親としての役割が一区切りついたことが、今後の人生をどう過ごすかを考えるきっかけになるようです。
親の介護問題でパートナーへの不信感が強まる
親の介護が始まると、夫婦の協力関係が試されます。
どちらがどの程度負担するのか、仕事との両立をどうするのかなど、具体的な対応を巡って意見の対立が生まれ、負担が一方に偏ると、不満や不信感が積み重なります。
介護は長期化する可能性があるため、将来への不安も大きくなっていきます。
その過程で、この先も夫婦で支え合っていけるだろうかと疑問を抱き、熟年離婚を検討するケースもあります。
熟年離婚を選択するメリット
熟年離婚には経済的・社会的な不安が伴います。しかし、長年抱えてきた問題から距離を置くことで、新しい生活を前向きに築ける側面もあります。
ここでは、熟年離婚を選択した場合に考えられる具体的なメリットを整理します。
長年の家事や気遣いから解放される
長年、配偶者中心の生活を送ってきた人にとって、離婚は日常の負担から解放されるきっかけになります。
たとえば、食事の準備や洗濯、生活リズムの調整など、当たり前のように担ってきた家事がなくなり、相手の機嫌や価値観に合わせるための精神的な気遣いも減ります。
今日の夕食や、相手の機嫌などといった日々の緊張感がなくなることで、自分の時間や空間を取り戻せると感じる人もいます。
小さな負担の積み重ねから解放されることは、想像以上に大きな変化です。
心身のストレスから距離を置ける
夫婦関係に慢性的な緊張がある場合、頭痛や不眠、食欲不振など、原因がはっきりしない体調不良が続くケースがあります。
このような場合、離婚によってストレスの原因から物理的に距離を置くことで、生活リズムが整い、体調が安定する人もいます。
熟年期は健康管理がより重要になる時期です。安心して過ごせる環境を整えることは、老後の生活の質にも直結します。
子どもや友人との関係を築き直せる
離婚を選ぶことで、必要以上に家庭内の事情を隠したり、無理に取り繕ったりする必要がなくなることがあります。
その結果、子どもや友人と率直に向き合えるようになったと感じる人もいます。
加えて、地域の活動や趣味のコミュニティに参加しやすくなり、新しい人間関係が広がるケースもあります。
孤立を深めるのではなく、自分に合った交流を選び直せる点は、メリットといえるでしょう。
自身のキャリアや資格を活かした再挑戦ができる
熟年期は、これまで家庭を優先してきた人が自分の可能性を見直す時期でもあります。
離婚を機に再就職やパート勤務を始める、以前取得した資格を活かす、あるいは新たに学び直すなど、新しい挑戦を始める人もいます。
もちろん、経済的な準備は欠かせません。
しかし、自分の力で生活を築いているという実感は、自己肯定感の回復につながります。
熟年離婚は人生の終わりではなく、再設計のきっかけになる場合もあります。
熟年離婚に伴うデメリット(リスク)
熟年離婚は新しい人生の選択肢である一方、経済面や健康面への影響は大きく、事前の準備が重要になります。
ここでは、主なデメリットを整理します。
経済的に自立する必要がある
熟年離婚で最も大きな課題となるのが、経済面です。
これまで配偶者の収入に依存していた場合、離婚後は自分の収入や資産のみで生活を維持する必要があります。
財産分与や年金分割によって一定の財産を受け取れる可能性はありますが、それが将来にわたって十分かどうかは別問題です。
- 持ち家を売却するのか、どちらが住み続けるのか
- 退職金をどのように分けるのか
- 毎月の生活費や医療費をどう確保するのか
パートや再雇用で収入を得る選択肢はありますが、収入水準は現役時代より下がる可能性は十分に考えられます。
年金分割や名義変更などの手続きが多い
熟年離婚では、整理すべき財産や契約関係が複雑になりがちです。
年金分割の請求、不動産の名義変更、預貯金や有価証券の分割、生命保険の受取人変更など、対応すべき事項は多岐にわたります。
住宅ローンが残っている場合は、その扱いも慎重に検討する必要があります。
手続きを誤ったり、期限を過ぎたりすると、本来得られるはずの権利を失ったり、手続きそのものが精神的な負担になることもあります。
事前に必要な手続きの全体像を把握し、段取りを整理しておくことが重要です。
【関連記事】年金分割とは?対象となる年金や年金分割の種類
