離婚「知っトク」ブログ

協議離婚とは|協議離婚の流れや弁護士費用・デメリットを解説

2024.11.15
  • 離婚手続
離婚届

協議離婚は、もっともよく利用される離婚方法です。

裁判所を介さず、夫婦間で柔軟な離婚条件を決めることができ、合意さえできれば早期に離婚を成立させられます。

手軽な離婚方法ですが、デメリットや注意点もあります。この記事では、離婚協議について以下の点をわかりやすく解説します。

協議離婚とは

協議離婚とは、夫婦の話し合いで合意し、市区町村役場に離婚届を提出することで成立する離婚のことです。

令和4年度「離婚に関する統計」の概況」によると、2020年の離婚件数は約19万3,000組で、そのうち協議離婚の割合は88.3%に上ります。

協議離婚以外の離婚方法には、離婚調停、審判離婚、離婚裁判があります。

離婚調停 家庭裁判所で調停委員を介した話し合いによって成立する離婚
審判離婚 調停が不成立となり、一部の条件で折り合いがつかない場合や、早期に離婚を成立させた方がよいと判断された場合に、裁判所の職権で決定する離婚
裁判離婚 調停不成立後に提起、もしくは審判に異議申し立てをすることで行われる裁判による離婚

協議でも調停でも離婚が成立しない場合は、裁判で離婚の成否が判断されることになります。

協議離婚のメリット

約9割の人が協議離婚ですが、以下のようなメリットがあります。

  • 夫婦が合意すれば離婚できる
  • 手続きに時間とお金がかからない
  • 夫婦で離婚条件を柔軟に決められる

協議離婚のメリットを解説します。

夫婦が合意すれば離婚できる

協議離婚は、夫婦の話し合いで合意できれば、離婚届を提出するだけで離婚が成立します。

一方で、裁判で離婚する場合は「法定離婚事由」が必要です(民法第770条)。法定離婚事由とは、法律で離婚ができると認められる離婚理由のことです。

例えば、不倫(不貞行為)、3年以上の生死不明、婚姻を継続しがたい重大な事由などがあります。このような理由がないと、裁判での離婚は認めてもらえない上に、離婚事由を立証する証拠の収集や書面を準備する手間がかかります。

手続きに時間とお金がかからない

協議離婚は離婚届を提出するだけで済むため、時間や費用がほとんどかかりません。夫婦が合意できれば、その日に離婚が成立することもあります。

一方、裁判所を利用した離婚は、1~2ヶ月に1回の頻度で審理が行われます。離婚調停の平均審理期間は6ヶ月以内(2023年)、離婚裁判は14.7ヶ月(2022年)かかります。

また、調停や裁判は、申し立て手数料数千円の他に、弁護士が必要となるケースもあります。

参考:司法統計 – 裁判所

人事訴訟事件の概況 – 裁判所

夫婦で離婚条件を柔軟に決められる

夫婦で話し合う協議離婚は、離婚条件を柔軟に決められる点もメリットです。例えば、夫婦が合意できれば、慰謝料や養育費を相場より高額にすることも可能です。

協議離婚のデメリット

一方で、協議離婚には以下のようなデメリットもあり、注意が必要です。

  • 夫婦で話し合う必要がある
  • 離婚条件を決めておかないとトラブルになる
  • 話し合いが進まないと離婚できない

夫婦で話し合う必要がある

協議離婚では、離婚条件を夫婦間で話し合い、決めなければなりません。不仲な夫婦や、暴力やモラハラ傾向がある場合、話し合いが困難なこともあります。

また、夫婦間にパワーバランスがある場合や、相手が弁の立つ人の場合、相手の有利な条件で離婚が成立する可能性があります。

このような場合は、調停委員を介して話し合いを進める離婚調停を利用した方がよいでしょう。

離婚条件を決めておかないとトラブルになる

離婚では、親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割、婚姻費用、慰謝料などの離婚条件を決める必要があります。

