後悔しない子連れ離婚やることリスト|共同親権からお金の問題まで解説
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子どもを連れて離婚する場合、親権や養育費を決めるだけではなく、離婚後の生活設計や住まいの確保、公的支援の利用まで見据えた準備が重要です。
離婚までの手続きや財産分与、2026年から導入される共同親権制度への不安がある人もいるでしょう。
この記事では、子連れ離婚のやることリストを整理し、手続きの順番、親権・共同親権の制度、お金の備え方について分かりやすく解説します。
目次
子連れ離婚のやることリスト
子連れ離婚では、感情だけで判断するのではなく、あらかじめ整理しておくべき事項があります。
ここでは、やるべきことを順序立てて、一覧で確認していきます。
親権者を決める
未成年の子どもがいる場合、親権者を定めなければ離婚は成立しません。
親権とは、子どもの身の回りの世話をする監護権や、教育・医療などの重要事項を決める権限を含むものです。
どちらが子どもの生活を主に支えてきたか、今後どのような生活環境を整えられるかといった点が判断の基準になります。
感情的な対立がある場合でも、子どもにとって安定した環境はどちらかという観点で話し合うことになります。
【関連記事】親権はどう決まる?離婚前に知っておきたい裁判の流れと判断基準
手続きの順番を整理する
離婚の手続きには、夫婦の話し合いで進める協議離婚、家庭裁判所を利用する調停離婚、最終的に裁判所の判断を求める離婚裁判があります。
一般的には、まず協議での解決を試み、合意が難しい場合に調停へ進みます。
さらに、調停でもまとまらない場合に裁判へ移行するという流れになります。
加えて、離婚届を提出する前に、養育費や財産分与、面会交流などの条件を整理しておくことが、その後の紛争を防ぐうえで意味を持ちます。
離婚後の生活費と養育費を試算する
子連れ離婚では、離婚後にどのような支出が発生するのかを具体的に把握しておくことで、無理のない生活設計につなげることができます。
- 家賃や住宅ローン
- 食費や日用品費
- 光熱費や通信費
- 保育料や教育費
- 医療費
- 保険料
これらを踏まえ、毎月どの程度の収入が必要になるのかを試算しておきましょう。
あわせて、養育費の目安も確認しておく必要があります。
養育費は父母双方の収入や子どもの人数・年齢などを基準に算定されます。
財産分与の対象を確認する
離婚する際には、専業主婦やパート勤務の場合でも、原則として共有財産は2分の1ずつに分けるのが基本的な考え方です(民法768条1項)。
対象となるのは、預貯金や不動産、保険の解約返戻金など、婚姻期間中に築いた財産です。
一方で、結婚前から個々で保有していた財産や、相続・贈与によって取得した財産は、分与の対象にはなりません。
【関連記事】財産分与の進め方がわからない
公的支援制度を調べる
子連れ離婚後の生活では、公的支援制度の活用も選択肢の一つです。
代表的なものとしては、児童扶養手当や児童手当、医療費助成制度などが挙げられます。
これらの制度は、収入状況や子どもの人数、自治体によって支給額や条件が異なるため、居住地で利用できる制度や要件を事前に確認しておきましょう。
証拠と資金を確保する
離婚原因が相手の不貞行為や暴力、モラハラなどにある場合には、後に紛争へ発展する可能性があります。
そのため、離婚を具体的に進める前の段階で、必要な証拠や資金の整理が求められます。
たとえば、メッセージの履歴や通話記録、日記の記録、診断書などは、事実関係を示す資料となります。
加えて、別居を検討している場合には、当面の生活費や引っ越し費用などを想定し、一定の資金を確保しておくことが考えられます。
子供の名字と戸籍の手続き(入籍届)を確認する
離婚後、子どもの名字や戸籍は自動的に変更されるわけではありません。
親権者が母親となり母の戸籍に入る場合でも、子どもを同じ戸籍に移すには入籍届の手続きが必要となります。
加えて、子どもの名字を変更する場合には、家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。
子連れ離婚の手続きの順番は?
離婚の手続きには複数の方法があり、状況によって進め方が異なります。
ここでは、協議離婚から裁判離婚までの流れと、条件を取り決める際のポイントを解説します。
協議離婚から検討する
離婚は、まず夫婦の話し合いによる協議離婚から検討するのが一般的です。
協議離婚では、親権や養育費、財産分与、面会交流などの条件について当事者同士で合意できれば、離婚届を提出することで離婚が成立します。
夫婦間の話し合いで合意に至らない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
合意できなければ調停を申し立てる
日本の法律では、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、原則として先に調停を経る必要があります(家事事件手続法257条1項:調停前置主義)。
そのため、協議でまとまらない場合には、調停が次の手続きとなります。
調停では、調停委員を介して双方の主張や事情を整理しながら、合意による解決を目指します。
子どもがいる場合には、親権や養育費、面会交流の内容についても調停の中で具体的に協議されます。
【関連記事】協議離婚と離婚調停の違い|メリットデメリット・どちらを選ぶべき?