病気や介護が必要になったときの不安がある
熟年期以降は、健康リスクが高まる時期でもあります。
配偶者がいる場合は、日常生活のサポートや緊急時の対応を期待できますが、離婚後は、入院時の手続きや介護の手配を自分で行う必要があります。
子どもが遠方に住んでいる場合、頼りにくいケースもあるため、将来を見据え、支援体制や公的制度の活用を含めて検討しておくことが求められます。
居住地域やコミュニティにおける世間体や居心地の変化
長年同じ地域で暮らしてきた場合、環境の変化によって心理的負担が増大する可能性は否定できません。
友人関係が夫婦単位で築かれていた場合、関係性が変わることもあり、孤立感を抱く人もいます。
住まいや生活圏をどうするのか、早い段階で具体的に考えておくことが大切です。
後悔しない熟年離婚のために今からできる準備
熟年離婚は、勢いで決めるよりも、事前の準備によって結果が大きく変わります。
ここでは、後悔を減らすために押さえておきたい準備を整理します。
財産と年金の状況を把握する
まず重要なのは、夫婦の財産を正確に把握することです。
預貯金、不動産、退職金、有価証券、保険など、分与の対象となる財産を整理します。
とくに熟年離婚では、退職金や年金が大きな割合を占めるケースが多く、見落としは避けたいところです。
加えて、年金分割の制度を理解していないまま離婚してしまうと、本来受け取れるはずの金額に影響が出る可能性があります。
将来の受給額を試算し、離婚後の生活費を具体的にイメージしておくことが大切です。
【関連記事】財産分与の進め方がわからない
不貞やDVがある場合は証拠を確保する
不貞行為やDVがある場合、証拠の有無が結果を左右します。
感情的になって話し合いを進めてしまうと、証拠を十分に確保できないまま不利な条件で合意してしまうことがあります。
メールやLINEの履歴、写真、診断書など、客観的な資料を整理しておくことが重要です。
とくに慰謝料を請求する場合には、法的に意味のある証拠が必要になりますが、自分で判断が難しい場合は、早めに弁護士に相談することで、適切な対応を検討できます。
弁護士に早めに相談して選択肢を整理する
熟年離婚では、財産分与や年金分割、慰謝料など、検討すべき項目が多岐にわたります。
そのため、弁護士に相談することで、法的にどのような権利があるのか、どの条件が妥当なのかを客観的に整理できます。
離婚するかどうかを決めていない段階でも、情報を得ることで判断材料が明確になります。
後悔を減らすためにも、早い段階で情報を整理しておくことが大切です。
【関連記事】離婚問題を依頼する弁護士の選び方|失敗しないためのポイント
熟年離婚に関連するよくある質問(Q&A)
専業主婦でも熟年離婚後の生活は成り立ちますか?
財産分与や年金分割によって、一定の生活資金を確保できる可能性はあります。
離婚後の収入源や支出を具体的に試算し、住まいをどうするのかも含めて検討しましょう。
熟年離婚の財産分与はどのくらいが目安になりますか?
原則として、婚姻中に夫婦で築いた財産は2分の1ずつ分けるのが基本です。
ただし、財産の範囲や評価方法によって結果が変わることもあるため、具体的な状況に応じた整理が必要です。
熟年離婚でも慰謝料を請求できるケースはありますか?
不貞行為やDVなど、相手に法的な責任がある場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
請求を検討する場合は、証拠の有無や時効の問題も踏まえて判断します。
まとめ
長年の結婚生活の中で積み重なった問題が表面化した結果として選ばれることが多いのが熟年離婚です。
原因は一つではなく、性格の不一致やモラハラ、経済的な問題、不貞行為などさまざまです。
一方で、熟年離婚には、経済的な自立や手続き、老後の支援体制といった現実的な課題も伴います。
とくに熟年期は、財産分与や年金分割の影響が大きく、離婚を選ぶかどうかにかかわらず、現状の資産や制度を把握しておくことは、将来の安心につながります。
一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の意見を参考にすることも検討してみてください。

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