相手との話し合いを避けて、適切な条件を決めずに離婚してしまうと、後でトラブルになる可能性があります。

例えば、相手が財産分与や養育費の支払いを拒否している場合、取り決めや、その事実を証明できる書面があれば、強制的に財産を差し押さえることができます。

しかし、そのような取り決めも、それを立証する書面もなければ、調停を申し立てて、取り決めを行う所から始めなければなりません。

特に養育費の支払いが遅れると、生活が苦しくなることも考えられます。また、養育費や財産分与、年金分割、慰謝料には請求の時効があるため、注意が必要です。

話し合いが進まないと離婚できない

協議離婚は夫婦が合意すれば成立しますが、逆に話し合いが進まなければ成立しません。早期に離婚したい場合、条件面で譲歩が必要になる場合もあります。

協議離婚と離婚調停の違い

協議離婚と同様に、話し合いで離婚を決めるのが離婚調停です。離婚調停は、家庭裁判所の調停室で行われ、男女1名ずつの調停委員および裁判官と話し合いを進めます。

夫婦は別々に調停室に入り、調停委員を介して双方の主張を伝え合う形で進行します。協議離婚と離婚調停の違いは以下の通りです。

協議離婚 離婚調停
仲介者の有無 なし 調停委員
費用 基本はかからない 申し立て手数料と切手代、その他資料取得費用など
離婚成立までの期間 最短1日 平均6ヶ月以内
合意書の種類 夫婦で離婚協議書を作成する

執行文を付与した公正証書にすれば差し押さえ可能

調停調書を作成してもらえる

履行されなければ差し押さえ可能

戸籍への記載内容 離婚日のみ記載 離婚調停成立日と記載
不成立後の手続き 協議、調停が可能 協議、調停、裁判が可能

基本的に夫婦の話し合いで、離婚条件を決めて離婚できるのが理想です。

しかし、話し合いが困難な場合や、条件が決まらない場合には、第三者を介した手続きを利用した方がよいでしょう。

協議離婚と離婚調停の違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

【関連記事】協議離婚と離婚調停の違い|メリットデメリット・どちらを選ぶべき?

協議離婚の流れ

協議離婚はおおむね以下のような流れで進めます。

  1. 離婚条件を考えておく
  2. 相手に離婚を切り出す
  3. 離婚条件について話し合う
  4. 離婚協議書を作成する
  5. 離婚届の証人欄を記載してもらう
  6. 役所に離婚届を提出する

注意点やポイントも含めて解説します。

離婚条件を考えておく

話し合いの前に離婚条件を考えておくことで、話し合いがスムーズに進められます。具体的には以下の内容を考えておきましょう。

財産分与 結婚生活で築いた財産を平等に分けること

夫婦の財産をリストアップして、何をもらうのかなどを決めておく

親権 親権はどちらが持つのか
養育費 養育費は子どもと同居して育児をしない側が支払う費用

養育費の支払い期間、月々の金額、支払い方法、支払い時期、進学や医療費などの特別費用についてなどを考えておく

面会交流 面会交流は、同居してない親が子どもと定期的に会って交流を行うこと

子どもと会う頻度、時間、場所、子どもの受け渡し方法、父母の連絡方法、学校行事への参加や宿泊の可否などのルールを考えておく

婚姻費用 別居中の生活費

収入が少ない側が多い側に請求できる

婚姻費用算定表をもとに、収入や子どもの年齢などを考慮して、月々いくらなのか決める

慰謝料 不倫などの離婚原因がある場合に、不法行為をされた側がした側に対して請求できる

請求する慰謝料の金額を決める

年金分割 結婚生活の年金を厚生年金や共済年金を分割して公平に分ける制度

分割の割合を決める必要があるが、公平に半分に分けることがほとんど

弁護士に相談しておくことで、適切な離婚条件のアドバイスを受けられます。

相手に離婚を切り出す

離婚条件がある程度固まったら、相手に離婚を切り出します。その際のポイントは以下の通りです。

  • 感謝を伝え、離婚をしたい理由を説明する
  • 感情的になりそうなら、対面や口頭以外の手段で伝える
  • 相手が精神的に落ち着いている時期に切り出す(仕事が忙しくない時期など)
  • 相手が不倫などをしている場合は、まず証拠を集めてから切り出すこと