調停が不成立なら裁判に進む
離婚調停でも合意に至らなかった場合には、離婚裁判へ進むことになります。
裁判では、当事者の主張や証拠をもとに、裁判所が離婚の可否や条件について判断を下します。
もっとも、裁判で離婚が認められるためには、不貞行為や悪意の遺棄、長期間の別居など、民法で定められた事情があるかどうかが問題となります。
子どもがいる場合には、親権や養育費、面会交流の内容についても裁判所が判断します。
調停よりも時間や負担がかかる傾向があるため、どの段階でどのような選択をするのかが重要です。
【関連記事】離婚裁判とは|親権・慰謝料・敗訴リスクまで知っておきたい基礎知識
離婚条件を取り決める
離婚を進めるにあたっては、財産分与や親権のほかにも具体的な条件を整理しておく必要があります。
- 養育費(支払額・支払期間・振込方法など)
- 面会交流(頻度・方法・連絡手段)
- 慰謝料(発生する場合)
- 住宅ローンや自宅の処理
- 年金分割
子どもがいる場合には、養育費や面会交流の内容を具体的に定めておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
合意内容を公正証書にする
離婚条件について合意ができた場合、その内容を公正証書として残すことが重要です。
公正証書は、公証役場で公証人が作成する公的な書面で、当事者間の合意内容を客観的な形で残せる点が特徴です。
口約束や当事者同士で作った合意書だけでは、支払いが止まった場合に、回収のために改めて裁判手続きを検討しなければならない場面もあります。
そのため、養育費などの金銭の支払いについて、強制執行認諾文言を付けた公正証書を作成しておけば、支払いが滞ったときに、裁判で判決を取り直さなくても、相手の給与や預貯金を差し押さえる手続き(強制執行)に進める可能性があります。
ただし、相手に差し押さえ可能な財産や給与がない場合には回収が難しいこともあります。
【関連記事】養育費は公正証書にすべき理由|効果・作成方法・強制執行の方法
離婚届を提出する
協議や調停で離婚条件が整った後は、離婚届を市区町村に提出することで離婚が成立します。
協議離婚の場合は、夫婦双方の署名押印に加え、証人2名の署名が必要です。
加えて、子どもがいる場合には、離婚届に親権者を必ず記載しなければなりません。
離婚は届出だけで完結するものではなく、条件の整理から公的手続きまで一連の流れとして進みます。
子連れ離婚で親権と共同親権はどうなる?
子連れ離婚では、誰が親権者になるのかが大きな争点となります。
2026年からは共同親権制度が導入されるため、制度の内容を正しく理解しておくことが求められます。
ここでは、親権の判断基準と、単独親権・共同親権の違いについて整理します。
親権は子の利益を最優先に判断される
親権とは、子どもの監護・教育や財産管理などを行う権限と義務を指し、離婚に際しては、子どもの親権者を定めなければなりません(民法819条)。
親権者を決めるにあたっては、子の利益が最も重視されます。
単に収入だけで決まるものではなく、どちらの親と生活することが子どもにとって安定的か、これまでの養育状況や生活環境などを総合的に考慮して判断されます。
監護実績が重視される
親権の判断では、これまで誰が中心となって子どもを養育してきたのか、いわゆる監護実績が重視される傾向があります。
日常の世話や保育園・学校との連絡、通院の付き添いなど、継続的に子どもを監護してきた事情が考慮されます。
急激な環境の変化が子どもに与える影響も踏まえ、現在の生活環境が子どもにとって安定しているかどうかが重要な判断要素となります。
もっとも、子どもの年齢や意思、父母双方の養育体制なども総合的に考慮されます。
2026年から共同親権制度が導入される
2024年の民法改正により、2026年5月までに、離婚後も父母が共同で親権を持つ共同親権を選択できる制度が施行される予定です。
この制度では、すべての離婚が自動的に共同親権になるわけではなく、父母の協議や裁判所の判断によって、単独親権と共同親権のいずれかが定められます。
共同親権の場合、子どもの進学や医療など、重要な事項については父母双方で協議して決定し、日常的な監護については、実際に子どもと同居する親が行うことが想定されています。
制度の内容を正しく理解せずに不安を抱えるのではなく、どのような場面で双方の合意が必要になるのかを整理しておくことが求められます。
単独親権と共同親権では権限の範囲が異なる
単独親権と共同親権の大きな違いは、子どもに関する重要な決定を誰が行うのかという点にあります。
単独親権では、親権者となった一方の親が、子どもの進学、医療行為、パスポートの取得、財産管理などの重要事項を単独で決定します。
これに対し、共同親権では、子どもの進学先の選択や手術の同意、長期の転居など、将来に影響する重要な事項について、父母双方の協議が前提となります。
どちらか一方の意思だけで決定できない場面が生じる点が特徴です。
具体的な運用は個別の事情によって整理されるため、制度の枠組みと実際の生活場面を分けて理解しておく必要があります。
子連れ離婚でお金の問題はどう備える?
子連れ離婚では、離婚後の生活費や養育費、財産分与など、経済面の整理が避けて通れません。
ここでは、養育費の考え方や財産分与の基本、公的手当の活用など、離婚後の生活設計について整理します。
養育費を適正額で取り決める
養育費は、離婚後も父母が子どもを養育する責任を分担するための費用です(民法766条)。
養育費の金額は、家庭裁判所が公表している算定表を参考に、おおよその目安を把握することが一般的です。
養育費の取り決めは、支払額だけでなく、支払期間や振込方法、未払いが生じた場合の対応まで具体的に定めておくことで、後の紛争を防ぐことができます。
【関連記事】養育費とは|養育費の相場や支払い義務・取り決め方法や計算例を解説
財産分与で受け取れる財産を確認する
財産分与の内容は、離婚後にどの程度の資産が手元に残るかに直結します。
- 婚姻期間中に貯めた預貯金
- 購入した自宅やマンションなどの不動産
- 自動車
- 学資保険や生命保険の解約返戻金
- 婚姻期間に対応する退職金の一部
これらは、名義がどちらになっているかにかかわらず、実質的に共有財産と評価されます。
児童扶養手当などの公的手当を活用する
子連れ離婚後は、ひとり親世帯を対象とした公的手当を利用できる場合があります。
代表的な児童扶養手当は、一定の所得以下のひとり親世帯などに支給されるもので、子どもの人数や所得に応じて支給額が決まります。
制度の内容や条件は自治体ごとに異なるため、居住地の窓口やホームページで確認しましょう。
生活保護を検討できる場合がある
離婚後の収入や資産の状況によっては、生活保護の対象となる可能性があります。
生活保護は、収入や資産が一定基準を下回り、他の公的制度や扶養などを考慮しても生活が維持できない場合に利用が検討される制度です。
生活保護は、最終的なセーフティーネットと位置付けられており、すぐに利用できるかどうかは個別の事情によって判断されます。
子連れ離婚で注意すべき点は?
子連れ離婚では、気持ちが先行して行動してしまうと、後の手続きや親権判断に影響が及ぶ場合があります。
ここでは、法的な問題に発展しやすい行動や、誤解されやすい対応について整理します。
子連れ家出は法的リスクがある
配偶者との対立が深まる中で、子どもを連れて突然別居するケースもありますが、状況によっては、子どもの監護権や親権の判断に影響することがあります。
とくに、相手の同意なく子どもを連れ出したと評価される場合には、後に紛争が拡大する可能性があります。
安全確保が最優先となる場面もありますが、法的な位置づけを踏まえて行動する必要があります。
再婚しても養育費の支払い義務は消えない
離婚後に再婚した場合でも、実子に対する養育費の支払い義務は原則として継続します。
養育費は、父母が子どもを扶養する責任に基づくものであり、再婚の有無だけで当然に免除されるものではありません。
もっとも、再婚や収入の大きな変動があった場合には、養育費の減額や変更を求める調停が申し立てられることがあります。
感情的な行動は親権判断に影響する
親権の判断では、これまでの監護状況や、子どもにとっての生活の安定が重視されます。
そのため、相手との対立があっても、子どもの前での過度な非難や、面会交流を一方的に拒否する行為などは、不利に評価される可能性があります。
離婚は夫婦間の問題であっても、親権判断では子どもの利益が中心となります。
感情と法的判断は分けて考えることが求められます。
子連れ離婚に関連するよくある質問
貯金なしで子連れ離婚すると生活できない?
貯金がなくても、養育費や財産分与、公的手当などを組み合わせることで生活設計を立てることは可能です。
もっとも、離婚直後は費用負担が生じることがあるため、事前に収支の見通しを立てておくことが現実的です。
共同親権になると元夫に干渉され続ける?
共同親権が導入されても、すべての判断に常に双方の同意が必要となるわけではありません。
日常的な監護については、実際に同居する親が行うことが想定されています。
父親親権が認められるケースってある?
これまでの監護実績や養育環境、子どもの意思などを総合的に考慮して判断されるため、父親が親権者となるケースもあります。
【関連記事】父親が離婚で親権を勝ち取るケースとは|共同親権の影響は?
子連れ離婚の後に再婚すると養育費はどうなる?
再婚しても、実子に対する養育費の支払い義務は原則として続きます。
ただし、収入の大幅な変動など事情の変更があれば、減額や変更を求める手続きが検討されることがあります。
まとめ
子連れ離婚では、親権や養育費の取り決めだけでなく、生活費の見通しや財産分与、公的手当の活用まで含めた総合的な整理が必要となります。
感情的な対立が生じやすい場面であっても、手続きの順番や法的な枠組みを踏まえて進めることで、その後のトラブルを防ぐことができます。
もっとも、親権や養育費の金額、財産分与の範囲などは、個別の事情によって判断が異なるため、不安がある場合には、早い段階で弁護士に相談し、自身の状況に応じた見通しを確認することが選択肢となります。

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