突然離婚を切り出せば、相手も最初は反対するかもしれません。しかし、今後後悔のないように、辛抱強く話し合いましょう。

離婚条件について話し合う

相手が離婚すること自体を了承したら、具体的な離婚条件について話し合いをします。冷静に話し合うことが重要です。

感情的になってしまうと、話がまとまらないばかりか、その後調停になった際も話し合いに時間がかかることになります。

相手が法外な要求をしてくる場合は、法律の専門家である弁護士に相談してください。離婚条件がまとまらない場合は、弁護士に依頼して代理交渉をしてもらうか、調停で話し合いをすることになります。

離婚協議書を作成する

離婚条件が決まったら、必ずその内容を離婚協議書、できれば公正証書として残しましょう。離婚協議書とは、夫婦間で取り決めた離婚条件や約束事をまとめた契約書のことです。

離婚協議書を作成しておくことで、後から「そんな約束はしていない」と反故にされるなどのトラブルを防止できます。

公正証書は、法律実務に携わった裁判官や弁護士など法務大臣から任命された公証人が、作成する公文書のことです。

当事者が作成した私文書を公正役場で公正証書としてもらうことで、法的に証拠力の高い契約書とすることができます。

公正証書に「執行文」を付与してもらうことで、裁判を行わずとも差し押さえが可能となります。離婚協議書の作成は、離婚届の提出前後、どちらでも構いませんが、提出前に作成しておくと安心です。

参考:公正証書 – 日本公証人連合会

【関連記事】離婚できる5つの条件|必要な別居期間や書面化までの流れ

離婚届の証人欄を記載してもらう

離婚届は、夫婦以外の証人の署名がなければ、受理されません(民法第739条、765条)。証人が必要なのは、夫婦の意思にもとづく離婚だと確認するためです。片方の勝手な意思で離婚はできません。

18歳以上の成人であれば、子どもでも友人でも親族でも証人になれます。離婚届の証人欄に、署名、生年月日、住所、本籍を記載してもらいましょう。

役所に離婚届を提出する

離婚条件を離婚協議書にまとめ、離婚届に不備がないことを確認したら、本籍がある役所の戸籍係に離婚届を提出します。離婚届の提出に必要なものは以下の通りです。

  • 離婚届
  • 顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカードや免許、パスポート)

本籍地以外の地方自治体に提出する場合は、戸籍謄本(全部事項証明書)、外国人との離婚には住民票が必要となるため、事前に用意しておきましょう。離婚届が受理されれば、離婚が成立します。

【関連記事】離婚手続きの流れ|離婚前・離婚後のやることリスト

協議離婚を進める際のポイント

協議離婚を進める際のポイントは以下の通りです。

  • 冷静に対応する
  • 離婚条件の優先順位をつけておく
  • 離婚できなかった場合を考えておく
  • あらかじめ弁護士に相談しておく

冷静に対応する

協議離婚を成立させるには、冷静な対応が重要です。離婚を切り出したり、離婚条件について話し合ったりする場面で感情的になると、その後の話し合いがスムーズに進まなくなる可能性があります。

冷静に話し合うことが難しい場合は、対面以外の手段(電話、LINE、メール、手紙など)を活用して伝えることも検討しましょう。また、相手に結論を急かさずに、受け入れる時間を与えることも大切です。

離婚条件の優先順位をつけておく

協議離婚をスムーズに進めるには、離婚条件の優先順位をつけておくことがポイントです。協議離婚は夫婦の話し合いで進むため、お互いに譲歩しなければ、合意に至りません。

自分の中で譲れない条件と譲歩できるものを明確にしておきましょう

離婚できなかった場合に備えておく

協議離婚で離婚できなかった場合は、辛抱強く話し合いを続けるか、離婚調停で話し合いを行います。離婚調停でも合意に至らない場合は、再度協議を行うか、裁判で離婚の可否を判断することになります。

調停や裁判で第三者が介入する場合、離婚理由などの証明が必要です。例えば、裁判で「不倫が原因で別れたい」と主張しても、不倫の証拠がなければ離婚は認められません。

協議離婚で離婚できなかった場合も見据えて、離婚原因となる事実の証拠などをあらかじめ用意しておくことが重要です。

【関連記事】離婚してくれない夫・妻と離婚する方法|応じない心理と対処法

あらかじめ弁護士に相談しておく

協議離婚を円滑に進めるには、事前に弁護士に相談しておくのがおすすめです。協議離婚の進め方、離婚の見通し、慰謝料請求のコツ、不利にならないための注意点など、法的アドバイスが受けられます。

前述の通り、協議離婚ができなかった場合、調停や裁判に発展する可能性があります。それを踏まえて、離婚の準備を整えておきましょう。

【関連記事】
無料で離婚相談ができる窓口3つ|離婚相談は誰にすべき?
離婚したくない人が弁護士に相談するメリット|無料相談の方法や費用

協議離婚にかかる費用

基本的に、協議離婚は話し合いによるものなので、特別な費用はかかりません。ただし、公正証書を作成する場合は、離婚協議書で取り決めた金額に応じた手数料がかかります。

金額 手数料
100万円以下 5,000円
100~200万円以下 7,000円
200~500万円以下 1万1,000円
500~1,000万円以下 1万7,000円

参考:手数料 – 日本公証人連合会

例えば、財産分与が100万円、養育費が480万円(月4万円を10年の場合)で計580万円の場合、手数料は1万7,000円です。

また、協議離婚は、夫婦の話し合いを弁護士に依頼することも可能です。弁護士に依頼した場合の費用の相場は以下の通りです。

内訳 費用相場
着手金 依頼時に支払うお金 20~30万円
報酬金 離婚成立や離婚条件が成立した場合に発生する 離婚成立に対して20~30万円

他に金銭的な利益があれば獲得金額に対して10%

離婚成立だけであれば、着手金と報酬金あわせて40~60万円程度が相場となります。ただし、これはあくまで目安であり、各法律事務所によって異なるため、相談時に確認しましょう。

【関連記事】離婚にかかる弁護士費用はいくら?相場や内訳・安く抑えるポイント

協議離婚でよくある質問

離婚合意書とは?

離婚合意書とは、離婚条件など合意した内容を書面にまとめたものです。離婚協議書とも呼ばれることもあります。

協議離婚の成立までにはどのくらいかかる?

協議離婚が成立するまでの具体的な統計はありません。しかし、「令和4年度「離婚に関する統計」の概況」によると、別居から離婚届を提出するまでの期間は1年未満が86.2%と最多でした。

別居をしている場合は、1年以内に協議離婚が成立していると考えられます。

離婚協議書は自分で作成できる?

離婚協議書は、ネットにひな形があるため、自分で作成も可能です。以下の内容を盛り込むとよいでしょう。

共通
  • 離婚届について
  • 財産分与
  • 年金分割
  • 慰謝料
  • 清算条項(離婚協議書に記載されている以外の支払い義務はないとするもの)
子どもがいる場合
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

【関連記事】離婚協議書の内容に記載しておくべき事項とは

まとめ

協議離婚は、夫婦の話し合いで合意できれば、離婚届を役所に提出するだけで成立します。時間やお金がかからずに離婚できるメリットがありますが、話し合いを進める上で以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 離婚条件の優先順位をしっかりと決めておくこと
  • 冷静に対応すること
  • 協議離婚ができなった場合を見据えて準備しておくこと

特に、協議離婚が成立しなかった場合は、調停や裁判に発展する可能性があるため、事前に準備しておくことが大切です。

協議離婚でも弁護士への依頼は可能です。「相手と話し合いをしたくない」「相手が暴力的、モラハラをするから話し合いができない」という場合は、弁護士があなたの代理で話し合いを行います。

協議離婚をスムーズに進めるためのポイントや適切な離婚条件に関するアドバイスも行っていますので、不安がある方はお気軽にご相談ください

この記事の監修者

この記事の監修者

中間 隼人Hayato Nakama

なかま法律事務所
代表弁護士/中小企業診断士
神奈川県横浜市出身 1985年生まれ
一橋大学法科大学院修了。
神奈川県弁護士会(65期)